エロです
ばっちりエロです
ダイスキな人は突入しましょう←
部屋の中には、いやらしい音しかなかった。 ぴちゃと音を立てて舌が滑るたび、やらしい声が喉から溢れる。 「ぁっ、あ、…ふぁあ…っ!」 もう、言葉さえ出せなかった。 頭もろくに働いてないに違いない。 まともに働いていたら、こんな風に自ら脚を抱え上げ、恥ずかしい場所を人の目にさらしたりなんてしないに決まってる。 少し前まで俺の背後にいたやつは今、古泉の下にいて、おそらく俺が今されているようなことを古泉にしているのだろう。 「ン、ふっ……は、ぁ…」 と苦しげなくせに楽しそうな声が時折聞こえた。 古泉はそれに負けじと俺の熱を吸い上げる。 敏感な部分にさえ容赦なく舌で触れられ、甘噛みされる。 もういつイったっておかしくない状態なのに、それを許さないとばかりにきつく押さえ込まれた根本は痛くて、丹念に愛撫される先端は気持ち良過ぎて気が狂いそうだ。 「もっ…やだぁ……! 無理、っも、イかせて……」 恥も外聞もなく泣いて許しを請う俺に、 「だめだ」 と残酷なことを言うのはもうひとりの俺だ。 古泉は困ったような顔をしている。 「古泉っ…、もう、イかせて、くれ…!」 「だめだって」 そう言った拍子に、そいつが古泉のモノにダメージを与えでもしたのか、 「くぅ…っ」 と古泉が呻いた。 「どうせなら、入れられてからいきたいだろ?」 「そ、んな……」 「我慢出来ないか」 こくこくと頷いた俺に、 「じゃあ、古泉、このままいきなり入れるか?」 「なっ…!」 んな無茶な、と絶句する俺と同じくらいには、古泉にも良識があったらしい。 「それは無謀でしょう」 と言ってくれたのにほっとしたのも束の間、 「それに、僕としてもここをしっかりほぐしてあげたいですし」 と答えた唇が、窄まりに触れ、 「ひぁあ…!」 嬌声が喉をついて出た。 「やっ、んな、恥ずかしいこと……」 「しないと痛いのはあなたでしょう?」 そう言いながら、先走りに塗れた指がそこをくすぐると、目眩がしそうなほどに感じた。 「ふあっ、ぁ…」 「まだ入れてもないのに感じるんですか?」 「ひっ、ふ、…ら、ってぇ…!」 「舌が回ってませんよ」 嫌がらせのように指摘しながら、古泉はそこに指先をくぐらせた。 「んんっ…」 「ほら、分かります? これでまだ人差し指の第一関節。これで…」 くっと指が更に押し込められ、 「ひぁんっ!」 「第二関節、と。まだまだ先は長いのに、どうしてそんなに気持ち良くなってるんです?」 「ぃ、じわる…っ!」 「意地悪をしてるつもりじゃないんですけどね。……お嫌いですか? こんな僕は……」 「だか、ら、っそ、ういう、ひん…っ、ところ、がぁ…」 「嫌いですか? それとも、好き? ……好き、ですよね」 熱のこもった低い声で囁いて、俺を余計に苛みながら、古泉は指を根本まで潜らせ、 「どうです? 気持ち良いですか? それとも、足りない?」 「わっ、か、んな……っ! やっ! そこっ、おかしくなる…!」 内壁の弱い部分を擦られ、涙が止まらなくなる。 気持ち良くてすっかりおかしくなってしまいそうなのに、そうなるには理性が多すぎる。 「んあっ、あっ、アァ…!」 「ほら、もうとろとろになってきてますよ。信じられないくらいに濡れて……」 くちゅりと大きな水音を立てて、古泉は囁く。 もうひとりの俺は余裕があるのか、 「妖精の血のせいだろ。妖精ってのは痛いことは嫌いだが、気持ち良くなることには貪欲だからな」 「なるほど。だから、もうこんなになってるんですね。これなら、もう二本くらい一度に入れても平気でしょうか」 「試してみろよ」 とんでもない言葉にぞっとする。 「んあっ、そ、んなっ……無理だ…!」 「無理かどうかは、やってみれば分かるでしょう」 そう言った古泉は、震えるそこに指を押し当てた。 「これだけでも物欲しげにひくついてるんです。これくらい、簡単に飲み込めますよ」 「なっ…! ぁっ、ひっ、うぅ……ん……!」 ぐっと押し当てられた指が一気に押し入れられ、中を広げられる感覚に震えた。 痛みより圧迫感より、何より快感が勝る。 「ぁっ…あぁ……!」 「ね、平気だったでしょう? それどころか、酷く感じてるじゃないですか」 「や、い、言うなぁ……!」 恥ずかしくて死ねる。 それなのに古泉はぐちゅぐちゅと音を立てるほど激しく指を抜き差しして、俺の羞恥心を煽る。 「指だけじゃ足りなくなって来ました?」 「あぁっ、んっ、ひあぁ…」 絶え間無く溢れる嬌声に、返事も出来ない俺にかわって、もうひとりが答える。 「ん、もっとしてほしい。…俺も、一緒に」 そう言って、俺ににじり寄って来たその瞳を見れば、意味は説明されなくても分かった。 