エロですよー
色々と珍しい展開ですので
何が起きてもいい覚悟でどうぞ
目を開けると、目の前に自分の顔があった。 いつも以上の間抜け面で眠っているのが腹立たしく、額にでこピンを食らわせたのは、これが夢だと思っていたからだ。 そうすりゃ目も覚めるだろうと思ったのだが、案に相違して、俺の額にそんな衝撃は来なかった。 痛くないのも夢だからかと思いかけたが、でこピンを食らわされた「俺」が額を押さえて飛び起きた。 「痛いですよ…っ! いきなり何するんですか…………って、え……あれ…?」 そいつは俺をまじまじと見詰めて目をぱちくりさせている。 頼むから俺の顔でそんな間抜け面はしてもらいたくないんだが。 「いえ、その前に今の異常な状況をきちんと把握することにしませんか?」 「現実逃避くらいさせてくれ…」 朝だと言うのに疲労困憊し、脱力しきって放った言葉は、やけに耳慣れた美声として響いた。 状況の把握も何もないだろう。 どうなったのかなんてことは嫌々ながら分かっちまってるんだからな。 「やはり、涼宮さんの力ですかね…」 難しい顔で呟く俺の顔に激しい違和感を抱いた俺だったのだが、その後笑顔になられて更なる違和感に苛まされた。 この上なく気色悪い。 「酷いですよ」 「文句を言いながら笑うな」 「いえ、面白いものですから」 お前な。 「あなただって、面白がっているでしょう? SFや超常現象が好きだったと言うあなたのことです。誰かと入れ替わったら、なんて夢想にふけったことだってあるのでは?」 そりゃ、ないとは言わん。 「というか、普通に会話を進める前にその気味の悪い喋り方をやめてくれ」 「気味が悪いとは心外ですね。僕はいつも通り喋っているだけですよ」 「俺の顔と声でやられると気色悪いことこの上ないんだよ」 「僕としても、自分が思い切り渋い顔をしているのを見るのは複雑な気分なんですけどね。だからと言って、あなたに僕がしているようにしてくださいと言うのは酷でしょう?」 「無理だ」 断言した俺に、古泉は微苦笑を浮かべた。 …古泉の顔でやられたらどうってことはないどころか、むしろかっこよくすらあるはずのそれが、自分の顔でやられるとこうも気の抜けたものになるというのは、やはりもともとの造作の違いのせいなんだろうな。 全く、残酷なもんだ。 「さて、どうしましょうか」 「うん?」 「長門さんに電話でもします?」 「……原因はどうせハルヒなんだろ?」 「現時点では、他には考えられませんね」 「なら、放っときゃいいだろ。あいつのことだ、さっさと飽きる。もし万が一他に原因があったなら、長門の方から連絡してくるだろうしな」 「では、どうにもならなくなったら、長門さんに連絡して助力を求めるという方針でよろしいですか?」 「ああ」 「分かりました」 微笑んで頷いた古泉にため息を吐いた俺だったのだが、ふとあることに気がついてほくそえんだ。 それを見たのだろう古泉が、なにやら身構えるように、 「あの、どうかしましたか…?」 と俺の様子を伺ってきたので、出来る限りの笑みを向けてやる。 「ちょっとな」 「ちょっとって、え、あ、うわっ…!?」 いきなりベッドに押し倒すと、案外すんなりと押さえつけることが出来た。 認めるのは悔しいが、これが体格差と言うやつであろうか。 単純に、古泉が油断していただけかもしれんが。 「ななな、なに、するつもりで…」 「言わなくても分かるだろ?」 そう囁いてやると、古泉の体がびくりと震えた。 その反応からすると、もしや俺の体の方に染み付いているのかね。 古泉の声にぞくりとしちまうってのは。 「き、昨日もしたじゃないですか…っ」 「昨日は昨日、今日は今日だ」 うそぶくように言いながら、羽織っていたシャツを脱がせてしまえば、もはや身を隠すものもなくなる。 我ながら破廉恥な格好で寝てたもんだなと呆れるしかない。 「ちょっ、ほ、本気で!?」 「本気に決まってるだろ」 そう言って、俺は本来自分のものであるはずの首筋に口付け、軽く舌を這わせるようにして鎖骨までなぞった。 「ひぁっ…!」 痙攣するように震える反応に気をよくしながら、 「思えば、リバには失敗したことだし、これならいいだろ?」 「いい、って……」 「俺の体なら受け入れるのにも慣れてるし、俺もどこが感じるのかよく分かるからな」 「なっ…!?」 