エロですよ
案外ねちっこくなりました←
シャワーも浴びた。 古泉の手料理も平らげた。 古泉がシャワーを浴びに行ってしまったので、俺はひとり、リビングのソファに腰掛けて、テレビを見ているような風になっていたが、実際にはそんなもん、素通りしていくだけだ。 恥ずかしいやら気まずいやらで、胸の中がざわつく。 ただ、逃げたいとは思わなかった。 それ以上に、知りたい、と、こんな状況でさえ、思っていた。 古泉を知りたい。 どんな顔をするのか、どんな風に俺を……抱くのか。 ……抱かれるん、だよ、な? 夢でもそうだったし、俺があいつを抱くとか想像出来ん。 いや、想像で言うなら、あいつに抱かれるのだって十分想像なんて出来ないわけだが。 この期に及んで、やらないとは言えないし、言いたくない。 全部欲しいと思ったのは多分、俺の方が先だ。 何もかも知りたい。 知ることが出来るなら、手に入れられるなら、どんなに辛かろうが苦しかろうが構わない。 そう、思う。 それでどうしてそういう行為に及ぶことになるのかと言えば、そうしなければ分からないことがあるということが漠然とながら分かっているからでもあったし、そうして何もかもさらけ出さなければ、お互いに信じきれないんじゃないかというくらい、今のこの状況――古泉が俺を好きだと言ってくれることも、こんな風に古泉の部屋にいることも引っ包めて――現実感がなかった。 また夢を見ているだけのような気すら、しかねない。 だから、したいと思った。 そうして、古泉を手に入れたい。 セックスなんて体のつながりだけで手に入れられるとは思っていないが、気持ちのつながりだけでも手に入れられないと思うからこそ、両方とも欲しいと思うのであって、 「随分、考え込んでいますね」 「――っ!?」 驚いて振り向くと、古泉は面白がるように笑っていた。 「やっと気がつきました?」 「お前…いつの間に……」 「いつの間にも何も、」 と古泉は苦笑して、 「さっきお風呂から上がって、声をかけましたよ? 隣に座る時にも、そう声をかけたのに、聞こえてなかったんですね」 「う、す、すまん」 「別に構いませんが………緊張してます?」 ぼそりと囁かれて、体が震えた。 「っ、そりゃ、多少、は…」 「僕もですよ」 ほら、と古泉が俺の手に重ねた古泉のそれは、かすかにだが震えていた。 じっとりと汗ばんでいるのも、風呂上りだからじゃなく、緊張のせいか。 俺は小さく笑って、 「震えるくらい怖いなら、やめとくか?」 と思ってもいないことを口にする。 古泉も軽く声を立てて笑い、 「冗談でしょう?」 「当たり前だ。ここで、止めときますなんて言われたら、お前には三国一のヘタレ男の称号をやるところだ」 「あなたは、頼れる男の方が好きですか?」 「いや? ……というか、その、なんだ」 我ながら恥ずかしいことを言おうとしているという自覚があったので、目をさまよわせながら、俺は小さな声で呟いた。 「…へ、ヘタレだろうがなんだろうが、…お前が、好き、だから……」 「…本当に、あなたには敵いませんね」 唇を笑みの形にして、古泉はそう呟いた。 まるで独り言のようなそれの意味を掴みかねている俺を抱きしめて、そっと頬にキスを落とす。 「っ、古泉…っ?」 「僕も、あなたが好きですよ」 嬉しそうに囁いた唇が、今度は俺の唇に重なる。 塞ぐというには優しく、触れるだけというには熱い。 滑った舌の感触が触れて、くすぐったさに身をよじると、古泉はしたり顔で、 「続きは、ベッドで、ですよね?」 「おま、えは…!」 一々恥ずかしいんだよ! 「そうですか? 自分ではあまり気にしてないんですけど」 「じゃあ何か。お前、もしかして普段の薄ら寒い言い回しも割と素で言ってたのか?」 「そうですね、多分。…どの言い方を指してそうおっしゃっているのか分かりませんから」 …重症だな。 