俺は手を伸ばしてそいつに触れ、 「早く…」 と求める。 そいつが笑って、俺と唇を重ねた瞬間、記憶が雪崩れ込んできた。 そう、俺は部屋を飛び出した後、大急ぎでこの部屋に来たんだ。 驚く古泉にも構わず、 「もう、いい加減はっきりしてくれ」 と古泉に迫った。 「俺のことが好きか嫌いか、それだけでも知りたいんだ…!」 精一杯に搾り出した声に、俺の思いは十分伝わったのだろう。 古泉は迷う様子を見せながらも、 「……本当はいけないと分かっています。でも……僕は、そんなことをあなたから言われて黙っていられません。僕は……あなたが、好きです」 「俺もだ。…愛してる」 思い切って抱き着いた拍子に、古泉をソファに押し倒しちまったがいいだろう。 そう思ってキスをしたら、もうひとりの俺が来たのだった。 「古泉…」 目の前で、二人の俺がひとりになったのに驚いているらしい古泉を気遣う余裕はない。 「…も、入れて……! お前のこと、中で感じたい…」 舌では味わったが足りない。 今度こそ、思う様乱れて、溺れてしまいたかった。 「俺の中……、体も心も、お前でいっぱいにしてくれ…」 脚を出来るだけ大きく高く開いて、精一杯の媚態で古泉の劣情を誘う。 煽られ、焦らされたのは古泉も同じだからだろう。 ごくりと音を立てて生唾を飲み、古泉は俺にのしかかってきた。 「気、遣わなくて、いいから…、思い切り、抱いて、俺を、狂わせて……っ」 「いいんですね…?」 「してくれ…」 唇が重なったと同時に、熱く高ぶった熱を押し当てられ、腰が揺れる。 飢えたように、欲しくてしょうがなかった。 「早く……っ」 「入れますよ」 「んっ…、あっ、ふぁあ……入って、入ってくる……! ふぁっ、あっ! 奥まで、来て……っ! はぁっ、あぁっ、ひ、いぃ…!」 体をのけぞらせ、くねらせ、淫らに踊り狂いながら、古泉を感じる。 気持ち良さの中に、強い力の流れも感じられる。 体の中から変わってしまいそうなほどの熱。 「あっ、もっと、古泉っ…! もっと、して…! 壊れたり、っ、し、ない…っ、からぁ……!」 「受け止めてくれますか?」 「全部っ、全部ほし、ひ、から……っ」 「僕のなにもかも全て、あなたのものです」 注ぎ込まれた奔流を残さず受け止めて、俺も絶頂に達したはずだってのに、俺の欲も古泉の欲も尽きない。 「…もっと……して…」 「こちらこそ、お願いしたいですね」 そう言いながら、古泉はこの上なく優しく俺を抱きしめて、 「…愛してます」 と囁いた。 「俺も、愛してる。……なぁ、」 「なんです?」 「もっと」 古泉は目だけを少しばかり意地悪な笑みの形にして、 「……その続きは?」 とからかうように囁くが、羞恥心の強いだけの俺ならともかく、この状態の俺にそんなことを言ったってドンビキするような返事が返ってくるだけだぞ。 俺はぎゅっと古泉を抱き締めて、ついでに中にまだ残る熱を締め付けた。 「…もっと、愛してるって、言って、それから、もっとしよう…?」 「愛してます」 ぐっと腰を使われ、体が跳ねる。 抜きもしなかったそれは既に硬度を取り戻し、痛いくらいに張り詰めている。 「ふあぁっ、お、れも…!」 抱き合って、キスをして、告げて、そればかりで一夜を過ごした。 熱くて、幸せで、嬉しさばかりの溢れる夜だった。 人心地がついたのは、翌日、もう翌朝なんて言葉が使えないような時間になってからだった。 今頃心配になったのか、 「あの、今更ですが、無断外泊なんてして大丈夫だったんでしょうか…?」 と古泉は聞いてきたが、本当に今更だな。 「平気だ。なにせ、うちのお袋は純粋な妖精だからな。少々気にしないし、そもそもどこで何してるかなんてお見通しじゃないか?」 今度こそ赤飯は炊いてないだろうな。 それから、今夜はまた夜を徹してのドンチャン騒ぎだろうか。 その時は今度こそ古泉も呼んでやろう。 大体、俺ひとりが槍玉に上げられ、あれこれ恥かしいことまで白状させられるのは割に合わんからな。 などと考えていると、思いがけず、 「…あの時、信じてあげられなくてすみませんでした」 暗い声で言われて、俺は苦笑した。 「過ぎたことなんだから気にするなよ。今は信じてくれてるんだろ?」 「勿論です」 「なら、いい」 それより、 「謝るなよ。謝られるのは好きじゃない」 「はい…」 ぽふぽふと古泉の頭を撫でながら、考える。 一体どれから話そうか。 夢ということにしちまったあのデートの話か、それとも妖精らしい逸話か。 何より話さなければならんのは、今回こんな事態になっちまった原因のひとつである、留学の話なんだろうが、唐突にしてもな……。 「考え事ですか?」 