古泉について、酷い特殊設定がされてます
よっぽどじゃない限り引かねぇぜって勇者だけどうぞー

にょたではないです
年齢関係です

嫌な予感がしたら迷わずバックだ!←

















































所詮この世は嘘ばかり



朝起きて、家を出てから帰るまで、僕の生活は嘘に満ちています。
自分でさえ、どこまで真実か分からなくなりそうなほどに、僕は嘘を吐いているのです。
僕のプロフィールで本当の部分など、身長や体重、視力といった誤魔化しようのないところくらいにしかなく、つくりものに彩られたそれに、自分が少しずつ染められているような気さえしています。
人を騙すということになんの良心の呵責を覚えないでいられるほど、僕は肝の据わった人間でもなければ、非道な人間でもありません。
それでもおそらく、僕は、他の人と比べればずっと、嘘を吐くのがうまいのでしょう。
そうでなければ、こんなことをやってのけられるわけがない。
でも…時々、思うのです。
このまま僕が、本物の「古泉一樹」になれたなら、何かが変わるのではないか、と。
「馬鹿なことを言わないでくれます? お父様」
末娘の冷淡な声に僕はびくりと体を竦ませました。
怖い。
「園生……」
びくつく僕を憤然と見つめて、彼女は言った。
「それくらいで何か変わるわけがないでしょう。そもそも、彼に手出ししたら即ち犯罪だということくらい、そのぼけた頭でも分かるでしょう?」
その冷たさは本当に母親そっくりで、反射的に逃げたくなったくらいでした。
「全く…何も考えられないんですか?」
「考えてはいますよ。ただ、思うだけなら自由じゃないですか…」
「思うだけなら、ね」
びしびしとブリザードのような冷たさを肌に感じられます。
「そう言うなら、その通りにしてもらいましょうか。これ以上、余計なモーションをかけたりしないでください」
「も、モーションなんてそんなことは…」
「かけてるでしょうが…!」
そう言って振った腕が壁に当たり、轟音が響きます。
怖いですってば。
「お父様」
「は、はい」
「私だって、概ねのところ、お父様のことは嫌いではありませんが、それにしたって、そんな馬鹿げたことは認められません」
「母さんは認めてくれたのに……」
「お母様は面白がってるだけでしょうが。…本当に、自分の立場を分かってるんでしょうね?」
「分かってますよ。――数少ない超能力者にして、SOS団に潜り込めたレアな人間、でしょう?」
「……機関の人間であるという自覚はないみたいですね」
「もう、SOS団の方が大事なものですから」
すみません、と言いながら笑みを振りまけば、園生は嫌そうに顔をしかめました。
酷いですね。
昔はあんなに懐いてくれてたのに、これだから男親と言うものは損です。
――園生は、間違いなく僕の娘です。
それも、三番目の娘だったりします。
送り迎えでよくお世話になっている新川は、中学以来の腐れ縁だったりもします。
どういうことか、首を傾げられて当然でしょう。
僕は実は、高校生なんてふりをするのもおこがましい年寄りだったりするんです。
家系的なもので、年齢があまり体に出ず、いつまで経っても年齢不詳の僕にしても、いくらなんでも学生として高校に潜入するなんて、無謀すぎてありえないと笑ったのですが、不幸にも、僕以上の適材が機関には存在しなかったのです。
いえ、正確には、機関所属する人間には、高校生をやって不自然でない人間もいますし、実際高校生もいたりします。
いないのは、超能力者に、なのです。
朝比奈みくる、長門有希の両者がが涼宮さんと接触し、彼女の活動に加わったと聞いた我々は、超能力者を派遣し、加わらせなくては他に遅れを取ると焦りました。
しかし、前述のように人材はいません。
どうしたものか、と頭を抱えながらも、試しに、と我々超能力者に北高の制服を渡されたのですが、お互いに爆笑と苦笑いの連続となったのです。
ところが、幸か不幸か、僕は似合ってしまったんですよ、高校の制服が。
自慢じゃないですが、超能力者の中では僕は実は最年長ですし、つまりは一番そんな役どころからは遠いはずだったので、他の連中が次々着替えさせられるのを他人事気分で眺めていたのですが、どうにもならないとなった時、園生が言い出したのです。
「お父様なら大丈夫だと思います」
「……え」
絶句する間しかありませんでした。
あっという間に着替えさせられた僕は、満場一致で派遣決定の上、即座に研修を受けさせられることとなったのです。
僕の記憶にある高校生活と、今時のそれとではあまりに違いがありますし、勉強だって随分内容が変わっていたりするものですから。
それでも、時間はろくにありませんでしたので、状況もよく分からないまま、僕は北高に放り込まれたというわけです。
最初は本気でそれを恨んだものですが、今となってはその幸運を喜びたいくらいです。
何しろ僕は、そのおかげで彼に出会えたのですから。
「犯罪者」
と僕を罵る園生の声がこの上なく痛かったです……。

