いつにも増して捏造盛りだくさんです
中学生の和希一人称ですので、それをご理解のうえで読んでやってくださいませ









なれそめ



うちの家族は普通だと俺はずっと信じていた。
いや、そう思いこんでいたと言ってもいい。
あるいは、そう思いこまされてきたとでも。
それは別に悪いことではないのかもしれない。
少々と言わず特異な家庭環境に対してなんら反発を覚えることもなく、子供らしい柔軟性で以ってすんなりと受け入れていたということだからな。
それにしても、俺が許せないのは、間違いなく家族の一員であるはずの俺に対して、家族ぐるみで隠し事をしていたということだ。

普通だ普通だと思ってきたわが家について、俺が唯一疑問に思っていたことがある。
それは、如何にしてあの母さんとあのどうしようもないダメ親父が結婚するなんて事態に陥ったのか、と言うことである。
それを初めて直截に聞いてみたのは、俺がまだ極普通のありふれた幼稚園児としてやっていけていた頃のことだったように思う。
「お母さん、」
幼稚園バスで送られて、母さんと半日ぶりの再会を果たした後、今日の晩御飯はオムライスだぞーなんて上機嫌に話す母さんに、俺は聞いてみたのだ。
「お母さんとお父さんって、何で結婚したの?」
とな。
母さんは笑顔を真顔に戻した後、しゃがみこんで俺の顔をのぞきこんできた。
「…いきなりどうしたんだ?」
「今日、他の子が話してたんだ。うちのお父さんとお母さんは大学時代に出会ったんだよとか、僕が出来ちゃったから仕方なくとか、上司だったお父さんが部下のお母さんをテゴメにしたんだよーとか」
分からなかった単語を聞き覚えたまま口にした後、
「……そういやテゴメって何?」
と聞くと、母さんは困ったように唸った後、
「…後で辞書でも引いてくれ」
「分かった。で、お父さんとお母さんって何で結婚したんだ?」
「何で、と言われてもなぁ……」
母さんは腕組して考えながら言った。
「こう言うとお父さんが調子に乗るのが目に見えてるから滅多に言いたくはないんだが、」
と前置きした母さんは、普段あれだけ父さんを調子に乗らせてるくせに、まだ恥ずかしいと思ったりするようだった。
「…結婚したのは、愛し合ってるからに決まってるだろ」
「……そっか。そうだよな」
その時俺はまだ単純かつ平凡な幼稚園児であり――いや、今だって十分平々凡々とした中学生だと思っているのだが――、母さんが質問の答えを意図的に歪めたことに全く気がついていなかった。
母さんの答えにとりあえず満足した後、それが自分の知りたかった、「父さんと母さんのなれそめ」ではないということに気がついたのは、それからしばらくの後だった。
改めて、
「父さんと母さんのなれそめって?」
と母さんに聞いてみると、母さんは誤魔化しきれなかったかとかすかに呟いた後、
「…まあ……その、なんだ。……高校の時に、ちょっとな…」
いつになく歯切れの悪い言い方に俺が首を傾げると、
「それよりほら、おやつは何がいいんだ? なんでも作ってやるぞ」
と言われて思考をそらされた。
俺もまだ幼稚園児。
あの母さんを追及するにはまだまだ甘かったというわけだ。
以来、俺は母さんにそれを聞くのをやめた。
なんだかんだ言って誤魔化されるのが目に見えてたからな。
本当に知りたいなら別のところから崩すべきだろう。
しかしながら、俺もいつもいつもそんなことを疑問に思っていたわけではないし、時々思い出してはそういえばどうしてなんだろうなどと退屈しのぎのように考えていた。
つまり、たまたまその時に、質問できそうな状況が出来たら聞く、という程度の関心しかなかったといえばなかったわけだ。
というわけで、次に俺がそんな質問をしたのは、小学校の教育課程も半ばを過ぎたある休日のことだった。
母さんがお昼を過ぎても起きて来ず、父さんは申し訳なさそうに、料理する姉さんを手伝っていたのだが、父さんに出来ることなどたかが知れており、すぐに用がなくなってキッチンを追い出された。
手持ち無沙汰になったからだろう。
父さんは居間のソファに座って本を読んでいた俺にいそいそと近づいてくると、
「今日は何を読んでいるんですか?」
「少年エスパー戦隊」
姉さんの推薦図書だ。
「なるほど」
「本当は夢野久作が読みたかったんだが止められたんだ」
「それは……」
父さんは曖昧に微笑みながら、
「有希の判断の方がおそらく正しいでしょうね…」
「…そうか」
父さんと姉さんがそこまで言うのなら仕方ない。
おそらく俺に――と言うより小学生に――読ませたくないような内容が混ざっているのだろう。
どうしても読みたくなったら図書館にでも行こうと決めて、俺はページをめくったのだが、ふと、母さんがいないのなら都合がいいのかもしれないと思い、本から顔を上げた。
「どうかしましたか?」
不思議そうな父さんに、
「唐突で悪いんだが、」
と前置きして、
「父さんと母さんのなれそめってどんなだったんだ?」
「……確かに、唐突ですね…」
