エロですよ
襲い受けっぽいのでご注意を































ステップアップ



初めて抱き合ったのは、メイド服を着せられた時。
泣いてしまった俺を慰めるため、古泉が俺を抱きしめてくれた。
初めてキスをしたのは、初めてデートをした日。
少しばかり余裕を見せた古泉をからかってやりたくて、俺の方から口づけた。
自分からしたくせに恥ずかしくて、耳まで赤くなった。
それから何度も抱き合って、キスをした。
それだけでドキドキして、満たされて、満足していたはずだってのに、気がつくと足らなくなった。
もっと、近くに感じたい。
恋人なんだと実感したい。
だから俺は、
「……今日、泊まるって言って、出てきたんだ」
ソファで隣り合わせに座っていた古泉の胸に抱きつくようにして、そう呟いた。
「え…」
驚いているのか戸惑っているのか、古泉が複雑な表情で俺を見た。
頼むからあんまり見るな、恥ずかしくなる。
「泊まってっちゃ、悪い、か?」
「いえ、そんなことはありませんけど……あの、それって…」
俺はすっと体を離し、
「…言わなくても、分かるだろ」
と言い、
「……風呂、借りるな」
と風呂に向かった。
古泉の部屋に泊まるのは初めてだが、来たのは初めてじゃない。
だから、どこに何があるのかと悩むことはないのだが、それで緊張しないというわけじゃない。
カバンから着替えや化粧道具を引っ張り出し、空にする。
代わりに脱いだものを入れて、間違っても見られないようにする理由はあえて問わないで貰いたい。
風呂に入って、軽くシャワーを浴び、全身隈なく洗う。
その行為だけでも恥ずかしくて死にそうだ。
もう後には引けないってのに、こんなところで羞恥を感じてどうする。
風呂から上がり、ハルヒたちと買いに行った下着をつける。
当然、胸パッドもつけた。
化粧も薄く、少しだけした。
そうでもなきゃ、無理だ。
今更男として、恋人たる古泉の前に出られるわけがない。
薄手の長いキャミソールを着て、風呂から出たのだが、古泉は俺が風呂に行く前と同じく、居間のソファに座っていた。
「上がったぞ」
「あ、は…い……!?」
振り返った古泉が驚きに目を見開いたのが分かった。
それは分かったが、この驚きはどういう種類の驚きだ?
ドンビキされたんだとしたら、こんなものを着ろとそそのかしたハルヒに責任を取らせてやる。
「古泉」
思ったより不機嫌な声が出たが、怒ったんじゃない。
ただ、不安でどうしたらいいのか分からなかっただけだ。
「すみません、少し、驚いて…」
「何で驚くんだよ」
「あなたがそんな格好をすると思わなかったものですから。でも、……とても、素敵です」
そう古泉が笑みを浮かべたので、ほっとした。
「そうか?」
「ええ、可愛いですよ。…その、本当に、いいんですか?」
何がいいのかと聞き返す必要はないだろう。
俺は頷いて、古泉を抱きしめた。
「悪かったら、ここまでしないだろ」
「そうですね。それは分かるんですが……」
おずおずと回された腕が俺を抱きしめる。
「不安に、なってしまうんです。幸せすぎて死んでしまいそうで」
「お前なぁ…」
どれだけ不幸慣れしているんだ。
「幸せなら、それを満喫しろよ。そうしたって、罰は当たらんだろ」
「……そうですね。あなたの仰る通りです」
苦笑混じりにそう言った古泉が、俺の耳元で低く囁いた。
「ベッドに、行きましょうか」
俺の返事は小さな頷きひとつだけだった。
俺も古泉も、後になってしまえば笑えるくらい、でもその時には笑う余裕もなくすほど緊張していた。
心細さに繋いだ手がなければ、そのまま逃げ出していたかもしれない。
ベッドに座らされて、キスされた。
触れるだけのキスから、深いキスに変わっていくのは初めてじゃない。
それなのに、それがただの手順に過ぎず、まだその先があるんだと思うと、余計に胸が騒いだ。
嫌な予感にも似たざわめきに戸惑っているうちに、俺の体はとさりとベッドに横たえられていた。
「古泉…」
震える声で名前を呼ぶと、
「大丈夫です」
と同じくらい緊張に震える声で答えられた。
俺は思わず吹き出して、
「全然、大丈夫そうに聞こえないぞ」
「すいません」
ぎこちない苦笑で返す古泉が、愛しい。
「でも、大丈夫だって言うなら、信じるから……よろしく、頼む」
「…はい」
そう言った古泉の手が、キャミソールをまくり上げる。
