例によって例の如く鬼畜風エロですのでご注意くださいませ
いつものように古泉の部屋に行って、いつものように古泉に押し倒されて、いつものように気絶するまで犯された。 そこに愛はあるのかと言われたらあると答えてやるが、古泉が答えるであろう言葉を考えるとなんとも言いがたい気持ちになる。 おそらくあいつは、傷ついたような、困惑するような表情を浮かべてこう言うのだろう。 『さあ、どうでしょうか』とな。 それは古泉が俺への感情の名前を掴みかねているからではなく、俺が古泉に対して抱いているこの想いを、あいつが愛として認識しかねているからくる言葉だ。 付き合いはじめて一ヶ月半。 古泉の変質的、あるいは猟奇的なまでの性志向は何が原因で形成されたんだろうかと俺は未だに考えさせられている。 きっかけがまずかったんだろうか。 それとも俺が本気で抵抗しないのがいけないのだろうか。 抵抗はしなくても俺が心底嫌がっていることくらい、古泉も解っているはずなのだが。 ため息を吐きながら、昨日の行為ですっかり疲労困憊した体を無理矢理起こそうとして、俺は動きを止めた。 思考も同時に停止する。 心臓だって一瞬止まっていたに違いない。 それでも見開いたままの目には、北高のブレザーを着た「元の古泉」が映っていた。 はっと我に返って、慌てて上半身を布団で隠した。 例によって、俺が眠っている間に古泉が後始末はしてくれていたが、胸にも腕にも鬱血の痕が残り、明らかな情交の痕跡を残していた。 真っ赤になった俺に、「元の古泉」が言った。 「あなたを迎えに来ました」 緊張したような声に、俺は目を見開く。 迎えにってのはどういうことだ。 この世界は長門によって改変された世界じゃなかったのか? 古泉が言っていたような平行世界だったとでも言うのか? うろたえる俺に、「元の古泉」であるはずのそいつは言った。 「僕たちの世界では、あなたはずっと意識不明の状態です。長門さんによると、涼宮さんによって、あなたの精神だけがどこかに飛ばされてしまったということで、ずっと、あなたを探していたんです。…無事に見つかって、よかった」 そう言って、そいつは破顔一笑した。 古泉さえ滅多に見せないそんな笑みに、俺が驚いていると、そいつは俺の手を取り、 「帰りましょう。あなたのいるべき世界へ」 「……すまん」 そう言うまでに間が空いてしまったのは迷ったからじゃない。 ただ、苦労してきてくれたんだろう「元の古泉」と「元の長門」に悪いと思ったからだ。 でも、今更俺は戻れはしない。 「元の」と付けずにはいられないほど、俺にとってあの世界の記憶は遠くなっていたし、それに何より、今の古泉が愛しいのだ。 あの寂しがりの子供のような古泉を悲しませたくない。 「俺は、」 やんわりと古泉の手を引き剥がしながら、俺は笑って言う。 「こっちを選んだんだ。こっちの世界で、生きていくことを。だから、帰ってくれ」 「……どうしてです」 「こっちに守りたいものがあるからだ。こんなところでこんな格好でいるんだ。お前なら、……その、分かるだろ」 というか、分かってくれ。 恥を忍んでの俺の言葉に、「元の古泉」は苦いものを飲まされたようにぐっと顔を顰め、 「あなたは、これでいいんですか。そんな風に、…男に、……抱かれて」 「ああ」 恥ずかしいが正直に頷いてやる。 嘘や誤魔化しを含んだ中途半端な言葉じゃ説得出来ないと思ったからだ。 「俺は今に満足してる。だから、帰ってくれ。どうしても俺が必要だって言うなら、俺の精神だかなんだかをコピーして、余計な部分を消した上で、そっちにある俺の体に埋め込むくらい、長門がいれば出来るんだろ。もうひとり自分が出来るかと思うと気色悪いが、俺のわがままのせいなんだ、我慢する」 「そんなに……戻りたくないんですか」 「ああ。ここには……お前じゃないお前がいるからな」 「…そんなに、ソイツが好きですか?」 「…ああ、愛してる」 俺が笑顔でそう言うと、「元の古泉」は戸惑うようにしばらく躊躇っていたが、 「僕じゃ、ダメなんですか」 「ダメだ」 というか、お前は俺に恋愛感情なんて抱いてなかっただろ。 