エロです
兄ちゃんが軽い加虐に走ってます
キョンは相変わらずエロい子です(ちょ

それでよければどうぞー


















































酔っ払いの狂騒曲



きっかけは、とても単純な疑問だった。
俺も思ったことがあったし、おそらく一部の人間はそう思っていたことだろう。
しかし、口にしたのはハルヒが最初だったように思う。
「…一樹って、どれくらい飲んだら酔うのかしら」
呟いたのは部室――というかSOS団の溜まり場だな――でのことだった。
そこには俺とハルヒ、それから長門の三人しかいなかった。
朝比奈さんはいらしてなかったし、兄ちゃんは講義に行っていたのだ。
唐突な発言に、俺と長門は当然戸惑った。
しかしながら、長門は腐っても(間違ってない)スーパーコンピュータ以上の頭脳の持ち主だ。
俺より早く復活したかと思うと、
「試してみたら?」
へらりとした笑いと共に、無責任な提案をした。
「そうよね」
止める間もなくハルヒは頷く。
「やっぱり、試してみなきゃ分かんないわよね。んー、どうやったら酔い潰せるかしら」
酔い潰せるって……、潰さなくても酔わせたらいいんじゃなかったのか?
「酔う酔わないは緊張感のせいもあったりするらしいから、ここはやっぱ、キョンくんに人肌脱いでもらわなきゃねー」
等と長門に言い出されて、やっと危機感が勝った。
「お前ら、俺に何をやらせるつもりだ!?」
「別に、わかめ酒とかしろってんじゃないんだからいいでしょ」
と言われても、そんな腹黒そうな笑顔で言われて安心出来るか。
あと、お前だって若い女の子なんだから、恥らいの欠片もなく「わかめ酒」とか言うんじゃありません!
恥らえばいいってもんでもないが。
「ねーキョンくん、酒を気付かれないうちにアルコール度数上げとくのと、肝臓の機能を一時的に低下させるのならどっちがいーい?」
なんて不穏な質問もするな。
そんなもん、
「どっちも却下だ!」
「じゃあどうやったらいいってのさー。まともに飲ませるのも大変そうじゃん? いっちゃん、自制心はそこそこ強いし、のらりくらりかわすのは大得意だしー」
「大体、酔わせてみる必要なんてないだろ」
「そんなこと言ってー」
にやっと笑った長門の言葉を継いだのは、ハルヒだった。
「あんただって気になるでしょ?」
う。
そりゃまあ、俺だって、気にならないといえば嘘になるが…。
「確か、合宿でちょっと飲んだくらいじゃ全然平気な顔してたわよね?」
「そう、だった気がするな」
俺も記憶がほとんど飛んでるからなんとも言い難いんだが。
それは長門が、
「平気そうだったねー。顔に出ないのかもだけど」
と証言する。
「あの時、結構飲んでたわよね?」
「どれがあの時かわかんないけど、みんなで飲む時はそれなりに飲んでるよね。もちろん、セーブはしてるみたいだけどさ」
「うーん、強いお酒にするだけじゃ、すぐにばれそうよね。やっぱりここは有希の宇宙人的能力で…」
だから、
「それはやめろって! 兄ちゃんに何するつもりだよ!」
と割と本気で抗議したら、
「あんたって本当に…」
とハルヒには呆れられたが、長門は呆れもしないらしい。
「だーいじょーぶだってぇー。それに、キョンくんだって気になるっしょ?」
悪びれもしない笑顔で迫られ、俺は思わず言葉に詰まった。
「酒量の限界を知っておくのも大事って言うしさ、いい機会だと思わなーい?」
「だが、」
「急性アルコール中毒になったりしないようにするし、二日酔いにもならないようにしたげるからさ。あたしがどんだけ使えるか、キョンくんが一番よく知ってるんだから、信じてよっ」
そんな調子で次々言う長門に圧され、俺は反論の言葉さえ失わされた。
「決まりね」
楽しげに言ったのは当然ハルヒである。