ブラにその手が掛かったところで、
「脱がす、のか?」
焦りながら俺が聞くと、
「いけませんか?」
と問い返された。
「いけないっていうか……男の胸なんて、触ったってしょうがないだろ?」
そう思って、胸パッドを入れて、ブラもしっかりつけてきたのに。
「僕は、あなたが女装しているからあなたが好きなのではなくて、あなたがあなただから好きなんですと、何度言えばいいんでしょうね?」
ため息を吐きながら言った古泉は、
「僕は、あなたが女装していなくてもいいんですよ。女装していないと恥ずかしいからと仰ったのはあなたでしょう? あなたは不本意かもしれませんけれど、僕はあなたの胸があろうがなかろうが構いません。だから、……外しますよ」
「んっ…」
背中に滑り込んだ古泉の手が、ブラのホックを外し、胸パッド共々、サイドボードに放り出す。
本当に露わになった胸に、古泉は愛しげに口付けた。
くすぐったい、と思ったそれが、明確な意図を持ってくすぐられ、弄ばれるとそれだけじゃないむず痒さが湧き起こる。
「ぁ、…っん、こいず、み…っ」
「気持ちいいですか?」
「ん……なんか、変…」
「嬉しいです。…感じてくださっているんですよね」
そう言った口が、乳首をくわえ、軽く歯を立てると、それまでより強いショックが走り、俺は思わず仰け反った。
「ひっ、ん…」
「すいません。強くしすぎましたか?」
「へ、いき…だから、……もっと、して…」
そう告げると、予想通りに古泉は目を輝かせた。
見たかった表情を見ることが出来たことに、俺は目を細める。
古泉が本当に俺を欲しているということを何よりも悦びに感じながら。
俺の反応に気をよくしたらしい古泉は、しつこいほどに胸を愛撫した。
それは確かに気持ちがいいことではあったのだが、それ以上に俺をあおり、昂ぶらせるだけ昂ぶらせておきながら、焦らすように決定打に欠くものだった。
その上、古泉はまだ迷っているのかそれとも自信がないのか、なかなかその先に踏み込んではくれず、俺は堪えかねて、
「…っも、胸はいいから、下も触れよ…!」
と自ら先をねだっていた。
古泉は驚いたように目を見開いたが、すぐに優しく微笑み、
「はい」
と頷いた。
その手が俺の腹を滑り、小さくて頼りない下着に触れる。
そこはすでに苦しいほどに張り詰めていて、そこから解放されるとむしろほっとしたくらいだった。
「胸だけでも、こんなに感じたんですね」
「わ、悪いか…!?」
ただでさえ赤くなった顔を羞恥で更に赤く染めながら俺が言うと、古泉はあくまで優しく、
「いえ、嬉しいですよ」
足首に引っかかった下着の感覚が嫌でそれを脚だけでなんとか外そうとしていると、熱を持った中心を握りこまれた。
「ひあっ…!?」
なんでそんなところまで触ってくるんだ。
「なんでも何も……気持ちいい、でしょう?」
「い、いけど…っ、なんで…」
ケツに用があるんじゃないのかよ。
「…だから、」
説教でも始めるように、古泉は深いため息を吐いた後、
「僕はあなたを女性や女性の代用品として見ているわけではないと何度言えば分かるんですか?」
「ぅ……だ、だって…」
やっぱり俺は信じられないのだ。
古泉が俺を好きだと言うそのことがではなく、俺が女装していなくても、いつも通りの、男の姿の俺であっても好きだと言うことが。
女の格好をしている時に好きだと言うのは分かる。
自分でも、綺麗だと思うような出来映えだからな。
だが、男の俺はどうだ。
平々凡々として特に何か変わった能力があるわけでもなければ、容貌がいいというわけでもない。
古泉みたいな頭も顔も性格もいい奴に好かれるだけの要因があると思えない。
それだけに不安で、どうしたらいいのか分からなくなる。
「あなたが好きです。あなたの優しいところも、照れた時に素っ気無くするところも、女装している時の小悪魔のように翻弄してくれるところも全てひっくるめて、あなたが好きです」
くすぐったい言葉とくすぐったいキスに、俺は目を細めた。
嬉しい。
それだけで不安が融けてなくなっていくように感じられる。
俺は古泉を抱きしめ、
「…俺も、好きだ」
だから、と俺は昂ぶったものを古泉の体に摺り寄せ、
「…お前と、最後までちゃんとしたい…」
「……分かりました」
古泉は覚悟を決めるようにそう言い、
「…うつ伏せに、なっていただけますか?」
「ん…」
ごろんと体を転がした俺は、
「…あ……ローション、あるから…」
