ご注意ください!

この作品はバンダイナムコゲームスより発売された
PSP専用ソフト「涼宮ハルヒの約束」
をもとに妄想された作品です
ネタバレは激しくありませんが、若干、プレイされないと分からない表現などが含まれます
ネタバレが嫌な方や未プレイの方はご注意くださいますようよろしくお願いします


またこの作品は朝比奈みくるの妄想の産物と言う設定であり、
一部キャラクターの性格および設定の捏造
がありますので
それについてもご注意ください


更に言うとエロですのでそういう意味でもご注意くださいませ





























エスパー少年と俺 Vol.2.5
  超能力者の葛藤
 Written by ミクル



夏休み中のある日、俺は古泉と共に街を歩いていた。
俺と古泉が一応恋人と言えなくもない関係になったことを考えれば、それは当然デートと言ってもいいもののはずだったのだが、古泉と来たら手を握ってくることさえないので、正直これはただの友人付き合いと同じじゃなかろうか、などと俺は考えていた。
軽く眉を寄せながら古泉の、俺より高い位置にある顔を睨んでいると、
「どうかしましたか?」
と小首を傾げて問い返された。
「別に、何も」
自分で気付きやがれ、と思いながら顔を背けると、古泉がもう一度首を傾げるのが視界の端に入った。
ダメだこいつ、何も分かってねぇ。
俺がどれだけ考えた上でこいつを誘ったかとか、俺が昨日どれだけ眠れたかなんてことにも全然気付いてないって顔だ。
全く以って腹立たしい。
先に好きだと言ったのはこいつで、先に惚れた方が負けだという恋愛の常識から考えると、どう考えても俺の方が勝者であり、優位にあるべきなのに、これじゃどっちがどうだか分かりやしねぇ。
なんでこいつは鋭いくせに変なところで鈍くなるんだろうな。
そんなだから、相手の心が読めるくらいで丁度いいのか?
――いっそのこと、言ってやろうか。
今日のこれはデートなんだろうな、と確認してやろうか。
そうしたら流石のこいつも俺の苛立ちにくらい気がつくんじゃないかと思ったところで、
「お腹空きませんか?」
と聞かれ、出鼻を挫かれた。
がくっと脱力しかかるのをなんとか堪え、
「…そうだな」
と頷いてやると、古泉は嬉しそうに笑って、
「すぐそこになかなか雰囲気のいい喫茶店があるんです。そちらに行ってみても構いませんか?」
「好きにしてくれ、俺にはよく分からん」
「ありがとうございます」
大袈裟にそう言った古泉の顔と、さっきの言葉から、やっぱりこれはデートだと思っていいのだろうかと俺が思った瞬間、古泉の表情が驚愕とも恐怖とも分からないものに凍りつき、ワンテンポ遅れて通りの向こうから物凄い音が響き渡った。
多分、自動車事故だろう。
ブレーキ音とそれに続く衝突音が、実際には無機物同士の衝突に過ぎないだろうに、まるで肉をぶつけ合ったように聞こえて、思わず顔をしかめた。
…と、俺はその程度で済んだのだが、古泉は小さく呻いたかと思うとそのまま気を失っちまった。
「お、オイ! 古泉!?」
寸でのところで抱きとめたものの、そのまま支え続けるのは難しく、頭をぶつけたりしないように気をつけながらそのまま歩道に座らせた。
こういう時本当はどうするべきなんだ?
ちゃんと横にして、気道確保、だったか?
昔読んだサバイバル本の内容なんかを俺が必死に思い出そうとしていたところで、古泉が目を開いた。
「ぁ……」
「大丈夫か?」
「え……ええ、大丈夫です…」
ちっとも大丈夫そうに見えない、真っ青な顔で古泉は言った。
「…今日は帰った方がよさそうだな」
俺はそう呟いて、
「立てるか?」
「ええ…」
ふらつきながら立ち上がった古泉に肩を貸しながら、俺たちは古泉の部屋へ向けて歩きだした。
本来なら、タクシーでも使って運ぶべきだったのだろうが、俺の頭にはそんなことは思い浮かばず、ただ、早く古泉を休ませてやらなくてはならないとそればかり思っていた。
やっとの思いでたどり着いた古泉の部屋のベッドに古泉の体を寝かせ、俺は一応安堵することが出来た。
「気分はどうだ?」
「ええ、随分と楽になりました」
そう言いながら、古泉の顔色はまだよくなっていなかった。
「…座っていいか?」
「どうぞ」
古泉の返事を聞いてから、俺はベッドに腰を下ろした。
そうして、片手で古泉の額に触れながら、
「……お前、なんでいきなり気絶したりしたんだ?」
ただの貧血とかそういう感じじゃなかっただろう。
あの事故と何か関係があるのか?
