エロです
キョンがデレデレ注意です
古泉のあまりにも突拍子のない発言に、あっけなく涙も止まった。 それこそ、返せと言いたくなるほどだった。 「…は……?」 何言ってんだお前。 ぽかんとする俺に、古泉は戸惑いを見せて、 「え、あの……違ったんですか? あの太夫と……」 「んなわけあるか!!」 思わず素で叫んだ。 俺がハルヒとだと? 有り得ん。 そりゃあ互いの尻がいつまで青かったかなんてことまで知ってるような間柄ではあるが、だからこそ、あいつと色恋沙汰なんてなり得やしない。 「え? で、でも、確かに以前……」 「はぁ?」 「…じゃあ、一体あなたは誰を好いて……?」 何の話だ? 誰かに根も葉もない噂でも吹き込まれたのか? 「いえ……そうではなくてですね……」 躊躇うようにしばらく考え込んでいた古泉は、かすかに目をそらしながら、 「…その、以前、あなたと太夫の会話をきいてしまったことがあるんです。あなたが誰かを好いているのにそれを言わないでいると……」 「……そんなことがあったか?」 さっぱり思い出せんが、しかしまあ、そんなことがあっても不思議じゃないといえば不思議じゃないか。 ハルヒのことだから、辺りに憚らず大声で俺を責め立てて当然だからな。 「僕の……勘違い、ですか…?」 間抜けな面をさらす古泉に、 「そうだ」 と頷いてやる。 「好いた相手なんて、いるわけないだろ」 そう誤魔化そうとしたのに、 「…いえ、それは嘘でしょう。好いた相手はいるはずです」 といやにはっきりと言う。 そんな確信をもたれるようなはっきりしたことを、俺は言っちまったのかね? 全く覚えてないんだが。 「…ですから、それなのに、仕事だからと無理をしなくていいんです……。あなたが、僕のことを好いてくださらないということは、よく分かってますから」 そう、古泉はとても切なそうに言った。 それが、悔しくなるくらいには、俺だってこいつが好きなんだ。 いや、俺の方がよっぽど好きに決まってる。 「――っ、この、ばか!」 ぽかりと古泉の頭を殴りつける。 殴ったその手を古泉の背中に回して、ぴったりと体がくっつくほど強く抱き締める。 もういい。 こいつにはほとほと呆れ果てた。 俺がどんな気持ちで、自分の本音を隠してきたかも知らないで、勝手なことを言いやがって。 「あ、の……?」 戸惑う古泉を、殊更にきつく抱き締めて、 「…俺が好きなのは、お前だ……」 と告げた。 声は小さくても、この距離ならちゃんと聞こえたはずだろ。 実際、古泉は、 「え……っ…」 と驚ききった声を上げた。 「だ、からって、…冷めたり、嫌いになったり…しないで、くれ……。俺は、心中立てなんてしないから、お前が嫌がることなんて、しない、から……だから……っ、逃げ、ないでくれ……!」 止まったはずの涙が零れて、古泉の肩を濡らす。 ひくりと体を震わせて泣きじゃくる俺に、古泉は優しく尋ねる。 「…僕が逃げるだなんて……どうしてそんなことを思うんです? …嬉しいに決まってるじゃないですか」 「……ほんと、か…?」 怖々見上げた古泉の顔は、とても優しかった。 「あなたが好きです」 「…っ、俺、も……、好き…だ……」 何度、そう返したいと思ったか。 今のこれだって、夢か何かに思えてくる。 「好き……、好きだ、古泉……っ…」 泣きじゃくりながらそう繰り返す俺の背中を、古泉は優しく撫でてくれる。 「僕が逃げると思ってたんですか? それで、ずっと嘘を吐いていたと……?」 「…そう、思うに決まってるだろ…! あれだけ、散々悪行三昧して、おいて…俺だけ例外だなんて、思えるかよ……」 「思って欲しかったですね。……本当に好きになれたのは、あなただけなんですから」 そう囁いた唇が、そろりと俺のそれに重ねられる。 何度もしたはずの口付けが、涙が出るほど嬉しい。 「…古泉……もっと……」 古泉も嬉しそうに頷いて、触れるだけの口付けが繰り返される。 それが次第次第に深くなり、どこからどこまでが自分なのかさえ分からなくなりそうなほどになる。 「…とけたい……な…」 「なんですか?」 夢心地のまま呟いた俺に、古泉は不思議そうな目を向ける。 