エロですよー
自慰ですよー
ご注意くださーい














































熱の名残



ぼんやりとした状態で、俺は古泉の部屋を出た。
あの夏の消えてなくなってしまった経験を除けば、初めてとしか言いようのない体験のせいで、足腰はそれなりに痛むし、頭だって本調子ではないのだが、それでも古泉の部屋にそのままいるのは居た堪れない気分で、俺は古泉の制止を振り切って部屋を出てきたのだ。
もうとっくに日は暮れているのだが、俺の体と同様に、地面は熱を孕んだままだ。
浮ついたような、どこかおぼつかない状態で俺は家に帰った。
泊まるんじゃなかったの、と聞いてくるお袋には適当に返して部屋に籠もった。
ベッドにごろりと横たわり、天井を仰げば勝手に思い出されるのは、今日知ったあれやこれやのことばかりだ。
古泉の余裕のない表情。
熱を持った瞳。
「愛してますよ」と囁く甘ったるい声。
白くて綺麗な肌に残った俺の爪の痕。
それから、熱い――。
疼痛を持ったままだったはずの場所が、別の意味でずくりと疼いた。
これだから古泉にからかわれたりするんだ。
だが、若いんだからこれくらいは許してくれ。
俺はタオルケットに包まるとその中でズボンをずり下ろした。
緩く勃ち上がったものは、今日既に何度も精を吐き出したはずなのだが、……元気だな。
堪え性がないところまで本体たる俺と同じか、と嘆かわしい気持ちになりながらそれに指を絡める。
いつもならあまり触らないような、敏感な鈴口や亀頭に触れながら、古泉の手を思い出す。
動きは遠慮がちだったのに、触れる場所には遠慮の欠片もなく、俺が堪えきれずに声を上げると、子供みたいに嬉しそうに笑っていた。
溢れ出てきた先走りを、見せつけるように舐め取って、落ちてきた前髪をかき上げる仕草が恐ろしく扇情的だった。
人にそんな風に舐められたりするのは初めてじゃなかったが、拙い動きが妙に興奮を誘った。
古泉は本当に俺しか知らないんだと思うと嬉しくて、そのことに感じていた。
「んっ……ふ…ぁ……古泉…ぃ…」
くちゅくちゅとわざと音を立てながら名前を呼ぶと、ぞくりとしたものが背中を這う。
手が粘性の液体でべとべとに汚れたのを認識するだけでも興奮が高められる。
薄いタオルケットの中で体を曲げ、脚の間に手をやり、疼く場所に指を押し当てると、そこははしたなくも指を飲み込んだ。
柔らかな感触に包まれる感覚と入り口の締め付けが指にさえ感じさせる。
ここに、古泉のものが入ってたんだと思うと、余計に。
「っ、ぁ…」
いかん、気持ちいい。
「あ、ん、…っひぁ…!」
いかん、と思いながらも止められない。
ぎゅうぎゅうと脚で自分の腕を締め付けながら、強すぎるくらいに指で押すと体が震えた。
呼吸を荒げながら、思い切り強く刺激すると、途中からおざなりに握っているだけだったものが白いものを吐き出した。
「や………」
やっちまった…!
いや、今更といえば今更だ。
古泉とあんなことになるとは思えなかった時に古泉で抜いたことはある。
あるとはいえ……こんな、やった直後にそれを思い出してやるとか……。
なんかもう情けないとしか言いようがない。
とりあえず、明日古泉に会ったら説明はせずに謝っておこう。

「……すまん」
放課後、部室で顔を合わせるなりそう言うと、古泉は不思議そうに首を傾げた。
「何のことでしょうか?」
「いや、……とにかく、すまん」
「…はぁ……」
釈然としない様子でだが古泉が頷いたのを確認し、ほっとしながら腰を下ろした。
「キョンくんどうかしたんですか?」
朝比奈さんにそう問われても、
「いえ、大したことではないんですよ」
と笑って誤魔化すしかない。
それ以上追及されるとまずい、と何かいい口実を脳内検索していたのだが、
「ちょっとみくるちゃん! キョンなんかに構ってないで新しい衣装を着てみなさいっ!」
とハルヒが怒鳴り、朝比奈さんは、
「ひえぇ〜」
と声を上げながら服をひん剥かれはじめた。
そういう時、俺と古泉がすべきことはただひとつ。
出来うる限り早急に部室から脱出することだけだ。
ばたん、と後ろ手に閉めた部室のドアにもたれ、ため息を吐いたところで、古泉が顔を近づけてきた。
「な、なんだ」
「さっき、どうして謝ったのか教えていただけませんか?」
「どうして、と、言われてもだな……」
答えようがないものを聞かれてもどうしろって言うんだ。
「顔、赤いですよ」
くすっと笑いながら古泉が言い、俺の顔は余計に赤くなった。
こいつのこの余裕が腹立たしい。
やっぱり、こいつ年齢誤魔化してんじゃねぇのか?
とても同い年とは思えないぞ。
「もしかして、昨日ああして帰ったことについての謝罪だったりします?」
「え……あー…まあ、そんなところだ」
実際は違うわけだが、頷いておいた。
「気にしなくていいですよ。それより、あの後、大丈夫でしたか?」
「えっ!?」
俺が思わず声を上げると、古泉は怪訝そうに、
「…腰とか、痛みませんでした?」
そっちか。
「あ、ああ、大丈夫だった」
「よかったです。何しろ、初めてでしたから、不安だったんですよ。あなたはああして慌てて帰ってしまわれるし…」
「……すまん」
「いえ、構いません。あのまま何度も、なんてことになっていたら更にあなたに負担を掛けてしまっていたでしょうから」
「何度もって、お前…」
そんな雰囲気もなかったくせに何言ってんだ。
「我慢したんです」
照れくさそうに笑った古泉に、我慢なんてしなくていいと口走りかけ、思い留まった。
その代わりに、ぐっと古泉の袖を引っ張り、
「……今日も、行っていいか?」
と不安に震える声で聞くと、古泉は驚いたように目を見開いた後、柔らかく微笑み、
「ええ、お待ちしてます。今夜こそ、泊まっていかれますか?」
「明日も学校があるんだからそれは無理だろ」
「そうでしたね。すいません、嬉しくて、つい」
「…今度、土曜に何もなかったら、金曜に泊まりに行って、いいか?」
古泉は頷きながら俺の髪をそっと撫で、
「はい、もちろんどうぞ。いつでもとは言えませんが、出来る限りあなたの希望には沿いたいと思いますから、遠慮なく仰ってくださいね」
「ああ」
俺はきょろきょろとあたりを見回して人気のないのを確認した後、
「…ハルヒたち、まだかかるよな?」
「ええ、多分、まだまだでしょうね。コーヒーでも飲みに行きますか?」
「いや」
それより、と俺は古泉に抱きついた。
驚いたように古泉が息を呑むのが聞こえ、俺は小さく笑いながら、
「好きだからな」
と古泉の肩に頭を押し付けると、ぎこちなく背中に腕を回され、
「僕もです」
と返された。
その声の穏やかさが何より嬉しかった。
愛しさが胸の内に溢れ、俺は慌てて体を離した。
「どうかされましたか?」
きょとんとした顔で首を傾げる古泉に、俺は頬を赤くして、
「……っ、察しろ」
とだけ言った。
抱きしめるだけでしたくなるとか、自分がビョーキだと白状するようなこと、俺の口から言えるもんか。