完全にエロになりましたー
というか、本気でやってるだけです(おま
……す、すいませんでしたぁ!!!
「じゃ、古泉のところに行って来る!」 それだけ言い置いて、俺は家を飛び出した。 帰省の時に携えていた荷物は全部玄関先に放り出し、本当に少数の身の回りの品しか持たずに、一目散に自転車で走り去っていく息子に、うちの両親が呆れたのか絶望したのかは知らない。 そんなものを観察していられるような余裕さえ、俺にはなかったからな。 ただひたすら、古泉に会いたくて仕方がなかった。 離れていたのはほんの数日だとか、何千キロも遠く離れていたというわけでもないとか、そういうことは分かる。 理解している。 だが、それでも、だ。 …会いたいんだから、しょうがないだろ。 里帰りの間、古泉に電話したのは一度きりだった。 電話をしたら我慢出来なくなるというのが、その一度で身に染みるほどよく分かったからな。 その代わりに、古泉が相手をしてくれるのをいいことに、ひっきりなしにメールをした。 妹たちがわいわい言いながら遊んでいる様子をカメラで撮って送ったり、わざわざメールでするまでもないようなくだらない話をしたりもした。 それでもやっぱり寂しくて、だから俺は今、古泉の部屋へと走っている。 今日行くと古泉には伝えてあった。 帰りの車の中でも、ずっとメールをしていたからな。 だから、そう驚くべきことではないのかもしれない。 古泉が玄関で待ち構えていて、俺が来るなり俺のことを抱きしめて、キスを寄越したなんてことも。 「お帰りなさい」 そんな言葉と共に降るキスは、甘く優しく、本物の感触が堪らなく腰に来た。 軽く触れるだけのそれでも、電話越しのキスより遥かに満たされる気がした。 「ただいま」 言いながら、俺は古泉にキスを返し、その体を抱きしめ返した。 「…寂びし、かった…ぞ」 メールや電話でならあれだけさらりと言えた言葉が、酷くぎこちなくしか言えなかった。 それでも古泉は、嬉しそうに笑って、 「僕もです。…あなたに会いたくて仕方がありませんでした。こうして会えて、あなたに触れられて、とても嬉しいんです。分かりますよね?」 「ああ」 だから、と俺は古泉の首に腕を絡めて、 「もっと、お前をくれ…」 と甘ったれた声で強請ってやれば、 「喜んで」 と口付けられる。 激しいそれに足腰が立たなくなりそうになりながら、古泉に縋る。 もっと、と小声で呟けば優しく抱き上げられた。 女装もしていないのにここまで甘えちまうのは、やっぱり足りなかったからだろう。 今、自分がどんな格好だとか、走ってきたせいでかなり汗をかいているとか、そんなこともどうだってよくなるくらい、古泉に会いたくて、古泉が欲しかった。 古泉も、嬉しく思ってくれているんだろう。 柔らかな曲線を描く唇が愛おしくて、しつこいほどに唇を求めてしまった。 重ねすぎた唇がひりひりと痛みそうになるほどキスをして、じれったいほどゆっくりソファまで移動した俺たちは、そのままソファに倒れこんだ。 かすかに預けられた古泉の体重が懐かしくて嬉しい。 また会えた。 また抱き合える。 長の別れでもなかったのにそんなことを思い、体は歓喜する。 「ぁ…古泉…」 「ここにいますよ」 優しく囁かれる言葉が胸を熱くさせる。 「いい、ですよね。このまましても」 そう古泉が聞いたのは、俺がいつもシャワーを浴びさせろと言ったりするからだろう。 だが今日は、 「ああ…」 と素直に頷いた。 シャワーを浴びる間も惜しい。 早く古泉を感じたい。 そればかり考えていた俺の首の辺りに鼻を埋めて、古泉は小さく笑った。 