「とけて、お前の一部になりたいくらい……だ…」 抑えつけてきた分、タガが外れたかのようだと思いはしても、留めようがない。 甘ったれた言葉ばかりが溢れてくる。 「…可愛いです」 感激しきった古泉が、ちゅっちゅっと恥かしい音を立てながら俺の頬に吸いつき、首筋にも音を立てて吸いつく。 その度にぞくんと体が震えるのは、それが気持ちいいせいなんだと嫌でも分かる。 恥かしいほど気持ちよくて、恥かしくて、それさえ、嬉しい。 「ん……っ、ぁ…古泉……」 「くすぐったいですか?」 「…ん……、気持ち、い……」 「可愛い……。好きですよ。あなたが…何よりも、愛しい……」 甘ったるく囁いて、古泉が帯に手を掛ける。 「…いいんですよね?」 「しなきゃ……許さん…」 可愛げもなく唸ったというのに、古泉は嬉しそうに笑ってくれる。 「ずっと我慢してたのは、僕だけではなかったということでしょうか?」 「…っ、そうだ、この、バカっ!」 罵って、またぽかりと頭を叩こうとしたのにあわせるように、しゅっと帯を解かれ、引き抜かれる。 「うわ…っ!」 驚いて声を上げれば、古泉は躊躇うような視線を寄越し、 「全部、脱がせても?」 「…したけりゃ、しろ、よ……」 「……嬉しいですね」 そう言って、露わになった胸元へと口付ける。 「あ…っ、ん……こい、ず、み……」 「仕事の相手では、脱がせてもいけないでしょう? …そんなのは、寂しすぎると思っていたんです。たとえ、あなたを抱けても、そんなのでは虚しいばかりだと……。だから、今、とても嬉しいんです……」 そう微笑んで、古泉はやけにいい手つきで俺の下衣までするりと解いてしまうと、何もかもをさらけ出すことになる。 熱っぽい視線で体をなぞられて、それにさえ感じた。 「は……っ、ぁ…古泉……あんま…見んな……」 「気持ちよさそうな声で、何を仰るんですか?」 少しだけ意地悪く笑った古泉は、するりと俺の膝に手をかけ、そこから体を撫で上げてくる。 くすぐったいだけで済めばいいのに、そうじゃない感覚にびくびくと体が跳ねた。 「ひぁ…! ふぅっ…ん、っ、んん……!」 「声を抑えないで……聞かせてください…」 「や…、あ…! ひぅっ……、そ、んな…ぁ……」 古泉の手の平が、腹の上から胸までなぞり、もう一度さっと撫で下ろされる。 「…ふぁあ……!」 「…感じやすいんですね」 「んな……」 「嬉しいんです。こんなあなたに初めて触れられるのが自分であることも含めて…ね」 「あ、ほか……っ、ちょ、それ……やめ……!」 古泉の指が悪戯するように俺の胸に触れてくる。 小さな突起は少しばかりの肌寒さに震え、立ち上がっている分だけ敏感になっているようで、ただ指で弄ばれるだけでも浅ましいほどの快感を拾う。 初めてのそれに翻弄されながら、それでも、嬉しいと思えた。 快楽が悪いなんて、それが過ぎない限り、誰も言わないだろう。 それに、こんなにも気持ちいいのは古泉にされるからだし、古泉にされるそれが気持ちいいのは、古泉と気持ちが通じているからだろう。 いや、単純に体の相性がいいとか、そういう理由でも別にいいがな。 色恋という言葉があるように、恋より先に色があるような時代だ。 体が合えば心だって合うだろ。 ましてや既に心が通じてるなら、気持ちよくもなるし、それを甘受したっていいはずだ。 そのくせ俺が抗うような声を上げちまうのは、ひとえにそれに慣れていないせいである。 他人から与えられる快感が初めてだとまで言うつもりはない。 俺だって、こんな場所に生まれ育ってるんだ。 それなりに経験だってあるさ。 だが、こうして本当の意味で愛されるのは、これが初めてで、それゆえに、快感だって比べ物にはならず、翻弄されるしかなくなる。 それが怖くて、くすぐったくて、不安で、幸せだった。 「好きです」 当代の男にしては簡単に、古泉はそう囁く。 そんなこと、口にするのを恥かしがるというか、する必要も無いと思う奴の方が圧倒的多数じゃないのかと思いながらも、 「…俺も…っ、好き、だ……から……」 負けじとそう返す俺もそうとういかれてる。 