当然エロです
必要以上に変態臭いですが私のせいじゃないので悪しからず
責任は某所のエロ隊長とエロのエキスパート氏にあります

































不可抗力も認めない



古泉とふたりで出かけた先は、遊園地だった。
男ふたりで行く場所じゃないと言われればその通りなのだが、恋人とふたりで行くのなら間違った選択ではないだろう。
決定したのは古泉だが、候補として映画館、公園、買い物、海などと並べた中に遊園地を混ぜたのは俺だ。
デートスポットと言われてその程度しか思いつかないのだから、いかに俺の恋愛経験が乏しいか分かるというものだ。
「僕としては、その方が好ましいですけど」
というのは古泉の言だが、
「そういうお前はどうなんだ」
と俺が聞くと、笑って誤魔化しやがった。
くそ、忌々しい野郎だ。
とにかく、俺たちはふたりだけで遊園地に行き、こうして日が暮れるまで遊んで来たというわけだ。
観覧車に乗った際などに古泉がやらかしやがったたちの悪い悪戯については多くを語りたくない。
おかげで疲労困憊した俺は、帰りの電車がそこそこ混んでいたせいで座ることも出来ず、古泉と共に突っ立っていた。
「……痴漢行為を働いたりするなよ」
睨みあげながらそう言ってやると、古泉は小さく笑って、
「分かってますよ。今日は随分と無理をさせてしまいましたし、それに何より、」
何より?
「あなたの感じてる顔を他人に見られるなんてことは真っ平御免ですからね」
お前はどれだけ独占欲が強いんだとか、今本気で言っただろとか、言ってやりたいことは色々あったのだが、そんな元気ももはやない。
俺は諦めのため息を吐き、人に押されるまま、古泉の肩へ頭を押し付けた。
古泉はさっきの言葉通り、悪戯を仕掛けてきたりはせず、俺はその体温の心地好さと疲労感のおかげで眠りそうになった。
その時である。
「ひっ…!?」
ぞわっと嫌な感覚が背中を走った。
「どうかしましたか?」
不思議そうに俺を見る古泉に、
「い、いや、なんでもない。多分、気のせいだ」
と答えた。
多分、荷物が当たったとかそういうことなんだろう。
古泉の反応からして、古泉がしたんじゃないことは間違いないだろうからな。
それならば、わざわざ俺なんぞのケツに触ってくるような痴漢、もしくは痴女がいるとは思えない以上、さっきのはただの偶発的な接触であり、そんなもんでびくつく俺がおかしいということなのだろう。
それもこれも、男のケツを楽しそうに撫で回す奴がいるということを実地で教えた奴が悪い。
八つ当たりのようにそう思った時、再び何かが触れてきた。
いや、何かなんて曖昧なもんじゃねぇ。
明らかに、人の手だ。
それが俺のケツをもったいぶった仕草で撫で回していやがる。
嫌悪感にぞわぞわした。
古泉に触られたのならこうはならん。
古泉にされたのならぞくりとしたものが背を這い、興奮させられるからな。
……果たしてそれでいいのかどうかはともかくとして。
だが、今感じるのはひたすらに、嫌悪感と恐怖だった。
嫌で嫌で堪らない。
助けを求めたいのだが、恥ずかしくて出来ん。
第一、なんと言えというのだ。
痴漢と叫べとでも言うのか?
男の俺にそれはキツイ。
小声で古泉に告げる、か?