父さんは苦笑しながら軽く指先を顎に当てた。
考え込んでいるのは、なれそめを思い出そうとしているからではないだろう。
父さんのことだ。
母さんのことはちょっとした仕草のひとつひとつさえもしっかり覚えているに違いない。
「なれそめ、と言うからには母さんと恋愛関係に入ったその端緒を言うのでしょうが、和希が聞きたいのはそれですか? それとも、僕と母さんがこうして一緒に暮らすようになったきっかけを知りたいんですか?」
「そうだな…」
俺が知りたいのはどちらかと言うと後者であるような気がする。
基本的に、かなり常識的であり、自分のことも世間から見ると非常識で白眼視されても仕方がないと負い目に思っている節の見て取れる母さんが、それでも何故それを覚悟の上で父さんと一緒に生きていくことを決めたのかということだからな。
何より、前者を聞いたところで力いっぱい惚気られるだけの気がする。
「なんで父さんと母さんは結婚したのか、そのきっかけが知りたいな」
「結婚、と言いましたが、実際は結婚してないんですよ?」
と父さんは俺の言葉を訂正した。
「それくらい、俺だって知ってる」
今の日本の法律じゃ、男同士は結婚出来ないからな。
でも、
「父さんと母さんは結婚してるようなもんだろうが。事実婚、って言うんだったか? 大体、結婚してもう何年も経つくせにいつまで経っても新婚気分が抜けない万年新婚夫婦のくせによく言うよ」
はっと軽く鼻で笑ってやれば、父さんは情けなく眉尻を下げながら笑うという器用な表情を見せた上で、
「それもそうですね。息子に軽んじられているのは少々残念ですが、万年新婚夫婦というのは一応褒め言葉として受け取っておきます」
別にそうしたいならそうすりゃいいだろ。
呆れてはいるが、軽んじているつもりもバカにしているつもりもないからな。
「それより、結局きっかけは何なんだ?」
「そうですね…。話を単純化してしまいますと、答えは簡単です。…あなたが出来たからですよ」
「ほう」
所謂出来婚か。
母さんはしっかりしているからそんなことはないだろうと思っていただけに少々驚かされたが、よく考えて見ると男同士で子供が出来るなどと言うことを考えていたはずがなく、それなら避妊を怠っても仕方ないよな。
「……あの、すみません」
「なんだよ」
「あなた、どこまでちゃんと分かってるんですか」
心なしか青褪めたような顔色でそう問われ、俺はニヤリと笑ってやった。
「今時の小学校の性教育を甘く見るなよ」
「…ああ、そう、ですね……。今、少なからずジェネレーションギャップを感じました」
「大体な、」
と俺は父さんを懇々と諭す時の母さんみたいな気分になりながら言った。
「隠すつもりがあるなら寝室のドアはちゃんと閉めて欲しいし、そもそも居間でするなと言いたいんだが」
「う」
絶句した父さんが今度は赤くなる。
おお、これはこれで非常に面白いな。
あの父さんが赤くなってるなんて珍しい。
「母さんに言ったら母さんが恥ずかしがって大変だろうから言わないけど、あんまりにも自重しないんだったら言うからな」
「うわ、それは勘弁してください」
「分かったら、自重してくれ。せっかく防音性の高い寝室があるんだからそっちで寝ろ。居間を使うな。風呂場なんて以ての外だ」
「分かりました…」
でも風呂場もいいんですよね…なんて恨めしげな父さんの言葉は黙殺し、
「それにしても、なんで男同士なのに子供が出来たんだろうな?」
と話を戻してやると、父さんは小さく笑って、
「それは多分、神様のお導きってやつですよ」
と悪戯っぽく言った。
ああそうかい。
勝手に夢見てろ。

かくして俺の疑問は一応の解決を見たのだが、よく考えてみるとやっぱり納得がいかないものがあった。
何故なら、本来の意味でのなれそめは未だに明らかではないからだ。
惚気られるのを覚悟の上で、やはりちゃんと聞いて見るべきだっただろうかと思いながらも時間は矢の如く過ぎ、俺はもうひと息で小学校の最高学年になるという年頃になった。
この頃の疑問としては、何故姉さんは姉さんなのかというものがあった。
何しろ、父さんと母さんが知り合ったきっかけや付き合うに至った話を全然してくれないのと同様に、姉さんを家族として向かえることになった理由も全く話してくれていなかったのだ。
はじめの内こそ、そんなものは今更話す必要があるものではなく、たとえ血の繋がりがあろうとなかろうと姉さんは姉さんであり、うちの家族の一員であるということから口にしないのかと思っていたのだが、そうであれば俺が姉さんと血の繋がりのないことを知っていたはずがない。
それはちゃんと口にされていたということだ。
それなのに、そうなったきっかけなどは何も話してもらった記憶がなかった。
俺は姉さんほどの記憶力もないから、俺がちゃんと覚えられていないだけなのかもしれないが、どうやらそうではないらしいと気がついた俺は、単刀直入に、姉さんに聞いて見たわけだ。
「姉さんって、どうして姉さんなんだ?」
というか、父さんと母さんの子供になっているんだ?
