シリーズ作品で古泉を入れ替えてあります
各シリーズで、以下のポイントをご理解のうえで読んでいただけますようお願いいたします
または、「」内の作品まで読んでください
一部作品は、シリーズより先行していますので、それについても御了解いただけると助かります
・S古キョン……古泉の口が悪いこと……「口の悪いカレ」
・M古キョン……古泉と朝比奈さんとキョンの関係……「おもい」
・T古キョン……キョンの特性……「もう一度初デート」
・J古キョン……キョンの趣味……「ステップアップ」あたり
目が覚めると、なんとなく部屋がおかしかった。 …つーか……、おかしい、なんてもんじゃねえよな、これ。 ばりばりと頭を掻きながら、俺は部屋ん中を見回した。 妙に部屋が小奇麗になってる。 …寝てる間にキョンが来て、俺を起こさないように気を遣ってくれながら片付けてくれたって可能性も否定しきれねえけど、それにしても違う気がする。 部屋にある物も違うような……。 首を捻りながら着替えもせず、最近お気に入りの「水餃子」と達筆で記してあるTシャツ姿のまんま起き出して、とりあえず台所に入って納得する。 ……これ、ぜってぇおかしーわ。 俺のサンクチュアリがこんな荒れてることなんてあり得ねーもん。 下ごしらえせずに寝るってのも、俺ならやんない。 昨日出動で忙しかったとか言うんならともかくそうじゃねーし。 こういう時は、一体どこに連絡入れりゃいいかね。 首を捻りつつ、大して充実してない冷蔵庫から使えそうなものを引っ張り出し、朝食を作り始める。 つっても、飯も炊いてねえから、トーストにチーズオムレツ、しなびかけたレタスのサラダくらいしか作れないんだけどさ。 ……つうか…野菜をしなびさすんじゃねぇよ…。 野菜が可哀想過ぎるだろうが。 呆れ果てながら朝食を作る間に、色が変わりかけている肉の他、死に掛かっている食材共の救済策を考え始める。 冷凍するにしてもある程度調理してやんねーと持たねーな、こりゃ。 キッチンの様子からすると全く料理をしないって訳でもないんだろうが、忙しかったとかなんだろうか。 あるいは、不精をしてまとめ買いをするタイプなのかも知れんが。 そうして、やっと出来上がった朝食を、 「いただきます」 と手をあわせて食べ始めたところで、玄関の鍵が勝手に開く音がして、キョンが入ってきた。 「あれ? お前、いたのか」 そう驚いた様子で声を掛けてきたキョンに思わず、 「いちゃ悪いのかよ」 と返すと、 「…え」 小さく声を上げてキョンが絶句した。 やっべぇ、まずった。 ここが俺のいるべき部屋――または世界――じゃねえって分かってたってのに何やってんだろうな、俺も。 あーもう、うっかりにもほどがあるだろ。 落ち着いてるつもりだったけど、俺も結構テンパってんのかね。 それかやっぱあれか? 服装のせいか? …やれやれ、どうしたもんかな。 「おま……え……」 大きく目を見開き、怯えるような素振りを見せる彼に、慌てて「古泉一樹」らしさを取繕い、 「お、驚かせてしまってすみません」 あ、いかん、どもった。 …が、知るか。 構ってられん。 「でも、あなたも…分かっているんじゃないですか?」 俺が聞くと、彼は眉を寄せて、 「……お前、俺の古泉じゃない、よな?」 「そうです。ここは僕の部屋のはずですよね?」 「そのはずだ」 「しかし、僕はここに見覚えがありません。部屋の間取りなどは全く同じですが、使われ方が違いすぎる。ですから、おそらく異分子は僕なのでしょう。平行世界というものは、ご理解いただけますよね?」 こくりと彼が頷く。 