エロです
リバにチャレンジするG古キョンです
リバが苦手って方はお引き返しください
でも未遂です←

ぶっちゃけ、私も得意じゃないので、
そんな人間の書いた作品であることをご理解の上で判断してくださいませ













































ポジション



彼が突然僕の部屋にやってきたのは、ある夜のことだった。
それ自体は、そう珍しいことでもない。
むしろ、よくあることで、僕も慣れているつもりでいた。
この夜、いつにも増して積極的だった彼は、僕をソファに押し倒し、これでもかと言うほど濃厚な口付けをくれた後、舌なめずりして言ったのだ。
「なぁ、今日は俺が上でいいか?」
と。
「………は?」
一瞬、何を言われたのか本当に理解出来なかった。
それくらい、突拍子もない発言に驚いていたし、彼の本気過ぎる視線に怯んでもいた。
しかし、
「だめ、か?」
と上目遣いに聞いてくる彼は卑怯なまでに愛らしく、僕はつい、
「……い、痛くしないでくださいね…」
と婉曲ながらも同意を示してしまったのだった。
習慣と言うものは恐ろしい。
ここまで惚れ込んでいるということも。
僕の返事を聞いた途端に、彼は上目遣いを凶悪ないしは残酷なまでに危ない目つきに変化させ、
「そういうところも好きだぞ」
なんて言葉を囁きながら、僕の首筋に口付けた。
「っ、ぁ、痕は、付けないでくださいね…?」
「見えないところならいいだろ?」
「首筋は…っ、は、見える…でしょ……」
「大丈夫だって。お前、いつもきっちり着こんでるし」
そう言いながら首筋を強く吸い上げられて、びくりと体が震えた。
「やっぱり、な…」
人の悪い笑みを浮かべた彼に、僕はもはや怯える他ない。
「な、何がやっぱり何ですか…?」
「いや、お前、感度いいし、素質はあるだろうなと思ってたから」
なんてこと思ってたんですかー!?
「あ、あの、や、やっぱり…」
「却下」
僕が言い出すより早く、眩しいほどの笑顔でそう宣言して、彼は僕の服を脱がせにかかった。
その慣れた手つきがいくらか胸に痛い、と悠長なことを考えている間に、シャツは肌蹴られ、ベルトまで緩められる。
「ちょっ、ちょっと、待ってください…っ!」
慌てて止めようとしても、伸ばした手を優しく舐められ、甘噛みされ、抵抗力を奪われる。
「大人しくしてろって。…俺、下手じゃないだろ?」
「そう、ですけど…っ、」
だからいいってものでもなくてですね。
「なら、いいだろ」
そう笑って、彼は鎖骨をなぞるように舌を這わせ、更に羽根のように軽く指を滑らせて行く。
くすぐったさがむず痒さに変わり、そうでない何かに変わろうとする予感に、僕はびくつく他ない。
「あっ…、ぅ……」
堪えきれずに声が漏れると、彼は更に楽しげに微笑んだ。
「気持ちいいか?」
「…っ……」
答えられず真っ赤になる僕に、彼は珍しいほど優しくキスをした。
「…可愛い」
耳元で囁かれる言葉は心臓に悪いことこの上なく、むしろいっそここでこのまま殺してくださいと言いたいくらいだ。
そうこうするうちに、彼の指が胸の突起に触れた。
普段意識して触れることもないそれを、彼はじっくりと見つめ、やわやわと指や手の平で探るように触れる。
軽く押し潰し、痛くない程度に抓り、舌で舐め……というようなことを繰り返されるうちに、ぞくりとしたものが背中を駆けた。
これはヤバイ。
せめて彼に気付かれないように、と思うのに、彼はふっと吐息を濡れたそこへと吹き掛けながら、
「硬く尖ってきた」
「…っい、言わないでくださいよ…!」
「泣くなって。…嬉しいんだよ。お前が、俺で感じてくれるってことが」
そう囁きながら、そこを軽く甘噛みされると、体が震える。
うああ、なんかもう覚えてはいけないことを覚えてしまいつつあるような気がするんですけどー!?