俺が聞くと、姉さんは水晶のように澄んだ瞳を心なしか悲しげな色に滲ませて、
「……迷惑?」
「め、迷惑なんてそんな訳ないだろ!?」
俺は慌てたね。
ああ、あれだけ慌てたのは参観日に校内で母さんに要らんちょっかいを掛ける父さんを見かけた日以来だったかも知れない。
「姉さんは俺の姉さんなんだから、今更他所に嫁ぐとかそんなの以外でどこかにやったりしないし、そんなことになったらそれこそ俺は怒った母さんが出てくって言った時の父さんみたいに情けなく追い縋るからな。だから、迷惑とかじゃなくて、ただ、知りたかっただけなんだ。でも、ごめん。ごめんなさい。だから、」
「…分かってる」
と言った姉さんが泣きそうになった俺を抱きしめた。
姉さんが、俺の言わんとしたことを理解し得なかったはずなどない。
それなのにあんなことを言ったのは、俺にそれを聞いてほしくなかったからなのだろう。
だから俺はそれ以来、疑問に思うことをやめた。
うちの家族のことだから、いつかちゃんと話してくれる日が来るだろうと、それを信じることにして。
ところがそれは、意外な形で裏切られることとなったのだった。

「もしかして和希くん?」
真新しい学ランを着て歩いていた帰り道。
突然若い女性にそう呼び止められた俺は驚いて振り返った。
俺を呼び止めたのは姉さんと同じくらいの年頃に見える、しかし姉さんとは随分タイプの違う女性だった。
波打つ長い髪に大人っぽいメークをした顔はきっと化粧を落としても十分美人に違いない。
何より姉さんと違うのは胸の…いやその。
………ごめん、姉さん。
「そうですが…」
気になった部分をまじまじと見てしまわないよう気をつけながら俺がそう答えると、彼女は嬉しそうに微笑んで、
「よかった。…本当に、古泉くんそっくりに育ったんですね」
「父の知り合いですか?」
「うん。和希くんのお母さんにもお姉さんにも、随分お世話になったんです。今日はちょっと、仕事でこの辺りに来たから、ついでに寄らせてもらっちゃったの。そうしたら、道に迷っちゃって…。いけませんね。あたしったら、おっちょこちょいで」
「それなら、俺が家まで案内しますよ。どうせ帰る途中でしたし」
「うふ、ありがとうございます」
と微笑んだ彼女は、本当に天使か何かのように綺麗だった。
「あたしは、朝比奈みくるって言います」
「朝比奈さんですね」
「和希くんとも、和希君が生まれたばっかりの頃に何度か会ってるんですよ」
「そうなんですか?」
などと話しながら歩いていた俺に、朝比奈さんは小さく笑いながら言った。
「見た目は古泉くんそっくりなのに、中身はキョンくんそっくりなんですね」
「それはよく言われますね。俺としてはそこまで母さんに似ているとは思わないんですが」
「ううん、そっくり。優しいところも、しっかりしてるところも、よく似てます。高校の時のこと、思い出すなぁ」
「高校の時…ですか」
「うん。聞いてない? あたしたち、一緒に活動してたんですよ。SOS団で」
…SOS団?
