そこまで濃くないですが、エロを含みます
苦手な方はバックプリーズ
好きな方も過度な期待はしないようにしましょう←














































大難解



親の敵でも見るような目つきで睨みつけながら、俺が古泉に告白した時、古泉は満足気に微笑んで、
「いいでしょう。お付き合いしますよ」
と言った。
そのほかには、
「男性と付き合うのは初めてのことですので、よろしくご教授願います」
なんて、冗談みたいに言っただけだった。
俺を好きだとも嫌いだとも言わなかったのはつまり、そういうことなんだろ?
古泉は別に俺のことを好きだというわけじゃないと気がついたのは、家に帰ってひとりになり、浮かれきっていた気分がすっかり収まってからのことだった。
自分から、セフレになってくれみたいなことを言い出しておいてと笑われるかもしれない。
だがそれでも、俺はやっぱり嫌だったんだ。
古泉が、俺の気持ちを分かっていて、同情だか好奇心だか知らないが、俺のことを好きでもないのに付き合うなんて軽々しく言うのが。
自分が惨めで、情けなくて、泣きそうになった。
何より、胸の中が切なくて苦しくてどうにかなりそうだった。
好きな相手とどういう形であれ付き合えるんだからもっと嬉しく思ったっていいはずだろうに、自分の思いが全く通じていなかった時よりもずっとつらい。
頭まで布団を引っ被って、俺は自分の女々しさを笑った。
大体、俺はなんでいつもいつもこうなんだ。
好きな相手が出来たり、恋人が出来たりするたびに、自分の中の情けないところばかり目に付いて嫌になる。
そんなところを見せたくなくて距離を取ろうとすれば不審がられて振られ、かと言って隠しもせずに正直に、寂しいだの妬くだの言ってみれば鬱陶しがられて振られた。
知り合いにそうぼやけば、相手が悪かったんだろと慰められたが、俺にはそうは思えない。
精々、相手が鬱陶しがるタイプかどうかを見て、出方を決めるくらいしか出来ない。
ところが、今回はそれ以前の問題だった。
古泉は俺を好きじゃない。
それなら、俺がどんなに切ないかなんて伝えたところで鬱陶しがられるだけだろうし、だからと言って距離を取り、己の情けなさを隠そうとすれば、それこそ付き合うなんて言えるような関係ですらなくなっちまうだろう。
どうすりゃいいんだと途方に暮れながらも、俺は既にどうしようもなく古泉のことが好きで、放したくないと思っている自分に気がついて自嘲した。
よく眠れないまま、一夜を過ごし、腫れぼったい目を擦り擦り家を出て、少しばかり歩いたところで、
「おはようございます」
と声を掛けられてぎょっとした。
「古泉…!?」
お前、なんでここに…と戸惑う俺に、古泉はいつもながらの爽やかな笑顔を引っ込め、心配しているようにも見える形に眉を寄せながら、
「目が腫れてますね。眠れなかったんですか?」
「そう…だが……なんで、お前…こんなところにいるんだ…」
これじゃあまるで、俺を待ってたみたいじゃないか。
混乱を極める俺の決死の問いに、古泉はあっさりと答えた。
「待っていましたよ。一緒に登校しようかと思いまして。そうでもしなければ、あなたとは放課後になるまで会えないでしょう?」
「…え……」
何言ってんだ、と驚く俺に軽く首など傾げながら、古泉はダメ押しをするように言う。
「何かおかしいですか? お付き合いしているなら当然でしょう?」
「…は……?」
待て、これは一体どういう展開なんだ?
