この作品は、Closed Sky様で行われたチャットの際に、
ICEDANCEのけい様の書かれた文章に私が変態的文章を付け足したものです
つまりエロです
自重…したつもりだけどしきれてないです
寄生植物とか触手とか産卵とか人格崩壊に拒絶反応が出る方はブラウザバックプリーズ
そうでない方は粛々とお進みください
なお、白字部分がけい様の文章です
ハルヒのおかげでえらい目に遭うのも、大分慣れたさ。心から不本意だがな。だが、宇宙からも俺をねらい打ちにしたかのように災難のご指名が来るのはなぜなんだろうね。いや、今回は俺ではなくて正確には古泉だが、結局一番被害を被ってるのは俺じゃないか! 古泉が体育の授業中ぶっ倒れた、と聞いて、またハルヒのアレがナニして寝不足か、と思ったが、最近特にハルヒの機嫌が悪いという事はないはずだ。古泉当人もこっちに特に言ってくることはなかったし、唯一にして最大の原因の当人は今現在も気分良く俺の背後ですやすや居眠りしてやがる。 平和ボケして海外ドラマのDVDの一気見でもしたのか。それならそれでまことに結構なこった。人騒がせだがな。 まあ、そういう事なら今日の団活には来ないだろ。暇潰しの相手がいないなら、大人しく朝比奈さんのお茶を頂きながら課題でも多少進めるか、と放課後、のんきに文芸部室の扉を開けた俺の眼前には、人生史上もっとも見たくないものが出現していた。 ぶっ倒れた古泉、だけでもあまり積極的に見たいものではないが、おまけにブレザーの襟足から朝顔みたいな植物が生えて、その葉っぱが部室の壁をぐにぐにとなで回している。おまけにそれはこっちを「見た」。 はい回れ右だ俺! 薄情とか言わないようにそこ。 ハルヒ謹製&その他プレゼンツのキテレツに付き合わされて、流石に第六感がもたらす警報の感知レベルも上がってるのさ。反射的に扉を閉めようとした、が。 やれやれ。 警報は鳴ったが回避行動は間に合わなかった、らしい。 気が付くと、俺の胸に似非朝顔がきれいにぶっ刺さっていた。 血は出ないんだな。 そう思ったのが最後で、俺は気絶した……らしい。 胸が痛い。おまけに身体が重い。金縛りってのはこういうのか? 目は……開いた。 部室の天井と、俺に取っては無駄に整った顔のどアップが目前にあった。それが近づいてくる。 ちょっと待てこら。なんでお前は俺の制服のボタンを外している! 「なんでかは僕にも判らないんですが」 判らないなんてことがあって堪るか、と俺ははっきりともがこうとしたはずだった。いや、もがこうなんて可愛らしいものではなく、全力をかけて、それこそ火事場の馬鹿力さえ総動員して、抵抗しようとしたはずだった。 それなのに、手足が動かなかった。金縛りそのものだ。 そう思った瞬間、俺の手が、俺の意思に反して動いた。さっきまではどうやっても動かないと思っていた手が、驚くほど軽く動き、古泉の制服のボタンに掛かる。 なんだこれは。一体どういう状況なのか、俺にも分かるように、しかも短く説明しろ、古泉。 「説明しろ、と仰られても、僕としても困っているのですよ」 迷いなく人のシャツを肌蹴ているところを見るととてもそうは見えないんだが? 「あなただって、既にお気づきでしょう? 僕たちの体の自由は奪われています。今、僕が何とか動かせているのはこの口とまぶたくらいのものですよ」 「それにしたって、どうしてこうなったのか、その予想くらいはついてるんじゃないのか?」 「大本の原因なら、予想はつきます。――十中八九、涼宮さんのせいでしょう」 ため息を吐いた古泉の口が俺の首筋に触れる。 「ひっ…!?」 思わず息を呑んだのは、それが異様と思えるほど気持ちよかったせいだ。 本当になんだこれは。絶対に何かおかしな力が働いているに違いない。 「困りましたね」 この状況で困ってなかったらお前は変態かあるいは感覚が麻痺している。 「感覚については、僕も相当なものだと思っていたんですよ? 何しろ、ん」 と古泉の言葉が途切れたのは、またもやその唇が俺の体に触れたせいだった。 「っ…」 俺はと言うと唇を噛み締め、上げそうになる声を堪えるのに必死だ。 「失礼しました。