それはうちにもよく遊びに来るハルヒ姉さんが高校時代にやっていたと言っていた活動だ。
話からして父さんと母さんと姉さんが参加していたことは分かっていたが、それについても母さんたちは決して多くを語ってくれてはいなかった。
ただ、母さんが書く小説に似たような集まりが出てくるからその元ネタなんだろうなと思っていたくらいだ。
「それなのに、どうしてこれまで一度もいらしてなかったんですか?」
俺が疑問をそのまま口にすると、
「それは、あたしが未来から来た人間だからです。今日も、この近くの時間平面上に用事があったから、来れたんです。そうじゃないとなかなか時間が取れなくて…嫌になっちゃいますね」
「……は?」
「え? キョンくんたちから聞いてませんか?」
「未来からって…どういうことですか?」
「え、あ、や、やだ…あたしったら…」
朝比奈さんが困り果てて真っ赤になったところで、わが家が見えた。
俺が足早に家に入ると、母さんと姉さんは夕食の支度中で、父さんはそんな二人をにやにやしながら見ているところだったのだが、俺は問答無用で、
「朝比奈さんって人が来てるんだけど、」
とむくれたまま声を掛けた。
ぱっと一番に反応したのは母さんで、
「朝比奈さんが!?」
…って、えらく嬉しそうだなおい。
父さんの機嫌が悪くなっても知らんぞ。
「それはまた、懐かしいですね」
と言った父さんの顔が心なしか強張ってるし。
姉さんはちょっとこちらを見ただけで、特にコメントはしなかったが、どうやら喜んではいるようだった。
俺はそんな歓迎ムードをぶち壊すと分かっていながら、途切れさせた言葉の続きを口にした。
「朝比奈さんが未来から来たってのはどういうことなんだ? しかもそれがさも周知の事実であるかのように言われたんだが」
「げっ…」
と絶句したのは母さんで、それすら呟くことなく唖然としたのは父さんだった。
その頃になってやっと俺に追いついたらしい朝比奈さんが、ぱたぱたと駆け込んできて、
「ご、ごめんなさい、あたしったらまたやっちゃったみたいです…」
「い、言っちゃったんですか。未来人だって」
慌てているからかどもりながら言った母さんに朝比奈さんが頷くと、母さんはがくりと肩を落としながら、
「それはうちの禁則事項です…」
「ごめんなさい…っ」
まあまあ、とそこに割って入ったのは父さんだった。
「言ってしまった以上仕方ないでしょう。和希ももう中学生なんですし、それなら、そろそろ話してしまっても構わないのではないでしょうか」
「…そう……だな」
呟きながら俺を見た母さんは、深いため息を吐き、
「…何より、言わなきゃ許してもらえなさそうだ」
と俺のことをよく分かった言葉を口にした。
それから俺は、「単なるレクリエーションクラブのようなもの」と紹介されていたSOS団の真の姿について説明された訳だが、その内容たるや物凄かった。
世界を変えちまうことさえ出来るとんでもないハルヒ姉さんに、未来人の朝比奈さん、宇宙人――じゃなくて宇宙人に作られた人造人間って言った方が正しいのか?――の姉さん、それから閉鎖空間とか言う妙な空間限定超能力者の父さんに、唯一の一般人だがおそらく一番のトラブルメーカーと言えなくもない母さんというメンバーだからな。
しかも、やってたことも凄かったらしい。
姉さんが世界単位年単位での改変をしたことがあるというのにも驚かされたが、それを母さんが修正したり、夏休みを一部とはいえ延々15000回以上も繰り返した話なんて気が遠くなるかと思った。
そしてSOS団がそんなとんでもない集団だったということは結果として、その構成員の半数以上がいる我が家は更にとんでもない一家ということになりはしないか?
だが、それ以上に恐ろしいのは、その全てをネタにしちまっている母さんだ。
何しろ説明が面倒になってきたらしい母さんは最終的に自分の作品を引っ張り出してきた上で、
「これを読め」
と言ったし、姉さんはさらさらと紙にペンを走らせると、キャラクター名と実際の人間の名前の対照表を書いた。
まだ作品になっていない部分については父さんが説明してくれたが、惚気が大半だったので割愛させてもらおう。
たとえ一般人だろうが何だろうが、一番物凄いのは母さんだと再認識した俺だった。
数日後、がつがつとキーボードを叩いている母さんの背後に忍び寄った俺は、
「最終的にこの主人公はこの超能力者とくっつくのか?」
と聞いてみた。
母さんは手を止めて、こちらを振り向くと、軽く唇を笑みの形に歪めながら、
「流石にそれは無理だろ。編集に止められるぞ」
「だよな」
「だからまあ、適当に濁すことにはなるだろうな」
「…残念か?」
「さて、どうだろうな」
と母さんは少し考え込んだ後、
「…俺としては、こうやって書くことである意味自分のやってきたことを残そうとしてるだけみたいなもんだからな。本当は、全部本当のことだけを書くべきなのかも知れん。うちは法的に結婚も養子縁組もしてないから、何かあった時に弱いのは弱い分、補いたくもあるから。だが、それは無理だろう? つまりは、少しは残念にも思うんだが、そこまで何もかも一般にさらけ出す必要もないかと思うんだ」
だから、と母さんは悪戯っぽく笑って、
「お前が本当に知りたいんだったら、あったことだけを全部ちゃんと隠さず書いた、うち限定の話を書き直してやってもいいぞ」
それは確かに読んでみたい代物だ。
マニア垂涎間違いなし、姉さんもきっと読みたがるに違いない。
が、
「…その前に、世間一般向けの方をさっさと書いた方がいいんじゃないのか?」
既に締め切り破ってるくせに、と言うと、
「ああもうほんとにお前は見た目だけは一樹そっくりのくせに、中身は俺そっくりで可愛くない!」
と抱きしめられたのだった。