だが、もし俺が痴漢に遭ったと知ったら、こいつのことだ。
面倒なことになることはまず間違いないだろう。
一番穏便に済むのは、古泉にばれないまま、痴漢がいなくなるのを待つことだ。
だから俺は眉を顰めそうになるのを堪えながら、じっと耐えていた。
が、俺が抵抗しないのを見て気をよくしたらしい痴漢の手がズボンの中へ入れられそうになり、
「っ…!」
思わず息を呑むと、古泉がぐっと顔を顰めたのが見えた。
まずい、これはばれた。
そう思った俺は正しく、それからの古泉の行動は素早かった。
左手で俺を抱き寄せると、空いていた右手で俺のケツに張り付いていた手を掴み、ゴキィ、という嫌な音が聞こえるほど、その手首を捻った。
「ぅ、わ…」
というのは俺の上げた声であり、手首を捻られた痴漢野郎は声を上げることすら出来ない様子だった。
古泉は俺のことを抱きしめながら痴漢野郎を一度だけ睨みつけ、それから俺のことも睨んだ。
思わず体が竦むほど、恐ろしい目で。
そんな目で睨まれるのも久し振りだ。
久し振りだからと言って喜べるものでもないし、以前経験しているからと言って睨まれるのも平気になっているということもない。
本気で怒っている古泉は、はっきり言って恐怖である。
「こ、古泉…」
どうしたものかと思いながら声を掛けた時、電車が駅に止まった。
古泉は無言で俺を電車から引き下ろすと、そのままずんずんと歩きだす。
この駅は本来下りるはずの駅でもなければ、普段使う駅でもないため土地勘があるとも思えないのだが、古泉は迷う様子もなく真っ直ぐ歩いていく。
改札を出て、少し辺りを見回したかと思うと、行き先を決定した様子で再び歩き始める。
「古泉、どこに行くつもりなんだ?」
怖々尋ねた俺に一瞥もくれず、古泉は余計に足を速めた。
苛立ちを露わにするように。
どうやら俺は、最悪の選択をしてしまったらしい。
今更後悔したところで遅い。
俺に出来ることといえば、大人しく古泉についていくことだけだ。
これ以上古泉を怒らせないようにと、びくつきながら。
俺は、馬鹿だ。
古泉ともっと恋人らしいことをしようと遊園地まで出かけて、それなりに、その……なんだ、楽しんだってのに、縮めた距離を前以上に突き放すようなことをしちまって。
確かに軟化していたはずの古泉の態度は、付き合い始めた当初のように冷たく、恐怖を伴うものになってしまった。
……すまん、古泉。
間違った選択をしてしまったことも、古泉が俺に無茶なほど酷いことをするはずがないと分かっていながらもこうしてびくついてしまうことも、申し訳なくて堪らなかった。
そうして俺がドナドナよろしく引っ張っていかれた先は、特に何の変哲もないビジネスホテルだった。
チェックインする間にも古泉は掴んだ俺の手を放さず、俺は奇異な目で見られ、非常に居た堪れない気持ちになった。
相変わらず無言のまま、古泉は俺を部屋まで引っ張っていき、狭いツインルームに入るなり、大きな出窓に向かって俺を突き飛ばした。
「っ!」
慌てて手をついたが、その衝撃はなかなか大きなもので、俺は出窓の下、カウンター状になったスペースの縁で、強かに腹をぶつけた。
それでも古泉は俺に構う様子を見せず、そのまま乱暴に俺のズボンを下着ごと引き摺り下ろした。
「こ、いずみ…!?」
俺に逃げ出そうとする隙も与えず、古泉は濡らしてもいない指を突っ込んだ。
「……っ、ひ、痛…」
「感じてる顔を人前で見せた罰です」
「そ、んな、顔、して…なんか、ねぇ…っ!」
「どうでしょうね」
どうでしょうねも何も、疑問を挟む余地なんかないだろう。
「お、れは…っ、お前だから、っふ…、感じ、てんのに…、他の誰でも、そんな、こと、なるわけ…っあぁ…!」
「本当ですか?」
古泉の声に、若干の喜色が滲んだ。
俺はこくこくと頷いた。
「ええ、本当にそのようですね」
そう笑った古泉が俺の中をかき回した。