しかし、長門もハルヒに負けないくらい楽しそうにしている。
「決まったねー」
「んで、具体的にはどうすんの?」
「一時的に、いつもより肝臓の機能を低下させるってのがいいやり方じゃないっかな? それなら、いっちゃんが変だなって思っても、体調がよくなかったからとかって誤魔化せるだろうし、機能回復も簡単だから」
「じゃあそれね。うまくやりなさいよ、有希」
「もっちろん」
にぱっと笑った長門は、
「でもさ、問題はどこでやるか、なんだよねー」
「どういうこと?」
「いや、いっちゃんのことだから、ハルにゃんがいたらついついセーブしそうじゃない? 昔の癖って言うかなんて言うかもあるしー」
「…そうね」
一瞬複雑な表情を見せたハルヒだったが、難しそうに眉を寄せてそれを打ち消し、
「じゃあ、あたしは後で結果を聞いて我慢するしかないわね。残念だけど」
「でもって、あたしも多分だめだよねー。てゆうか、いっちゃんが気を許すのって結局キョンくんだけだし」
女性陣二人からじっと睨まれ、俺は戸惑うばかりだ。
「兄ちゃんは十分、お前らにも気を許してると思うが……」
「程度が全然違うの!」
程度が同じだったら俺の立つ瀬がないだろ。
無茶苦茶言うな。
「…キョンくん」
「なんだよ」
呆れた声を出すな。
憐れむような目線が、正直、居心地が悪い。
「…キョンくんも、堂々とのろけれるようになったねぇ…」
「……放っとけ」
指摘されると急に恥かしく思えて顔が赤くなった。
ハルヒは笑いながら、
「それくらいで赤くなるようじゃ、まだまだね」
まだまだってのはなんだ。
顔色一つ変えずにのろけろとでも言うつもりか。
「ま、そんな調子だから仕方ないわ。あんた、責任を持って報告しなさいよ」
「報告って……」
「それが嫌なら、有希にのぞかせてやってもいいけど」
「却下だ!」
「でしょ」
とハルヒが勝ち誇ったように笑うのはまだいい。
だがな、長門、えーとかなんとかブーイングするんじゃない。
「だってー、どうせならのぞいてみたいよー。いっちゃんがどう乱れるのかとか、ものっそ気になるもん!」
「のぞき行為は一切禁止だって前にも言わなかったか?」
「えー、言われたっけー?」
「長門」
「へぇい……」
恐ろしく不満そうにだが頷いた長門にため息が出る。
しかし、のぞかれるよりはずっといい。

そう思った俺はどうやら甘かったらしい。

決行は早い方がいいと急かすハルヒたちに連れられて、スーパーでどさりとビールやチューハイを買い込んだ時には、未成年云々と言ってももう遅かったのだ。
酒を抱えて家に帰った俺を迎えたのは、兄ちゃんの苦い笑顔だった。
「お帰り、キョン。ハルヒたちとの買い物は楽しかった?」
「ただいま」
言いながら俺は真っ直ぐ冷蔵庫に向かい、買ってきたものを仕舞う。
「楽しくなかったわけでこそないが、振り回されて疲れた」
と俺が返事をすると、兄ちゃんは笑って、
「そりゃ、楽しかったみたいで何よりだね」
と言う。
どうやら、夕飯の支度に夢中で俺が何を買って来たか、まだ気付いてはいないらしい。
俺はぱたんと冷蔵庫を閉じながら、
「なあ、兄ちゃん」
「ん?」
「…振り回されて疲れたんだ」
「うん、聞いてたよ?」
不思議そうに首を傾げた兄ちゃんをじっと見つめて、
「…だから、ちょっと付き合ってくれるか?」
「……何に?」
「…ヤケ酒?」
ふ、と小さく吹き出した兄ちゃんは、
「なんで疑問形なの」
と声を立てて笑った。
「いや、ヤケと言えるほどじゃないから…」
「本当は言うほど嫌だったわけじゃないくせに」
にやっと笑いながら、兄ちゃんは俺の頭をくしゃりと撫でてくれた。
その、見た目に寄らず少し乱暴で、ぶっきらぼうにも思える仕草が、やっぱり好きだ。
思わず目を細めると、
「とろけそうな顔しちゃって」
「わ、悪いか…!?」
兄ちゃんがそんな風に触るからいけないんだろ!
