BまでだからR15の微エロです

…って、この基準、変ですか?w







































押して押して



古泉の部屋に泊まりに行ったってのに酷い、とは俺ですら思う。
古泉はもっと強く思うことだろうと分かりはする。
それなのに、どうしようもない。
と言うわけで俺は古泉に、
「なぁ、今日はいい?」
と聞かれて、気分じゃないと一蹴したいのをぐっと堪え、
「…そこに座れ」
と唸るように言い、ベッドを指差した。
それだけで、ピンと来るようになっちまったほどには、古泉との付き合いは長いし、古泉も俺の行動パターンを把握していると言うことなんだろう。
目に見えてしょげた古泉は、ベッドに腰を下ろしながらも、嘆くように天井を仰いだ。
「…だめかぁ……」
「…悪い」
「いーよ」
と軽く言いながらも、笑顔に力がない。
見てて申し訳なくなるくらいだ。
そうやって、良心は痛むし、古泉を抱き締めたいとか思うってのに、どうしてそれが若さゆえの過ちにも似た性的衝動に繋がらないのか、自分でも分からんくらいだ。
「…なんで俺はこうなんだろうな」
思わず呟くと、古泉が慌てた様子で、
「んな、落ち込まなくていいって。気にしなくていいんだよ。人それぞれだろ? こういうのは」
だがな…。
「いいんだって。それに、時々はあんたの方が盛る時も……」
「っ、それは忘れろって言っただろうが!!」
真っ赤になって怒鳴れば、古泉はニヤリと笑って見せた。
…くそ、乗せられた。
ほんとにこいつは俺の扱いを心得すぎている。
落ち込みかけてた気分がどこかに行っちまったのはいいことかも知れんが、これはこれで落ち着かないものがある。
古泉は優しく笑って、俺の頭を撫でた。
「きっとさ、あんたは他に楽しいことがあるんだよ。だから、やりたいやりたいって思わずに済んでるってわけ。あんたのがフツーなの。んで、俺はついついあんたのことで頭がいっぱいになっちまうってだけの違いだろ」
「…嫌いっつう、訳じゃ、ないんだぞ?」
子供のように慰められるのがなにやら気恥ずかしくて、そんなことを言えば、古泉は更に笑みを深めて、
「ん、分かってる」
「お前のことは勿論、…その、……っ、好き、だし……」
「うん」
「…セックスだって、嫌いな訳じゃないんだ」
「分かってるって。……まあ、俺が下手なのかも? とは時々思うけどさ」
「そこは…その、安心して、いい、から……」
顔が酷く熱くなっているのを感じながらもそう言えば、古泉は面白がるように笑った。
「そう?」
「う…っ、……ああ」
「そっか。なら、よかった」
嬉しそうにしながら、古泉が俺を抱き締め、頬にキスをする。
「可愛い」
と言いながら、何度もキスをされる。
くすぐったいはずのそれが、それ以上に嬉しくて、ふわふわしたような心持ちになる。
…なるってのに、どうしてもそれが性的興奮に繋がらない。
そこで満足してしまうのだ。
これ以上はいらないというほど、満ち足りて、ずっとこのままでいたくなる。
「……結局、お前がこれだけ分かりやすく愛してくれるのが原因、か?」
確証もないまま呟けば、
「ええ?」
と古泉は大袈裟な声を上げた。
「それ、押すばっかりじゃなくて、たまには引けって意味?」
情けなく眉を下げての発言に、俺はついつい笑ってしまいながら、
「俺としては引かないでくれた方がいいが……お前がそうしたいなら、止められんな」
と言うと、
「引けねーよ。あんたを放っとくなんて無理っ」
言いながら、ぎゅうっと力を込めて抱き締められる。
その体温も心地好くて、このままでいたいと思った。
実際、しばらくそのままでいてくれた古泉だったのだが、ややあって、耐えかねたように呟いた。
「…なあ……触ってくれる…?」
「ん」
短く応じて、俺は抱き締められたまま、手を這わせ、きつく挟まれた間に差し入れると、すぐに古泉の熱に触れることが出来た。
