まだとっかかりですがエロですよー






















































夏幻の月
  6.はじまりの九月



9月3日の放課後、僕は笑顔を作るのも忘れて神妙に歩いていた。
隣りには、複雑そうな顔をした彼がいる。
「話があるんです」
と言って、かなり強引に彼を僕の部屋へ誘ったのだ。
珍しくも僕が強硬な姿勢を見せたことで、彼は戸惑いながらも了承してくれ、居心地悪そうにしながらも一緒に歩いてくれている。
それだけで、泣きそうになるほど幸せを感じられる。
ずっと好きだった、触れたくても触れられなかった愛しい人が側にいると思うと、それだけで堪らない気持ちになる。
一刻でも一秒でも早く、彼に触れたいし、抱き締めたい。
しかし、彼の方は状況を理解していないのだからと、僕は努めて平静を装った。
ヘタなことを言って警戒されてしまわないようにと、僕は口をつぐんだままでいたのだけれど、彼は黙り込んだまま歩き続けることに限界を感じたのか、不意に口を開いた。
「なあ、何の用なんだ? またハルヒ絡みなんだろうとは思うが……」
「いえ、今回は涼宮さんは関係ありません。関係ないはずです」
もしかしたらいくらか影響された結果なのかもしれないけれど、とりあえず直接的なものは確認していないからそういうことにしておこう。
「じゃあ何だ?」
戸惑いを露にする彼に、僕は小さく笑って、
「本当に、個人的なことなんです。…それとも……僕の個人的なお話は、聞いてもらえないでしょうか?」
そう下手に出ると、彼は慌てたように首を振り、
「いや、そんなことはない、が…」
と言ったものの、すぐに勢いの失せた声になり、
「…俺でいい、のか?」
と不安げに問われる。
それだけ、僕の彼に対する態度は悪かったんだと思うと、本当に申し訳ない気持ちになりながら、
「はい、あなたでなければなりません」
「お前の個人的な話なんて、本当に俺が聞いていいのか?」
不安そうな表情を見るだけで、抱きしめたくなる。
その視線も、表情も、僕がずっと逢瀬を交わしていた人とそっくり同じだった。
それなのに僕は、これまで気付けないままでいたのか。
そう思うと、自分の愚かしさのあまり笑いたくなった。
「あなたに、聞いて欲しいんです。確かに僕には、立場上、あなたにお話し出来ないことも多いですが、その中で、話せる限りのことを話したいんです」
「そう、か…」
頷きながらもまだ、彼はどこか合点が行かない様子だったけれど、さっきまでよりはいくらか安心してくれたような顔で歩いていた。
彼を連れて、自分の部屋に帰った僕は、開いたドアの中を示しながら、
「どうぞ、上がってください」
と言ったのだけれど、彼はなぜか躊躇うように足を止めた。
「どうかしましたか?」
何か変なものでも置いていただろうかと思いながらそう聞くと、彼は軽く頭を振り、
「いや、なんでもない。気のせいだろ」
と呟いたけれど、それで分かった。
あのループと同じで、既視感があるのかもしれない。
何せ、彼の表層意識が知らない間に、その無意識だけが僕の部屋に通ってくれていたのだから。
試してみる価値はあるかもしれないと思いながら、僕は彼を、いつも「彼女」と話していたリビングに通し、ソファに座らせた。
これまでと違い、ちゃんと沈み込むソファに、胸が熱くなる。
衝動のまま彼を抱きしめたりして驚かさないよう気をつけながら、僕はいつも飲まれることのなかった紅茶を、いつものグラスに注いで出した。
彼はきょろきょろと部屋の中を見回しているけれど、その眉間のしわが深い。
それを見つめながら、僕は小さく微笑んで尋ねた。
「見覚えは、ありませんか?」
「え…?」
戸惑いの声を上げた彼が、目を見開いて僕を見つめる。
「この部屋や、あるいは、このグラスに」