しかしながら、娘になんと言われようとも、いざ彼と顔を合わせてしまえば吹っ飛んでしまうわけです。
最初は義務的に作っていたはずの愛想笑いを、いつの間にやら勝手ににやけてくるのを堪えることで作るようになっているくらいですからね。
今日も今日とて、部室で彼のやってくるのを待ち構えて、
「こんにちは」
と笑顔で声を掛けると、彼は柔らかく苦笑して、
「よう」
と答えてくれました。
これも、随分な進歩ですよね。
もうずっと、僕がどんなに愛想をよくしようとも、彼の僕に対する態度は厳しく冷たく、挨拶したくらいでも不機嫌に眉を寄せられることだってざらだったんですから。
それが、いつの間にやらこうです。
いえ、いつの間にやらではなく、おそらくはあの冬の日からでしょうけど。
いっそのこと、長門さんにお礼を申し上げたいくらいです。
「何にやけてんだ」
呆れたように言われても嬉しくなるなんて、いつ以来でしょうね。
僕とは違い、年齢と外見が釣り合っていた妻に、「自分よりはるかに若く見える旦那なんて嫌!」という理由で離婚届を叩き付けられて早十年。
還暦が近い年になって、初めて同性にときめいた時にはどうしようかと思ったものですが、開き直ってしまえば怖くもなんともありません。
勿論、僕の実年齢がばれたら、と思うと非常に怖くはあるんですけど。
でも、そうですね、僕は彼に告白なんてする気はさらさらないんです。
そんな勇気もありませんし、よしんばその勇気があり、しかも彼に受け入れていただけたとしても、どれほどの間、彼と一緒に過ごせるか分かりませんから。
なんと言っても彼は正真正銘ぴちぴち(死語)の男子高校生で、僕はと言えば既に一度その時期を通り過ぎている人間なのですから。
そう思っていたのに。
「…古泉」
と僕を呼んだ声も、僕を見つめる瞳も熱っぽく、とろけているようにしか見えません。
僕の手はどうして、彼の体を抱き締めているんでしょうか。
ついでに言うにはあまりにも衝撃的なんですが、どうして僕は彼と半裸で抱き合い、ひとつ布団に包まっているんでしょうか。
「え、ぇと……すみません、何がどうしてこんなことになってるんでしょうか」
殴られる覚悟で聞いてみました。
本気で分からなかったものですから。
とうとうボケが始ったとしか思えません。
「忘れたのか?」
恨みがましくじっと僕を見つめる瞳に、罪悪感でじくじくと胸が痛むけれど、いい加減に口裏をあわせて誤魔化していい時ではないでしょう。
「本当に申し訳ありません。いくら謝罪しても足りないとは思います。しかし、本当に、たった今気が付いたような感覚なんです…。何があったんでしたっけ?」
「…ああ、酔いが醒めたのか」
「酔い……ですか」
僕は正直、酒には強い方だと思います。
(本当の)学生時代から、ウワバミ、ザル、お前に飲ませるだけ酒が勿体無い、などと様々に罵られてきた僕が酔い潰れるなんて、そうそうあるとは思えないんですが。
そもそも、僕たち、一応高校生なんでしょう?
それなのにどうして飲んだりしたんでしょうか。
「すみません、全く思い出せないんですが……どうして飲んだんでしたっけ?」
「俺がハルヒをそそのかした」
………は?
「あと、長門に頼んでお前を酔い潰した」
……え。
「……お前が悪いんだ」
言いながら彼は、ぎゅうっと僕を抱き締め、拗ねるように呟いた。
「お前が、どんなに脅しても宥めても、少しも本心を見せてくれないくせに、俺のことをじっと見てたりするから」
だから気になったんだと彼は言いました。
「すみません…。僕が思わせぶりな真似をしたせいで…」
「お前な、」
心底呆れ返った様子で彼は僕を睨みます。
娘に睨まれるのも辛いですけど、それ以上に堪えますね、これは…。
「俺はもう、全部聞いちまったんだぞ? お前が俺のことをどう思っているかも、どうしたいかなんてことも、それこそ、実地で知ったんだ。それなのに、何がまだ怖いんだ?」
「そう、なん、ですか…?」
怯える僕を、彼は一転して優しい目で見つめてくれました。
それだけで、胸が熱くなるような、優しい瞳。
「知ってて、逃げずにこうしてるんだ。俺の気持ちなんて、言わなくても分かるだろ?」
「……言って、もらえませんか?」
我ながらどうかと思うくらい、気弱な声が出てしまいました。
でも、それくらい怖かったんです。
これが嘘ではないか、冗談ではないか、あるいは、僕にとって都合のいい夢を見ているのではないかと、疑えばキリがありません。