「ず、っと……言いたかった…」 言いながら、胸元にある古泉の頭を抱き締めると、一際強く吸いつかれた。 違う、そういう意味じゃない! 「だめですか?」 「…っだ、めじゃ、ないが……」 「…聞かせてください。あなたの話も……」 そう言っておいて、とても人の話を聞こうという態度には見えない様子で、古泉は俺の胸に吸いつき、小さな突起を甘噛みしたり、舌先で押したりして弄ぶ。 「ふあ…っ、ぁ……、っん……、ばか……」 ぞくぞくと体を震わせながら、俺は無理矢理に口を開き、 「……ずっと、っ…、言い、たかったんだ……。好きだって、ことも、……こんな、風に、してほし……って、こと…も…っ……!」 「…気付けなくて、すみませんでした」 いいんだ、と俺は首を振る。 気付かれないよう必死になってたのは俺の方なんだし、あっさり気付かれてたらそれはそれで悔しかったに違いない。 それに、ああやって我慢したから、今、その分も言葉を口に出来るんじゃないかとも思えた。 古泉の手が、するりと俺の横腹をなぞり、脚の付け根にまで触れてくる。 びく、と体を震わせた俺は、いくらか目を伏せながらも、 「…なあ、……自分でした方が、いい、か…?」 と尋ねる。 「自分で…って……」 「…前戯とか……女の子は自分でするだろ。そうした方がいい、か…?」 「……ご自分で、なさるんですか?」 驚いたような顔をした古泉の言葉に、俺の顔には朱が上る。 「っ、だ、から、仕事でなら、そうかとも、思った、し……それに、その……っ…」 「…欲しかった、と?」 こくりと力なく頷いた俺を、古泉はきつく抱き締めてくれた。 「だから、あんな本も読んで?」 「…っ、そ、うだ……」 「…本当に、可愛いんですから」 嬉しそうに古泉は軽く舐めた指を滑らせ、そこをつついた。 「ひぁっ…!」 「ここを自分で慣らしたりしたんですか?」 「ん……っ、あっ、ま、待て…っ、ひぅ……っ……!」 つぷんと指先が潜り、体が跳ねる。 「ああ、本当ですね。こんなに簡単に入るなんて……」 痛みや異物感を感じたっていいだろうに、自分でも慣らしたからか、それとも古泉の指だからか、さほどでもない。 ただ、羞恥だけは酷く強くて、 「や…っ、古泉っ、そんな……」 「触られて恥かしいんですか?」 お前に触られるのが、な。 古泉はくすりと笑ったかと思うと、空いている方の手で、先走りを滴らせる俺のものに触れてきた。 直接的な快感にびくりと体が震える。 「やぁっ……!」 その滑りをすくうようにして、古泉はその手も後ろへと滑らせ、くぐらせる。 「ひっ……! あ……ふ…っ、ぅぅ……」 「…あなたの中は柔らかくて、気持ちいいですね」 「…い、うな……!」 「どうしてです? …褒めてるのに」 褒められても嬉しくねえよ! 「あなたが自分で慣らすところも見てみたいような気もしますけれど、初めてならやはり僕にさせてもらいたいですから、今日はこのまま……ね…?」 そう言って古泉は、ぐちゅぐちゅと淫猥な音がするほどにそこをかき混ぜる。 それだけでも気持ちいいと感じちまうのに、痛いほど感じる場所を狙って突き上げられ、びくびくと体が跳ねる。 「やっ、いや……っ、んぅ…、それ、やだ…ぁ……」 いやいやと首を振っても、古泉は許してくれない。 寒さを忘れたようにじっとりと脚にもにじむ汗をそろりと舐め取って、 「本当に嫌ですか?」 と意地悪く聞くから、俺は苦しいのに古泉を睨みつけ、その体に手足を絡めるしかなくなる。 「…やめたりしてみろ……っ…。刃傷沙汰でもなんでも…っは、起こして、やる……」 「あなたに刺されるなら嬉しいくらいですけどね」 そう微笑んで、古泉は指を引き抜いた。 俺は自分から脚を大きく開いて、いやらしい姿を見せつける。 古泉を逃がさないように。 何より、自分が古泉を欲して。 「あ……っ、は、やく……」 古泉から向けられる、獣染みた熱のこもった視線に煽られながら、安堵もした。 古泉が本当に、そういう対象として自分を見てくれることが嬉しい。 「…好きです。本当に、あなたが好きです」 宥めるように繰り返しながら、古泉はその熱を押し当ててきた。 想像よりもずっと大きくて熱いそれに、体が緊張し、かすかに震える。 