ぴたっと古泉は動きを止め、
「……あの、今のは僕の聞き間違いですか…?」
「…んなわけないだろ」
俺は古泉の間の抜けた発言に呆れながら、ベッドの脇に放り出してあったポーチを引き寄せると、中から小さなボトルをひとつ取り出した。
「それって…」
「化粧用のだ。変なもん入ってないから舐めても平気だとよ」
「…それ、誰が言ったんです?」
「……ハルヒだ」
「……」
古泉は深いため息を吐くと、
「涼宮さんに認められているこの状況を望外の幸せと思うべきなのでしょうが、どうにも複雑な気分になりますね」
「…今更だろ。それより、ちゃんと使えよ。……痛いのは、嫌だからな…」
「はい」
苦笑しながら返事を寄越した古泉がボトルの口を捻る音がした。
冷たい液体の絡んだ指が押し当てられると、喉が引き攣った音を立てた。
「痛かったですか?」
慌てた様子で聞いてきた古泉には首を振ったが、それ以上は言えなかった。
くすぐったさに似た快感に、脚が震えそうになる。
なんてこった。
性癖についてはノーマルだと信じてたってのに、俺はどうもそうじゃなかったらしい。
指を突っ込まれて、それだけで感じるなんて。
羞恥心の余り、引き寄せた枕に顔を押し付けると、
「大丈夫ですか?」
と心配そうに聞かれた。
「だ、いじょうぶ…っ…」
「辛そうですよ?」
辛いといえば辛いんだが、それは古泉が中途半端な刺激しか寄越さないからだと言えるならまだいい。
しかし、そんなことが言えるようなら俺はもっとマシな恋愛経験を積んでいたに違いない。
どうしたものかと悶々としていると、
「やっぱり、やめておきましょうか…」
と指が引き抜かれそうになって、
「っ、や…!」
声を上げて、無意識のうちに指を締め付けていた。
「もっと、して欲しい、から…っ、やめんなばか…ぁ……」
泣きそうに震える声でそう訴えると、古泉がぽかんとしたのが分かった。
呆れられたか、引かれたか。
どちらにしろ最悪だ。
それでも、やめて欲しくなかったんだからしょうがないだろう。
「気持ちよかったん、ですか?」
感情の読めない、不安定な声でそう問われ、俺はこくこくと頷いた。
俺の全部ひっくるめて好きだって言ったんなら、貫き通せよ。
これで嫌いになるな。
ならないで、くれ。
「…嫌いになるわけないでしょう」
嬉しそうに笑う声がして、俺が顔を上げ、振り向くと、古泉に優しくキスされた。
「嬉しいです。――もし、痛いんだとしたらどうしようかと思ったんです」
そう言った古泉の指が少し大胆に動き、
「あ、やぁっ…」
「その嫌は、いいってことですよね?」
分かるだろ。
確認してくるな。
「教えてください。違ったらと思うと、僕も怖いんです」
「…そう、だよ…!」
羞恥で死にそうになりながらそう言うと、肩にキスされた。
古泉は繰り返し甘ったるい言葉を囁きながら、俺に言葉ではなく甘ったるい声を上げさせる。
ヘタレのくせにこういうことは巧いってなんだ、と腹立たしく思う隙も与えられず、喘がされる。
声を押し殺そうと思えば出来なくもない。
それでもそうしないのは、さっきそれをしてやめられかけたせいだ。
どこかのエロビデオみたいに声を上げて、腰を振って、戻れない領域まで堕ちていく感覚に、目眩すら感じた。
それでも、落下速度を緩めようとすら思えないほどには、古泉の与える快楽が大きく、なおかつ、俺は古泉が好きであるらしい。
「もう…いいですかね……」
慎重な言葉とは裏腹に、古泉の声には焦りにも似た熱が滲んでいた。
「んっ……いいから…早く…」
これ以上焦らされたくないとそう口にした俺を、古泉が仰向けにした。
「ぅあ…っ?」
何で、と戸惑う俺に、古泉は優しく笑って、
「あなたを見ていたいんです。本当に、あなたとひとつになれるんだと、僕に分からせてください」
恥ずかしい言葉の裏には、俺が抱く不安を打ち消したいという思いが透けて見えるような気がした。
「ん…。俺にも、分からせて…くれ……」
嬉しさで頷きかけた俺は、体勢を変えられることでもろに見えるようになった古泉のそれに、目を見張った。
「…ちょっ……っと待て、古泉」
「はい?」
お前は男臭さのかけらもない顔をしておいてこれか。
人のものなんざそうそうお目にかかったことはないが、それにしたってこれはグロいだろ。
どれだけ使い込んでやがるんだ。
正直に白状しろ。
というか、そんなもん俺の中に入るか!