「そのようですね」 「恥ずかしいやつ」 と笑ってやると、古泉はにやりと意地悪く笑った。 「だから、こんな恥ずかしいことも出来ますよ?」 「え? …っ、あ、うわっ!?」 いきなり横抱きに抱え上げられて驚く俺に、古泉は笑いながら、 「ほら、ちゃんと掴まってないと落ちますよ?」 「落ちる前に下ろせ!」 「落としませんから下ろしません」 俺は細くも軽くもないってのに、古泉は軽々と俺を抱えたまま歩き出す。 動き出されれば、間違っても床に落とされたくない俺としては大人しくする他ない。 そうして、寝室に移動した古泉は、俺を優しくベッドに下ろした。 かすかに聞こえたベッドの軋みが羞恥を煽る。 まだ真昼間だから、カーテンを引いていても部屋の中は薄明るい。 お互いの顔もはっきりと見えていた。 「いいですね?」 最終確認のつもりなんだろう。 古泉はそう聞いてきたが、余計なお世話だ。 「いいって言っただろ」 「そうでしたね」 笑って、古泉は俺にキスをする。 「ん……ぁ……」 「愛してます」 キスの合間に囁いて、俺が何か返すより早く、また口付けられる。 窒息しそうだ。 貪るようなキスの激しさよりも、繰り返される言葉に、胸の中がいっぱいになる。 それでも俺は目を閉じなかった。 同じように目を開いたままの古泉の瞳を見つめ返し、あるいは揺れる前髪や、かすかに寄せられた眉まで刻み込むように見つめた。 すがりつくように古泉の背中に腕を回しながらも、それは変わらない。 何よりも見ていたいものを目の前にして、目を閉じられるわけがなかった。 瞬きすら惜しかった。 それくらい、見つめていたかった。 その分、他の部分は無防備になっていたらしく、気がつくとシャツは捲り上げられ、下半身は完全に露にされていた。 「綺麗な肌ですね」 そんな戯言を言いながら古泉が腹から胸にかけてを撫で上げると、くすぐったさに似た快感が走った。 「ひぅっ……! ぁ、古泉…っ…」 「なんですか?」 悠長な返事をしながら、古泉の目はぎらついている。 俺にさえ、邪魔されたくないかのように。 そんな姿さえ、記憶に刻みながら、 「頼む、から、ゆっくり、して、くれ…。そうじゃないと、見てらんない、だろ…?」 全部見ておきたいから頼む。 「…分かりました。善処します」 …なんだその甚だあてにならん、政治家の答弁みたいな返事は。 「自信がないものですから」 あっさりと古泉はそう答え、俺を唖然とさせた。 「自信がないって……」 「ありませんよ。今だって、自分を抑えるのに必死なんです。自分ばかり夢中になってしまいそうで、あなたを傷つけてしまわないか、怖いくらいなんですよ?」 「そう…なのか?」 俺の目には余裕綽々にも見えるが。 「そうなんです」 「全然見えんな」 「こう見えても、意地っ張りなんですよ」 本当とも冗談ともつかない調子で笑った古泉は、 「ですから、……もし、セーブし切れなかったらすみません」 「…お前が先に謝るってことは、本当に余裕がないんだな」 「すみません」 「まあ、いいさ」 本当に余裕がなくなったら、ケダモノみたいなお前を記憶することにしよう。 「そう来ますか」 困ったように笑いながら、古泉は俺に口付ける。 体の中心のラインをたどるように、喉からへそまでキスを落とされる。 そうして、そのまま胸の突起に口付けられた。 「っぁ、ん…!」 「くすぐったいですか? それとも、気持ちいい?」 「わ、かんね…っ…」 くすぐったいのは確かだが、それだけではないような気もする。 それ以上に、羞恥が強く、訳がわからなくなりそうになる。 「ゆっくりして欲しい、とのご希望でしたよね?」 