ぞくっと背中を駆け上るのは、間違いなく快感だ。
「痛いと仰ったのに、感じてますね」
「…っ、だ、って……」
「僕だから、ですか?」
「そ、うに…決まってる……!」
「嬉しいです」
ああ、よかった。
古泉の怒りはどうやら収まってくれたらしい、と思った俺はまだ甘かった。
「……でも、助けを求めてくれませんでしたよね」
「ぅっ、そ、それは……」
「僕が頼りにならないとでも思ったんですか?」
「違、…っ、あ、余計なこと、知らせ、たく、なくて…っん…!」
「それが間違いなんですよ」
それはもうよく分かった。
それこそ、嫌と言うほど。
「ご、めん…っ」
「反省してくださいましたか?」
「した…っ、だから、」
俺は限界まで体を捻り、古泉に顔を向けた。
それでもちゃんと体を向けられない。
だから後ろからってのは嫌いなんだ。
「…嫌いに、…っく、ならないで、くれ……」
目から涙が零れた。
それを、古泉が舐め取る。
「僕があなたを嫌いになるはずがないでしょう? あなたに何があろうと、あなたがどう思おうと、もう、絶対に放しませんよ」
「そう、して…」
縛り付けて、放さないでいればいい。
俺ももう、古泉なしでいられないんだから。
「ん、古泉…っ、するんだったら、ベッドでしたい…」
興奮に熱を持った声でそうねだったのだが、
「だめですよ」
と返された。
「な、んで…」
「すぐに助けを求めなかった罰です」
そう言った古泉が指をもう1本増やした。
「っ、い、やだ、無理だって…」
「どこが無理だって言うんです? あなたにも聞こえるでしょう? ここ、濡れてきてるんですよ」
「んな、まさか…」
俺は男だぞ。
「ほら」
「ひっ…」
古泉が指をいくらか乱暴に動かすと、くちゅりと湿った音がした。
「粘液の正体は腸液でしょうか。あなたは本当に、男に抱かれるために生まれてきたような、いやらしい体をしてますね」
貶める言葉が胸を刺すのに、それ以上に与えられる快楽が大きい。
「…そう、したのは…っは、……お前、だろ…」
「そうでしょうか? 僕は、生まれ持った素質が大きな要因だと思いますよ」
万が一にもそうだったとしても、古泉が覚えこませなければこんなことにならなかったことは間違いない。
「あなた、もう前だけじゃイけないんじゃないですか?」
揶揄するように言った古泉が、俺の首筋を舐める。
「ひあっ…」
「逆に、後ろだけでイけそうですよね」
「後ろ、だけって…」
「後ろへの刺激だけで、という意味ではありませんよ。それくらいなら、何度も経験してますからね」
「う、るさいっ…!」
「そうではなくて、前で射精せずにイく、ということです。ドライオーガズムというのですが……ご存知ありませんか?」
知るもんか。
俺はお前の変態プレイに付き合わされるだけで限界であり、わざわざ自分から余計なことを知ろうとするほどの余裕などあるはずもない。
第一、男の場合射精することをイくというんじゃないのか?
「定義について話す必要はないでしょう。やってみればいいことです」
そう言った古泉は俺の耳に唇を近づけると、
「出来るだけ前は意識せずに、後ろだけ意識してくださいね。ちゃんと後ろだけでイけたら、それで許してあげますが、失敗したら――」
と俺の恐怖心を煽るようにたっぷりと間をとり、
「――尿道を、いじめて差し上げます」
それが何を意味するのか、なんとなく理解した俺は思わず青褪めた。
俺のそんな反応に古泉は楽しげに笑いながらも、
「尿道をどうするか、分かります? 最初ですから……そうですね、せっかくホテルに泊まるんです。備え付けのサニタリーセットの中には綿棒があるでしょうから、それを差し込んであげますよ。少しばかり痛むかもしれませんが、快感を得るのが上手なあなたのことです。きっとすぐによくなりますよ。僕が保証します」
そんな保証は要らん!