まだ混乱しているらしい古泉の唇を塞ぎ、舌を絡め取る。 反射のように答える舌の動きがいつもと違うように感じられるのは、それが古泉の意思というよりむしろ俺の体に染み付いた反射で動いているからなのだろうか。 「んっ……っう、ふぁ…」 気持ちよさそうな声を聞きながら、自分の声じゃな、と思ったのだが、ここにもやはり体の記憶とでも言ったらいいようなものが働いたらしい。 体の中心に熱が集まり始める。 頬を紅潮させ、慣れない感覚に身を震わせる姿に興奮が募る。 「古泉…可愛いな、お前…」 「なっ…! ぁ、……んん…っ!」 俺じゃ出来ないような反応に、俺じゃ出せないような声に、征服欲らしきものがぞくりと這う。 自分で思っていた以上に手触りのいい肌を撫で、いやらしく赤く染まった胸の突起に噛み付くと、大きくその体が弾んだ。 痛みにじゃない。 間違えようもない、快感に。 相手は自分の体だと分かっていながら興奮したのは、自分では決して触れられない場所に舌を這わせることが出来たりするからかも知れない。 そうでなければ、古泉がいつもあれだけ楽しそうに弄ったりするような場所を実際に触れることを面白がっていたんだろう。 「やっ…、あ、あぁ…」 「嫌じゃなくて、気持ちいいんだろ? お前だって、俺がなんと言っても気にせずに、しつこく触りまくるくせに」 こいつの性格なのだろうが、こいつは俺が気持ちいいばかりで困るような場所ばかり触りたがる。 胸とか前とかな。 俺が少しでも痛みや苦しみを味わわなければならない場所は極力避けようとするのだ。 この際、はっきり教えてやろう。 その痛みや苦しさなんてのは本当にかすかな、それこそおまけのようなものであり、それ以上に気持ちいいからしたいんだということを。 足先を甘噛みし、そこからゆっくりと足の付け根までねぶってやる頃には、古泉はもはや抵抗も出来なくなっていた。 虚ろというにはあまりに熱を孕み、酷く潤んだ瞳に俺だけを映して、力の抜けた重い手足をぐったりとベッドに投げ出した様は、半端なくいやらしい。 今にも弾けそうな中心を避け、溢れた先走りを指先に絡めて、足の間に差し込むと、流石に古泉が抵抗らしきものを見せたが、あまりにもかすかで気にも留められなかった。 「そう痛くはないから、そのまま力を抜いてろ」 「そ…んな……」 疲れきった声にいくらか胸が痛んだので、慰めるように喉にキスをしておく。 悪いが、ここでやめるつもりはないんでな。 やわやわと指でくすぐると、そこはかすかに震えた。 期待するように、誘うように。 淫乱な体だな、と他人事のように呟けば、古泉の顔が歪む。 「そんなこと、言わないでください…」 「別に、お前のことじゃないだろ」 自分のことなんだからな。 「だから、嫌なんです」 悲しげな顔で、古泉が言う。 「淫乱だなんて、そんな風に、卑下したりしないでください」 「……お前って、本当に俺のことが好きだよな」 呆れりゃいいのか喜べばいいのか分からなくなりながら、どちらかと言うと呆れの勝った声で呟けば、古泉は神妙に頷いた。 「ええ、好きです」 「俺が淫乱でも?」 「だから、」 「いや、お前の言いたいことは分かった。が、……俺の言いたいことは分からんか?」 「……は?」 「…言葉攻めってやつだ」 にやっと笑った俺は、唖然とした古泉を放って、楽しい作業を再開する。 そこまでするつもりはなかったはずなのに、やっちまうのは古泉があまりに可愛いせいだ。 そういうことにしておこう。 「んあっ、な、なんで、なめ…っ!?」 「お前が可愛いから」 言い訳を口にしながら、そこに息を吹きかけ、もう一度舐めてやると、そこが震えた。 だらしなく緩みつつあるそこへ舌を差し入れ、知らずにいた味わいを知る。 「っん、ん、ぁ、……ひぅ…っ…ぅ…」 泣き声染みた古泉の――残念ながら音声としては俺の――声が鼓膜を心地よくくすぐる。 ローションの必要性もなくなるほどにたっぷり味わい、指で念入りに中を解してやった頃には、古泉は今度こそ疲れきっていた。 「お前、体力なさすぎやしないか?」 「ですから…昨日も、随分励んだじゃないですか……。それにあなた、情け容赦がないにもほどがありますよ…」 恨みがましく言ってくるが、そうやって口でしか反論出来ないまでに腰砕けになっているのを見るのはいい気分である。 