俺に敵意がないということくらいは分かっていてもらいたいが、たとえそれが分かっていたとしても警戒を緩める気にはならないということなんだろう。 「一体何がどうなってるんだ?」 「それは、僕もお聞きしたいです」 そうため息を吐くと、 「…長門に連絡した方がよさそうだな」 「ええ、お願いしま――」 言いさした俺の携帯がいきなり鳴った。 驚いて携帯を掴み取ると、「朝比奈みくる」と表示されていた。 なんでここで未来人から電話が入って来るんだよ!? 戸惑いながらも通話状態にすると、 『――あ、一樹くん? どうしたの? 今日、駅前のいつもの場所に9時って約束だったよね?』 ……おいおい、こっちの世界(仮)の俺、一体何やらかしてんだよ。 キョンに鍵渡してるってことはそういうカンケーなんだろ? なのに朝比奈さんとデートって、節操なし? それとも二股野郎? 三角関係? ――どれにしてもくたばりやがれ。 そう考えたのが顔に出ちまったのか、彼がびくつくように俺を見ていたが、俺はとりあえず声の調子を整え、 「すみません、今少々立て込んでまして…」 『立て込んで? …またキョンくんのこと困らせちゃってるんですか?』 そう悲しそうに言わなくても。 つーか本当にどういうご関係ですかあんた方は。 「ある意味では困らせてしまっているんですが、不可抗力です。正直、おかしなことになっているんですよ」 あくまで穏やかにそう言って、俺は手短に現状を彼女に伝えた。 驚きを隠しもせずに話を聞いた彼女は、 『いるべき時空からずれてしまったとしたらとっても大変ですよ。あの、あたしもすぐに行きますね。長門さんにはもう連絡したんですか?』 「いえ、まだです」 電話をするはずだった彼が戸惑ってるままだからね。 『じゃあ、あたしから電話して、それから一緒にいつ…古泉くんのお部屋に伺いますね』 …部屋まで知ってるって、ほんとどうなってんのさ。 呆れつつも、 「すいませんが、お願いします」 と返し、長くなった通話を切り、彼に向き直った。 浮かべるのは、対外仕様の苦笑いだ。 「驚かせてしまいましたか?」 「……なあ、お前、それって演技してるんだよな?」 そう問い返されても俺は別に気にしなかった。 そんな風に聞かれるだろうと思ってたからな。 「そうです。少なくとも、僕としてはそうですね。だからと言って、あなたの知る僕もそうであるとは断定しかねますが」 「…服の趣味も変だし」 言いながら俺のTシャツを妙ちきりんなものでも見るような目で見ている。 世界が違っていても、キョンはキョンってことかね。 俺としては気に入ってんのに傷つくなぁ。 「僕としては好きなんですけどね。……ああでも、朝比奈さんたちを驚かしてしまっても悪いですから、着替えましょうか。それとも、勝手に人の物を使うのも悪いですから、このままでいましょうか」 彼は少し考え込んだ後、 「…お前の好きにしろよ。着替えた方がいいと思うならそうするし、そうじゃなくても別にいいんじゃないか?」 「そうですね……」 俺は考え込むフリをしてから小さく笑い、 「では、このままでいさせていただきましょう。その方が違いも分かりやすいでしょうし、何より、僕としてもたまの休日にわざわざ堅苦しくて鬱陶しい服なんて着たくありませんから」 「…そういうもんなのか」 「少なくとも僕は、ですよ」 そう念を押すと、彼は分かったと言うように小さく頷いた。 「……朝比奈さんたちが来るまで、少しありますよね?」 「そうだろうが…」 「では、失礼して朝食の続きを食べさせていただきますね。腹が減っては戦は出来ぬとも言いますし」 僕はそれ以上彼の返答を待たずに食卓に戻ると、冷め切ったオムレツに手をつけた。 …あー……冷めたチーズオムレツってほんっとサイテェー…。 