「…本当にあなたは鋭い人ですね」
困ったように古泉は言った。
痛々しくさえ思える表情で。
それを隠すように、古泉は目を閉じて話し始めた。
「――交通事故でも事件でも、人が余りにも強すぎる恐怖などを感じると、それが四方に散るんです。それが勝手に流れ込んでくる時と言うのがありまして、今日はたまたまそうなってしまったんです。事故現場がすぐそばだったことに加えて、僕の方も、今日は少々浮かれていて、警戒心が薄くなっていたものですから、防御が遅れました。そのせいで……ああなったわけです」
「そう…だったのか」
「恐怖に限らず、強すぎる感情は勝手に流れ込んでくるんです。それが喜びや楽しさといった正の感情ならいいのですが、逆に負の感情だとこちらまでそれに引きずり込まれそうになる時が、あって……」
古泉の声が震えた。
泣き出しそうに、それでも、古泉の目から涙が零れることはない。
そのことが、どうしてか、古泉の言葉よりも胸に痛く感じられた。
「僕の力が役に立つ時もあるということ、この力があるからあなたを守ることも出来るということ、それは、ちゃんと、分かってるんです…! でも、それでも…こういう時は、超能力なんて欲しくなかったと、思ってしまうんです…! ごめん、なさい…」
「何でお前が謝るんだ」
言いながら俺は、なんとか古泉を抱きしめようとした。
横になった人間を座った状態で抱きしめるのは難しい。
何度か試みて失敗した後、俺は自分もベッドの上で寝転がり、掛けてやった布団の上から古泉の体を抱きしめた。
震えが俺にまで伝わってくる。
こういう時くらい、泣けばいいのになんでこいつは泣かないんだ。
…それとも、泣けないのか?
「お前が謝る必要はないだろ。お前はよくやってくれてる。そんな目に遭うなら、そんな力を要らないと思ったって当然だ。だから、そんな風に自分を責めるんじゃない」
何も言えないでいる古泉の頭を撫で、頬に触れ、キスをする。
大丈夫だと、言葉で伝えられない分、行動で何とか伝えたくてそうすると、古泉は苦しそうに言った。
「今、優しくしないでください…。酷いことを、してしまいそうですから…」
「何が酷いことだ」
古泉は迷うように言葉を詰まらせたが、顔を赤くしながら、
「あなたを無理矢理抱いてしまいそうなんです。あなたが優しくしてくれるのをいいことに、それに甘えてしまいそうになる…。あなたを傷つけたり怖がらせたりなんて、したくないのに……!」
俺は予想外の言葉に一瞬ぽかんとして古泉を見た後、
「……あー…古泉」
頭をかきかきそう声を掛けた。
「はい…?」
不安そうな古泉に対して、一体何と言えばいいんだ?
いや、何とも言い難い。
それならいっそああするしかないか。
「今だけ許すから、俺の頭の中、読んでみろ」
俺がそれを嫌がってるか?