「これなぁ……覚えるとくせになるんだよな」
と酷く実感のこもった声で言われ、僕は引きつるしかない。
「しっ、しみじみと言わないでくださいよ…!」
怖すぎます!
「別にくせになったっていいだろ? …俺がちゃんとしてやるから」
そう言って鬼畜臭く笑った彼は、楽しげに作業を再開する。
僕はといえば、必死に声を抑え、体の痙攣を最小限にとどめるべく尽力するのみである。
そんなことをしたところで、察しのいい彼にかかれば、すぐにばれてしまうのだけれど、だからと言って普段とは逆に声を上げさせられたりなんてのは恥かしくて耐えられない。
「全く…人には聞かせろとかなんとかうるさいくせに」
文句のように言いながらも、彼の声は甘い。
滅多に聞かせてくれないくらい、甘くて優しい。
それだけで、流されてしまいそうになるほどに。
いやもう既にかなり流されてるんですけどね…!?
これ以上なんて、どうなってしまうんだろうと恐怖すら感じる。
そんな僕の心情を分かっていて無視しているんだろう彼の手が、確かめるように僕の肌に触れる。
何度も触れ合わせた肌だからかもしれないけれど、なんというか、その動きは本当に、確かめるためのものであるように思えた。
まさか、前々からこうすることを狙ってたんだろうか。
いつかこうしようと思って僕を観察していたとでもいうのか。
……ありえないとは言えない。
「…ね、ぇ、…もしかして、…っ、前から、狙ってました…?」
僕がなんとかそう聞くと、彼はニヤリと笑って手を止め、僕の頬にキスをした。
「ちょっとはな」
やっぱり…。
「嫌なのか?」
「嫌…では、ない、ですけど…」
少々複雑なものがありまして。
僕はやっぱり下手なのかとか、満足させられなかったのかとか、思ってしまうんですよ。
「……ばぁか」
甘ったるくそう囁いて、彼は僕の耳を甘噛みした。
「っ…!」
ぞわってした!
今思いっきりぞわってした!!
嫌悪感じゃないのが本気で怖い。
「お前が下手だったら俺なんかどうなるんだよ」
からかうように笑いながら、彼の手が下肢の方へと下がる。
それなのに、
「……怒らずに、聞いてくれるか?」
囁かれた言葉は、どこか悲しげに響いた。
「どう、したんです…?」
「……怒るなよ?」
そう念を押しながら、彼は囁き声で言葉を紡いだ。
「…俺、前にも付き合ってる奴、いただろ。でも、俺は大抵いつもされるばかりで、自分からするなんてほとんどなかったんだ。やっても、フェラとかくらいでな。こんな風に触らせてすら、もらえなかった」
「っぁ、ちょ…」
話してる間くらいその手を止めてくださいよ…!
何で太腿撫で回してるんですか…!