「ん…ああ、ちょっとな」 「何かまずいことでも……」 「いや、そうじゃなくて、ただ、何から話せばいいのかと思ってな。……聞きたいことはあるか?」 「そんなもの、いくらでもありますよ」 と笑いながら、古泉は俺の耳元をくすぐり、 「あなたのことならどんなことでも知りたいんですから。…でも、それはおいおいゆっくり聞かせていただくということにしましょう。何かあったのではありませんか?」 素晴らしい察しのよさだな。 俺は感心しながら古泉を抱きしめ、 「……お袋の田舎に留学することにした」 「……」 「……古泉?」 「…え、あ…ちょっと、びっくりして……」 目を瞬かせている古泉は、それでも、 「ええと、その田舎とは……」 「北欧の…正確にどの国かは知らんし、人間からすると実際にはどの国にもないのかも知れんが、とりあえず北の方の国だ」 「はぁ…、まあ、妖精と言えばそうでしょうね…」 「俺が半妖精にしては力が強いっていうんで、力の使い方なんかを勉強に行った方がいいと勧められててな。……正直、ここを離れたくなくて迷ってたんだが、今回のことで懲りた。いきなり分裂しちまって、今回はうまく行ったからよかったものの、そうじゃなかったらと思うと気が気でない。せめて力を制御出来るようにならんと日常生活もままならん」 「それは分かりますが、でも、そんな……」 「決めたんだ」 冷たいと言われそうなほど、きっぱりと言う俺に、 「……あなたの決定では覆すのは難しいでしょうし、実際、必要なことなのでしょう。…でも……」 古泉は泣きそうな目で俺を見つめ、 「……あなたがいないと寂しいです…」 「……」 それが男子高校生の発言かとか、お前それでもタチかとか、言ってやりたいことはいくらでもあったのだが、それ以上にそんな古泉は可愛かった。 思わずぐりぐりと撫で回してやりたいくらい、上目使いが凶悪的な可愛さだった。 殺される。 可愛すぎて殺される。 「お前な……」 「す、すみません、呆れましたよね…」 むしろ可愛くて堪らんのだが、押し倒していいんだろうか。 「呆れるっていうかだな、お前、やってる間はあんな鬼畜染みたことしといてなんなんだよ」 「ぅ…、あ、あれは雰囲気に飲まれたと言いますか、何と言うか……」 恥ずかしそうにごにょごにょと口ごもる古泉だったが、 「そ、それにあなただって乗り気だったじゃないですか」 と言い訳じみたことを言ったが、それは反論にもならん。 何故なら、 「俺は半分は妖精の血が流れてるんだから、少々奔放だろうがいやらしかろうが仕方ないだろ。俺のせいじゃない」 という免罪符があるからである。 実際、そうだしな。 「まあ安心しろ。いくら奔放だろうと、お前以外とする気はないから」 「当たり前でしょう!」 と顔を赤らめながらも言った古泉だったが、はたと気がついた様子で、 「って、あの、そういう点でも奔放なんですか、妖精って……?」 「個々の性格とそいつの種族にもよるって話だが、別に珍しくもないし咎められもしないな。人間なんてつまみ食い扱いのやつも多いらしいし」 「それで、あなたはどうしてそんなことを知って…?」 「たまに会うと自慢してくるやつなんかもいるからだ。最近はおっさんがあれこれ教えてくれてるが」 俺が言うと、古泉は眉を寄せ、唸るような低い声で呟いた。 「……ああ、あの不審人物のことですね」 人じゃないけどな。 「第一印象があれだから、心証が悪いのも分かるが、別に悪気があった訳じゃないはずだし、あれでも俺の身内なんだからそう毛嫌いしないでやってくれ」 「ではどうしてあんなことをしたと言うんです?」 そりゃ、 「お前が煮え切らないから、俺を心配したんだろ」 ぐっと言葉を詰まらせた古泉に、俺は薄く笑って口づける。 「俺はちゃんと分かってるから、気にするな。お前には厄介な立場があるんだ。お前から言い出せなくて当然だってことを忘れてた俺も悪いんだしな。それに、言わなかったのは俺も同じだろ」 「……愛してます」 言えなかった分もというように、古泉はそう告げてくれた。 「あなたが好きです。何度も、夢に見たくらい……」 「……何度も?」 俺が夢ということにしたのはあの一回きりなのだが、何度もとはどういうことだ。 首を傾げる俺に、古泉は恥かしそうに目を伏せて、 「ええ、繰り返し。……だから今も、これが夢なのではと思うと怖くなるんです」 そう力無く笑った顔が、あまりにも庇護欲をそそったのが悪い。 「……これからすぐにでも、お前を連れて帰ろうかと思ったってのに」 「はい?」 「もういい加減にしてやろうとも思ってたんだぞ、これでも」 「ええと…それにしては、その、顔が近づいて来てません……?」 訝しむ古泉にキスをして、そのままもう一度ベッドに沈めてやった。 |