エロですよ
「雪より白く」の続きです
やっぱりキョンがエロい子なのでご注意ください




































子供より無邪気で



放課後、いつも通りのSOS団の根城こと、文芸部室で、いつも通りでないことがあった。
俺はいつものようにドアをノックし、朝比奈さんの、
「はぁい、どうぞ」
という声を聞いて和やかな気持ちになりつつドアを開け、
「こんにち」
バタン!
と、ドアを閉めた。
なお、上記発言の発言者は古泉である。
その声を聞き、顔を一瞬見ただけで、俺は真っ赤になって逃げ出していた。
恥ずかしい。
羞恥心で人は死ねるに違いない。
何より恥ずかしいのは、古泉の顔を見ただけで勃っているというこの情けない事実だ。
俺はトイレの個室に駆け込み、鍵を掛けた。
「…っは、…ぅ……」
昨日、古泉にされたことを思い出しながら、ズボンの前を寛げる。
そのまま下着をずり下ろし、握りこもうとして、手が止まった。
嫌だ、と思ったのは、それが酷く背徳的で、罪悪感を伴う行為に思えたからだ。
自分でするなんて、そんな、そんな――。
だからと言って、こうするのもどうなんだろうなと思いながら、俺は携帯を引っ張り出し、普段は切ってある電源を入れた。
古泉も切っているかも知れないと一瞬思ったが、あいつのことだ。
電源くらい入れているだろう。
頼むから気付いてくれ、と思いながらメールを送信する。
書いた文章は簡潔だ。
トイレにいるから来てくれ、とそれだけ。
俺は息を殺しながら耳を澄ませた。
一分、二分、携帯のディスプレイを繰り返し見るが、変わるのは時間表示だけだ。
返事は届かない。
やっぱり気付かれなかったか、と絶望しかかったところで、トイレのドアが開く音がした。
「ここですか?」
聞こえてきた古泉の声だけで、昨日知ったばかりの感覚が背筋を駆け上る。
俺は鍵を開けると、ドアを少しだけ開いた。
「ここだ」
「どうかなさったんですか?」
不思議そうに近寄ってきた古泉を、個室の中に引っ張り込むと、その体にしがみついた。
「ちょ、ちょっと、何が…」
「お前の、せいだ…」
ぎゅっと制服を握り締めながら睨みあげてやると、古泉の喉が鳴った。
「僕のせい、とは一体なんのことでしょうか」
「……」
俺は古泉の手を掴むと、熱くなった場所に押し当てた。
「…これはこれは」
「笑い事じゃない」
お前のせいだぞ、どうしてくれる。
「どうしてこんな事態になったんです?」
「…お…っ」
お前の顔見て、声聞いたからなんていえるかボケ!
「……っなんでもいいだろ! 頼むから、何とかしてくれ」
「ご自分でなさったらいいじゃありませんか」
「それが出来ないから頼んでるんだろ」
「出来ない、とは妙なことを言う人ですね。人にしてもらう方が恥ずかしいのではないでしょうか」
「世間一般がどうかは知らん。が、俺には自分でする方がよっぽど恥ずかしいんだ。責任とって、なんとかしろ」
顔を赤くしながらそう言うと、古泉は殊更慇懃に、
「畏まりました」
と笑った。
寛げたズボンの中に、その手がするりと入り込むだけで、くらくらするほどの快感に襲われた。
「あっ…、古泉…」
「声は出来るだけ抑えてくださいね。難しいかもしれませんが」
全くだ。
そんな風に制御出来るか、と文句を言ってやりたくて古泉を見上げ、薄く唇を開いたところで、いきなりキスされた。
今のはそういう意味じゃないんだが、と思いつつ、抵抗する気にも拒否する気にもならないのは、キスが気持ちいいからだ。
合わせた唇も、絡め取られる舌も、くすぐられる口腔も全て、気持ちよくてどうにかなりそうだ。
どうにかなる、と言うならもうすでになっているのかもしれない。
だとしたらそれは昨日からだ。
「ん、ぅ……ぅう…!」
「凄い、ですね。キスだけでこんなに反応するなんて。…ほら、分かります?」
「ひゃ、ぁあ…っ」
硬度を増したそれを揉みしだかれると、それだけで腰が抜けそうになる。
こんな場所でへたり込むのは嫌だ、と古泉に縋りつきながら、それとは全く逆の方向性の意思を持った体が腰をすり寄せる。
「そんなにイイですか?」
「んっ……いぃ…!」
こくこくと頷きながらそう答えると、古泉が小さく笑う気配がした。
「可愛いですよ。少々、罪悪感が湧きますが」
「なん、で、だよ…?
「何も知らなかったあなたにこんなことを教え込んだ挙句、日常生活にまで支障が出てしまうほど夢中にさせてしまったんですから、当然でしょう? こんなことになってしまって、すみません」
「ば、か…」
首に回した腕に力を込め、深いキスを求めて唇を合わせる。
「俺のこと、好きだから、したかったんだろ…? それを、謝んな…っ」
快楽に言葉を詰まらせ、体を震わせながら、俺はなんとか古泉に伝えたくて言った。
「それ、に…、知らなきゃ、おかしいくらい、普通なんだろ…。俺が、まだ、慣れてないだけで…。それなら、俺が平気に、なるくらい、……普通のことなんだと、思えるくらい、繰り返し、したらいいだろ…」
「……あなた、それ、意味分かって言ってます?」
「ふあ…?」
どういう意味だ。
お前のその発言の意図が分からんぞ。
「…とんでもなく魅力的な誘惑に聞こえたのは僕の思い上がりでしょうか」
「ゆう、わく…って、お前……」
「して、いいんですか? あなたが慣れるまで、繰り返し繰り返し、こんな淫らがましいことをあなたに教えて、あなたを僕の好きなようにしても、……本当に、いいんですか?」
見上げた古泉の目は、どこからしくもない欲望に熱を持っているように見えた。
征服欲、あるいは支配欲とでも言うんだろうか。
普段とは勝手の違いすぎるそれに、昨日よりも前の俺だったら恐怖を感じただろう。
それくらい、古泉は違って見える。
だが、今の俺は、むしろそんな古泉に興奮していた。
古泉が俺の前でしか見せないだろう表情を見せてくれる。
演技などする余裕すら失って、年相応と言っていいような欲望を露わにしている。
しかもその欲望が俺に向かっている。
そんなことが、俺の体温を上げる。
俺はごくりと生唾を飲み込み、
「いい、から…教えろよ…。お前好みに、してくれ」
「ありがとうございます」
嬉しそうに笑った古泉は、
「そうと決まれば、今日はもう部室に戻らずに僕の部屋に行くとしましょうか。あなたも、その方がいいでしょう?」
「そう…だな」
一度抜いたところで、古泉の顔を平然と見ていられるとは思えない。
「なら、急ぎましょうか」
と言った古泉は首に掛かっていた俺の手を外させるとしゃがみこみ、今にも弾けそうになっているそれを口に含んだ。
手の平とは比べ物にならないくらい熱くて、柔らかな感触に、射精感が強まる。
「やっ、ちょ、……っあぁ…!」
止める間もなくイかされてぐったりした俺の目の前で、古泉は平然と吐き出されたものを飲み下し、にっこり笑顔で言った。
「後始末をして、さっさと出ましょうか。あなたがもう一度催しても困りますし」
やかましい。
誰のせいだと思ってるんだ。
そう文句を言う気力すらなく、俺は黙って頷くしかなかった。