いっそみじめな気分になってくるな。 くそ、腹いせに、昼飯は手の込んだもん作ってやる。 苛立ちながらもしゃもしゃと無理矢理まずくなっちまった哀れな朝飯を腹ン中へとぶちこみ、最終的にコーヒーで流し込んだ。 それでもまだ朝比奈さんたちが来ないので、 「……この可哀想な食材に救済措置をとってもいいでしょうか」 と彼に聞いてみた。 彼はキッチンから見えるソファに腰掛けてテレビを見るともなしに見ながら俺をいくらか観察していたようだったが、いきなりそう聞かれて目をぱちくりさせていた。 「救済措置って……」 「どうしてもダメな食材は捨てるしかないでしょうけど、間に合いそうなものは食べられるようにしておきたいんです。冷凍しておけば、ここの本来の住人でもまともに扱えるでしょうし」 「そんなに酷いか? あいつもそれなりに料理とかするんだが」 「そのようですけどね。一部にどうも無駄があるようです」 全く、余計なものを買い込むのは無駄の元なんだからやめろよな。 「それなら多分好きにしていいと思うが……」 「では、そうさせていただきます」 融けかかっているほうれん草を引っ張り出し、丁寧に洗ってやったり、色の変わりかけた肉にコショウや酒をしっかり揉み込んでやったりしているうちに、待っていたお客がやってきた。 「おじゃまします」 と顔を出したのは朝比奈さんで、無言で会釈をしたのは長門さんだ。 「いらっしゃいませ」 声だけかけて、迎え入れるのは彼に任せて俺は作業の続きを一段落出来るところまで進めて、やっと手を止めた。 振り返った俺の服装に驚きの表情を見せる朝比奈さんと動じない長門さんは本当に対照的だ。 つーか朝比奈さん、今日はまたえらく可愛らしい格好で。 …マジでデートだったのか? 「本当に…一樹くんとは違う人なんですね」 そう言ってくる朝比奈さんに俺は苦笑なんぞ作りつつ、 「お分かりいただけましたか」 「はい…。雰囲気が全然違いますもん…」 服装もだろ。 それから、長門さんが淡々と話してくれたところによると、俺の推測はほぼ当たりだったらしい。 俺がこっちの世界に紛れ込んじまった。 ただしそれは同時多発的なものでいくつかの平行世界が輪になったドミノ倒しみたいにずれちまったとのことだ。 今頃俺の部屋に俺じゃない俺がいるのかと思うと余計な真似はしてくれるなよと祈りたくなるね。 説明が終ったところで、戻り方についても教わった。 夜、各自がほぼ同じ座標に落ち着くだろう時を狙って、ずれを修正してくれるとのことだ。 「何もかもおまかせしてしまってすみません」 俺が言うと長門さんは軽く首を振って、 「いい。…私の役目」 「…ありがとうございます」 そうして話が落ち着いたのを見て取った俺は、いい加減窮屈な仮面を脱ぎ捨てるべく、 「…ところで、もう、いいですか? 外でもないのに口調を作るのが面倒なんで、敬語を止めても」 と言ってみた。 朝比奈さんが軽く首を傾げ、 「え?」 と声を上げるのへ、 「こっちの俺は違うのかもしれませんけど、俺としては砕けた口調で喋る方が楽だし、何より、こういう機会でもなければ朝比奈さんや長門さんとタメ口で話せることなんてあり得ないんで、ちょっと話してみたいんですよね」 素の状態を少しずつ織り交ぜてやれば、朝比奈さんは戸惑いも露わに慌てているが、順応性が恐ろしく高く出来ている彼が、 「好きにしたらいいんじゃないか? 変に演技された方が、偽者みたいに思えてきて気分が悪いし」 「それはないんじゃねーの? 俺だって一応被害者のはずだってのにさ」 へらりと笑って言えば、彼が一瞬愕然とした後、小さくため息を吐いた。 その反応もどうなのさ。 