「な、に……?」
問い返しながら、彼は自分の頭を押さえた。
酷い目眩でも感じたかのように。
やっぱり、届いている。
僕の思いは、彼の表層にまできちんと届いたのだ。
そう思うと嬉しくてならず、自然と笑みが深まった。
彼の方も、その既視感が気のせいではないと言うことに気付いたのだろう。
まるで食って掛かるような勢いで、
「一体なんだって言うんだ? 俺が知らない間に何があった? それとも、俺がまた忘れてるとでも言うのか? やっぱり、ハルヒ絡みなんだろ」
「涼宮さんが関係しているかどうかは、正直なところ分かりませんし、たとえ関係していたところで、そんなことはどうでもいいんです」
「は?」
投げやりにも聞こえる僕の言葉に驚いたのだろう彼が、ぽかんと口を開いたまま僕を見る。
そんな顔さえ可愛くて、愛しくて、
「僕の話を、聞いてくださるんですよね?」
「あ? ああ、だが、説明は……」
「それは後でいくらでも」
そう、いくら話してもいい。
知りたいのなら、いくらでも話そう。
僕がどんなに嬉しかったか、切なかったか、何もかも、全てを。
僕は彼を正面から真剣に見つめて告げた。
「僕は、あなたが好きです。あなたも……ですよね?」
「っ、な…!?」
目に見えて狼狽した彼に、僕は微笑を漏らす。
真っ赤になる彼が愛しい。
可愛い。
すぐに頷いてもらえないことや、嬉しいと言ってもらえないことは、少々物足りなくもあるけれど、十分その気持ちは伝わってくる。
彼は真っ赤になりながら、逆に僕に問うた。
「お前…っ、俺のこと、嫌いだったんじゃ…」
「いいえ?」
嫌いと思った記憶はない。
苦手意識はあったし、妬ましく思ってもいたけれど、結局のところ、彼を本気で嫌えた記憶なんてなかった。
それくらい、この人は魅力的な人だったから。
苦手だと感じていたのも、僕が劣等感を刺激されていただけのことだったのだろうと、今なら分かる。
僕は最初から、この人に魅力を感じ、惹かれていたのだろう。
それなのに彼は信じられない様子で、
「だが、お前はいつだって、俺が何か言うとすぐ煙に巻こうとするし、なんでもハルヒにつなげるだろ。友人らしいことなんて何一つ出来てないようなもんだし、このままなんだとばかり思って…」
「立場上、仕方なかったんです。…それであなたに誤解させてしまったのでしたら、心から謝ります。すみませんでした」
可能な限り深く頭を下げると、彼は一時の興奮をかき消された様子で黙り込んだ。
言葉を捜しているのか、それとも、自分の答えを探しているのかはよく分からない。
ややあって、
「いつ、から…」
とか細い声で聞かれたので、僕は正直に答える。
「三ヶ月ほど前から、でしょうか?」
「なんで…なんで、俺なんだよ…」
不安げに震える声に、もう我慢が出来なくなった僕は、いささか強引に彼を抱きしめ、
「あなただからです」
と答えになっているのかなっていないのかさえよく分からないようなことを言ったのだけれど、いつもならそんな時、鋭く指摘するはずの彼はそのまま黙ってしまった。
その目から溢れ出すのは、酷く綺麗な涙だ。
「…どうして、泣くんです?」
「わか、らん…っ、でも、嫌なんじゃ、なく、て……」
しゃくり上げながら、震えながら、彼の手がおずおずと僕の背中に回される。
その手に、力が込められる。
やっと触れられた彼の体は暖かくて、優しい匂いがした。
「嫌じゃないなら、嬉し涙なんですね」
そう囁きながら、彼のあご先に口付け、こぼれた涙を舐め取ると、彼の体がびくんと大きく震えた。
「嫌でした?」
彼は黙ったまま、それでも小さく首を振ってくれた。
「じゃあ、もっと?」
羞恥心が強いはずの彼にこんなことを聞くのは酷だろうかと思いながらも聞いてみると、彼は意外にも素直に頷いてくれた。
