第二話
「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」、略して「SOS団」と名付けられた活動に、強制入部ならぬ強制入団させられた俺たちだったが、活動内容も分からない状態である。 することもなく、ただハルヒの命令だからと放課後に集まっているばかりだ。 部活動に参加するということのためだけに、俺がどんなに苦労したかは想像するに難くないだろうが、あえて言わせてもらう。 愚痴くらい言わせてくれ。 まず、頭の固いジジィ共に、学校生活における部活動の重要性を説いた上で、中学時代に何もさせてもらえなかった恨み言を挙げ連ねた挙句、ダメなら祭祀を執り行わないと主張したのだ。 祭祀は俺じゃなくても執り行うことは出来る。 ただしそれが効力を伴うかは疑問、と言うよりもむしろありえないと言うべきだろう。 今行われている祭祀はどれも、俺がやるからこそ意味があるらしいからな。 反抗的な態度をとるなら退学させる、とも脅されたが俺は意志を曲げなかった。 考えてみれば俺の方が代替性が効かない点で有利なわけだからな。 そんな風にして俺は部活動への参加を認めさせた。 それなのに、部室に来て何をするのかと問われるとただぼんやりと過ごすだけとしか答えようがないってのも情けない話だが、それはそれでこれまでと違う感じで面白かった。 ただし、本当に何事もなかったのかと言われると、首を振るしかない。 ハルヒはまず、コンピュータ研からパソコンを強奪するために朝比奈さんを犠牲にした。 これについては流石の朝比奈さんも参ったらしく、泣きながらハルヒに説教をしておられた。 しかし、ハルヒが懲りるはずもなく、けろっとした顔で、 「せっかくパソコンが手に入ったんだから、サイトを作らなきゃね。キョン、あんたやりなさい」 と命じた。 が、俺にそんなスキルはない。 パソコンなんか、中学の授業で少し触っただけだからな。 ブラインドタッチすら怪しいぞ。 「そうなの? なんか得意そうに見えたんだけど。っていうか、今時パソコンも持ってないわけ?」 時代後れな家なもんでな。 「じゃあ、有希も?」 長門は部屋の隅で本を読んでいたが、顔を上げると、 「私はいくらか触れる。…でも、兄さんの方が呑み込みは早いと思われる」 俺は驚いて目を見開いた。 長門の真意はともかく、長門は一応、学校内における俺の監視役という役目を担わされている。 それならば俺が外界の情報に触れられるようなことは避けるように努めなければならないだろう。 インターネットに接続された環境にあるパソコンに触れさせるなど、もってのほかのはずだ。 それなのに、それを無視して、と言うよりもむしろ推進するような行動に出るとは。 もしもジジィ共の関係者なんかにばれたら長門が酷い目に遭わされるんじゃないだろうか。 しかし長門はあの綺麗に澄んだ瞳で俺を見つめ、 「兄さんがやるべき」 分かった、それがお前の判断なんだな? 「そう」 ハルヒは首を傾げつつ、 「なんだか分からないけど、キョンがやってくれるのね? 今時ブラインドタッチも出来ないと後々困るから、これを機会に練習していいわ。パソコンを扱える団員がいないと困ると思うし。だから、サイトの完成が多少遅れても、罰則はなしにしておいてあげる」 いつものことながら偉そうだな。 「団長なんだから当たり前でしょ」 きっぱりと言い切るハルヒをいっそ清々しいと思う俺はやっぱり感覚がずれているんだろうか。 サイトの完成が多少遅れても、とハルヒは言ったが、そもそも内容のないサイトを作るのにそう手間取るはずもない。 ブラインドタッチの練習にすらならなかったな。 手間取ったのは、ホームページ製作用ソフトの扱いと、アクセスカウンタとやらの設置やなんかのために検索サイトを利用した時くらいだった。 