朝比奈さんは本気で唖然としているし、長門さんまで少しばかり目を大きくしているように見える。 俺はニヤッと笑って違いを強調してやると、 「そろそろお昼だし、昼飯作ってやるよ。大したもんは作れそうにないけど、希望があったら出来るだけ答えるぜ?」 と問う。 まともに答えてくれたのは長門さんで、 「…パスタ」 「了解。それならまあ、簡単だな」 さっきゆでたほうれん草を使って作ってやろう。 小麦粉や卵なんかは流石にあるし、生パスタの作り方くらい頭に入ってるからレシピなしで平気だ。 「少し時間は掛かるけど、いいよな?」 確かめて、三人が戸惑いながらとはいえ頷くのを見てから、俺は楽しい作業に取り掛かった。 そうして出来上がったほうれん草入りホワイトクリームソースをたっぷりかけたフィットチーネに温野菜サラダ、ジャガイモのポタージュスープなんかを見て、 「凄いな…」 と彼は呟き、朝比奈さんは、 「ほんとうに凄いです…!」 と歓声をあげた。 長門さんは何も言わなかったが、じっと食卓に注がれる視線が何よりの答えだ。 俺は機嫌をよくしながら、 「見た目だけじゃなくて味もいいはずだから、遠慮なく食べてくれよ。お代わりも用意してあるし」 狭いテーブルになんとか4人で座って、揃って手を合わせた。 そんな風にして食べるのも悪くないなと思いながら食べてると、彼が嬉しそうに顔を輝かせながら、 「これ、本当に美味いな。なんていうか…凄く、舌に馴染む気がする」 「そりゃ、俺のキョンの好みに合わせて調理する癖が、俺についちまってるから、だろうな」 「そんなことまでしてるのか?」 と驚かれたが、そんな驚くようなことかね? 「好きな奴の好みに合わせるのって当然じゃねーの? どうせなら美味しいって食ってもらいたいんだしさ」 「にしても…凄いな……」 感心しながらもぱくついてくれるのが嬉しいね。 朝比奈さんも蕩けるような顔で、 「あたしはキョンくんみたいに上手に言えないですけど、ほんと美味しいです」 って言ってくれるし、長門さんは目いっぱい大盛にしたパスタをもう半分くらいにまで減らしてくれてる。 この調子ならお代わりだってしてくれることだろう。 全く、作り甲斐があるってもんだ。 「ごちそうさまでした」 と声を揃え、食後のコーヒーで一服したところで、朝比奈さんが言った。 「すっかりご馳走になっちゃいましたね。これ以上長居したら悪いですし、あたしはそろそろ帰ります」 長門さんも帰るつもりなんだろう、朝比奈さんと一緒に立ち上がる。 「…美味しかった」 と言ってくれたのは何よりの褒め言葉だねー。 あれだけ無口な長門さんからの一言だと思うと更に価値が高いってもんだ。 「じゃあ、俺も…」 と立ち上がりかけた彼に、 「もう少しいいじゃん。色々聞かせて欲しいんだ」 と言ってみる。 頷いてくれるかどうかは分からん。 なんせ、俺とこの世界の俺とじゃ大分違うらしいからな。 だが、たっぷり――その間に朝比奈さんたちが帰っちまうくらい長い間だった――考え込んだ彼は、 「…少しだけでいいんだったら」 と頷いてくれた。 「さんきゅ」 言いながら俺はコーヒーのお代わりを注いでやり、向かいの席に座りなおした。 「じゃあさ、遠慮なく単刀直入に聞かせてもらうけど、…あんたとここの俺と朝比奈さんってどーゆー関係な訳? 俺としては三角関係か俺が二股掛けてるかって状況じゃないかと思ったんだけど、あんたら見てるとそれもどうやら違うみてえだし」 「あー…そう思えただろうな」 苦笑した彼は、少しばかり寂しそうな色をその笑みに滲ませ、 「……朝比奈さんはな、あいつにとって、俺とは違う意味で特別なんだ」 特別? 