ご注意ください!
この作品はバンダイナムコゲームスより発売された
PSP専用ソフト「涼宮ハルヒの約束」
をもとに妄想された作品です
ネタバレは激しくありませんが、若干、プレイされないと分からない表現などが含まれます
ネタバレが嫌な方や未プレイの方はご注意くださいますようよろしくお願いします
またこの作品は射手座パロと見せかけておいて、
実は鶴屋さんの妄想の産物と言う設定であり、
一部キャラクターの性格などの捏造がありますので
それについてもご注意ください
更に言うとエロですのでそういう意味でもご注意くださいませ
宇宙生物との遭遇
Written by ツルヤ
上級大将のようなお偉方というと、頭が固くてどれだけ煮込んだところで柔らかくなりもしないようなご老体を想像してしまうものだが、うちの大将はそれに全く当てはまらない。 俺と同い年の、まだ18歳の女を捕まえてご老体とは言えないだろうし、頭が固いと言うには発想の突飛さが物凄いからな。 …いや、ある意味では非常に頭が固いと言ってもいいのか? 何しろ、あいつときたら、部下の言うことなんざ、少しも聞いちゃくれねぇからな。 もしあいつが、いかに俺たち部下を引きずりまわすかを考えて行動しているのなら、不本意ながらもまだ、そのとんでもない行動に説明は付く。 だが、ハルヒはそんな嫌味なやつではないのだ。 単純に、自分のしたいことを、自分のしたいようにしているというだけで。 ――だからこそ厄介なのだが。 なお、どうしてただの作戦参謀に過ぎない俺が上級大将なんてものを名前で呼び捨てにしているかといえば、それで構わないと言われているからだ。 一応人前や公式の場、公式としての発言ではちゃんと涼宮閣下と呼んでいるんだから問題はないだろう。 もっとも、たまに部下に聞かれてしまっているらしく、俺がハルヒに飼われてるなんて珍妙かつ不名誉な噂がまことしやかに囁かれてしまっていたりもするのだが、今はそんなことはどうでもいい。 重要なのはハルヒがとんでもない大将であるということと、俺たちはそれに従うしかないということだけだからな。 その俺たち、というのがただの下士官やそれ以下の連中ならまだよかっただろう。 曲がりなりにも一軍を預かる大将が、気まぐれに自分の気に入った者で作った親衛隊なんかであれば、振り回されても大して問題にはならないだろう。 ところが、ハルヒの親衛隊――通称SOS団。名前の由来については説明したくない――のメンバーと来たら、下士官を拾い集めたなんてもんではないのだ。 一番階級の低い俺でさえ、何の因果か作戦参謀としてそれなりの部下を抱えているし、ハルヒを除いて一番階級が上なのは、幕僚総長としてハルヒの補佐をしている古泉だ。 他のメンバーも、補給艦隊を預かる朝比奈さん、情報参謀の長門と、豪華としか言いようがない。 ハルヒは年が近いからと俺達を選んだんだろうか。 それとも、俺以外の連中が自分に従うから選んだのか? 何にせよ、俺たちが振り回されることに変わりはない。 そして今日も、ハルヒのおかげで俺は酷い目に遭わされるのだ。 ハルヒの命令で、得体の知れない星に下り立った俺たちは、これまたハルヒの命令で、効率を優先することになり、それぞれでこの星を探索していくことになった。 当然、安全性は無視された。 後になって思えば、どうしてこの時、全員まとまって、ないしは、2、3人に分かれて行こうと提案しなかったのか。 全く、このところの表面的な平和に慣らされて、俺の感覚も鈍っていたらしい。 それに、この星はいたって平和な星に見えたのだ。 俺たちの故郷――今は遠い故郷によく似た、緑豊かな星だった。 大気の組成もよく似ているのだが、いささか濃過ぎる酸素にむせそうにもなる。 だが、人工的に合成された空気よりも心地好いそれに、俺は小型探索艇の屋根を開き、直にその風を感じていた。 ハルヒの気まぐれもたまには悪くないな、などと思っていた俺は甘いとしか言いようがない。 せめて屋根を閉めていれば、と後で悔やんだくらい、甘かった。 「テラフォーミングも何も必要なさそうなくらい、いい星だな」 そんなことを呟きながら、木々の上を低く飛ぶ。 「この様子だと、ハルヒが言う通り、知的生命体もいるかも知れん」 出来れば衝突はしたくないのだが、ハルヒは大丈夫だろうか。 勢いでいきなり宣戦布告なんて馬鹿な真似だけはしてもらいたくないのだが。 そんな風に考えながら、つい、気を抜いたのもまずかったのだろう。 不意に何かに引っ張られるような感覚と共に、ガクンと艇が止まった。 