…こうしてたびたび、不可思議な出来事に遭遇していますから、僕の感覚もいい加減鈍ってきたかと思っていたのですが、どうやらそうでもなかったようで、ほっとしましたよ」 「それなら、速やかにこの状況を何とかしろ超能力者」 「そう言われましても、」 「っ、ぁ」 「僕が、閉鎖空間及びそれに類する空間でしか能力を発揮できないことは、あなたもご存知のことでしょう?」 「ここは、違うって言うのか?」 「ええ、ここは平常空間のままですよ。問題が発生しているのはむしろ、僕たちの内部にでしょう。何かに寄生され、操られているような感覚を感じませんか?」 俺はそんなものを感じていなかった。古泉は超能力者だから、そうと分かるんだろう。 だが、寄生という言葉で、俺はこの部屋に入ってきた時に見たものを思い出した。 「あれか…!」 思わず呻いた瞬間、胸の突起物に古泉の唇が触れた。同時に、何か濡れたものが触れた気がする。それだけで、体が震えるほどの刺激で、 「んあっ…」 堪えきれない声が漏れた。 「困ったというのはですね、」 悠長に会話を続ける余裕があって羨ましいなこの野郎。なんで俺ばっかり喘がされにゃならんのだ。 という思いを込めて睨みつけると、古泉がにっこりと微笑み、とんでもないことを口にした。 「この状況を、積極的に楽しみたいと思い始めている自分に、困ってます」 「……は!?」 一瞬何を言われたのかと思った。それぐらいの衝撃だ。無事にこの状況から脱出出来たら、俺は直ちにこの男と縁を切ろうとすら思ったね。 「積極的に、って、お前、何言って…」 「僕としても驚いているんですよ? 自分に同性愛の素質があったことも驚きですが、あなたに対してこんなにも強い感情を抱いていたとは思っても見なかったのです」 古泉が積極的になったと知ってか、どうやら俺たちに寄生しているらしい植物は、古泉と呼吸を合わせることにしたらしい。古泉の発言が途切れるのを待って、唇を俺の肌に触れさせる。 「僕はずっとあなたに、涼宮さんと交際していただけないかと考え、行動してきました。それは機関の方針であると共に、もっとも平和的解決手段に思えましたし、その考えは今も変わっていません。それでも、今の僕は、それ以上にあなたを自分のものにしたい、あなたを孕ませたいと考えているんですから、人間分からないものですね」 「孕ませ、って、ひっ…!」 俺は男だぞ、と言おうとしたのを見越してか、乳首を軽く噛まれた。というか古泉、口が自分の自由になる以上、軽く噛んだりしているのはは紛れもなくお前の意思だろう。何しやがる! 「美味しいですよ?」 そんな感想は求めとらん! っていうか美味しいって何だ。お前は本当に変態だったのか。 「おそらく、味覚についても影響が出ているのでしょうね。――こうすれば、あなたにも分かりますか?」 どこまで怪しげな寄生植物との連携を強めているのか、古泉はそう言って平然と俺に顔を近づけてきた。思わずぎゅっと目を瞑ると、唇に何かが触れた。 その瞬間、えも言われぬ感覚に全身が包まれた。幸福感と穏やかな快感と愛しさを全て混ぜて蜂蜜で合えたような甘ったるい感覚だ。 麻薬による陶酔感もかくやというそれに、俺は固く引き結んでいたはずの唇を緩め、古泉の触手染みた舌の侵入を許していた。流し込まれる――まさにそうとしか表現出来ない――唾液は蜜のように甘く、異常な陶酔を強めていく。このまま酩酊して、溺れてしまいそうな感覚に捕われ、不安が過ぎったがどうしようもない。 甘い感覚に驚いた瞬間俺は目を見開いてしまったのだから。愛しさをそのまま形にしたような、古泉の表情を見てしまった。そうでなければまだ抵抗も出来ただろうに、見てしまったからにはもう遅い。 ああ、溺れるしかないんだと思った。 「ね、分かったでしょう?」 唇を離し、得意げに笑った古泉に、俺は顔を顰めた。 「お前が俺に対して愛情を抱いていたなんてのが戯言だってことがな」 「おや、どうしてそう仰るのか、理由をお聞きしても?」 そう言いながら、頬についばむようなキスをされる。 「お前の言う、愛情ってのは、この寄生植物が錯覚させてるだけだ。