「な……んで、どうして…そんな…」
「読めるんだから聞くなよ」
顔を赤らめながらそっぽを向けば、
「読めても、理解出来ません…」
「あのなぁ、」
お前は結局俺に言わせたいのか。
恥ずかしいから言いたくないってのに。
だからこそ読んでいいと言ったんだぞ。
「すみません」
「……俺は、……その、お前が好きだから、どんな形であれ、お前に頼られて嬉しいんだよ。分かったら、俺の決意が鈍る前に行動しやがれ」
「ありがとうございます…。愛してます」
「ん…」
知ってるよ、んなことくらい。
譲歩を示すように布団の中に入ってやると、優しくキスされた。
何度目か知らないそれに、不安も感じない俺の様子を見て取ったのか、古泉の唇が薄く開き、俺の唇を舐めた。
そんな風にされるのはこれが初めてで、びくりと竦みかける体を優しく抱きしめられる。
「大丈夫ですか…?」
唇を触れさせたまま、囁かれ、
「……ああ…」
となんとか答えると、その唇の隙間から滑らかな舌が入り込んできた。
そのまま口の中を探られ、舌を絡め取られる。
それだけで頭はくらくらしそうになるし、体は興奮して制御を失う。
「…っふ、ぁ……あ…」
貪るようなキスをしながら、背筋を撫で上げられ、声が漏れた。
普通ならくすぐったいという言葉で済むはずが、それだけでは収まらず、ぞくぞくとした緩やかな快感として脳を刺激する。
古泉は俺の顎を舌でなぞり、そのまま耳を甘噛みしたかと思うと、舌をねじ込むようにしながら、
「凄い、ですね。…あなたのそんな艶かしい顔を見られるなんて、思いませんでした」
直接鼓膜を震わせるような声に、体が跳ねる。
「な、にがだ…っ、ばか…!」
「本当ですよ」
「ぅ、ぁ、もう、……ッ分かった、から、そこで言うな…ぁ!」
何だこれは。
そりゃ、俺は男性経験どころか女性経験もないから、人からこんな風にされるということを他に知っているわけじゃない。
だから比較対象があるわけでもない。
それでも分かるのは、これが異常なくらい気持ちいいことだということだ。
おかしなくらい感じている。
どうしてと問うことも出来ないほど。
俺が混乱している間に、古泉の手は手際よく俺のTシャツの中に入り込んできた。
直接背中を撫でられると、更にもどかしいような快感が体を走った。
それから逃れようと体を動かすと、正面から抱きしめられている形になっているせいで自然と古泉の胸に顔を押し付ける破目になった。
「意外と積極的なんですね」
「ば…っ、違…!」
真っ赤になりながら否定するも、古泉は笑って、まだ背中をなぞりながら片手を俺の脇腹へ動かした。
びくんと体が痙攣する。
「ぁっ…、や、やだ…! なんか、変だろ…」
「気持ちよさそうに見えますよ?」
それはそうだろうよ。
実際、気持ちいいのはいいんだから。
だが、それでもこんなわけの分からない快感は怖いだけだ。
「これは聞いた話なんですが、」
俺の首筋を舐めながら、古泉は言った。
どうでもいいが器用だな、この野郎。
「人間の体で性感帯じゃないところなんてないみたいですよ? そうじゃないと思っている場所でも、慣れればいくらだって感じるそうです。それから――」
古泉はそこで嬉しそうに笑って、
「…愛があると、余計に感じるものだそうです。もちろん、愛だけじゃダメで、それなりにテクニックもいるようですけど」
そう言った古泉の指が胸に触れ、これまで以上の感覚に俺はもう言葉も出なかった。
口から出るのは苦しさを表すような呼吸と、言葉にすらならない音の羅列だけだ。
「待っ…、ひぅ、ん、ぁあ…!」
酩酊感にも似た感覚に踊らされる。
「怖がらなくていいんです。僕のことを信じてください。…ね」
お前、その発言は卑怯だぞ、と言うことさえ出来なかった。
俺の体が勝手に古泉に縋り、それに気をよくしたらしい古泉が指で弄んでいたそこに唇を触れさせたからだ。
「くっ、ぁ…! や、ぁ…」
耐え切れないようなそれを少しでも逃がそうと、古泉の肩を必死に掴めば、おそらく痛くないはずなどないだろうに、古泉は楽しげに笑い声を漏らした。
俺はと言うと涙どころか口の端から唾液まで零しながら噎び泣くしかない。
これまで知らなかった、いや、知るはずもなかった感覚に体の内も外も塗り替えられるような錯覚に陥る。
しかも恐ろしいのは、これがまだ終らず、これ以上のものが待ち受けているということだ。
どうして古泉に許可を与えたんだと悔やんでも遅い。
取り消したり、逃げ出したりしてないんだからな。
古泉の手がズボンのボタンにかかる。
Tシャツよりは防御力も高いはずなのだが、それは難なく外され、古泉の手がよりダイレクトに触れてきた。
「や…っ、触ん、な…っ」
マジでヤバイ。
バカみたいな言葉しか出てこないが、それくらい切羽詰っているんだと理解してもらいたい。
今更止めたって遅いだろうが、それでも止めて欲しい。
「どうしてです?」
「ど、しても…っ、や、あ、ぁあ…っ!」
――遅かった。
最悪だ。
いくらそれまでに煽られていたとはいえ、軽く握りこまれただけでイくとは…!