まるでいきなり紐にでもつながれたかのように。 「な、なんだ…!?」 艇が地上に落下しない以上、動力炉に異常を来たしたとかそういうことでないことは明白だ。 それなら何だ、と艇から身を乗り出し、下の方を見ようとしたところで、いきなり何かに腕を絡め取られた。 「なっ…!」 んだこりゃ、と言うより早く、艇から引き摺り下ろされ、森の中に宙吊りにされる。 …いっそ地面に叩き付けられた方がマシだった、と思うような異形が、目の前にあった。 太い幹から伸びたいくつもの枝は樹木のそれと思えないほどぬとぬと粘る液体を纏って嫌な光を持ち、しかも一部にはどうやらこの星のものらしい、干からびた動物がいくつもぶら下がっていた。 俺の末路もあれかと思うと冷たい汗が背筋を伝う。 腰に帯びていた銃を引き抜こうとしたところで、その手をも枝に絡め取られる。 完全に武装解除状態だ。 その枝は、枝なんて硬質なイメージのある言葉で表現するにはあまりにも滑らかに動いていた。 まるで触手だ。 触手といえばそういうのが好きな奴も世の中にはいるそうで、いつだったか同期の谷口に押し付けられたAVの中にあった、グロテスク極まりないそれに犯されて喘ぎまくっている女性の姿を見た瞬間、俺は全力でデータを消去し、谷口に泣かれたものだが、それもいたって正常な反応だろう。 ――嫌なこと思い出しちまった。 さてこの窮状をいかにして脱出するべきか。 俺はとにかく現状把握を、と頭をめぐらせ、耳を澄ませた。 特に機械音も何も聞こえない以上、ハルヒたちは遠くにいるんだろう。 ここは結構広い星だ。 バラバラに分かれて探索している以上、助けは望めまい。 となるとひとりで何とかするしかない。 何かあったかな…。 こいつも一応木なら火か何かが効くんだろうが、そんな都合のいいものはない。 何とか逃げ出せないか、と身体を動かした瞬間、更に身体を拘束され、それがどうやら逆効果だったということを思い知らされた。 その上、殺到してきたそれが軍服の中に入り込んできやがった。 「う、げっ…!」 嫌悪感に思わず声を上げた口の中にも、触手としか言いようのないそれが苦しいほどに入り込む。 舌根を押され、吐きそうになったところで、分泌液がどろりと喉を通過して行った。 ヤバいんじゃないかと思ってもどうしようもない。 数秒後には、身体が異様な熱を持っていた。 口から出るのは呻くような小さな音と、荒い呼吸。 飲み下し損ねた唾液が顎を伝い落ちてもそれを拭うことすらできない。 それどころか、それにすら何かを感じる。 何を感じているのかなんてことは知りたくもない。 内側から弾けるように破かれた服が地面へと落ちる。 俺の身体はもはや気温の冷たさも感じず、襲い来る目眩のような感覚にのみ捕われていた。 「いっ、やら…っ、たすけ…!」 ろれつすら回らなくなってきた。 焦燥感にも似た切なさを帯びたむず痒さが背筋を駆け上る。 ぼろぼろと涙が零れても、それを恥と思う余裕すらなかった。 その時だ。 「これは……一体何事でしょうか」 この状況にそぐわないような声が聞こえたのは。 「こ…いずみ……!?」 「大丈夫ですか?」 至近距離で艇を停止させた古泉が艇を下り、俺を見上げた。 触手は俺ひとりで獲物としては十分と見なしたのか、古泉の方へその気味の悪い枝葉を伸ばすことはない。 「大丈夫な、わけ、…っひ、あるか……あぁ…!」 涙を流しながら俺はそう怒鳴った。 すぐさま助けろという意思を込めて。 しかし、その直後古泉の喉が上下したように見えたのは、気のせいだろうか。 その唇が、いつだったかに上官のいけ好かない野郎をやりこめた時のように残酷に歪み、 「感じてるんですか?」 というありえない言葉を紡いだ。 思わず言葉を失った俺を、触手が攻め立て、口から短い悲鳴染みたものが漏れる。 「そんな風に声を上げて善がったりして…そんなに気持ちがいいんですか? あなたがそんな風に淫乱な人だとは思いませんでしたよ」 「ひ、んな、わけ、…あるか…っ! こんなの、気持ちよくなんか、ねぇ…!」 「気持ち良さそうに見えますよ。赤い顔をして、だらしなく口を開いて……。本当は、感じてるんでしょう?」 「違う…っ」 何でそんな風に意地の悪いことを言ってくるんだ。 階級こそ違えど、同じSOS団の仲間として、いや、それ以上に友人だとさえ思ってたってのに、違ったのか? 実は俺のことを嫌っていたんだろうか。 そんなこともないとは言い切れないくらい、古泉はポーカーフェイスが上手い。 