「あなたの匂いがしますね」 「っ…!」 「携帯電話というのは本当に便利なものですけど、あなたの姿も匂いも味も、伝えてはくれませんから」 「へ、んたいみたいなこと、言うなぁ…!」 「すみません」 ちっとも悪いと思っていない顔で笑った古泉は、 「久しぶりなので、自制がきかないみたいです」 「自制、なんて……っん、してんのかよ…」 「してますよ」 俺の肩を舐りながら、古泉は言った。 「あなたに嫌われないように、あなたに痛い思いをさせないように、我慢してます」 「…んなもん、いらねぇのに……」 そんなことをされてるとしたら、悲しいだけだ。 いつまでもどこまでも、俺は本当のこいつを知ることが出来ないと、改めて思い知らされたような気持ちになる。 俺ばかりが欲しているのだとばかり思ってきたのは、そう思わされてきたということなんだろうか。 古泉はどうしてそこまで隠そうとするんだ。 泣きだしそうになる俺を抱きしめて、古泉は殊更に優しく囁いた。 「僕は、あなたが思っているような人ではないかもしれません。あなたが思っているよりも狡くて、酷い人間かもしれません。僕は……あなたに嫌われてしまうことが、何よりも怖いんです」 「何がだよ…!」 俺が今更お前を嫌いになると思うのか? お前がどんなに狡くて非道な人間だったとしても、そうやってびくびくしてるので十分おつりが来るに決まってる。 お前はただ、いい子ぶるのに慣れ過ぎただけなんだろ? 「…そうですね、そうかもしれません」 古泉はふふっと鼻に掛かる笑いを漏らし、 「すぐには難しいと思うんです。でもいつか……あなたに全部見せられたら、と僕は心の底から思っているんです。それは、信じていただけますか?」 「ああ」 俺にも、こいつの事情くらいは分かってるつもりだ。 それに、嫌われたくないと思っているのは俺も同じだからな。 だから、 「待ってやるが……出来るだけ早くしてくれよ」 と囁くと、はっきりと頷かれた。 ところで、古泉が今日は自制がきかないと言ったのはどうやら嘘でもなんでもなかったらしい。 真面目に話している間にも、我慢しきれないとばかりに手が動き、俺の体を撫で回していたからな。 「本当に、今日は我慢できないみたいだな?」 からかうような調子で言ってやると、古泉はぱっと顔を赤らめ、 「す、すみません」 「別に、謝らなくていいから…」 本腰入れて触ってくれ、と小声で告げれば、 「ほ、本当に止まらなくても知りませんからね」 と真っ赤な顔で言われ、性急に服を引ん剥かれた。 いつもだったらじれったいくらいゆっくり脱がされるのをいきなりそんな風にするものだから、 「うわっ…」 と思わず声を上げると、びくりと身を竦ませるようにして古泉が手を止めた。 怯えるような顔は、なんだ、俺の方が悪い事をしたみたいじゃないか。 「すまん、ちょっと驚いただけだ」 笑ってそう言いながら、古泉の唇を強請り、 「…大丈夫だから、な…?」 と先を強請れば、言葉にすらならない様子で抱きしめられた。 固いくらいに粘る液体を纏った指が触れるのは解す必要のある場所だけで、いつもなら胸だの脚の付け根だの指先だのまで執拗に触ってくるくせに、そうする余裕もないのだと俺に教えてくれる。 言葉の代わりにキスを交わして、求めるように嬌声を上げる。 久しぶりの感覚が嬉しくて、愛しくて、余計に感じた。 「もう、大丈夫だから、早く…」 ぐちゃぐちゃになるほどそこをかき回す古泉にそう恥じらいもなく強請れば、 「本当に、大丈夫ですか…?」 と疑うように問い返された。 「ん…」 「久しぶりだから、無理はしない方がいいんですよ?」 