一瞬、なんのことを言われたのか分からず戸惑う俺を、古泉は偽悪的な笑みを見せつけ、 「時間もたっぷりあることですし、気持ちよくなるまで、ゆっくりして差し上げますよ」 「いっ!? な、そ、そういう意味じゃ、なく…」 分かってて言っていることくらい、俺にだって分かったが、それにしたってとんでもない発言に思わずそう反論しようとしたところで、 「…嫌ですか?」 と鼓膜を直接震わされるような声で囁かれて、言葉を失った。 ひ、卑怯者…! 俺を黙らせた古泉は、実に楽しそうな顔をしてそこを弄び始めた。 指先で押しつぶし、抓み、舐め、あるいは食む。 繰り返される刺激に、最初のうちはくすぐったさが勝っていたはずが、段々とそれ以上の快感に塗りつぶされていく。 「ほら、僕だけじゃなく、自分のことも見ておいてくださいよ。ここ、こんなに真っ赤になって、硬く尖って震えてるの、見えるでしょう?」 「やっ…ぁ…! 言う、な…っ」 「あなたの顔も赤くなって…綺麗ですよ」 囁きながら、古泉は突起を口に含み、ねっとりと舐め上げる。 そんな動きさえ、事細かに分かっちまうのがまた羞恥を煽る。 「ひ、ぁ、…っく、んん…」 「まだくすぐったいですか?」 「っ、違…っ…!」 つか、お前なんでそんな意地が悪いんだ。 そんな性格だったのか? 「嫌ですか? 意地悪な僕は」 「や、じゃ、ない、が…っふあぁっ!」 胸を吸い上げられて体がのけぞった。 そうするとまるで、自ら求めて胸を押し付けているようで、古泉はどこのスケベ親父だと言いたくなるような顔をして、更に強く吸い上げる。 「っあ、あ、やぁあ…!」 「あなたが押し付けてきたんでしょう?」 「ちがっ、あ、…んっ!」 頭がくらくらしてくる。 何も考えられなくなりそうなほど気持ちいい。 気持ちよくて、他の何もなくなってしまったっておかしくないくらいなのに、俺はまだ目も閉じず、古泉を見つめ続けていた。 一緒に自分の赤く染まった突起だの、上気した肌だのが視界に入るのは非常にいたたまれないってのに、それ以上に古泉を見ていたくてならなかった。 今も、意地悪な顔もスケベ面も、全部ひっくるめて見つめていたくてならない。 どんなに意地の悪いことを言われて恥ずかしくても、それが古泉の飾らない姿なら愛しいと思えた。 それにしても、こいつは執拗だった。 何がそんなに楽しいんだと聞けば、 「あなたが僕を見たい、知りたいというのと同じように、僕もあなたのいろんな姿が見たいんですよ」 と返された。 辱めたいだけじゃないのか、と唸れば、心外そうな顔をして、 「違いますよ。…恥ずかしがるあなたも、魅力的で、見ていたくなってしまっただけです。まるで麻薬のようですね。もっといやらしい顔をしてもらいたくなるし、もっと淫らな姿も見たくなる」 などと恥ずかしげもなく宣いやがった。 余裕がないとか言ったくせに、古泉は執拗な愛撫を続け、俺は白旗を揚げざるをえなくなった。 「も、やだ…っ、そこばっか、すんなよ…!」 「ゆっくりして欲しいと言ったのはあなたじゃないですか」 意地が悪いのに楽しげという、非常にタチが悪い種類の笑みを浮かべて古泉は唇で突起を食んで弄ぶ。 「っ、ぅ……」 涙が滲んできたのは生理的なものだと思いたい。 しかし、古泉はそうは思わなかったらしく、 「すみません。少しいじめ過ぎましたね」 「うぅー…」 「唸らないで」 そう言いながら、古泉は俺の唇にキスをしておいて、 「気持ちよくなるまでする、って約束しましたからね。気持ちよくなったなら、そう言ってくださいよ」 と俺に責任転嫁でもするように言いやがった。 しかし、この時にはもう俺の意識は朦朧としかかっていたのだろう。 「も、きもち、い、から…っ、そこばっか、やめろよ…」 と切れ切れに訴えていた。 「はい」 嫌味なくらい、いい返事をして、古泉は俺にもうひとつキスをして、哀れなまでに赤く、敏感になった突起を解放した。 ぐったりとした俺に、 「まだまだですよ?」 