「ただ撫でただけなのに」
くすくす笑いを漏らしながら、兄ちゃんは冷蔵庫を開けて、
「またえらく買い込んだね」
「…酒売り場なんて滅多に行かないから、珍しくて、つい……」
「ああ、それで銘柄も種類もばらばらなんだ」
「ん。色々味見してみたいから、兄ちゃんも一緒に飲んで。……ダメ?」
「ダメなわけないだろ」
優しく笑った兄ちゃんが、俺の左耳をそろりと撫でるようにして俺の頭を支えると、そのまま触れるだけのキスをくれた。
「たまにはそんなのもいいよね。明日はお休みだし」
「ん、ありがとな、兄ちゃん。……大好き」
軽く抱き締めるだけで体を離したのは、鍋がくつくつと兄ちゃんを呼んだからだ。
そうじゃなかったら、ハルヒの指令も何も忘れて、兄ちゃんを床に押し倒していたかも知れん。
ともあれ、無事に第一の関門はクリアーしたわけだが、これで安心とはいかない。
なにせ、兄ちゃんが途中で、酒の回りの早いのに気が付いて飲むのをやめようとする可能性もあったし、逆に俺の方が早々に酔い潰されるという可能性がないでもなかったからな。
冷や冷やしながら、俺は兄ちゃんとの食事をはじめ、酒の缶を開けたわけなのだが、
「なんだか、今日は緊張してる?」
と兄ちゃんに聞かれて、冷や汗が一気に吹き出た。
「なんで兄ちゃんといて緊張するんだよ」
と返しはしたものの、見抜かれたかと思うと冷や冷やどころか寒気がした。
もし計画を気取られて、兄ちゃんに叱られたら、いや、それだけならまだしも、兄ちゃんに嫌われでもしたら。
「もしかして、」
兄ちゃんの言葉に、心臓さえ止まりそうになる。
だが兄ちゃんは優しく笑って、
「明日がお休みだから、何かされるんじゃないかって思って緊張してたりする?」
と的外れなことを言ってくれた。
「何かってなんだよ」
むくれながら言えば、兄ちゃんは妖しい忍び笑いを漏らし、
「なんだろうね?」
なんて返す。
「…兄ちゃんは、俺の嫌がることはしないだろ?」
「そうだね。きっと出来ないと思うなぁ」
言いながら、兄ちゃんはくっとグラスの発泡酒を飲み干した。
その喉の動きにさえ見惚れながらも、俺は言う。
「だったら、何されても、いい」
「…キョンってば、本当に可愛いな」
そう笑って、兄ちゃんは俺の頭を撫でる。
「ん、お酌出来ないだろ?」
言いながらも、俺は兄ちゃんに擦り寄って、体を触れさせながら、グラスにまたなみなみと酒を注いだ。
「兄ちゃんは、どういう酒が好きなんだ?」
「特に好きも嫌いもないかな。美味しければ飲むって感じで。好みって言っても……うーん、どちらかと言うと、甘ったるいのよりはさっぱりしたのが好きってくらい、かな?」
「へぇ…」
俺は冷蔵庫を漁って、買って来たばかりのカクテルの缶を引っ張り出し、
「じゃあ、これとかどうだ?」
「ん、好きかな」
兄ちゃんがそう言って笑ってくれるのが嬉しくて、俺は兄ちゃんの好きそうな酒を選んではグラスに注いだ。
俺も、一緒に飲んではいたのだが、グラスを空けないようにと心がけ、その分兄ちゃんにあれこれ話していたため、そんなに飲まないでいられた。
兄ちゃんに変化が訪れたのは、10本近くの缶が空いた頃のことだった。
赤い顔をした兄ちゃんが、いきなり俺を抱き締めたのだ。
「兄ちゃん…?」
眠くなりでもしたのか、と尋ねた俺に、兄ちゃんはふわふわした夢心地のような声で、
「さっき、言ったよね…?」
「何をだよ」
「僕になら、何されてもいいって」
一転して、ぞくりとしてしまいそうな低い声で囁かれて、勝手に背筋が震えた。
「兄ちゃん……?」
「言ったよね?」
「い、った、が……兄ちゃん、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ」
そう笑った兄ちゃんが、いきなり俺を床に押し倒した。
あまりに突然のことで、俺は強かに頭をぶつける破目になった。
兄ちゃんらしくない。
「にっ、兄ちゃん!?」
「んん、ごめん、ちょっと手元が狂ったみたい…。大丈夫だった?」
兄ちゃんは優しく俺の頭を撫で、そこに唇を触れさせた。
その間も、俺を組み伏したまま、離そうともしない。
何かおかしい、と遅れ馳せながら、俺が気付いたのはこの時だった。
「兄ちゃん、酔ってる……?」
「…ん、ちょっとだけ、ね」
ちょっとじゃないだろ、と思う俺の服に手を掛け、兄ちゃんはいとも容易く俺を剥いていく。
ついつい流されそうになったが、酔っ払った状態でそういうことをするのは危ないんじゃないのか?