孕ませるとか、お前が言ったのもそのせいだろ」 言いながら、ずきんずきんと胸が痛んだ。――この痛みも、錯覚に過ぎないのだろうが、それでも痛いし苦しい。まるで本当に自分が、古泉に想われていないことを辛く感じているかのように思える 「寄生植物……ですか。そう言えば、あなたはさっき心当たりがおありになるような反応をされてましたね」 「ああ」 そう言って俺は、この部屋に来た時俺が見たものについて伝えた。伝える間にも古泉の手や口は不穏な動きを見せ、俺の発言を妨害したが、何とか話し終えたところで、古泉は考え込むような表情をした。 「なるほど。……であれば、僕があなたに対して欲情していることも、孕ませたいと思っていることも、簡単に説明がつきますね。つまり、」 「っあ、ん」 「僕に寄生しているのが雄で、あなたに寄生しているのが雌だということです。植物にも雌雄があることは、ご存知ですよね?」 それくらいのことは知っている、と返すことすら出来なかった。ただこくこくと頷くので精一杯だった。古泉の指が赤く充血した乳首を押し潰し、つまみ上げ、反対の手も床と俺の腰の間に入り込み、そこを撫で回していたのが悪い。 「では、この状況を甘受してしまいませんか? 寄生植物の特性を鑑みるに、抵抗しなければ危害を加えてくることもないでしょうし、そもそも僕たちには抵抗する術すら与えられていません。ならば、早く彼らの欲求を満たし、解放してもらうことが、もっとも安全かつ確実な方策ではありませんか?」 「お前はっ、寄生されてんのが雄だから、ひっ、…言えるんだろ…! 俺の、立場にもなれ…っ!」 「と、言われましても」 そう言って古泉は苦笑し、俺の脚に自分の股間で熱くなっているものを押し当てた。 「同じ男であるあなたですから、お解かりいただけると思うのですが、直接的な刺激にではなく、同性の感じている顔や声だけで、これほどまでに反応してしまうというのも、男としてはいささかショックなことだと思いますよ?」 それに同意する余裕はなかった。それ以上に、脚に感じた熱と言葉に煽られ、止められなくなる。 感じる愛しさは錯覚だ。抱かれたいなんて情けない思いも。今なら怪しげな寄生植物のせいにしてしまえると囁く部分があることも。 今なら、という言葉の裏にある意味には気付かないフリをして、俺は手を伸ばした。 それは寄生植物の意に沿う動きだったのだろう。すんなりと動いた腕が、古泉の体を抱きしめる。それが俺の意思だと気付かれないように祈りながら、 「後になって、人のことを笑ったりしないだろうな?」 「ええ、もちろんです。異常事態で、しかも緊急事態ですからね。これっきりだと、お約束しますよ」 これっきりとかそういう言葉を口にするな。胸の痛みが酷くなる。 俺は顔を顰めながら、受け入れるという意思表示の代わりに、目を閉じた。 唇に触れる古泉の唇。薄いそれを割っている舌。いつの間にか俺の服を完全に脱がせていた手すら、愛しく感じられる。 泣きそうになったのは、この狂気のような幸福感のせいだろうか。それとも、寄生植物なんてものに操られ、同じく操られているだけに違いない古泉のいいようにされるのが悔しかったのか。あるいは、と考えかけて即座に打ち消した。 古泉の指が、あらぬ場所に触れた、と思うと古泉が薄く笑った。 「分かりますか? ここ、濡れてますよ」 「ふあっ…!?」 濡れてって、俺は男だと何度言えばいいんだ。 「事実なんですから仕方ありません。それに、今のあなたは雌しべみたいなものでしょう?」 辱めるような台詞に、かっと顔が赤くなる。よっぽど悪態を吐いてやろうかと思ったのだが、それは叶わなかった。 古泉の指が、つぷりと押し入れられたからだ。 「んぅっ…!」 「余り解す必要もないかもしれませんね」 その言葉が、妙な位置から聞こえ、俺は思わず体を起こしてそれを見た。 ……見るんじゃなかった。 だって、そうだろう。どこの世界に、野郎が自分の股間に顔を埋めて、しかも本来なら排泄器官であるはずの場所に、思いっきり顔を近づけてるところなんて、誰が見たいって言うんだ。 「やめ、」 ろ、と言う前に、濡れた何かを感じた。ぺちゃりというわざとらしい水音も。 