それが、深層意識に残った僕との記憶のためなら、嬉しい。
控えめな頷き方さえ愛しくて、僕は夢中になって彼に口付けた。
頬へ、目尻へ、細い流れを作る、しょっぱくて愛しい涙をなぞるように舐めると、
「くす、ぐった…」
と彼は身をよじる。
それでも、逃れようとはしないで、むしろ強く僕を抱きしめてくれた。
「…キス、してもいいですか?」
小さくお伺いを立ててみると、彼は更に赤みの増した顔に逡巡の色を浮かべたものの、少しして、かすかに頷いてくれた。
僕は嬉しいと言うかわりに、
「…好きです」
と告げて、彼の唇に自分のそれを重ねた。
さらりとして、暖かなそれに触れるだけで、心臓がどきどきと弾む。
愛しい、愛しい。
唇を離して彼を見つめると、彼は恥ずかしそうに目を伏せていたけれど、少しして、薄目を開けてこちらを見つめたかと思うと、どこか不思議がるような顔をした。
それがまるで、触れるだけになってしまったキスを咎められているように思え、僕は改めて彼に口付けた。
薄く口を開き、彼の唇を舐めると、腕の中で彼の体が震えた。
嫌がる様子でないのをいいことに、僕は無遠慮に彼の唇を割り、舌で口内を舐める。
舌先に触れた歯は滑らかで、綺麗なピンク色をしているのだろう歯茎は熱いほどだ。
すがるように僕の半袖シャツの背をきつく握り締めた彼の口の端から、
「ふ……っ、は…ぁ……」
とかすかに、声とも吐息とも吐かないものが漏れる。
そっと唇を離して、
「苦しい?」
と聞くと、彼は何かにちょっと驚いたように眉を上げた後、恥ずかしそうに目をそらしながら、小さく首を振った。
「よかった」
独り言のように呟きながら、もう一度と唇を近づけると、薄く唇を開いた彼が、そっと舌を差し出してくれた。
そんな、ちょっとした肯定だけで、胸が熱くなるほど、愛しさが込み上げてくる。
「愛してます」
囁いて、彼の舌を舐める。
「あっ……ぁ…」
くすぐったそうに声を上げながら、彼も舌を伸ばすようにして、絡めてくる。
それだけでも気持ちいいと思いながら、更に欲が募るのは、どうしてだろう。
彼の舌を吸いながら、僕は彼を抱きしめていた手を解いた。
薄く目を開けた彼が、怪訝そうな顔をするのに笑みを返し、シャツに手を掛けると、ぴくりと彼が眉を動かした。
「嫌ですか?」
「う……」
彼は羞恥で真っ赤になりながら、
「ちが…う……」
と小さく首を振り、少し体を離してくれた。
そのおかげで、脱がせやすくなった。
狙ってそうしてくれたんですよね?
嬉しくなりながらもうひとつキスをすると、拗ねたような目をした彼が、
「お前も、」
と僕のシャツのボタンに手を掛け、ボタンを外し始める。
「自分で脱げますよ」
「いい、から…」
すっかり息が上がっている彼は、少し話すだけでも艶かしい声が響いた。
「…その分、脱がせて、くれ」
「……」
「…なんだよ?」
咎めるように僕を睨む彼に、僕は顔がだらしなく緩むのを抑えきれないまま、
「いえ、あなたがそんなことを言ってくださると思ってもなかったものですから」
「…っ、言うな! 俺の方がよっぽど驚いてんだからな」
と真っ赤な顔で罵るように言ったけれど、それが照れ隠しであることは明白だ。
なんだ、自分ではあんなに、素直じゃないと何度も言っていたけれど、こんな風に素直に言ってくれたりもするんじゃないですか。
それとも…これも、この三ヶ月ほどの微笑ましいお付き合いの結果なんだろうか。
「嬉しいですよ。…愛してます。あなたが好きです」
そんなことを繰り返し言えば、恥ずかしいからやめろとか、そんな風に言われるかと思っていた。
でも彼は、恥ずかしそうにしながらも、それを聞いてくれる。
どこかうっとりとしたような瞳が嬉しくて、僕は繰り返す。
こんな言葉なら、一晩中だって囁き続けられるのだから、いくらだって言いたかった。