「やっ、に、兄ちゃん…!」
「何が嫌なんだい?」
そう問い返す兄ちゃんの目つきが怪しい。
「よ、酔っ払ってるのにそういうのは、やらない方が……」
「……したくないって?」
いつになく低い声で言われて、体が竦んだ。
「に、いちゃん……?」
「ふぅん、そういうこと、言うの」
向けられる視線がどこか冷たくて、心身ともに硬直しそうになる。
でも、
「だ、って、兄ちゃんに何かあったら、俺……っ…」
「うん、そうやって言ってくれるのは嬉しいよ。でもね、」
兄ちゃんは俺の胸に手を当てながら囁いた。
「僕が大丈夫って言ってるのに、信じられない?」
その言葉と同時に、きつく胸の突起を抓られ、
「ひぃ…――っ!」
と悲鳴が上がった。
痛い、というよりも恐怖の方が先立った。
どうして兄ちゃんがこんなことをするのか分からなくて、何をされたのか一瞬理解出来なかったくらいだった。
「あは、真っ赤になってて美味しそうだね」
酷薄に笑った兄ちゃんを信じられない気持ちで見つめる俺に、それ以上優しい言葉も慰めもなく、兄ちゃんは真っ赤にしたそれを口に含んだ。
優しく舐められ、勝手に体が震えた。
「やっ、ぁ……にいちゃ…」
痛くされた直後の優しさは、それだけで蕩けそうになるくらいだってのに、
「可愛い」
と言い様、兄ちゃんはそこを手酷く噛んだ。
「やぁ…!!」
唇を「い」の形にしたまま、兄ちゃんがそれを引っ張ると、痛くて涙が出た。
「やっ、やだ…!」
俺はもうすっかり駄々っ子か何かのようになって、兄ちゃんを強引に引き剥がすと、胸を庇うように腕を交差させ、身を縮めた。
「こら、そういうことするの?」
怒った風でなく、笑いながら兄ちゃんは言ったのに、それが俺には怖いくらいだった。
「兄ちゃん、変だ…っ……」
「変? そうかな。酔っ払ってるだけだよ。…だから、普段ならしたくても出来ないようなこと、しちゃうってだけ」
にぃ、っと唇を細い三日月のようにして、兄ちゃんは俺のズボンに手を掛けた。
「っ!?」
「そっちが嫌なら、こっちしかないよね?」
くすくすと意地の悪い笑い声を立てながら、兄ちゃんはズボンを脱がせにかかる。
「やっ、やめろってば!!」
必死に脚をばたつかせて逃れようとしても、兄ちゃんはいとも簡単に俺の脚を掴み、押さえ込んでしまう。
「全く、今日のキョンは素直じゃないな」
そう言いながら、俺をすっかり裸にしてしまうと、わざとらしくじっくりと俺を見つめた。
それこそ、髪の毛の一本一本から、爪先まで全部余さず見つめるような視線に、それだけでじくじくとした熱が蠢くように思った。
「ふふ、見られてるだけで感じれるなんて、キョンは可愛いね」
ほら、と兄ちゃんは熱を体現するようなそれを見つめて、
「もう勃ちかけてる」
「や…! 兄ちゃんの、意地悪…」
「意地悪はどっちだい? 僕がしたいってお願いしてるのに、はいと言ってくれなかったくせに」
兄ちゃんは強引に俺の脚を割り開き、何もかもを明らかにしてしまうと、そのままゆるく勃ち上がった中心に唇を寄せた。
「に、ぃ、ちゃ……」
「期待してる?」
「だ、れが……っ! いあぁ…!!」
叫んだのは、兄ちゃんがいきなりそれを噛んだせいだ。
勿論、全力ではないにしても、いきなりの、しかもかなり強烈なそれに、目から星が出るかと思ったくらいだ。