「それで、」 俺は苦笑し、一度引き剥がした手を握り締めた。 「今度はコスプレか? 古泉」 「おや、ばれましたか」 悪びれもせずに古泉はそう言った。 そのままベッドに腰を下ろす。 俺はため息を吐き、 「僕じゃダメなんですかって言ったのが失敗だな。前々から言ってるように、俺もあいつもお互いに恋愛感情なんて抱いてなかった」 「あなた自身についてはともかく、アイツがどうかは分からないでしょうに」 と息を吐く古泉を抱きしめて、俺は笑った。 「たとえお前の言う通りだったとして、あいつならそれを口にしたりはしないだろうよ。ハルヒが力を持っている限り、な」 「本当にそれ、僕と同じ人間なんですか? 僕なら世界なんかよりもあなたの方を選びますよ」 呆れを通り越してむしろ軽蔑しきったような顔をした古泉に、 「ありがとな」 と言うとベッドに押し倒された。 それはまだ想定の範囲内だったのだが、次の瞬間降ってきた言葉は予想外だった。 いや、あるいは予想していたのかもしれない。 ただし、最悪のものとして。 「それにしても、もっと早く気付いてもよかったんじゃありませんか?」 「――え」 「見ただけで気がついてくださるんじゃないかと期待してたんですけどね」 「そ、それは……悪かったな」 だが、全く同じ人間なんだ。 見ただけでどうやって気づけというんだろうか。 「おかしなことを仰いますね。僕とアイツが全然違うと言っていたのはあなたでしょうに」 「それは見た目の話じゃなくて、中身の話だろ、って、おい!」 布団を剥がし、露わになった胸へ舌を這わせようとするのを制止しようと声を上げると、上目遣いに睨まれた。 「嫌なんですか?」 「せめてその服を脱げ。お前じゃないみたいで嫌だ」 俺が言うと、古泉は意外そうに目を見開いた。 なんだよ。 「服装ひとつで結構惑わされるんですね」 「わ、悪いかよ」 その服装でそんな風にニヤニヤ笑うのも、物凄く落ち着かないからやめてくれ。 「いえ、素直なあなたらしくて、いいと思いますよ」 そう笑った唇が、俺の唇に触れる。 くすぐるように、軽く。 「僕に飽きたり、浮気をしたくなったりしたら、言ってくださいね。この格好でいくらでも犯してあげます」 「はっ!?」 誰がそんなものを求めてるって言うんだ、こら! などと訴えたところで古泉が聞くはずもない。 扇情的に赤い舌が、昨晩も散々に弄ばれた哀れな胸の突起物に触れる。 くすぐったさと、その見ていられないような光景に、俺は半ばまで起こしていた上体を再びベッドに沈めた。 そうすればそうしたで古泉が調子に乗るのは分かっていたが、だからと言って赤ん坊に母乳を飲ませる母親でもないってのに人が自分の乳首を舐めてる映像なんぞ直視出来るか。 その上段々と大胆になって行くそれは、くすぐったいだけじゃなくなってくる。 最初に古泉に触れられた時はどうってこともなかったそれが、今じゃもう性感を高めるためだけの器官にさえ思えるくらいだ。 畜生、と歯噛みするのは、ささやかに残った男としての矜持だ。 残りの部分は心さえ、古泉と、古泉との行為とに慣らされて、それに悦んでいる。 乳首が恥ずかしいほどに勃ち上がるまで、指と舌で愛撫した古泉は、それに合わせるようにうっすらと上気した俺の身体を満足げに見やって、小さく舌なめずりした。 残虐性の滲むそんな仕草にどきりとさせられる。 そうして古泉はその残酷な笑みに似合った言葉を呟いた。 「さて――今日の罰はどうしましょうか」 「罰、って…何の……」 くそ、胸を触られただけで息が上がってやがる。 「すぐに僕と分からなかった罰です」 事も無げに古泉はそう笑った。 「どうしましょうか。氷でも食べますか? ここで」 昨晩も散々にいたぶられたすぼまりを指でやんわりとくすぐられるだけで、ぞくりとした。 「冷た過ぎて焼けるほどに痛むでしょうけど、そうしたら僕のモノで溶かしてあげますよ」 いやだ、と首を振ると、 「でも、勃ってますね、ここ」 と体の中心を握られた。 「っ、それ、は…」 「あなたが言葉攻めにも弱いとは思いませんでした」 「そう、じゃ、なくて、…っん」 抗議しようとしたのに、緩く扱きあげられて、息を詰める。 