羞恥に真っ赤になる俺をじっと見つめていた古泉は、小さく笑みを零すと、わざわざ俺の耳元に唇を寄せて、
「可愛いですね」
と囁いた。
「っ…! バカに、してんだろ…」
「してませんよ。本当にそう思ったまでです」
そう言いながら白濁に塗れた手で俺のそれを軽く刺激する。
それだけでまた硬さを取り戻す自分の体を全力で呪ってやりたくなった。
両手で顔を覆った俺に、古泉は殊更優しく、
「ねえ、顔、見せてください」
「やな、こった…」
「お願いします」
「嫌だ」
「ねぇ」
囁きながら俺のズボンを引き抜き、完全に無防備にして行くのがずるい。
「顔が見えないと、僕だって不安になるんです。本当にこのまましてしまっていいのか、あなたに甘えてしまっていいのか、と」
古泉の言葉にはっとして、固く閉じていた目を開けると、言葉の通り、不安げな表情が見えた。
「顔が見えたら、本気で嫌がっているのかどうかもちゃんと分かると思うんです。だから、お願いです」
「…お前、本当に、ずるい……」
そう言いながら俺は顔を隠していた手を外し、古泉へと手を伸ばした。
そのまま抱きしめた体が、まだ震えているように思ったのは俺の気のせいだろうか。
「すみません」
「も…、いいから、……っ、続き」
ああくそ、恥ずかしさで死にそうだ。
「ありがとう」
嬉しそうに言った古泉が、俺の膝へ口付ける。
そのまま脚をなぞり上げ、くすぐったさに震える脚を割り開く。
恥ずかしすぎる格好だ。
だが、これまでだってこんなに恥ずかしかったんだから、もはやメーターは振り切れて、これ以上でも変わりはしないだろう。
開き直ったことを考えながら、俺は脚を閉じたくなるのを堪えた。
古泉の指が自分でも触れないような場所に触れる。
それだけでびくりと体が震えたのは逃げを打ったからじゃない。
「痛かったら、すみません」
そう言いながら古泉はそこを解し始め、俺は出来ることならシーツでも服でもいいから噛ませてくれと思った。
上がりそうになる声を堪えるのが苦しい。
痛みもあるし苦しくもあるのに、それでも気持ちいいと感じる自分の体に泣きたくもなる。
それでも古泉が、本当に熱を持った目で俺を見つめて、
「もう…いいですか…?」
と荒くなった呼吸と共に聞くから、俺は頷いてしまったのだ。
そうでもなければ無理だと言ってでも逃げただろう。
「息、ゆっくり吐いてください」
「ん……」
言われるまま、緊張しそうになる体から出来る限り力を抜き、息を吐く。
そうして受け入れたそれは、本来そんな用途に使うべきでない場所には大きく、つまりは苦しさと痛みは倍増したようなもんだったのだが、快感は倍増どころか何乗にもされたかのように強かった。
「ひ、あ、…っや、あぁ…!」
言葉も紡げなくなり、泣きながら嬌声を上げる俺に、古泉はどこか戸惑うような表情で、
「あなたは…本当に……不思議な人、ですね…」
と囁いた。
どういう意味だ。
視線で聞いたのだが、通じなかったらしい。
ただ、優しくキスをされ、
「好きです。あなたを愛してます。あなたも、そうなんですね」
「…っ、あ、たり、ま……ふぁあ…!」
ダメだ、やっぱりちゃんと話せん。
頼むからもう少しゆっくりしてくれ。
激しすぎて死にそうだ。
「愛してます」
笑顔で囁かれ、キスされるたびに、俺の中にも同じ気持ちがどんどん蓄積して行く気がする。
それがちゃんと古泉に伝わればいい、と思えば、
「ちゃんと、分かってますよ」
と囁かれた。
だから人の心を読むな、と睨みかけた俺に、古泉は笑ったまま、
「言ったでしょう? 強い感情は勝手に流れ込んでくるんですって」
「な…っ、」
それはあれか。
俺のこの感情が強すぎると言いたいのか。
羞恥で真っ赤になった俺に、古泉は本当に幸せそうに、
「僕も同じくらい、あなたが好きですよ」
と囁いた。