「けど…お前だってもう、我慢出来ないだろ…?」 俺とは逆に軽く着乱した程度の古泉の、そのわずかに乱れた隙間から見え隠れするものに、余裕など伺えない。 「俺も、我慢出来ないから…」 自ら脚を広げて、広げた脚を閉じてしまわないよう両手で掴む。 自分で見えないような場所まで古泉の目にさらす。 感じるのは羞恥と、それに煽られた興奮と、欲だ。 「古泉が…欲しい……」 掠れた声でそう求めれば、 「…痛んだら、すみません。後でちゃんと手当てします。だから今は、」 許してください、と告げて、古泉はいつも以上に熱く昂ぶったそれを強引に押し入れた。 「ひっ……ん、くぅ…!」 出来るだけ堪えたつもりだが、それでも悲鳴が口の端から零れる。 「ぁ…大丈夫…ですか……?」 「…わり……。ちょっと、待ってくれ…」 ハアハアと真夏の犬みたいに息を乱しながらそう訴えれば、自分も苦しいだろう古泉は、それ以上動かず、俺が落ち着くのを待ってくれた。 「すみません…」 「大丈夫だって、言ったのは俺だろ。…お前が気に、すんな…」 「……好きです」 嬉しそうに顔を歪めた古泉がそう言って俺にキスをする。 その弾みで体の中に埋め込まれたものが動き、 「ぅ…っ……」 と声が漏れたが、さっきと比べたらずっと平気な声だった。 「そろそろ、動いていいですか…?」 「ああ…、動いて、くれ…っ…ひ、ぁ! あぁ…!」 俺の言葉を聞くなり腰を動かし始めた古泉に手を伸ばし、すがりつく。 早く、もっと、とあられもなく求めながら、体を寄せ合い、絡めあう。 そうして、久しぶりの行為は、早々に終った。 久しぶりだからだろうな、と俺が思ったところで古泉のそれが引き抜かれ、惜しいと感じた。 「…古泉……まだ、時間は平気だよな…?」 そう聞けば、それに続く問いかけなど必要ないのだろう。 古泉は柔らかく微笑んで、 「あなたの都合さえよろしければ、今日は是非泊まって行ってください」 「…そうだな」 放り出したっきりの荷物にお袋が怒るんだろうが、それくらいなら構わない。 甘んじて叱られることにしよう。 「お前がいいなら、泊めてくれ」 「どれだけ眠れるか知りませんけどね」 悪戯っぽく言った古泉に俺も笑って、 「それはこっちの台詞だ」 と今度は古泉を押し倒して上に跨ってやる。 「ちょっ……」 「まだ、全然平気だろ…」 そう言いながら軽く扱いてやれば、思った通りそれはすぐに元気を取り戻した。 「今度こそちゃんと他のところにも触れたかったんですけどね」 と苦笑する古泉には、 「勝手にすればいいだろ」 と返し、まだだらしなく白濁を溢れさせている場所へ、古泉のモノを押し当てる。 それだけで腰がしどけなく揺れた。 ゆっくり腰を落とせば、漏れるのは嬌声くらいだ。 「ぁ、ん……っ、く、る…! ひぁ、ぁあ…!」 「気持ちよさそう、ですね」 滑りもよくなってるから余計にな、とは流石に返さず、 「気持ち、いい、からな…っあ、んん…っ!」 余人には耐え難いような喘ぎ声の混じりの言葉に、さらにソファの悲鳴がぎしぎしと混ざる。 「僕も、いいです…っ…」 と言いながら古泉は俺の胸に手を伸ばし、今日はまだ触れていなかったその部分を軽く抓んだ。 ぴりりと走った痛みと快感に脚の力が抜け、思いがけず沈み込み、 「ひぅ…っ」 と声を上げた俺を見て、 「勝手にして、いいんでしょう?」 意地悪く笑った古泉に、 「っ、いい、から…」 と縋りつく。 この調子だと今夜は眠れんな、とそれさえ幸福に思いながらまだ明るい日の差し込んでくるカーテンの隙間を見て笑った。 |