前編に引き続き自重しないエロです
古泉登場で3P的な何かです
危険物です
苦手な人は引き返しましょう

















































レッスン(後編)



玄関から、
「ただいま帰りました」
という声が聞こえた。
それだけで体が硬直する。
どうしたらいいのか分からない。
いや、何か思いついたところでどうしようもない状況ではあったのだろう。
パニック状態に陥っていれば余計に良策が浮かぶはずもない。
泣きながら、
「い、やだ…! 来るな、来るんじゃない…っ」
反射的にそう叫ぶのが俺の精一杯で、
「…お前な、そんなこと言ったら余計に慌てて駆けつけてくるに決まってるだろうが」
と神様が指摘したのも当然だった。
慌ただしい足音の後、リビングのドアが開いたかと思うと、古泉が見えた。
呆然と立ち尽くす古泉に、涙が止まらなくなる。
しゃくり上げながら口の中で謝罪の言葉を呟く程度しか出来なかった。
「…これは……一体何事です…?」
困惑を形にしたような声でそう呟いた古泉に、神様が薄く笑うのが分かった。
「お帰り。もう少しだから、座って待ってろよ」
「…あなたは一体何です? ……いえ、そんなことは構いません。今すぐ彼を解放しなさい」
怒気をはらんだ声に、神様よりもむしろ俺の方が震え上がった。
怖い。
古泉にまた怒られたら、と思うと同時に、こんな風になっている自分のいやらしさゆえに嫌われたらと思うと、怖くて怖くてならない。
ごめんなさい、と無理矢理搾り出した声は、自分でもうまく聞き取れないくらい小さく、しかも震えていた。
神様は――それこそ本当に俺と同一人物なのかと疑いたくなるくらいの――余裕を見せつけるように、ふっと小さく笑うと、
「嫌だ」
短くそう答え、俺の中にもう1本、指を押し入れた。
古泉に見られて、ここまで絶望しているのに、快楽に飛びつく自分の体の浅ましさが嫌で嫌で堪らない。
声を上げて泣く俺に古泉が苦しげに顔を歪めるのが分かった。
そうして、
「彼を放しなさい」
と言いながら足早に近づいてきた古泉が、いきなりそのまま停止した。
「な…っ」
と絶句しているところからして、神様がまたもや何かしたらしい。
「大人しく待ってろ」
古泉に向かって冷たくそう言い放ち、神様は俺の耳元で囁いた。
「古泉が帰って来てからの方が感度が良くなってるだろ」
「…っ、ちが……、ひ、ンっ…!」
「嘘吐け。見られて、感じてるんだろ?」
違う、と首を振りながらも、視界の端に映る古泉の戸惑う様に、その視線に体が震えるのが分かる。
「安心しろ」
神様は面白がるように笑いながら言った。
「お前がどんな姿を見せようが、そこの古泉はお前を嫌ったりしねぇから」
そんなこと、分からんだろうが。
こんなみっともなくて申し訳なくてどうしようもないようなところを見たら、古泉だってきっと、
「信じろよ。神様が言ってやってんだからな」
悪戯っぽく笑った神様は俺の中から指を引き抜いた。
解放されてほっとすべきところなのに、淫乱な俺の体は刺激がなくなったことに不満を抱く。
もっと気持ちよくして欲しいと、神様ではなく古泉を見つめてしまう。
神様はニヤッと笑い、
「後は古泉にしてもらえ。して、欲しいんだろ?」
その言葉に、古泉が俺を見つめなおす。
困ったような顔に、胸がずきずきと痛む。
「ほら、」
急かすように神様が言うと、古泉の体は動くようになったらしい。
つんのめるようにして、俺に駆け寄ってきた古泉が俺の顔をのぞきこんでくる。
「大丈夫ですか…?」
本気で心配してくれていることが嬉しく、同時に申し訳なくて堪らなくなる。
「…っ、だいじょぶじゃ、ない…」
俺は古泉の服を握り締めると、ぎゅっと目を閉じながら言った。
「…して、欲しいから……、滅茶苦茶に、して……!」
小さく古泉が息を呑むのが聞こえ、ほとんど同時に頭を撫でられた。
頭を撫でてきたのは神様で、
「はい、よく言えました」
と茶化すように言いそえた。
古泉は、と怖々目を開くと、ぽかんとした顔で俺を見ていた。
呆れられた?