「うん、まあこんなもんでいいわ」 数日かけて完成したタイトルページオンリーという手抜き以前のサイトを、ハルヒは意外にも満足げに見遣った。 ちなみに今は昼休みである。 俺と長門が部室で弁当を広げていると、ハルヒがやってきたのだ。 以前と違って部室で弁当を食べている理由は、教室で長門と飯を食っていると生温かい視線や嫉妬に歪んだ視線にさらされるためである。 「ふたりとも、野菜ばっかりで肉も魚もないのね」 不躾に弁当箱をのぞきこんだハルヒはそう感想を述べた。 「内容も一緒だけど……ふたつとも有希が作ってるの?」 「…そう」 本当はふたつとも神官の誰だかが作ってるはずだ。 「野菜好きなの?」 「……菜食主義」 正確には俺と長門がではなく、神官共がそうしろと喧しいだけだがな。 肉や魚を食ったところで力が落ちるとは思えないのだが、奴らは慎重に慎重を重ねる方針らしい。 「へー、よく我慢出来るわね」 全くだ。 まあしかし、生まれてこの方食ったことのない物を食いたいと切望するはずもなく、また野菜だけの食事と言うのもそう味の落ちるものではないからな。 「ね、これ食べていい?」 「…いい」 しかし、長門は意外とハルヒに懐いているようだった。 今まで近くにいなかったタイプだからてっきり苦手に思うかと思ったのだが、どうやら長門なりにハルヒを気に入っているようだ。 多分、消極的だった俺を部活動に引っ張り込んでくれたということへの感謝が大きいんだろうが。 「おいしい!」 とがんもどきに歓声を上げながらハルヒはパソコンを立ち上げて、後は団長に確認させてアップロードするだけだったサイトを見て、先の言葉を放ったと言うわけだ。 どうでもいいが、何か書き足そうとか思わなかったのかね、こいつは。 しかしハルヒは満足げに言った。 「それじゃ、次は……」 その続きをハルヒは口にしなかったが、その歪んだ唇を見て、俺は悪寒を覚えた。 一体何をやらかすつもりなんだ、こいつは。 答えはその日の放課後に分かった。 俺と長門が連れ立って部室へ向かうと、6時間目から姿を消していたハルヒが団長席である勉強机に陣取って待っていた。 「遅いわよ!」 と言いながらも機嫌が悪いようには見えない。 何か企んでいる顔だと言うことは、短い付き合いでも分かった。 「お前が早すぎるんだろ。6時間目からいなかったが、どこで何をやらかしてきたんだ?」 「別に、大したことはしてないわよ。そんなことより、これ見てよ」 とハルヒは紙袋から取り出した紙を俺に押し付けた。 ついでに長門の手にも握らせる。 『SOS団結団に伴う所信表明』と題されたそこには踊るような手書きの文字で、本気とも冗談ともつかない文章が、いささか頭の弱い感じで書いてあった。 ついでに、出来たばかりのサイトのアドレスとメールアドレスも記載されている。 俺は呆れながら、 「涼宮、お前頭いいんだろ。もう少し文章を推敲したらどうだ」 これじゃ完全に痛い子供だ。 なおこの場合の「痛い」という言葉が「怪我をして」とか「頭が」とかにつく「痛い」ではないことは言うまでもない。 「通じりゃいいのよ」 とハルヒは胸を張った。 だめだこりゃ。 しかもその紙は二枚だけではないらしく、紙袋が重さに必死に堪えている有様だ。 どんだけ刷ったんだ。 「二百枚」 事も無げに言ったが、それは一体どこのものなんだろうな、おい。 「学校の備品なんだから、生徒が使ったところで別に問題ないでしょ。さっきからうるさいわよ、キョン」 とハルヒがちょっと眉を寄せた時だった。 こんこん、と控え目なノックの音がしたのは。 「みくるちゃんなら入っていいわよ。入団希望ならちょっと待ちなさい」 しかし、こんな知名度のちの字もないような団に入団希望者がいるはずもなく、入ってきたのは当然朝比奈さんだった。 「すみません、ちょっと遅くなっちゃった」 「いいのよ。それより、」 にぃんまり、とハルヒは笑った。 