ジャージ越しに触れてもはっきり分かるほど、それは熱く、昂ぶっている。
「このままで、いいのか? 口でしても……」
「いーよ。…今は、こうやってたいから」
と抱き締めなおされ、キスをされる。
「…俺も、このままがいい」
そう返して、俺は動かし難いながらもなんとか手を動かして、古泉のジャージを軽くずりおろし、堅くなったものを取り出した。
少し手で触れるだけで、
「っ…く………ぅ…」
耳に触れる、熱い吐息が嬉しい。
古泉が、俺なんかの稚拙な愛撫に感じてくれるのが分かるから。
滑りをまぶすように手を滑らせ、裏筋から先端までなぞって形を確かめる。
こうやっていると思うのは、こんなのがよく入るよなということなんだが、今更なので恐怖心がぶり返すこともない。
だからといって、したくなるというわけでもないのが……すまん、古泉。
せめて、と愛撫に集中すると、
「……なんかさ、巧くなったよな…」
と独り言めいた感想を古泉が漏らした。
「…そうか?」
自分ではそうは思わないんだが。
「巧くなった気がする…」
「…巧くなったんじゃなくて、お前の好きなところを覚えたってだけかもな」
と笑えば、拗ねるような顔をした古泉が、突き出した唇をそのまま押し付けてきた。
「俺だけ、だもんな?」
「当たり前だろ」
と言うかお前、今のは約束に抵触してないか?
「っ、いやいや、してないって! してません!! ただ単に、俺にしかしてくれないようなことをしてくれるんだよなって実感したくて言っちまっただけだから、お願いだから冗談でも別れるとか言い出さないでください、マジお願いします!!」
「…その必死さに免じて許してやる」
ニヤッと笑ってやれば、一瞬呆けた顔をした古泉だったが、すぐに理解したらしく、ほーっとため息を吐き、
「…なんだ、あんた、最初っから本気じゃなかったんだ……」
「本気にする方がおかしくないか? それとも、俺があれくらいの言葉で別れるとかなんとか言い出すと思ってたのか?」
「うー……あんたなら言いかねないじゃん…」
心外な。
「…んなこと言い出せるくらいなら、お前の感じる場所なんか覚えようと努力しようとしやしねぇし、お前の反応を観察したりもしねぇよ」
「…っ……、狡ぃ…」
「何がだ?」
「…分かってんだろ?」
恨めしげな古泉に、俺はにやにやと笑いながら頷く。
というか、握りこんでるものがあからさまに反応してて、分からないほど、俺は鈍くないぞ。
だから、というのでもないが、俺は古泉に軽く触れるだけのキスをして、
「…それくらい、お前のことは気に入ってるし、執着もあるんだ。二度は言わないからよく覚えとけ」
「……ん、さんきゅ」
嬉しそうに笑った顔を眺めながら、かすかに震える古泉の中心を握り締め、大きめのストロークで扱くと、古泉の秀麗な顔が歪んだ。
「くっ……そろ、そろ……」
分かってる。
「イッていい」
「…っ、ぅ………、くぅ…!」
呻くような声を上げて、古泉が吐精すると、俺の手の平どころかお互いの腹まで白く汚れた。
「うあ…ごめん……」
まだ赤い顔のまま、律儀に謝ってくる古泉に苦笑して、
「いいって。ほら、さっさと脱いで着替えろ。片付けてやるから」
「…ん」
素直に頷いた古泉から汚れたTシャツを受け取った俺は、自分のシャツも脱ぎ、まとめて洗面所に持っていった。
簡単に水洗いした後洗濯機に放り込んだりしていたから、そこそこ時間は食ったと思うのだが、古泉は俺の戻るのを待っていた。
眠そうな顔をしてじっと待っていたかと思うと、可愛いなんて思ってしまうのだが、
「疲れたんなら、寝ててもよかったんだぞ?」
「やーだよー…」
と返す声も眠そうだ。
そのくせ、俺をベッドに引きずり込む腕はやたらと力強い。
抱き枕よろしく抱き締められながら、それに抵抗する気は起きない。
抵抗なんて、するわけがない。
そんな風にされて、俺も嬉しいんだからな。
すぐにすよすよと大人しい寝息を立て始める古泉を見つめながら、好きだな、と思った。