「そうじゃなくて、なんです? ああ、乳首だけで感じたんですか?」 ここで頷くのと頷かないのでどっちがマシだろう、と算段しようとしたのがまずかったんだろうか。 「結局あなたは何をされても感じるんですよね」 そう決め付けて、古泉は指先で俺を弄びながら、耳元で囁いた。 「今度、ローターでも買ってきてあげますよ。この乳首に貼り付けて、1時間でも2時間でも、あなたが泣いて許しを請うまで焦らしてあげます。あなたは我慢強い人ですから、外す頃には真っ赤になっていることでしょうね。それを何度も繰り返していたらきっと、人前では服を脱ぐことも出来なくなりますよ。それどころか衣擦れのかすかな刺激でもぷっくりと淫らに勃ち上がって、あなたを困らせることになるかも知れませんね」 長々と喋るそれを俺が大人しく聞いているはずもなく、頭を振って逃れようとするのだが、古泉は俺の耳を食むようにしながら、最後まで囁き通しやがった。 「ね、嬉しいでしょう?」 「ぃや、だ…」 「それならバイブにしましょうか。貞操帯代わりにずっと入れておいてあげますよ。そうしたら僕がしたくなったらいつでもすぐに出来るでしょう?」 そうやって囁かれる言葉が全部本気だとは思わない。 怒っている時には、誰だって勢いに任せて心にもないことを言ったりする、それと同じなんだと分かっている。 本気じゃないと分かっていても、古泉の目が、言葉が、怖くて仕方がないし、恥ずかしい。 そんな風にして俺をいたぶるのも、今日、「元の古泉」の振りをして俺を試したりしたのも、俺が信じられないからなんだろう。 だが、そんなに、俺は信用ならないのか。 そう思うと、涙が溢れて止まらなくなった。 古泉のこととなると、どうしてこんなに簡単に涙が出てくるんだろうな。 全く乱れていない古泉の服を掴み、俺は涙を拭いもせずに言った。 「そんなに、俺は、…っ信じられない、か?」 古泉は黙って答えない。 「俺は、お前が好きだから、こうしてお前のところにも来るし、本気で抵抗もしないのに、いつまで経ってもお前が不安になるのは、俺が信じられないからなんだろ」 「…あなたを、信じ切れないのは事実です。でも、それはあなたのせいじゃなくて、僕のせいです」 静かな声で、古泉は言った。 「あなたを信じたい。信じたいのに、あなたの寛大さや優しさに触れるにつれて、自分がどんどんあなたに相応しくないもののように思えてくるんです。だから、あなたを貶めてしまいたくなって、酷いことを、して、しまって」 「…俺は、寛大でも優しくもない」 もしそうであるなら、お前が俺を信じれるようになるまで待っただろう。 こうして、無理矢理に心情を吐かせたりしないで。 「それにお前も、自分で思ってるほど、酷くもない」 されてる最中はなんてことをしやがるんだと思うし、翌日に疲れも残すが、傷や痕が残るほど痛めつけられることも、朝になっても痛みが残るほどにされることもない。 ちゃんと俺の身体のことを考えながらしているのだろう。 だから俺は古泉にどんな酷いことをされても嫌いにならない。 むしろ、不安を打ち消したいと願うほど、愛おしく感じる。 俺は古泉の体を抱きしめ、 「どうしたら、俺を信じてくれるんだ?」 「……分かりません」 「俺が、何もかも投げ出せばいいのか? それとも、思ってることを隠すのをやめればいいのか?」 言っておくが、そうするとどうしようもなく恥ずかしい俺を見る破目になって、俺に幻滅する可能性も出てくるぞ。 「ありえませんね」 と古泉は優しく俺に口付けた。 「なら見てろ」 俺は古泉の下から這い出すように体を起こすと、自分から古泉にキスをして、古泉をベッドに押し倒した。 「大体お前なぁっ、」 俺は古泉に馬乗りになり、ズボンを脱がせてやりながら言った。 ついでにこの憎たらしいブレザーも脱がせて床へと放る。 「ゆっくりとはいえ、話してる間も指を動かし続けてるってのは何なんだ」 おかげで俺はどうしようもないくらい煽られて、頭の芯までぼうっとしてんだよ。 というか、それで人のことを淫乱だのなんだのと言うな。 