「ひ……ぃ…」
恐怖と痛みに震え、歯をかちかち言わせる俺に、兄ちゃんは嫣然と微笑んだ。
「可愛い」
その一言に、涙が溢れて止まらなくなった。
兄ちゃんが怖くて、兄ちゃんが余りに遠く思えて、悲しくなった。
「泣き顔も、怯えてる顔も、みんなみんな、可愛いよ」
声も言葉も優しいのに、その手はきつく俺のものを扱き、握り締め、弄ぶ。
どうしたらいいのか、どう考えたらいいのか分からなくて、混乱した俺は、泣きじゃくるしかない。
「どうせなら、甘い喘ぎ声を聞かせてよ」
ねぇ、と言いながら、兄ちゃんはそれを口の中に迎え入れ、強く吸い上げた。
「あぅ…っ、ぁ…!」
思わず腰が浮き上がりそうになるのは、それが気持ちいいからで、痛い目に遭わされた後のストレートな快楽は、俺のやわな精神など壊してしまいそうなほどに効果的だった。
痛いのは嫌だ。
でも、気持ちいいなら、なんて思いそうになるが、
「っ、兄ちゃんっ、だめ、だって…!」
「なんでそんなこと言うの」
咎めるように兄ちゃんは俺を軽く睨む。
その間も、手はキワドイ部分を羽根で触れるようにやわやわと撫でさすっていて、油断ならないことこの上ない。
「なんでって、だか、ら…っ、ひ、にいちゃ、が、っぁ、酔って、る、から…ぁ…!」
喘ぎ喘ぎの言葉は酷く聞き取り難いってのに、兄ちゃんにはちゃんと聞こえるらしい。
「これくらいなら平気だよ。酔ってるって自覚はあるし、だから、無理もしないつもり。……だけど、」
と兄ちゃんは俺の内腿を赤くなるほど抓って俺に悲鳴を上げさせておいて、
「キョンがあんまり抵抗するんだったら、無理することになっちゃうかなぁ?」
「う、ぇ……」
「キョンが協力してくれるなら、無理せず、手早く終えられるだろうし、心臓とかに負荷がかかるほど、興奮もしないで済むと思うんだけどね?」
「え……」
「だから、キョン次第だよ」
そう言って兄ちゃんがにっこりと微笑むから、俺はどこかおかしいと思いながらも、
「……本当に、無理しない、か…?」
「うん、しないよ」
「…だ、ったら、いい……」
なんて言っちまったのだ。
「ふふ、キョンは本当に可愛い」
そう言いながら抱き締める兄ちゃんの腕は本当に優しくて、暖かくて、これならもう痛いことはされなくて済むんだろうと安堵した瞬間。
「ねぇ、我慢出来ないから、していいよね?」
「え、……っ、――――――!?」
悲鳴すら、上げられなかった。
なんの準備もしてない場所にいきなりありえない質量を押し入れられ、呼吸すら止まった。
「かっ……は…っ……ぐ…」
息をすることさえやっとの俺をきつく抱き締め、貫きながら、
「きっつ……」
などと呟く兄ちゃんを、いっそ引っ叩くかどうか出来たらまだよかったんだろうが、俺はそれどころじゃなかった。
「凄いね。きつくても、ちゃんと入るなんて」
意地の悪い笑い声を立てながら、兄ちゃんは強引に俺の体を揺さぶる。
「ああでも、やっぱりちょっと切れちゃった? 血が滲んでるよ。……見たい?」
ニヤリと笑った兄ちゃんは、残酷に俺の体を折り曲げ、結合部を俺の顔へと近づけるようにした。
「ひあっ、い、た…っ! やぁ…っ! やだぁ…」
「可愛いよ、キョン」
囁かれる睦言の優しさはいつもと変わらないのに、行為だけが激しくて痛い。
「泣いてても、痛がってても、キョンは可愛い。…愛してるよ」