さてこれで、俺は何が何でも後ろでイくとかいうわけの分からないことを体験しなければならなくなったらしい。
本当にそんなことが可能なのか、非常に疑わしくはあるのだが、それを考えるより早く、古泉の指が淫らがましい動きを再開した。
「ひ、あ…っ、あ、んん…」
頭の中で白い光が明滅する。
今日、既に一度は古泉のものを受け入れたからか、余計に敏感になっているらしい。
「気持ちいいですか?」
「んっ、い、イイ…っ」
腕からも力が抜け、上体を支えることも出来なくなり、俺はそこに伏せた。
「さっきは中までしっかり綺麗にできませんでしたからね。まだ残っているようですよ」
そう言いながら、古泉が中から何かを掻き出そうとするかのように指を動かすと、腸壁を擦られる感覚に腰が揺れた。
足も立たなくなりそうだというのに、古泉は許してくれるつもりなどないらしい。
前立腺を刺激され、痛いほどの快感が頭まで貫くのに、それじゃあ足りないと感じている部分がある。
「古泉…っ、早く…!」
「早く……なんですか?」
「い、れて…! お前、がっ、……欲しい、から」
恥ずかしげもなくねだると、古泉が小さく笑ったのが分かった。
「罰だって言いませんでしたか? それなのに、気持ちよくなって、あまつさえもっと欲しいと仰るなんて、本当に淫乱な方ですね」
その言葉を否定出来ないのは、そうやって酷い言葉を投げ掛けられても感じるからだ。
だから俺は反論も出来ず、唇を噛み締めるたのだが、
「…そんなあなたを独占出来て、嬉しいですよ」
と、この上もなく愛しげに囁かれ、思わず顔を顰めた。
本当にこいつは何がやりたいんだかさっぱり分からん。
もしかすると、古泉自身、自分がどうしたいのか分かってないのかも知れないと思うくらいには、やることが矛盾含みだ。
俺を貶めながら好きだと言い、喜びながら怒り、――そんな風に混乱するほど、不安なんだろうか。
分からん。
分からないのは俺の方に思考をまとめるだけの余裕がないせいかもしれないが。
「…っあ、古泉…、イきたい、から…」
「指だけじゃ足りないんですか?」
こくこくと頷くと、
「しょうがないですね」
恩着せがましく言った古泉が、待ち望んだものを押し当てた。
「は、やく…っぅ」
焦らされたせいで、頭の中までどうにかなっているに違いない。
甘ったれた声しか出ない。
「はい」
笑いを含んだ古泉の声に苛立つ間もなかった。
「ん、あ、…っ、ぁあ…!」
床まで崩れ落ちそうな体を古泉が支え、なんとか体勢が保たれる。
目の前が白くかすんで見える。
それとも、白く染まっているのは頭の中か?
「後ろだけで、イけそうですか?」
「んな、こと…んっ……言われたって…っ、ふあっ…」
「まあ、僕としては、尿道プレイでも構いませんが」
俺は嫌だ。
だから、と古泉が言ったことを思い出し、意識を集中させる。
「く…」
と声を上げたのは俺じゃないぞ。
古泉だ。
意識したせいでどうやら締め付けたらしい。
怖いほどに強い快感が俺をも襲う。
執拗に刺激される前立腺が悲鳴を上げているんじゃないかと思った時だった。
「…っあ?」
戸惑いに声が上がった。
なんだこれ。
「どう、しました?」
上がった息の下から問うて来る古泉に答える余裕もなく、指に当たる空調か何かの穴に指を立てる。
そうでもしなければ耐えられないと思った。
もう一度言う。
なんだこれ。
繋がってる場所とか、性器とか、そこだけならまだ分かる。
だがそうじゃない。
たとえるなら、下半身全て性器に変えられたかのような、強すぎる快感に力が抜けるどころか、自分でもどこに力が入っていてどこが弛緩しているのか分からなくなる。
「ひっ――…!」
悲鳴染みた声、というよりも悲鳴そのものだ。
何かが来ると感じた。
その何かが来て、俺は一瞬意識を失ったのだと思う。
あるいは、放心状態にでもなっていたのかも知れないが。
「大丈夫ですか?」
心配そうに顔をのぞきこんできた古泉に、
「大丈夫、って……?」
荒い息を吐きながら問い返すと、
「凄い声でしたよ」
「こ、え…?」
「ええ。……それすら、分からなくなったんですか…?」
分かるもんか。
「でも、ちゃんとイけましたね。後ろだけで。どうでした?」
「…知るか」
それより、
「…も、イったんだから、勘弁しろよ……」
ぐったりと身を投げ出しながら俺がそう言うと、
「……そうですね。では、」
にっこり笑った古泉は、
「続きはベッドでしましょうか?」
死刑宣告にも似た言葉を寄越したのだった。