理解出来ん。
俺がぽかんとした間抜け面をさらしているのを見た古泉は、驚いた様子で真顔になった。
…珍しい顔だ。
「僕とあなたはお付き合いしているんですよね?」
「そう…なんだろ?」
お前が昨日そう言ったんだから。
釣られるように首を傾げた俺に、古泉は難しそうな顔でしばし考え込んだ後、
「…言っておきますけど、セフレとしてなんかではありませんよ?」
「――そう、なのか…?」
「……言いそびれた僕が悪いのかもしれませんけどね、」
と古泉は盛大にため息を吐いたかと思うと、滔々と話し始めた。
「僕はあなたに告白されて、嬉しいと思ったからお付き合いしますと答えたんです。でも、あなたにはちゃんと通じてなかったようですね」
そう言って、古泉が俺の目元に指でちょっと触れた。
「…泣いたんですか?」
「っ、それ、は…」
「すみません。言葉が足りなさ過ぎましたね」
本当に申し訳なさそうに古泉は言い、
「僕があなたに好意を抱いているということも、伝わってませんでしたか?」
俺はまたもや泣きそうになるのをぐっと堪える破目になった。
嬉しいのかなんなのかさえ分からない。
ただ、何か言葉を口にすればそのまま泣きじゃくってしまいそうで、小さく頷くだけで精一杯だった。
「僕は僕なりに、あなたが好きですよ。…ずっと、好きでした。あなたはとても魅力的で、興味深い人ですからね。それこそ、出会ったばかりの頃から、色々な意味であなたが気になっていましたよ。ただ、正直なところを申し上げますと、恋愛感情を寄せられているとは思ってもみなかったものですから、一昨日と昨日は戸惑いました。それで、言葉が足りなくなってしまったのかもしれません。すみません」
そう言って何度目かの謝罪の言葉を口にする古泉に、もういいと首を振る。
謝ってくれなくていい。
そんな必要はないんだろ。
「まだ、愛とも恋ともつかないものですけれど、僕は、あなたが好きですよ。あなたが僕のことを好きだと言ってくださって、本当に嬉しかった。今も、嬉しいんです。あなたがそんなにも真剣に僕のことを思ってくださっているかと思うと」
そう言ってはにかむように笑った古泉を、信じられないような思いで見上げれば、古泉はくすりと小さく声を立てて笑って、俺の額をつついた。
「…そんな可愛らしい顔をされると、簡単に堕ちてしまいそうです」
冗談めかした言葉に俺も釣られて笑う。
「堕ちればいいだろ」
そう言ってやれば古泉はそれだけでぞくぞくしてしまいそうな声で、
「…堕としてください」
と囁く。
それと共に、見たこともない明るさで笑った古泉に、さっきとはまた違う意味で泣き出しそうになった。
嘘じゃなく、本当にそう思ってくれているんだと分かり、安堵した。
嬉しくて、夢のようで、泣きそうだ。
ほっとしたところに、
「…可愛いです」
と囁かれてドキリとする。
「……この、ばか…」
力なく毒づけば、古泉がにやにやと意地の悪い笑みを向けながら、
「どうしてです?」
「このまま、サボりたくなるだろ…」
俺の顔はさぞかし見事に赤く染まっていることだろう。
そんなものを誰かに見られて、不審に思われたりしなければいいのだが。
そうは思っても、抑えられない。
出来ることならこのまま古泉に抱きついてしまいたい。
「それは困りましたね」
くすくすと笑いながら、古泉は悪戯っぽく言った。
「でも、サボらなくても、校内にだって二人きりになれる場所はありますよ?」
「なっ…!?」
驚く俺に、古泉は楽しげに囁く。
「それとも、このまま二人してサボってしまいましょうか。僕はどちらかと言うとこのまま登校して、ショートホームルームに遅刻するくらいで抑えておきたいのですが、あなたが望むのでしたら、このまま僕の家に向かっても構いませんよ?」
ちなみに、一人暮らしですので遠慮なく、などと余計なことを付け加える古泉に、俺は茹蛸よりも真っ赤になりながら、
「っ、ば、馬鹿言ってないでさっさと行くぞ!」
と高校に向けて歩く足を速める。
「残念です」
と本気か冗談か分からない口調で呟いた古泉を振り向きながら睨みつけて、
「さっさと行かんとショートどころか一時間目にも間に合わなくなるだろうが」
と唸るように言えば、やっと理解したらしい古泉がにっこりと微笑んで俺に並んだ。
「では、急ぎましょうか? 少しでも一緒にいたいですからね」
だからその一言が余計だって言ってるんだろうが。
急ぎ足になりすぎて、さっきとは違う理由で顔を赤くしながら俺は坂を上りきった。
古泉が俺よりずっと涼しい顔をしているのに苛立ちながらも、
「で? どこに行くんだ?」
と聞くと、古泉は思案顔でしばらく黙り込んだ後、