だが、それだけに、今こうして楽しげに酷薄な笑みを浮かべて見せているのが驚きだった。 そんなに、俺の醜態が楽しいのか。 そこまで、俺が嫌いなのか。 打ちのめされるような気持ちになった俺に、古泉は笑って、 「違わないでしょう? そんな風にいやらしい顔をしておいて、何を言うんです」 「感じて、なんか、……んあ…っ、な、いぃ…」 嗚咽に紛れて、更に声が聞き取れなくなる。 しゃくり上げる俺を、古泉は助けようともしない。 妙な熱を帯びた目で俺を見つめてくるだけだ。 もしも俺が古泉の言う通りこんな触手如きで快楽を得ているのだとしたら、俺が悪いんじゃなくて、古泉のその目が悪いんだと思った。 にやにやと、それこそ俺なんかよりもよっぽどいやらしい笑みを浮かべた古泉を必死に睨みつけ、 「も、いいから、助けろよ…っ!」 と叫ぶと、 「助けて欲しかったんですか?」 とのうのうとした声で返された。 そうに決まってるだろうがこの馬鹿野郎、と返す気力も体力もない。 ただ猥らがましく響く声が漏れないようにと歯を食いしばり、こくこくと頷いた。 「それなら、ちゃんとお願いしてください」 笑顔でそんなことを言う古泉をぶん殴ってやりたいと思った。 「お、願い…します……」 切れ切れにそう言うと、 「もう少し何か付け加えませんか? 例えば……」 「ひあっ、やっ、そこは…っ!」 古泉が何か言おうとしたのとほぼ同時に、触手が性器ではなく排泄器官にその先端を入り込ませてきて、俺は耐えかねて悲鳴を上げた。 そんなところまで触られて堪るか。 流石の古泉も、 「おっと、これはいけませんね」 と苦笑を浮かべると、 「じっとしていてくださいね」 と俺に言うなり、艇から小さめのガラス瓶と光線銃を取り出すと、ガラス瓶を触手本体である樹木に投げつけた。 ガラス瓶が割れると同時に飛び出した液体に向かって光線を発射すると、液体が勢いよく燃え上がった。 同時に、触手が呻くように蠢き、俺は空中に放り出された。 その俺を古泉が艇の上から抱きとめてくれ、地面に叩きつけられる事態は避けられたのだが、あまりいい状態とも言いかねた。 「大丈夫ですか?」 「…お前な……」 なんでもっと早く助けないんだとか、さっきの暴言に対する文句だとか、言ってやりたいことやいくらでもあった。 だが、代わりに俺の口から飛び出したのは、 「……俺のこと、そんなに嫌いだったのかよ」 という情けない一言で、目からは止められないままの涙がまだ零れ続けていた。 古泉は驚きに目を見開いた後、 「あの、どうしてそうなるんですか?」 「どうしても何も…」 俺のことが嫌いだからすぐに助けもせずに、ああやって笑いものにしてくれたんだろうが。 違ったのか? 「俺は、…お前のこと、結構気に入ってたのに……」 涙と一緒に出てきた鼻水をすする。 ああ畜生、まだ体が熱い。 長門に言ったら中和剤くらい作ってくれるだろうが、それまで理性が持つかどうか、若干不安だな。 「あなたのことが嫌いなんて、そんなこと、あるわけないでしょう」 古泉がやけに真剣な目で俺のことを見つめていた。 見慣れないそれに胸がざわつく。 「じゃあ、なんで…」 「……あなたが、あんな顔をしていたから、嫉妬したんですよ。あなたを犯した憎たらしいあの植物に」 「嫉妬ってお前…」 なんだそりゃ、とも言えなかったのは古泉にキスされていたからだ。 さっき口に入り込んできていた触手とは違う、だが同じくらい器用に動く舌が、俺の口腔を犯す。 「あなたが、好きです」 やっと解放されて、まだぼんやりとしている俺に古泉はそう告げた。 その声だけでぞくりと背筋に何かが走った。 「……お前のせいだぞ」 そう毒づきながら、古泉を抱きしめると古泉が驚きに身を竦ませたのが分かった。 「何が…ですか……?」 「あの触手に変なもん飲まされたんだよ。で、長門に中和剤を作ってもらうかどうかするまで何とか自分を抑えようと思ってたってのに……出来なくなったのは、お前のせいだから、責任、とれよ」 「それは……」 と古泉は俺を見ると、困ったように笑って、 「魅力的過ぎるお言葉ですね。…本当に、いいんですか?」 「いいから、なんとかしろ。熱くて、苦しいんだ…」 出来ればあの妙な液体の効果が切れた時、この恥ずかしいことこの上ない発言もさっきの悪夢共々忘れてしまえるといいんだがと思った俺だったのだが、 「ありがとうございます」 と言った古泉の、見たこともないような素直な笑みに、忘れなくてもいいのかなんて血迷ったことを思ってしまったのだった。 |
(「触手本」より)