嫌われた?
それとも、と不整脈を起こしでもしたかのように脈打つ胸を押さえながら、暴走する思考を抑えようとしていると、古泉に抱きすくめられた。
「こいず…」
「本当に、あなたという人は……」
なんだって言うんだ。
「…困った人ですね」
そう言った古泉の目は笑っている。
どうやら嫌われてはいないらしい。
「僕以外の誰かの前で、そんなことを言ったりして……嫉妬の余りどうなってしまっても、僕は知りませんよ?」
「誰か、って、言ったって……」
そう言った俺の言葉を継ぐように、神様が笑いながら、
「俺とこいつは同一人物とみなしていいぞ。だから今のはひとりでやってたとでも思えよ」
「あなたは一体何なんですか? 彼の態度からして、どうやら悪いものではないようですが……」
「神様だ」
それで説明を終えた、とばかりに神様は俺の背中とソファの間に体を割り込ませると、俺の胸へと手を忍び入らせてくる。
「ちょっ……」
もう止めるんじゃなかったのか!?
「誰がんなこと言ったんだ?」
顔を見なくても分かるくらい、笑いを含んだ楽しげな声で言った神様は、
「ほら、ちゃんとして欲しいんだったら古泉にねだれよ」
「ねだる、って……」
「まだ分からないのか? そうだな……」
ぼそぼそっと俺にだけ聞こえるよう、神様はとんでもないことを吹き込む。
それがとんでもないことだということくらいは分かるのだが、だからと言ってそれに反発出来るだけの気力など残っていなかった。
それ以上に、体の方が限界でもあった。
俺が古泉に、
「…手、離して……くれ…」
と小声で言うと、古泉は、
「…はい?」
と首を傾げながらも俺を離してくれた。
古泉の体温が離れたことを寂しく思いながら、俺は神様に言われた通り、自分で自分の脚を両手で支えるようにして広げると、
「…古泉、が、欲しい……から、早く……入れ、て、くれ…」
羞恥で俺が真っ赤になったことなど言うまでもない。
古泉がまたもや唖然としたことも。
これでどうにかなったら本格的に恨むぞ、神様。
「大丈夫だろ。まあ、どうしてもダメだったら、俺が慰めてやろう」
「そういう問題じゃない!」
「ああはいはい」
と俺にいい加減な返事をよこした神様は古泉に目を向け、
「で、どうするんだ?」
「……あなたが、何を考えて彼にそんなことを吹き込んでいるのか分かりませんが、いい加減にしてはくれませんか?」
ため息を吐くように言った古泉はそう言った後、俺に向かって優しく微笑み、そっと俺の頬に口付けた。
「本当に……その、――いいんですか?」
「ん…っ、俺が、我慢出来ないから……」
そう言った俺を、古泉が優しく抱きしめる。
「愛してます」
殊更に優しすぎる言葉が胸に痛い。
こんな俺ですまない、と思った。
だから俺は、今度こそ古泉に届くように、
「……ごめん…」
「何を謝るんです?」
「こんな、俺で……っ、ごめん…。頼むから、嫌いにならないで……くれ…」
「…あなたはまたそんなことを仰るんですね」
もう何度目です? とからかうように聞かれ、余計に恥ずかしさが増す。
「あなたがどう思われているのか知りませんが、僕はあなたが好きなんです。何があっても、あなたがあなたである限り、あなたを愛してます。ですから、そう怖がらないでください」
本当に、いいのだろうか。
「いいんだよ」
笑いながら神様が言い、古泉は複雑そうな表情で神様を見つめた。
「…あなたはいつまでそこにいらっしゃるつもりなんですかね?」
「気が向く限り、だな。気にせず楽しんでくれ。俺は俺で楽しむから」
そう言った神様が俺の胸への刺激を再開した。
「…っ、ひぁ…!」
俺の耳元で、ただし古泉に向かって神様は言う。