相手が悪かったと諦めてもらおう。 「さて、と」 くちゅりとわざと音を立てて指を引き抜いた俺は、あえて古泉の顔を覗き込み、その反応を一瞬たりとも見逃さないようにしながら言った。 「…挿れて、いいか?」 「っ…本気、です、か……?」 「冗談だと思うか」 「か、考え直してくださいよ! 中身はともかく、体は自分なんですよ? それなのに、そんなことが出来るんですか!?」 「出来なきゃ言わんだろ。それに…中身はお前だろ」 「…どういう意味です?」 「お前の反応が可愛くてどうしようもないから悪いんだ。…諦めてくれ」 笑ってそう言い、古泉の体を押さえつけるようにして中へ押し入った。 「ひっ、ぁ、ぁ、ああ――…っ」 尾を引く悲鳴染みた嬌声が空間を裂く。 大きく震えた体が助けを求めるようにしがみついてくる。 きつく、柔らかく締め付ける感触に、意識を持っていかれそうだと思った瞬間、酷い目眩がしたかと思うと視界が反転した。 「ん…!?」 さっきまで体の外にあった熱が、中に、それも酷く熱く感じられる。 四肢がこわばったように動かず、体の疲れを伝えてくる。 それ以上に過敏になった感覚が、ほんの少しの空気の震えすら快感に変え、口も開けなくなった。 目の前には、滅多に見ないほど悪辣な笑みを浮かべる古泉。 「無事、元に戻ったようですね…」 言葉は優しげですらあるのに、その目つきはどこか殺伐として余裕の欠片もない。 完璧に、獣の目をしている。 「こ…古泉……?」 快感に震える声でなんとか呼ぶと、そいつはにっこりと微笑んだ。 いつもの優しい笑みではなく、時折見せる偽悪的なものですらなく、恐怖すら感じさせるような笑みである。 「よく、分かりましたよ」 「な、にが……っ、んぁ…」 「あなたって、本当に何をされても感じるんですね。どこを触れても、どうされても、快楽には貪欲にすがりついていくし、相手に対する遠慮だってあったもんじゃない」 非難するように言いながら、古泉が腰を使う。 いつにない乱暴な動きに、それでも俺の体は快感を得て、 「ひあぁ…!」 と鋭い叫びを上げた。 過ぎる快感にどうにかなってしまいそうだと思ったほどに。 「普段僕が、どれだけ気をつけてるか、これで分かりましたよね?」 「う、ぇ…?」 何言ってんだ? 「分かりません? …あなたが感じやすすぎるから、これでもいくらか抑えてたんですよ? あなたがあまり疲れないで済むように、あなたの負担にならないようにって。それなのに、」 「ふあっ!? うんっ、…っ、あっ、らめ…っ」 ああくそ、ろれつが回らん。 古泉の声も耳に入らなくなっちまう。 何がなんだって…? 頼むから、話すなら動きを止めてくれ。 「そんなのは、余計な心配だったようですね。あなたは、今日みたいに遠慮の欠片もなく、滅茶苦茶に犯して欲しかったんでしょう?」 「ひゃっ、あ、やぁっ! つよ、い、って、やぁあ…!」 「そうして欲しかったくせに」 囁かれた声に、全身が震える。 「っ、う、ごめ…っ、ごめんらさいぃ…」 「何がですか?」 だらしなく吐精し続けるものを弄びながら聞く古泉に、 「好き勝手して、古泉に、我慢させて、悪かった」 などと謝ったつもりだったのだが、おそらくろくに聞き取れなかったことだろう。 俺は悪くないぞ。 話してるのに腰を止めない古泉が悪い。 「あなたが興奮させるから、ですよ」 余裕のない、どこか苦みばしった顔で笑った古泉は、 「明日も休みでよかったですね?」 と不吉な響きの囁きを耳に吹き込んだ。 「僕が淡白だとか消極的だと責める前に、一度痛い目でも見てください…っ、今日はもう、我慢なんてしませんから」 おかしくなる、と思ったのはどうやら間違いなかったらしく、夕方になって空腹で目が覚めるまで、俺は昏倒させられた。 途中何度か無理矢理起こされたような気もするが記憶に残ってない。 目を開ける前から体中がべたべたのぐちゃぐちゃになっていることは分かっていた。 認めたくなくてしばらく抵抗したものの、空腹に耐え切れず、目を開けることを決める。 そうして、目に入ってきたのは満足げな顔で寝こけている古泉の顔で。 …悔しかったので、もう一度でこピンを入れてやろうとしたら、起き上がることも叶わず、そのままベッドに沈む破目になった。 実は絶倫なんだったら最初っからそう言えよ!!! |