と不吉な囁きをよこして、その手は腹より下へと下りる。 「やっ…」 ふふ、と忍び笑いをもらした古泉は、 「すっかり全身敏感になってしまってますね」 と楽しげに言って、今度は膝の辺りに触れた。 そんな場所すら、感じる場所に変えられる。 膝から腿をなぞり上げ、脚の間を開かせて、古泉は会陰をねっとりと舐め上げた。 「ひぅっ…! あぁ…」 「いい眺めですね」 からかうでなく、本当にそう思っているかのように古泉はそう微笑んだ。 立てた脚を大きく開かれ、腰を浮かされた形では何一つ隠せやしないってのに、むしろそれを楽しむようにねちっこい視線で舐めるように見つめて、 「どこもかしこもよく見えますよ」 「ひっ、ぁ、あ、しゃべ、るなって…」 わざと息を吹きかけているんだろう、古泉の吐息が、じんわりと熱を持ちながら、まだ爆ぜるには足りないもどかしさに震える花芯に触れると、どうしようもなく腰が揺れた。 「気持ちよくしてあげますからね」 いつの間にか古泉は指先を滑る液体で濡らしていた。 「な、に…それ……」 「これですか? ローションですよ。帰りにドラッグストアに寄ったでしょう? そこでちゃんと買っておいたんです」 ほー、そりゃ用意周到なこって。 …っじゃなくて、 「い、いつの間に…」 「あなたが恥ずかしがるかと思ってこっそりと」 と笑いながら、古泉はぬらぬらと光る指を俺の脚の間に埋めた。 冷たくてぬるりとした得も言われぬ感触があらぬ場所に触れ、体が竦む。 「怖くありませんから。痛くないようにするために必要なことなんです。…我慢して、ください」 そう真摯な表情で言われると、頷くしかない。 …踊らされてるんじゃねぇかと思わないでもないが。 古泉は俺の表情の変化を伺うようにしながら指を進めてくる。 そのせいで、俺にも古泉の表情がよく見えた。 心配そうなくせして、どこか強硬な顔。 そんなに俺としたいのかと思うと、嬉しくてくすぐったくて、文句も言えなくなった。 体の中に異物が入り込んでくる感覚に、眉が寄ると、 「痛みますか?」 と聞かれた。 「痛みは、しないが…、違和感が、凄いな、やっぱり……」 「すみません、それは…慣れてくださいというしか…」 「ん、分かった…」 慎重に古泉の指が進んでくる。 ぬちゃぬちゃという恥ずかしい水音が聞こえてくるが、俺はそれでも古泉を見つめた。 涼しいとは言いかねる顔さえ、愛しい。 そうして、そんなことを思えば、気持ち悪いような感覚すら、徐々にくすぐったさに変わり、くすぐったさに変わった後は、ほとんどすぐに快感へと変えられた。 「あ……ぁ……」 吐息に声が混ざり始めたところで、古泉も安堵したらしい。 小さく唇を歪めると、 「緩んできましたね」 「し、るか…っ! あ、ひやっ!?」 古泉がぐいと押し込んだ指で、さっきから執拗に擦っていた内壁を、それまでにない強さで押し上げると、体が大きく震えた。 しびれるような快感が走り、すがるものを求めてシーツを掴んだ。 「な、何…っ…?」 戸惑う俺に、古泉は嬉しそうに顔をほころばせ、 「前立腺、って言うんですよ。もう、覚えましたよね?」 「おぼえ、って……」 「覚えないと、なかなか感じられないものだそうですよ。…逆に、覚えてしまうと虜になるようですけど」 不吉なことを言いながら、古泉はそこを遠慮なく押し上げはじめる。 規則的な動きに、腰が揺れ、喉は引き攣れた声を上げる。 目の前がちかちかする。 「やっ、こ、んな、じゃ…っあ! …ひ、見て、らん、ね…」 「じゃあ、代わりに僕が説明しましょうか? あなたの目の代わりに」 「ふあっ…?」 「今、あなた凄い顔になってますよ。赤くて、目は涙をこぼしてて、口の端からはよだれまで溢れさせて……いやらしくて、そそります」 「なぁっ!?」 誰がそんな説明をしろって言った! 