物理法則でも捻じ曲げない限り無理だ、無理!
――その他、言いたいことはいくらでもあったのだが、口からはうまく出なかった。
セックスという行為に夢を見ていたわけでも、現実から目をそらしていたわけでもなかったつもりなのだが、俺の認識はどうやら甘かったらしい。
今になって、恐怖が湧き上がってくる。
誰だって痛いのは嫌だろう。
少なくとも俺は嫌だ。
あんなもの、入れられたら絶対痛いに違いない。
「あの…?」
困ったような顔をした古泉から、俺は目をそらし、小声で言った。
「ゃ…」
「や?」
「…やっぱり、怖い……から…」
自分から誘っておいて何を言うのかと咎められる覚悟だった。
さっきまであんなに喘いでいたと指摘されたってしょうがないと思っていた。
だが古泉は、一瞬だけ唖然とした表情を見せた後、力なく微笑み、
「それなら、仕方ありませんね」
と俺を優しく抱きしめた。
触れ合うものの硬さは、確実にその欲の強さを伝えてくるのに、それでも我慢出来る、我慢してみせると、言われた気がした。
……だめだ。
こいつには絶対に勝てない気がする。
それとも、勝てなくてもいいんだろうか。
こうして言動のひとつひとつにときめかされて、本来なら出来ないようなことをしてしまう俺は、こいつに踊らされているだけなのかもしれない。
でも多分、おそらくだが、こいつはそんなことを意識してやっているんじゃない。
ただ、俺を優先させようとしているだけだ。
自分だって辛いくせに。
「…ばかじゃないのか……」
俺が呟くと、古泉が小さく声を立てて笑った。
「据え膳食わぬは、と言いますから、僕は確かに馬鹿かも知れませんね。でも、世間でどう言われていようと、僕はあなたの意思を尊重したいんです。本当に好きなら、それが当然でしょう?」
その言葉にどれだけ俺が心拍数を上昇させているか、こいつは分かっているんだろうか。
その優しさだけで、好きという思いを、俺が自分自身でさえ恥ずかしくなるほどに募らせていることさえ、気がついていないに違いない。
恐怖で冷めたはずの体の熱が、またもや急上昇してくる。
覚えたての快楽にではなく、古泉への思いだけで体の奥まで疼きだす。
――ああ、もう、いい。
俺はどうしたって女にはなれない。
でも、女にならなくていいと、俺は女の代わりじゃないんだと古泉が言うならそれでいいんだろう。
逆に、男だからと反発したり、妙なプライドを持つことも、おそらく、必要ない。
これまででさえ、俺はいくつも情けない姿を見せているのに、古泉は幻滅する様子を少しも見せなかった。
それならつまり、俺のしたいようにしてしまえばいいってことなんだろう。
無理矢理結論付けて、俺は古泉の体を抱きしめた。
「…古泉」
「なんでしょうか」
声だけはあくまで平然と言う古泉が少し憎たらしくて、俺はその背中に軽く爪を立ててやった。
「っ、なんですか?」
「……本当に、やめんなよ…」
「……えぇと…それは…」
「どういう意味かなんて聞くなよ。……こんなに、なってんのに、放り出すとか…放置プレイのつもりか? お前が鬼畜属性だったとは知らなかったぞ」
「いえ、そういうつもりじゃないんですけど…」
ああ、そんなことは分かってる。
でも俺はこういう言い回ししか出来ないんだ。
許してくれ。
「それなら、……早く、くれよ。お前のこと…ちゃんと……感じたい…から…」
覚悟の割に、声はか細く震えた。
強く言わなければ古泉は動けないだろうと分かっていたはずだってのに、流石にそこまでは無理だったらしい。