「…言わなきゃ、分からん、か?」
恥かしそうにする彼には悪いけれど、
「お願いします」
「……」
黙ったまま、彼は僕を抱き締め直しました。
より、体が触れ合えるように、心臓の音さえ伝わるほど近くに。
本当に、彼の心音が僕の胸に伝わってきて、矛盾しているようですが、それが僕を酷くうろたえさせながらも、同時にとても安心させてくれるのです。
吐息さえかかるほどの距離で、彼は僕を見つめて、
「…お前が好きなんだ」
という言葉を運ぶように、僕に口付けました。
触れるだけの初心なそれなのに、どうしようもなく嬉しくて、くすぐったくて、僕まで赤くなります。
でも、僕は、
「……すみませ…」
「だからっ、」
怒ったように、彼は怒鳴りました。
「全部聞いたって言っただろ? 酔っての発言だろうがなんだろうが、もはや関係ない。俺はお前が俺のことをどう思っているのか知ってるし、俺のプロポーズ紛いどころか脅迫紛いの要求にお前が応えた以上、俺は恋人気取りどころかばっちり恋人のつもりだからな。そのつもりでいろよ」
「えええええ…!?」
そんなことになったら園生に殺されちゃいます、じゃなくて、
「ほ、本気ですか!?」
「本気も本気、大マジだ」
断言して、彼はもう一度僕にキスをしました。
「それとも、今すぐ俺を振るか?」
「…え……」
「そんなに、立場が大事か? 安定した一生ってのが必要か? 俺は、自分でも驚いてるんだが、案外恋愛ってのに夢中になれるタイプだったらしいぞ。だから、」
と彼はニヤリと笑い、
「好き合ってるのに我慢して付き合いもしないくらいなら、死に別れようが生き別れようが、いや、たとえ世界が崩壊したって、それまでの時間を精一杯お前を愛して、お前に愛されて過ごせるんだったら、後悔なんてしない」
呆然としたのは、その言葉に驚かされただけではありません。
その純粋だからこその無謀な覚悟を笑いたくなったからでもありません。
ただひたすら、そんなことを宣言した彼の美しさに見惚れていたのです。
「…あなたって、意外と情熱的な人だったんですね」
「うるさい。…お前のせいなんだから、責任を取れ」
「……本当に、いいんですか?」
「ああ」
「…僕の一生をあなたに捧げます。…それくらい、僕はあなたが好きです。……受け止めて、くれますか?」
「当然だ」
彼の明るい笑顔を見つめて、僕はもう我慢が出来なくなりました。
だから、思う様手を伸ばして、彼の細い体を抱き締めて、欲求のままに唇を重ねると、柔らかなその感触に我慢が出来なくなって、舌を差し伸ばしていました。
昨夜はもっと凄いことをしたでしょうに、彼はまるで未通女のように体を震わせ、躊躇いながら薄く唇を開くだけです。
それだけでは足りなくて、僕は強引に彼の舌を探り当て、絡め、吸い上げました。
「…っ、ん、ふぁ……」
ただそれだけなのに、彼の唇からは甘い声が漏れ聞こえてきます。
背徳的な熱の込み上げてくるような、声。
「…もっと、聞かせてください」
「なっ……」
恥らうように赤くなった彼を抱き締めて、その露わにされたままだった素肌に手を滑らせると、
「ひぁ、っ、あ…!」
とあまやかな声が鼓膜をくすぐります。
「…好きです」
ろくに我慢も出来なかったのは、酒が残っていたせいだからだと思いたいです。
とにかく、彼とこんな関係になってしまった以上、決して余人にはばれないようにしなくてはなりません。
それに、僕の実年齢や園生や新川との関係も、彼に気取られるわけにはならないのです。
なんとしてでも、隠し通さなくては。
騙し遂せなくては。
そうしてみせる、と僕は誓ったのです。



「長門、古泉って本当に馬鹿だよな」
「……」
「俺よりずっと年上で、頭だっていいくせして、実は案外天然だし、浅はかだったりするし。自分が酔った勢いで実年齢や本名なんかを暴露して、ついでに三人の娘がどれだけ可愛いかなんかを力説したり、荒川さんとの青春時代の思い出話なんかもしたのを綺麗さっぱり忘れちまってるせいではあるんだろうが、……あいつ、俺があいつの歳を知ってるってことにも気付いてないんだぜ? だから必死で隠そうとしてるのがまた笑えてな。…全く、可愛いよな」
「………」
「にしても、酔っ払うと記憶が飛ぶタイプで本当に助かったな。あいつ、酒が入っても理性だけは強くて、シャツを脱がせるのがやっとだったから。……うまいこと言いくるめられてよかった」
「……」
「全部、お前のおかげだ。ありがとな」
「…どういたしまして」