「気に食わないって顔してるな。それなら、さっさと気持ちよくしてやったらどうだ? 俺が何してたって関係ないくらいに」
「言われるまでもありませんね」
不貞腐れるように言った古泉がズボンの前を寛げる。
既に硬く勃ち上がっているのは、俺のこの恥ずかしい有様を見ていて興奮したからだと思っていいのだろうか。
「ええ、そうですよ。……あなたは嫌がっていると思っても、目を離せませんでした。それくらい、綺麗ですよ」
何が綺麗なものか。
間違いなく醜悪なものに違いない。
それを綺麗だと思うお前の目は絶対おかしくなっている。
「もしそうだったとしても構いません。重要なのは、僕にとってあなたは、本当に愛おしくて堪らない、大切な人だという事実だけですから」
そう言った古泉の昂ぶったものを押し当てられると、期待に腰が揺れた。
「愛してます」
繰り返し何度もそう言ってくれる古泉を受け入れる場所は、浅ましくも悦んでそれを飲み込む。
「ひ、あ、…っ、ぁああ…――っ、」
入れられただけで簡単に達したくせに、それでも足りないと萎え切らないうちにまた立ち上がってくるところからすると、俺も一応若いってことなんだろうか。
ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てる場所は、足りないと訴えるように収縮する。
頭がおかしくなりそうなほどの強い快感に喉を震わせると、耳元で声がした。
「こんな風に美味しそうに飲み込んでますよ。本当に、淫乱な人ですね」
「ひあっ…! い、言うな…ぁ…!」
耳元で囁かれているということは、古泉じゃない。
古泉じゃないと分かっているのにその声が古泉のものと全く同じだからどうしようもなく体が反応する。
神様ってのは本当に何でもありなのか。
古泉の立てる鼻にかかったような笑い声まで真似しながら、
「気持ちいいんでしょう? 女性よりも猥らに咥え込んでるところが、あなたにも見えませんか?」
と意地の悪い言葉を吹き込む。
「…っ、ぅ……!」
さげすまれるような言葉は痛いのに、同時にぞくぞくとしたものが背筋を這い登る。
震える体が古泉のものを締め付け、古泉が小さく呻くのが聞こえた。
「…あまり、彼をいじめないでいただけますか」
俺がこんな風にして蔑まれるような言葉を投げ掛けられているからだろう。
静かに怒っている古泉に、神様はにやりと笑うと、
「こいつの方は、いじめられるのも気持ちいいらしいぞ。…まあ、お前の声だから、なんだろうが」
「……え」
驚いた様子で古泉が俺を見る。
恥ずかしいから見るな、と言うことも出来ずに目をぎゅっと閉じ、古泉に抱きついた。
「あ、の……」
「…っ、な、にも、言うなっ…! 頼む、から…ぁ!」
「……分かりました」
笑いながらそう言って、古泉が抽挿を再開する。
あられもない声を上げる俺の下で神様はそっとため息を吐き、
「……俺も帰るかな。俺の古泉の所に」
羨ましくなったのか?
「ヤりたくなっただけだ」
きっぱりと言い切った酷い言葉の大半はおそらく照れ隠しだ。
俺が小さく笑うと、そう思ったこともばれたのだろう。
神様は憮然として、
「余裕だな。もっといじめてやろうか?」
「それは…っ、あ、遠慮、する……っ、ん…!」
「ああそうかい」
不機嫌に呟いた神様は、そう言って俺の下から抜け出ると、
「帰る」
と一言言い残して姿を消した。
本当に幻か何かのように。
「……本当に、一体なんだったんです?」
古泉が心底不思議そうに呟くのへ、
「神様だって、さっきから言ってるだろ。気になるなら、後で説明してやるから……だから、今は…っ」
と訴えれば、古泉は呆れもせずに笑って頷き、俺の望みを叶えてくれた。

神様が言った通り、素直になっても……いいんだろうかね?