「俺のことは恋人として好きだって言ってくれる。でも、朝比奈さんは友達として一番好きらしい。お互い親友と認め合ってるみたいだしな。それから…ハルヒへのカモフラージュとして、あいつは朝比奈さんと付き合ってるってことにもなってるから…」 「はぁ!?」 思わず声を上げると、彼が驚いたように俺を見たけど、止めらんなかった。 だって、そうだろ。 「そんなん、アリかよ。あんたって大事な恋人がいるんだろ? なのに涼宮さんにばれないようにってためだけにあんたに日陰の身を強いて、しかも自分だけは安全圏に置こうとして朝比奈さんと付き合ってるフリをするなんて、サイッテーだな、そいつ」 「違う!」 今度は彼が声を荒げる番だった。 「そういうんじゃ、ないんだ…。あいつはそんなこと、考えてねえよ。ただ、成り行きでそうなっちまっただけで……。俺のことも、大事にしてくれてる…し…」 「…ならさ、なんでそんな泣きそうな顔になってんの?」 俺が言うと、彼は余計に顔を歪めた。 今にも涙腺が決壊しそうな顔だ。 「好きなんだろ? 付き合ってんだろ? なのに泣きそうになるわけ? そいつ、あんたに甘えすぎだよ」 俺も大分キョンに甘え過ぎてるけど、それとはまた違う意味で。 「あんたのことを愛してるんなら、世界なんてどうなったっていいって言えるくらいの気概もねーわけ? つーか、あんた、それで黙ってんの?」 「だ、黙ってなんかない! みっともないくらい、妬いて…っ……あいつを、困らせて、ばかり、で……」 とうとう泣き出しちまった彼に、らしくもなく胸が痛んだのは、俺のキョンを泣かせてしまったような気分になっちまったからだろう。 反射的に立ち上がり、抱きしめて胸を貸してやると、腕の中で彼が小さく震えた。 酷く儚げに見えるのも、そのくせ悲しいくらい強いのも、似てる気がする。 だが、憂いの色はどう考えてもこっちの彼の方が濃い。 こっちの世界の俺ってほんっと、サイテーだ。 「そんな奴、いくらだって困らせてやれよ。振り回してやれ」 「んなこと…」 「出来ない? 出来るだろ。そうしてやっていいはずだ。あんたにはそれだけの権利が有る。朝比奈さんじゃなくて、あんたが恋人なんだろ? それに、たとえ世界が違っても、俺は俺だと思うから、それなら、愛しいあんたがどんな振る舞いに出たって嫌いになったりしねえよ。むしろ惚れ込むか、自分の情けなさに打ちのめされるね」 そうなっちまえよと心の底から呪ってやりたいくらいだ。 「もしさ、それで振られちまったって、それはそいつが勝手過ぎるってだけだ。あんたは悪くない。それに、あんたならいくらだっていい相手が見つかるさ。…そう覚悟を決めたら、なんだって出来るって思わないか?」 「そりゃ…そうかも、知れんが……」 「だったら、好きにやっちまえよ。そいつが好きなんだろ?」 問いかけに答える頷きだけが、妙に力強くてくすぐったいくらいだ。 「…夜まではまだ時間があるんだし、つまり俺はまだしばらくここにいるしかないんだろ? タイムリミットまで、愚痴りたいならいくらでも愚痴れよ。付き合うからさ」 「…ありがとな」 そう言って顔を上げた彼は、喜んでいいのか怒ったらいいのか分からないとでも言うような複雑な表情で俺を見て、 「…お前の世界の俺は妬いたりしないのか?」 と聞いてきた。 どういう意味の質問だろうかと思いながら、 「…多分、してねえな」 してくれたっていいだろうにさ。 俺に余裕がなさ過ぎるのか、随分余裕があって嫌になるくらいだ。 「…変だな」 小さく笑った彼は、ぽそりと呟いた。 「お前みたいな恋人がいたら、いくら妬いても足りなくなりそうなのに」 ちょっと、それってどーゆー意味さ? |