「屋上と資料室と物置ならどこがいいですか?」
なんでそんなに選択肢があるんだ。
「何か遭った時のために、いくつか鍵をあずかっているものですから」
しれっとそんなことを言って古泉はポケットから鍵の束を取り出した。
「ちなみに、保健室と薬棚の鍵なんかもありますよ。でも、この時間帯なら保健室には人がいるでしょうからね」
そうかい。
「それで、どこがいいですか?」
そんなもん、決まってる。
「一番教室に近くて、一番長く一緒にいられるところだ」
というわけで、俺たちは屋上に上がり、しっかり施錠した上で他から見えないような物陰に隠れた。
荷物は床に放り出し、込み上げてくる衝動のままに古泉を抱き締めれば、かすかな笑い声が耳をくすぐった。
「なんだよ…」
「いえ、本当に可愛らしいなと思いまして」
「…ばか」
恥かしいからあんまりそういうことを言うんじゃない。
「事実なんですから、いいじゃありませんか。…あなたは可愛らしいです」
「いいから、今は…」
言いながら、俺は古泉の首に腕を絡め、キスをする。
触れ合う唇も舌も熱くて、くらくらする。
「ぁ…っ、ん、……ふ…」
堪えきれずに上げる声が唇の間から漏れるのは恥かしいのだが、その度に俺の腰に回された古泉の腕に力が加わり、もっと声を上げさせようとでもするように舌が蠢くせいで、羞恥も忘れさせられる。
「あ………、っ、はっ…ぁ」
息が上がったところで解放され、名残惜しいものの呼吸を整えようとしてると、
「本当に、色っぽいなんてものじゃありませんね…」
と古泉がどこか興奮に熱を持ったような声で囁いた。
「何がだよ…」
「あなたの声も、表情も、何もかもですよ。艶かしくて、どうにかなってしまいそうですよ」
苦笑するように言った古泉に、なっちまえと思いながらもう一度キスをした。
「好き…だ、古泉…っ、ぁ、んん…」
軽く唇を放してそう告げれば、その返事のようにキスされる。
「僕も、あなたが好きですよ」
唇を触れ合わせたままそう囁かれれば、余計に体の熱が上がる。
「ほん、とに…?」
「ええ。…だから、もう、泣かないでください」
くすりと笑った唇が離れ、俺の目元に触れる。
キザったらしい仕草が、どうしようもなく似合うのがいっそ腹立たしい。
抱き締めあって、キスを繰り返して、ショートホームルーム前の予鈴が響いても、俺はまだ動けなかった。
腰砕けに近い状態の上に、
「すっかり硬くなってますね」
と古泉に指摘されてなんの反論も出来ないくらいになっちまってたからな。
自分の若さと古泉のテクニックが憎たらしい。
しかし、心配そうに、
「大丈夫ですか? この後…」
と聞いてくる古泉には憎まれ口も叩けず、
「あー……まあ、大人しくなるまでここで頭を冷やせば、ショートはともかく、授業には間に合うだろ」
「冷やせそうですか?」
「…お前がいなくなりゃな」
だから先に行けよと言おうとした俺に、
「……出した方が早いなら、お手伝いしましょうか?」
「……は?」
あまりの爆弾発言に唖然とするしかない。
というか、こいつは本当になんでこうも唐突にわけの分からないことを言い出すんだ。
言葉も出ない俺に、古泉は、
「昨日も言いましたが、僕は男性と付き合うのは初めてですから、不慣れで至らない点も多いとは思います。でも、同じ男同士ですから、分かることもあると思うんです。このままでは、あなたが辛いでしょう?」
そう言いながら、硬くなったそれをやわやわと指先で揉まれると、びくりと体がすくんだ。
「って、言っても…」
「今までにそんなことはしたこともありませんから、下手だとは思います。でも、それでいいなら…手と口でよければ、お手伝いしますよ?」
「っ!?」
本気かよ、と驚く俺に、古泉は照れ臭そうに笑って、
「そうしたい、と思うくらいには、あなたが好きなんですよ」
と言い、その一言で俺は見事にノックアウトだ。
俺を座らせた古泉が、ベルトを緩め、チャックを下ろすと、すっかり勃ち上がったそれがすぐに顔を出す。
「無理はするなよ…」
俺が言うと、古泉はにこりと微笑んで、
「大丈夫ですよ。無理だと思ったら、口ではしないでおきますから」
そう言って、古泉はそれをゆっくりと扱き始めた。
遠慮がちに加えられる力は物足りないくらいで、そのくせくすぐったさに煽られた。
「んっ……もう少し、強くて、平気だから…」
「分かりました」
頷いた古泉の目は、どことなく、好奇心に溢れた子供みたいに見えた。
形を確かめるようになぞり、きついくらいに先端を抉りと、あれこれ試みる間にも、俺の反応を見逃すまいとするようにこちらを見つめている。
その手の動きよりもむしろ、その視線にこそ感じている気がした。