「大丈夫ですから。…痛むようならやめますし……」 優しく言い聞かせるような古泉の言葉に、俺は必死になって首を振った。 「や、だ……、やめるな…! 痛くても、いい、から……っ…」 欲しい、とまともに呟けたのかは分からなかった。 押し当てられた熱が、身の内を裂くように入ってくる衝撃に、四肢が突っ張る。 「ひぅ……っ、く……ぅあ……!」 痛みと熱とに悲鳴染みた声を上げながら、近くなった体を抱き締める。 「…んん……お…まえ、も……」 「…え……?」 きついせいか、古泉もしんどいのだろう。 苦しげに眉を寄せながら、こちらを見つめてくるのへ、俺は思い切り渋面を作り、 「…脱げ……っ!」 と罵るように言って、その帯を解き、無茶苦茶に乱す。 「ああ……すみません。あなたに夢中になりすぎました」 恥かしいことを囁きながら、古泉が着物を脱ぎ捨て、今度こそ素肌を合わせる。 ろくに動かそうとしていなくても、体の中に埋まったものの存在感は大きく、息をするのも苦しいくらいだ。 それでも、嬉しさが勝った。 「古泉…」 と独り言のように呟く。 そう呟くだけでも、苦しさが減る気がするってのに、 「…好きです……。…あなたとこうすることが出来て、凄く、嬉しいんです……」 と囁かれ、余計に苦しさを忘れた。 「なぁ……」 甘えるように古泉の首に腕を絡ませ、 「…動いて、いい、から……」 「……しかし…」 俺を心配してだろう。 渋る古泉にまた胸が熱くなる。 「平気だ。……それに、その……、そうした方が、気持ちよくなれると…思わんか?」 「……本当に、あなたという人は」 嬉しそうに微笑んで、古泉は俺に口付ける。 「ん…っ……ふ…」 「ゆっくり、しますからね……?」 その言葉通り、古泉はゆっくりと腰を引いた。 ずるりと体の中から引き抜かれるのは酷く寂しくも思えるのに、感じる場所を擦られて体が跳ねる。 「ひあ…っ! あ……」 「……可愛い」 微笑して、古泉はもう一度と腰を進めてくる。 今度こそ、狙いをつけてきたんだろうか。 痛いほど感じる場所をごりごりと擦りあげられて、思わず古泉の背中に爪を立てるほど縋りつく。 「っ、い、あぁっ…!」 「…気持ちいい、みたいですね」 にや、と少しだけ意地の悪いものを笑みに加えた古泉が、ゆっくりと、しかし短い間隔で腰を使い、そこばかりを狙ってくる。 「や…っ、ひあっ、やら……っ! それ、いやぁ……!」 「どうしてです? …自分ばかり感じるとでも?」 こくこくと頷く俺に、 「僕も、気持ちいいですよ。…それに、」 「ひぅ…っ! ふあっ、あっ、ぁあ…っ!!」 「仕事じゃないんですから、ね? もっと感じてください……」 そう言い聞かせて、古泉は更に強く俺を抱く。 「ひん…っ、ん、あぁっ、ア、も…っ……」 「いいですよ。イっても」 「…っ、く、ぅ――…!」 どくりと白濁を吐き出した俺を、古泉は愛しげに見つめて、 「大丈夫ですか?」 「ん……平気…だ……」 力は抜けたが、頭はむしろさっきよりはっきりしてくる。 だから、と俺は古泉を抱き締めながら、 「…お前も、早く出しちまえ」 と中を締め付けた。 「っ、な、にするんですか…!?」 焦るってことは、顔に出てる以上に余裕がないってことか。 にやりと笑って、俺は軽く下腹に力を込める。 「ぅあ…っ!」 「見様見真似でも、見てるものと数が違うからな」 何度か出し入れされた分、苦しさは薄れている。 だから、今度は俺がしてやろうじゃないかと中を締め付け、腰をくねらせる。 「くっ…、ちょっと……!」 「んん…っ、お前も、動かせよ…」 そう誘えば、恨めしげに見つめられ、 「…もう、知りませんからね」 と大きく腰を使われる。 「ふあっ…! ん、く……っ、い、ぃ……!」 痛みよりも遥かに強い快楽に呑まれそうになりながら、俺も古泉を貪った。 俺の方が貪欲だったかも知れない。 古泉が俺を気遣おうとするのに対して、俺は古泉にそうする必要性も感じていなかったし、それ以上に欲しくてならなかった。 数え切れないほど、好きと囁き、囁かれ、それこそ夢みたいに幸せだと感じた一晩だった。 |