そう言いながら、ぶつかり合う肉が音を立てるほどに、兄ちゃんは腰を振るった。
「いっ、ひ、ぃぃ…!」
痛い。
涙が止まらないほどに痛い。
怖い。
本当に俺を抱いて、貫いているのは兄ちゃんなのかと疑いたくなるほどに怖い。
それなのに。
どうして。
「んっ、気持ちよく、なってきた…?」
「ひあっ、ぁっ、やぁぁ…っ、だ、め…! そこ、やら……!」
ずんと最奥を突かれるのも、ごりごりと執拗に前立腺を抉られるのも、いつもとは比べ物にならないほどに遠慮がなくて、快感と痛みがごっちゃになる。
過ぎるほどの快感が痛いのか、それとも痛覚がマヒして快楽を得るようになってしまったのかさえ、分からなくなる。
「いやらしい」
酷い言葉にさえ、熱を煽られた。
「凄い顔してるよ。顔から出るものは全部出てるような顔。……すっごく可愛くて、興奮する…」
「やっ! ヒっ、壊れ、る、ぅ……!」
「壊したりしないよ」
そう言って兄ちゃんは優しく俺を抱き締めた。
「大事な大事な、愛しい愛しい、僕だけの、弟で、生涯の伴侶なんだから」
「しょ……?」
「生涯の伴侶。…ずっとずっと、一緒にいてくれるんだよね?」
「…あ、たり、まえ、だろ……」
苦しく息を吐きながら、無理に手を伸ばし、兄ちゃんの背中に腕を回した。
抱き締めるには力も酸素も足りない。
それでも、気持ちは伝わった。
「愛してるよ」
その囁きで、安心したということだろうか。
俺は痛みも恐怖も忘れて、そのまま意識を手放した。

翌朝、目を覚ました時には俺の体は綺麗に清められていたが、それでも無理矢理に引き裂かれた場所はひりひりと痛んだし、叫び過ぎた喉は同じくらい痛む。
なのに、俺は兄ちゃんに文句をぶつけて、向こう一週間の禁欲宣言なんてことさえ、出来そうにないのだ。
痛かったし、今だって痛いのだが、それくらい、昨夜の激しい行為はよかった。
……って、俺は本当にどうなっちまうんだ。
思わず頭を抱えたところで、兄ちゃんがこそこそとドアの隙間から顔をのぞかせた。
「キョン、大丈夫…?」
「に、いちゃ……」
反射的に赤くなった俺を心配そうに見つめて、
「…ごめんね、酷いことしちゃって」
その言葉で、俺の顔は更に熱を持ち、赤く染まる。
「酔ってたとはいえ、やり過ぎたよ。…本当に、ごめん」
真摯に頭を下げる兄ちゃんに、俺は怖々聞いてみた。
「…全部、覚えてるのか?」
「そのはず、だよ。少なくとも、記憶が飛んでるようなことはないからね」
「……それなのに…」
なんでそこまで謝るんだよ。
覚えてるなら、俺が痛いことをされても感じてたことだって覚えてるはずだろ。
あれが本当に、兄ちゃんがしたいけど我慢してることだって言うなら、しょっちゅうじゃなくてたまになら、付き合ってもいいかなんてことを思ってたってのに……。
「キョン?」
俺はじとっと恨みがましく兄ちゃんを睨み据え、
「……兄ちゃんの、へたれ」
と毒づいた。

しかし、それにつけても気が滅入るのはハルヒたちへの報告である。
一体どう報告しろって言うんだ?
洗いざらい吐かされた日には、俺はそれこそ舌を噛み切って死ぬしかなくなると思うのだが、かと言ってうまく誤魔化す方法も思いつかん。
俺には、ハルヒたちが曖昧かつ不明瞭な説明でも満足してくれることを祈る他なかった。