「舐めていい、ですか?」
「いい、けど……無理は…」
「してませんから」
そう笑って、遠慮してばかりの俺をからかうように、俺の唇へと触れるだけのキスを寄越した。
その唇が開かれ、赤く艶やかな舌がのぞく。
その光景の方がよっぽど色っぽいと思った。
ちろりと試すように舌先が先端に触れると、先走りが零れ、俺の腰が揺れた。
「んっ……」
「気持ちいいんですか?」
うかがうように聞いてくる古泉に頷けば、ほっとしたように笑った古泉が、先端を口の中に含んだ。
フェラなんてされるのは初めてだ。
今まで付き合った誰にも、そんなことはされなかったし、してもらえなかった。
それなのに、古泉は付き合いだしたばかりだってのに、こんなことをしてくれる。
それも、義務感とかそういうものではなく、本当に楽しげに。
ぎこちない動きは、正直言って、巧いとは言いかねる。
だが、それでも酷く気持ちよくて、ぞくぞくした。
それが古泉を好きなせいかと思うと、恥かしくて堪らない。
そんな俺の反応を相変わらずうかがっていた古泉が、口を放したかと思うと、
「なんて顔、してるんですか…」
と俺を見た。
熱っぽい、睨むような目が、いやらしい気持ちを煽る。
「っ、お前の、せいだろ…!」
「それにしても、勘弁してくださいよ。そんな顔、見せられたら…」
どうなるのかは言わず、古泉はさっきより深く、唾液と先走りに濡れたものをくわえた。
そのまま強く吸い上げられ、固く閉じた目の裏がチカチカした。
「っ、ぁ、こい、ずみ…っ! イく、から…離れろって…」
そう言って髪を掴んでも、古泉は離れようとせず、むしろ更に強く幹を擦り上げながら吸い上げた。
堪らず吐き出したものを、よりによって飲み込みやがった古泉に、
「お前なぁ…っ」
初心者だってのに何やってんだよ、と真っ赤になりながら唸れば、古泉はそれには答えず、
「…あなたのは、こんな味なんですね」
と感慨深げに呟いた。
「……ってお前、自分のを舐めたことでもあんのか?」
そんなはずはないだろうと思いながら言うと、古泉はどういうわけか明後日の方向に目をやりつつ、
「……少し、興味がありまして」
「お前は好奇心の塊か!」
本当に訳が分からん。
他人のものでさえ好き好んで飲む奴は少数派だろうに、なんでこいつはゲイでもないくせに自分のを飲んでみたりしてるんだ。
呆れる俺の服を整えた古泉が、
「教室に行きましょうか」
と言いながら立ち上がったのだが、俺は古泉の股間のふくらみを見逃さなかった。
「待て」
と呼び止めて、古泉の腰に抱きついてやると、古泉が慌てたように、
「なっ、なんですか!?」
と声を上げるのにも構わず、
「今度は俺がしてやる」
手早くベルトを外し、ゆるくだが勃ち上がったものを取り出す。
古泉が俺で勃ってると思うとそれだけでまた興奮しそうになる。
取り出したそれをしげしげと眺め、思っていたより好みの色形だとかなんとか思いながら舌先で味見でもするように舐め上げると、
「っ、本気、ですか…?」
「本気じゃなかったら、しないだろ」
短く返して、横からくわえるようにして舐める。
甘噛みしてみたり、吸い上げたりと古泉の感じる場所とやり方を探りながら先端を唇で挟んでみていると、すっかり息の上がった古泉が、たとえようもなくそそるような、いやらしい顔で、
「お上手、ですね…」
と余計なことを言ってきたので、俺は思わず眉を寄せ、
「……まあな」
と返した。
されたことはなくても、したこととさせられたことはあるんだよ、と胸の中だけで吐き捨てて、嫌な思い出とともに振り捨てる。
そんなことよりも、古泉を気持ちよくさせたかった。
古泉に俺を感じて欲しい。
このまま古泉がはまってくれればいい。
俺から離れられなくなるくらいに。
それと共に、俺も離れられなくなりそうだった。
古泉がかすかに漏らす吐息や表情に、魅せられる。
もっと知りたくなる。
古泉を味わいたくなる。
吐き出された精の最後の一滴まで吸い上げ、舐め上げて、俺は笑った。
「…愛してるぞ」
と言えば、古泉は見事なほどに赤くなって、
「……本当に、可愛いんですから…」
と俺を抱き締めた。

ショートホームルームどころか、一時間目を丸々サボっちまったことは、言うまでもない。
そのせいでハルヒの機嫌を少しばかり損ねたりしたものの、俺も古泉も少しも悔やまなかった。
分かり難くて読めない古泉に不安を感じたのは短い間だけで、今となってはそんな分かり辛い古泉の考えが少しでも分かれば嬉しくてならないほど、古泉が愛しい。
今度はいつどこで、どんな風に仕掛けてやろうかと思うだけで、唇が卑しく歪んだ。