「すみません、発言と行動が一致していないように思うんですけど」 と古泉は苦笑いを浮かべながら言った。 今まさに古泉のモノを飲み込もうとしていた俺は、苛立ちに顔を顰めながら、 「うるさい。俺をこんな風にしたのはお前なんだから、責任を取れ」 噛みつくように言い捨てて、腰を沈めた。 「んっ、…あ、ああっ、はぁっ…!」 目の前が一瞬真っ白に染まる。 ヤバいくらい気持ちいい。 いつもなら押し殺すような声を、あえて上げてやる。 どうせ聞いてるのはこいつだけなんだから、堪えようが出そうが今更変わらん。 「はっ…あ、………お前、さぁ…」 「はい?」 俺は驚きのせいでいくらかぎこちない古泉の笑みを見下ろしつつ、ため息を吐いた。 「これでもまだ、んっ、求めてるのが、…自分だけだとか……思うのか…?」 「思えません、ね。こうまで見せ付けられては」 と苦笑する古泉の上に、俺は息を吐きながらぐったりと倒れこんだ。 「俺は元々淡白な方だから、お前ほどやりたがったりはしねえけど、ちゃんとお前とやりたいと思ったりもするんだから、分かれよ」 「よく、分かりました。それで……どうして途中で止めてしまったんです?」 俺は恨みがましく古泉を睨みつつ言った。 「……腰が立たん」 「……は?」 「腰が立たんと言ったんだ。初心者が騎乗位で腰を触れると思うな」 文句があるならこの生まれたての小鹿のごとく震える足腰を見てから言え。 「そうですね。あなたの方からこうして跨ってくださっただけでも、嬉しいですし」 言いながら、古泉は体勢を逆転させた。 組み敷かれたことよりも、いきなりそうして動かれたせいで、喉が引き攣った声を上げる。 「後はいつも通り、僕に任せてください」 と笑って言われた。 ぐっと奥を突かれ、淫らがましい声が出る。 「どうされるのがお好きですか?」 「あ、…っこの、ばかっ! 知ってるくせに…!」 憎たらしい。 ちょっと甘くしてやっただけで付け上がるところは古泉らしいが、それにしたって憎たらしいことこの上ない。 「ええ、そうでしたね」 楽しげに笑いながら、浅い抽挿を繰り返される。 弱い入り口を繰り返し刺激されて、視界が明滅する。 「ぁあっ、ぃ、や、だって…!」 「嫌じゃなくて、いい、でしょう?」 「んっ、…あっ、イイっ…、けど…っ」 「けど、なんです?」 「俺ばっかり、じゃ、嫌だ…!」 浅く抜き差ししてるだけで、古泉まで気持ちよくなってるとは思えない。 俺だけ気持ちよくされて、喘がされているんじゃ、本当に古泉に求められてるのかそれともただ単に辱められているだけなのか、分からなくなりそうで怖い。 「……本当にあなたって、可愛い人ですね」 そう言って古泉が腰を進めた。 ひ、と喉が震えた。 「っ、そんなに締めないでください」 「ば、っか、俺が、んなもん、意識して出来る、んあっ、かぁっ!」 俺の方こそいきなり奥を突くなと抗議してやりたいくらいだ。 「それにしたって、力を緩めるくらい出来るでしょう? このままじゃ、僕の方が先にイきそうですよ」 「はっ、イけば…いいだろ」 むしろそっちの方が俺は楽しい。 そう言って笑いながら、俺は古泉にキスをした。 舌を求めて、絡めて、見苦しいほど激しくて長いキスを。 そんなキスをやってる最中に、それも俺の方からするなんて、もしかすると初めてなんじゃないかと思っていると、俺の中に熱いものが吐き出された。 何もかも溶かすように熱いそれに、俺も白濁を吐き出す。 どこか不覚を取ったような顔の古泉に、俺はニィッと笑った。 古泉は不貞腐れたように、 「…なんですか」 「いーや、別に?」 俺の顔に浮かぶのは余裕の笑みだ。 「……ムカつきますね」 「お前の自制心が足りないんだろ。ほら、終ったんならとっとと抜け」 昨日のもあって俺はもうボロボロだ。 精液のこの薄さを見ろ。 若さにも限界はあるんだから今日はこれで勘弁しろ。 「これくらいならまだいけますよ」 「何を根拠、にぃっ…!」 ずるっと引き抜かれたそれが、息つく間もなく最奥を突く。 「お前の性欲は、底なしかぁああ!!」 断末魔めいた悲鳴に、満面の笑みで答えられたのは言うまでもない。 |