囁いて、キスをして、囁いて。
お互いすっかり裸になってしまっても、キスはまだ続いた。
触れる彼の肌の滑らかさに魅せられながら、恐る恐る彼の背中をなぞると、
「んんっ…! く、すぐ、ったい、っての…」
「嫌でした?」
「…嫌とまでは、言わんが……というか、その、古泉っ」
「はい?」
「この期に及んで逃げるなんてそこまで腰抜けな真似は流石にしないし、そもそも一体全体どういうわけだか俺にもさっぱり分からんものの、そうしようとする気すら起きないからしてそんなことは不可能なわけだから、このまま行くとこまで行っちまうんだろうと思うし、お前のそのいつになく、ついでにいうとお前らしくもなく、ぎらっぎらした目を見てたらこんなところでオアズケなんてやらかしたら後で俺の方が酷い目に遭いそうな気もするんだが、とりあえず、」
と一息でまくし立てた彼は、思わず唖然としている僕を、本当に本当に恥ずかしそうに上目遣いで見つめ、
「……せめて、ソファはやめてベッドなり布団なり、その用途に供されると想定されているものの上に移動しないか…?」
と小さな声で言った。
その言い方も、それからその言葉の内容も、なんだか酷く可愛らしくて、「彼女」を思い出した。
しっかりして頼り甲斐のあるように見せて、意外と女の子らしいところもあった「彼女」。
やっぱり同じ人なんだと思えると、嬉しくて愛しくて堪らなくて、つい、
「嫌です」
なんて意地の悪いことを言ってみると、
「なっ…」
と叫んで彼が絶句した。
「そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。…ちょっとの間も、我慢出来ないくらい、あなたが欲しいんです」
そう囁くと、彼は恥ずかしそうにううと唸りながら、
「これくらい、聞いてくれたっていいだろうが…」
なんて文句を言う。
その、どこか甘えの見え隠れする言い方にほだされたわけじゃないけど、
「冗談ですよ」
小さく笑って、僕は愛しい人の唇へ口付ける。
「ベッドに行きましょうか」
「お前な…」
呆れているらしい彼に、
「すみません。あなたがあまりにも可愛らしいものですから、つい」
「…あほか」
毒づくように呟く頬が赤い。
その頬にキスをすると熱かった。
「まるで熱でもあるみたいですね」
「っ、だ、誰のせいだよ…!」
「さて、誰のせいでしょう?」
「お前だお前!」
文句を言いながら、罵りながら、それでも彼は逃げようとしたりなんてしない。
そんな彼を抱き上げると、
「う、わっ!?」
と声を上げられたけど、
「暴れないでくださいね」
と言い聞かせると、彼は案外大人しくしてくれた。
それとも、落とされるかと思うと気が気でなかったということなんだろうか。
ベッドに下ろされてからやっと口を開いたかと思うと、
「お前、案外力があるよな」
と感慨深げに呟いた。
僕は苦笑して、
「そんなに非力そうに見えます?」
「いや、そういうわけじゃないんだが……。ただ、勉強も出来て顔もよくておまけに力もあるってのは嫌味だな、と」
「お嫌いですか?」
からかうつもりで聞いてみると、彼はぷいっと顔をそむけて、
「おう、嫌いだ」
と分かりやすい嘘を吐くので、僕は思わず声を立てて笑い、
「嘘ばっかり」
「普段はお前の方がよっぽど嘘吐きだろ」
仕返しだ、と明るく笑う彼に、
「このっ」
なんて言いながら襲い掛かるような真似をする。
両手を押さえつけるようにしてベッドに押し倒しても、彼は笑っていた。
「口で勝てなくて暴力に出るってのは最低だろ」
「暴力じゃありませんよ。…そうでしょう?」
言いながら、口付ける。
何度しても飽きないのが不思議でなくなるほどに、彼とのキスは楽しくて気持ちがいい。
するほどに、虜になる気がした。
「ん……そう、かもな」
笑った彼の腕が、僕の首筋に回される。