「だから、こうやって許してくれるのが、嬉しいんだよ」
恥かしそうに、照れ臭そうにそう言って、彼は僕の腹部へ顔を近づけると、痛いくらいに吸い上げて痕を残した。
「痕を残していいのも、嬉しいし、お前が本気で抵抗しないのも、嬉しい」
そう言って、珍しいくらいに笑うのは本当にずるい。
「ねぇ、そうしたら、僕が逆らえないって、分かっててやってるでしょ…」
そう聞いた僕に、彼は小さく笑う。
「そんな確証を持てるのも、お前が初めてだし、それくらい本気で俺のことを好きでいてくれるのも、多分、お前が初めてだ」
その言葉はきっと悲しい言葉のはずなのに、彼は笑うのだ。
「お前で最後がいい。…だから、……いなくなったり、するなよ…」
「しませんよ」
即答して、僕は彼を抱き締める。
「あなたこそ、いなくならないでくださいね?」
「するわけないだろ」
そう微笑んで、キスをする。
初々しい感じがかえって慣れなくて恥かしいくらい、触れるだけのキスを何度も繰り返す。
「古泉」
柔らかい笑みで彼が囁く。
「…好きだぞ」
「僕も、あなたを愛しています。…多分、あなたよりずっと、僕の方が好きですよ」
「なんだと?」
聞き捨てならないとばかりに彼は僕を睨みつけるけど、そんな眼差しすら愛しくて、嬉しくてならないんだから、絶対僕の方が惚れ込んでる。
「俺の方が好きに決まってるだろ」
そう言って、抗議するようにキスをしてくる彼が愛しくて。
「愛してます」
「俺のが、好きだからな…」
そう言って、密着していた体を起こした彼がとうとうズボンを脱がせ、下着をも脱がせにかかる。
僕としてはもう腹を決めるしかないし、実際、もう、上でも下でも関係ない気がしていた。
彼が心底僕を好きでいてくれること、僕が彼を愛しているということを彼が信じきっていることのあらわれがこれなら、受け入れるべきだろうと。
いや、「べき」、なんて言葉を使わなくても、そのまま受け入れることが自然に思えた。
恥かしいとか、苦痛だとか、不安だとか、そんなことがまとめてどこかへ行ってしまうほど、嬉しかった。
ところが、である。
下着を脱がせ、興奮しきった僕のものを見た彼は、ごくりと喉を鳴らしたのだ。
なんというか、……ええと、非常に見覚えのある仕草で。
「あ、の……?」
「……わり、やっぱ、俺、こっちのがいい…」
……はい?
「まあ、これもある意味上だから、いいよな?」
なんて妖しく微笑して、彼は扇情的に自分の指を舐めた。
唾液に濡れ光る指先が、僕ではなく、彼の中に入り、彼の唇から吐息とも喘ぎ声ともつかない声が漏れ聞こえ始める。
そんな様に、今度は僕の喉が鳴る。
彼の体に手を伸ばし、乱れただけになっていたシャツを脱がせにかかる。
触れた素肌は熱を持っていて、彼の興奮をあからさまなくらいに伝えてくれる。
いつもなら自分が優位に立っている時に手出しされることを嫌がるのに、今日はそんな気にもならないらしい。
「ぁ、…っ、こい、ずみ、……そこ、もっと、さ、わって…」
なんてねだってくるのも珍しい。
「存分に」
と返して、僕は彼の望むまま、胸に触れ、その肌を撫でる。
さっき彼にされたことをそのまま返すようにすると、いつも以上に彼の体が歓喜に震えるのが分かった。
もしかして、自分の特に感じるところを教えたかったのかな、なんて思いながら、黙っておく。
口にしたら、真っ赤になった彼が照れ隠しに怒るのは目に見えていたから。
その代わりに、僕は彼に囁く。
「…愛してます」
出来る限りの思いを込めて。
「ん…っ、知ってる、から…」
そう言いながら、彼は体を沈め、僕は彼の中へと飲み込まれる。
その熱さが彼の想いゆえであり、そのきつさが我慢し切れなかったせいだと思うと、余計に愛しくてならない。
繰り返し名前を呼んでくれるその声の熱っぽさも艶かしいかすれも、全部僕を夢中にして放さない。
何もかもが、僕に彼の想いの深さを、強さを、伝えてくれる。
だから僕は、くたりとベッドに横たわった彼が、まるで負け惜しみでも言うように、
「…今度こそ、お前が下だからな」
と言ったのに、焦りもせず、笑顔のままで、
「いいですよ。楽しみにしてます」
なんて返せたんだろう。
…結果として、
「……面白くない」
と彼の不興を買ってしまったけど。

…でも、本気ではないですよね?
口元が笑ってますよ。