「ひ、おま、え、何やって…!」 「何って、あなたを味わわせていただいてますけど?」 「っ、そこで、喋るな…っ!」 吹きかけられる吐息にすら感じてしまう俺はもう既に、淫らがましい何かに変えられてしまったに違いない。俺の体が寄生植物のための生殖器に過ぎないのなら、いっそ心までそうなってしまえばいいだろうに、そうはならない。もはや苦しみや切なさ、擬似的な愛しさしか感じられないのなら、心や理性など不用だろうに。 ぐちゅぐちゅと響く音に耐えかねて耳を塞ごうと思っても、それは許されなかった。 身の内を覗かれる羞恥に震える脚を古泉が掲げた。その狭間に、古泉の勃ち上がったものが見えた。 「怖かったら、目を瞑ってていいですよ?」 そういう問題か、と聞くより早く、融かされそうに熱いものを押し当てられ、喉が詰まった。 「入れますよ」 わざわざ予告されたというのに、俺は放心していたのか目を閉じることすら出来ず、もろにその光景を見てしまった。というか古泉、目を瞑ってていいとかなんとか言いながら、わざわざ俺からも見えるくらいに体を折り曲げさせるのはお前の趣味か!? 「ひっ、あ、ぁ、……ぁああ――…っ!」 文句の代わりに口を飛び出すのは、あられもない嬌声だ。 考えて見るとここは部室であり、しかも通常空間のままだという。今の声は確実に、部室のドアを突き抜けてこの階全体に響き渡るくらいの大声で、つまりは俺の人生終了のお知らせではなかろうか。長門が何とかしてくれることを祈りながらも、今の俺に出来ることは与えられるものに縋り、はしたなくも腰を振ることだけだ。 「気持ち、よさそうですね」 「…っ、る、さいっ! 俺の、…っア、せいじゃ、ないっ…!!」 「分かってますよ。――それでも、そそられます」 囁かれる言葉の一つ一つに熱を煽られる。その言葉を発しているのは間違いなく古泉の意思なんだと勘違いしてしまうほどに。 このまま、錯覚のせいにしてしまっていいんだろうか。何もかも、今回限り、終ってしまえば忘れてしまう、忘れたことにしてしまえるのか? それなら、と俺は古泉を抱きしめる腕に力を込め、その頭を引き寄せながら、叫ぶように口にした。 「…っ、す、き…」 いっそ聞こえなくていいと思ったその言葉は、しっかりと古泉の耳に届いたらしい。はっとした表情を古泉が浮かべる。 返事は要らない、否定も肯定も要らない、と俺は涙をこぼしながら首を振った。その涙さえ、どうしてこぼれていくのか分からない。過ぎる快感のせいなのか、それともこの感情の暴走のせいなのかすら、見当がつかなかった。 俺はただしゃくり上げ、すすり泣きながら繰り返し繰り返しうわ言のようにその言葉を呟き、あるいは古泉の名前を呼んだ。古泉は優しく俺にキスをした。 それでいい、それで十分だ。 「っ、もう、イきますよ…」 言葉通り、余裕のない声だった。イくも何も早くイけと言いたくなるのは、俺の方がだらしなく白濁を吐き出し続けているせいだ。 「は、やく…」 これじゃまるで俺が求めてるみたいじゃないかと否定の意味を込めて思いながら、事実その通りだという気もした。 古泉が大きく腰を使い、狙ったように最奥に熱くぬめる液体を注ぎ込まれる。その瞬間、俺はどうしてか笑っていた。幸福感は最高潮に達して、ああこれが母になる喜びってやつかと煮えすぎた頭で思った。 俺の体は古泉がイってもそれをくわえ込んで離さなかった。精が漏れるのを拒むように、古泉の体に脚すら絡めて繋ぎ止める。キスは交わすというよりもむしろ貪りあうとでも言うべきもので、孕まされた寄生植物の種を育てるために必要な養分でも与えられるかのようだった。 ずるりと抜け出た古泉に、俺は薄く笑って尋ねた。 「なあ、どんな子供が生まれると思う?」 「産めば分かるんじゃないですか?」 昏い笑いを交わしながら、古泉が俺に軽く口付ける。それでは足りないと唇を開き舌を差し伸べる俺の腹に、古泉が手を伸ばす。そうしてぐっと押されると、ごぷんと嫌な音を立てて、白いものが零れた。 「あ、……っは……」 「ラマーズ法ってご存知ですか?」 それは俺にやれということか。やめてくれ、そんなもんなくても、軽くいきめば生まれるはずだ。 