頭を引き寄せられ、口付けは深まる。
キスを続けながら、僕は彼の肌に触れる。
その形を、温もりを、更に言うならその存在が確かに在ることを確かめるために。
まだ、本当に触れられているのが信じられないような、二人してこうしているのが夢のような、どこか不安定な気持ちを確かなものにしたいかのように、僕は彼に触れる。
くすぐったそうに身をくねらせていた彼が、
「んぁ」
と短く鼻にかかった声を漏らしたのは、僕の手が彼の胸の頂に触れた時だった。
「っ、なんだ、今の…」
戸惑いを隠せもしない彼に、僕は小さく笑って、
「皮膚が薄くて、敏感な部分だからじゃないですか?」
などと言いながら、今度はそこを狙って触れてみた。
さっきから、僕の体に押しつぶされたりしていたからか、それとも興奮状態にあるせいなのか、その突起は赤くぷっくりと立ち上がり、少しの刺激でもよく伝わるようだった。
「凄い…こりこりしてる」
「やっ、い、言うな…っ、あほ…」
「だって、本当ですよ? こんなに赤くなって……痛みます?」
「…少し、な」
ふくれっつらで言った彼をなだめるように、触れるだけのキスを頬に落として、
「痛いなら、舐めてあげますね」
と言ってそれを実行すると、
「っ、ひあ…!?」
と声を上げた彼の体がびくんと大きく痙攣した。
「痛い…わけじゃ、ないみたいですね?」
「ううう、うるさい…!」
胸と同じように真っ赤になりながら、彼は嫌々をする子供のように首を振った。
「嫌ですか?」
「…はず、い」
「止めておきます?」
小さく聞いてみると、彼はうっと言葉に詰まり、しばらくうううと唸っていたかと思うと、かすかに首を振った。
「もっと?」
確かめる僕を恨めしげに睨んだものの、彼は小さく頷いて、
「…痛いのと、恥ずかしいのは、嫌だからな」
と言った。
「本当に、なんて可愛いんですかあなたは」
堪らなくなってそう口にすると、
「だからっ、恥ずかしいのは嫌だって言ったばっかだろ!?」
と文句を言われたけど、
「しかし、恥ずかしくないようにするのは難しいと思いません? 今、何をしているのか、分かってますよね?」
「うぐ…」
決して頭の回転が悪いわけではないはずの彼が、こんな風にまともな受け答えも出来なくなっているのを見ると、不思議な気がしたけれど、それもこれも僕のせいならば、嬉しい。
「せめて、痛くないように気をつけますから、恥ずかしいのは我慢してもらえませんか?」
「うぅううう……わか、った…」
観念したように小さく唸った彼にキスをして、
「ありがとうございます。嬉しいですよ。……好きです」
「ん……」
キスは素直に楽しんでもらえているらしいので、僕はキスをしながら、彼の突起を愛撫した。
指先で軽く押しつぶしてみたり、弾いてみたり、そっと抓んでみたりするうちに、それはどんどん硬くなり、赤みを増す。
そんな反応も、彼が息を詰まらせるようにして上げる小さな声も愛しくて、楽しくて、ついつい夢中になっていると、
「っああもう! お前、ねちっこい!」
と怒鳴られてしまったけれど、
「じゃあ、どうして欲しいんです?」
と逆に聞くと、やはり言葉を詰まらせてしまうのだから仕方ないじゃないですか。
「んなとこ、触って、楽しいのかよ…」
「楽しいですよ。ここだって、ちゃんと反応してくれますし」
「はんの、って…」
「してますよ? ほら、さっきより赤くて硬くなってますし、もっとして欲しそうに震えて…」
つん、とそこを押し潰すと、
「っあぁ…!」
と鋭い嬌声が耳に心地好く響く。
「あなたも、分かるでしょう? ここが気持ちいいんだって」
「あ、そ、んな…っ、ぁ、…!」
くにくにと指先で弄ぶたびに彼の体が弾む。
「可愛い」
「や、ぁ、あっ…」
そんな可愛い声を聞いていたくて、彼がもう嫌だと泣き出すほどにいじめてしまった。