「無理は、しなくていいんですよ?」
困惑も露わに聞く古泉の耳に、軽く噛み付いてやる。
「してねぇよ」
「…本当ですか?」
「本当だから……早く…」
至近距離にあった古泉の喉が、ごくりと鳴った。
「…いいんですね?」
「くどいぞ」
「くどくもなりますよ。…僕だって、不安なんですから」
俺も不安なんだから同じだろう。
本来なら、受け入れる側である俺の方がよっぽど不安は強いだろうに、古泉を見ていると同じくらい不安を感じているように見えた。
そのことに、ほっとする。
「痛かったら、爪を立てても何をしてもいいです。……流石に、もう、途中で止めたりすることは出来ないと思いますから…」
本当に余裕のない声を嬉しく感じるなんて、俺は本当にどうかしている。
「ん、俺も遠慮しないから…お前も、そうしろよ」
「……はい」
笑みを浮かべた唇が、優しく俺の唇に重なる。
優し過ぎるくらい優しくて、愛しい。
恐怖心を煽るものを直視しないように、俺は古泉の目を見つめた。
目眩がしそうなほど熱いものを押し当てられる。
「…ぁ……」
「入れますよ」
分かってる、と可愛げのかけらもない口を聞かないように、俺はただ頷くに留めた。
息を吐いて、体の力を抜くように努めると、それが押し入るように入ってきたのが分かった。
「ん、く…っぅ…」
「大丈夫、です、か?」
大丈夫なわけあるか。
熱くて痛くて気持ち悪くてどうにかなりそうだ。
なのにどうして俺は頷くんだろうな。
いや、理由は考えるまでもなく明白ではあるんだが。
体を切開かれるような痛みに耐えていると、不意に体が震えた。
痺れるような感覚が走る。
「…っ、そこ…」
「ここ、ですか?」
こくこくと恥ずかしげの欠片もなく頷くと、古泉がほっとした様子で笑った。
「分かりました」
額に汗を浮かべたその笑みは最中と思えないくらい爽やかだった。
思わず見惚れた瞬間、少し引き抜かれたものが、イイと告げた場所を抉るように強く刺激した。
「ひあぁっ…!」
目の前が一瞬白く染まる。
飛びそうな意識を留めたくて古泉の背中に爪を立てて耐える。
「あっ、や、やだ…っ、つよ、すぎる…っうん…!」
それまでと同じ「快感」という言葉で表現することさえ躊躇いたくなるような強いそれに、体を痙攣させる俺に古泉が囁いた言葉は、
「すみません」
という言葉だった。
的確に俺の感じる場所を突き、貫きながら、切れ切れに、
「あなたが、可愛すぎて…、止められません。でも、大丈夫、ですよね? 傷も、ついていませんし、…っ、あなたも、気持ち良さそう、ですし…」
気持ちいいということは否定出来ん。
が、そのために怖いというこの感覚は、こいつが受け入れる側でない以上、こいつには分からないんだろうな。
それに、そうだ、さっき決めただろう。
したいようにすると。
快感に踊らされて、溺れて、堕ちても、古泉は俺を見捨てたりしないと信じて、俺は与えられるものに縋った。
「気持ち、イイ、から…っ、ア…、もっと…」
「はい」
嬉しそうな古泉の声に、これでよかったんだと顔が綻ぶ。
「愛してます」
囁かれる言葉に答える代わりにキスをねだる。
「好きです。…あなたと、ひとつになれて、幸せです」
「…俺も」
答えながら唇を重ねて、背中に爪を立てて、貫かれて、扱かれて。
頭の中や視界以外の場所まで真っ白に染めるほど、俺たちは抱き合った。
記憶が飛び飛びになるほど貪りつくしてもなお、囁かれた恥ずかしいほど率直な告白の数々を、俺の頭は鮮明に記憶した。
その度毎に募らせた、愛しさと幸福感と共に。