「胸の突起も赤くて硬くて、もっと触って欲しそうですね」 「んな、こと、っ、言って、な…っ! やぁっ!!」 俺の返事など聞かずに古泉はそれを軽く噛みやがった。 そんなことだけでも、ガクガクと震える俺の体をうっとりと見つめて、 「ここも、ほら、勃ち上がって、震えてますよ」 と言いながら中心を押さえつける。 「やっ…!」 「気持ちいいんでしょう? あなたの嫌は、気持ちいいってことなんですよね?」 そうかもしれないが違う。 気持ちいいからこそ嫌なんだよ! 何も制御出来なくなる。 見ていたいのに見ていられなくなる。 それが嫌だ。 恥ずかしいことを言われるのも、恥ずかしいことをされて感じてしまうのも。 古泉は、それを見透かしたように俺の額にキスを落とし、 「大丈夫ですよ。いやらしくても、あなたは魅力的でなりませんから。恥ずかしがってるのも、気持ちよくなって、何も分からなくなっているあなたも素敵です。…愛してます」 そう言われるだけで、いくらか落ち着くし、怒りもどこかへ雲散霧消しちまうなんて、俺は本当に単純に出来ている。 そんな俺の変化を鋭敏に感じ取って、古泉は辱めるためだけじゃないかと言いたくなるような行為を再開した。 「ああしかし、なによりも、ここの眺めが素晴らしいですね」 などと言いながら、指を動かし、わざと大きな水音を立てた。 「っ、は…!」 「分かります? もう二本も指を飲み込んで、まだ足りなくて口を開いてますよ。もう一本、入れますね」 「ふぁっ、あ、んん…」 中を開かれて苦しいはずなのに、もどかしいほどの切なさが埋められ、かき消されるように思った。 「ぅっ、あ、…ああ…っ……」 震える俺に、古泉はうっとりとした目を向け、 「艶かしくて、素敵ですよ」 「っ、や、も、もう、やぁ…」 駄々っ子のように声を上げると、古泉が喉を鳴らした。 「僕も、そろそろ限界です」 いつの間にか窮屈なズボンの中から取り出されていた古泉のそれが、見える。 見るからにグロテスクで、恐怖を覚えたっていいはずのそれすら、愛しいもののように思えたのは、脳が何か錯覚を起こした結果なのか、それとも俺が相当な淫乱だとでもいうことなのか。 「こんなのまで、見ておきたいんですか?」 と言う古泉も、いくらか恥ずかしそうだ。 「嫌になりません?」 「ならん、から、…安心しとけ」 「…はい、ありがとうございます」 にっこりと微笑んで、古泉は俺にキスをして、俺の中から指を引き抜いた。 「んんぁ……」 「そんな切なそうな声を上げなくてもいいですよ」 この期に及んで、まだ意地の悪いことを言いながら、古泉は熱を押し当てた。 「ふ、ぁ……」 「入れます、よ…」 「ん…っ…」 とろけそうなほどの熱い塊が、いささか強引に俺の中を切り裂いて進んでくる。 痛みを感じながら、それなのに、確かな快感があって、自分が信じられないような気持ちになった。 「っあ、あ、や、ぁんん…!」 「はっ……気持ちよさそうな、顔、してますね…」 「っ、おま、え、こそ…ぉ…」 「気持ちいいですから」 そう言った古泉の額には汗が浮かび、何かを耐えるように寄せられた眉には色気なんてものじゃ言い表せないほど艶かしいものがあった。 発情した獣みたいに熱を帯びた瞳も、俺の体に触れてくる汗ばんだ手も、何もかも愛しくて、体に刻み付けたくて、俺は必死になってすがりついた。 古泉に押し潰されて、先走りでとろとろになった俺のものは精を吐き出そうとしている。 ついでに意識も持っていかれそうで、俺はそれを何とか堪えながら古泉に抱きついた。 「あい、し、てる…から…っ…」 吐精して、古泉が中で放つのを感じて、意識を失うその時まで、俺は決して目を閉じなかった。 この日俺が目にした古泉の全てをこの目に焼き付けられたことが、何よりも喜ばしいことのように思えた。 |