「ではどうぞ」 産科医よろしく、俺のM字に開いた脚の前に陣取った古泉をいくらか憎たらしく思いながら、俺は腹に力を入れた。 こぷっという音とともに、丸い何かが抜け出る感覚がする。それすら、気持ちよくて。 「ぁ、」 「気持ちいいんですか?」 「んっ……気持ち、いい…」 「僕としては早くわが子と対面したいんですけどね」 冗談めかしてそう言いながら、古泉は生まれた一つ目の子供を手に取った。 小さな丸いそれは、艶やかな緑色をしていた。むしろ、健康そうな緑色とでも言った方がいいかも知れん。 「残りいくつです?」 「分かるか…っ、く、…ふぅん…」 切ない声を上げながら力をこめる。2つ目、3つ目。次々現れるそれを、古泉は愛しげに拾い上げ、掌に包んだ。 全部で6つのそれを、古泉は俺に渡した。 「ご感想は?」 「……なんかもう、よく分からん」 疲れて、わけが分からなくて、このまま眠り込んでしまいたいくらいだ。 「僕も、強烈な眠気を感じています。ここで眠ってしまったら終りなのだろうとも。だから、」 古泉が優しく俺を抱きしめた。 「眠りたく、ない」 「……俺もだ」 眠ったが最後、おそらくこの感覚は終ってしまう。古泉へのたとえようもない愛しさも、手の中の子らへの愛しさも。 それで正常なんだと理性は告げる。それでも、と思うのはすっかり狂わされた感情だ。 「あなたが好きです。本当に、ずっと、以前から」 囁かれた言葉に目を見開こうとした。優しく見つめてくれているだろう目を、見つめなおそうとした。 だが、古泉は俺を眠らせるために俺のまぶたをそっと押さえ、俺はそのまま、大人しく眠らされちまった。 目を覚ますと部室にいた。身支度がきちんと整えられているのはどういう理屈だろうな。ぐちょぐちょに汚れたはずの床もすっかり綺麗になっていやがる。 もしかして全ては白昼夢だったのだろうか、と思いながら床から体を起こした俺に、 「お目覚めですか?」 と古泉が言った。その手にはなぜか、茶葉の缶が握られている。 「茶でも淹れるところだったのか?」 俺が聞くと、古泉はにっこり微笑み、 「空の缶をいただいただけです。中身は、」 とそれを振ると、からからと軽妙な音がした。中で丸いものが転がるような……うん? 丸いもの? 「大事なわが子ですからね?」 古泉の言葉に俺は首まで真っ赤になり、 「こ、の馬鹿っ! 反省しろ!!」 と怒鳴ったのだった。 「大体なんであんなもんに寄生されたんだ!?」 怒鳴りついでにそう聞いてやると、古泉は軽く頭を掻きながら、 「どうしてでしょうね? しかしながら、なかなか貴重な体験をさせてもらいましたよ」 「何が貴重な体験だ…!」 「それはもちろん、同性とのセックスなんて、そう体験し得ませんからね。それも、あんな風に体の自由を奪われ、自分の思考さえ変質させられた状況でしたから」 ずきりと胸が痛んだのは、罪悪感か背徳感のせいだと思いたい。俺は精一杯の渋面を作り、 「二度と言うな」 と古泉を睨みつけた。 「ええ、内緒にしておきましょう。僕と、あなただけの」 そう笑った古泉は、缶の蓋を開けると中から丸い種を3つだけ取り出し、俺の手に押し付けた。 「あなたの分ですよ」 「こんなもんどうしろって言うんだ…」 怒りを通り越した呆れを感じながら俺が言うと、 「お好きになさってください。処分するのでしたら燃やした方がいいでしょうね。適当に捨てて、発芽されても困るでしょうから」 「それならお前が処分したらいいだろう。俺は面倒だ」 そう言って押し返そうとした手を、やんわりと押さえられる。 「僕は、捨てられそうにありませんから、どうぞご自分でなさってください」 どういう意味だと問い返すことも出来ず、呆然とした俺に、古泉は不敵に笑い、 「僕は忘れませんよ」 とわざわざ宣言した。 どうして古泉があんなものに寄生されたのか、また、どうしてあんなものがいきなり出現したのかは分からないままだ。 しかしながら、おそらく俺の声が漏れたりしないようにしてくれたのだろう長門に詳しく聞くこともはばかられ、俺の元にはいくつもの疑問と、3つの怪しげな種が残されたのだった。 |