「みくるちゃんに頼みがあるのよ」 「な、なんですかぁ?」 それだけで朝比奈さんが小動物のように怯えるのはおそらく、過去に相当酷い目に遭わされているからなのだろう。 びくびくと震える朝比奈さんに、ハルヒは、 「これを着て欲しいの」 と二つあった紙袋の一方を取り上げた。 一方は髪の重さに堪えているというのに、それは至って軽いらしい。 ひょいと持ち上げられた袋から取り出された物に、俺は首を傾げた。 「なんだ、それは」 「あんたバニーガールも知らないの?」 呆れ顔でハルヒは言ったが、そのバニーガールとやらは本当に一般常識で知っておくべきものなんだろうな? とてもそうは思えないんだが。 何しろ、恐ろしく布面積が少ない。 ハルヒが「着る」という言葉を使っていなければ、服であることも俺には分からなかっただろう。 それに、そのうさぎの耳を模しているらしいものは何なんだ? 装飾品なんだろうか。 こんな目立つ物をつけている人がいれば簡単に見つけられる気がするのだが、こんな物をつけている人を見掛けたことはないぞ。 「これをどうするんだ?」 うさぎの耳もどきを手に俺が聞くと、ハルヒは、 「こうするの」 と俺の頭にそれを付けた。 「意外と似合うじゃない」 「そうなのか?」 首を傾げると、頭の上で耳が揺れた。 む、なんか変な感じだな。 ハルヒはけらけらと笑いながら、 「でも、初回でそこまでマニアックなことをするわけにもいかないから、今日これをつけるのはあたしとみくるちゃんね。二セットしか用意出来なかったし」 と俺の頭からそれを外した。 そうして着替えるというので俺を部室から追い出した。 律儀に俺についてきた長門に、 「さっきの、本当に似合ってたのか?」 と聞くと、 「……ユニーク」 と言われた。 それはどっちなんだ、長門。 とりあえず、似合っていたと断言されなくてよかったと思ったのは、恥ずかしそうにしている朝比奈さんと堂々としたハルヒのあられもない姿を見た時だった。 「そ、そんな格好で出歩くつもりなのか!?」 その格好のままビラを配ってくると言ったハルヒに俺が言うと、 「部屋の中で着てるだけじゃ意味ないでしょ」 それはそうかもしれないが、まずいんじゃないだろうか。 「大丈夫よ。裸じゃないんだし」 裸と似たようなものだろう。 体のラインも丸分かりだし、肩も胸元も足も露わだ。 「あんたも男ならもっと喜びなさいよ」 喜ぶ前に腰を冷やさないかと心配になるんだが、という俺の呟きを無視して、ハルヒは朝比奈さんを連れて行ってしまった。 本当に大丈夫なんだろうか。 そう思っていると、長門が床に落とされていた二人分の抜け殻、もとい、下着や制服を拾い始めた。 ハルヒ、これくらい拾っていけよ。 俺も世間的には男なんだぞ。 そんなことを思いながら俺も長門と一緒になってそれを拾い上げ、きちんと畳んで机の上に置いた。 しかし、普通の女子高生ってこんな可愛い下着を身につけるものなんだな。 俺なんか大抵着物だからブラジャーとか洋風の下着には全く縁がないから、なんとなく羨ましい。 こういうのもつけてみたい気がする。 そんなことを言ったらあのジジィ共はまた喧しく反対するのだろうが、それ以前に俺のまっ平らな胸ではブラジャーも意味がないだろうな。 つまらん。 なお、ハルヒが「大丈夫よ」と断言したビラ配りが全くもって大丈夫じゃなく、俺の良識の方が一応正しいと証明されたのは、その三十分後のことであったと付け足しておく。 SOS団結団から間もないある日の、ハルヒと俺の会話。 「ねえあんた、誰か良さそうな人間知らない?」 「知らん。悪いが、未だにお前と長門以外の友人もいなければ、朝比奈さん以外の先輩との接点もないんでな」 「寂しいやつね」 「そう言うお前だって同じような状況だろうが」 「あたしはいいのよ。だって、つまらないやつなんて興味ないもん」 「ああそうかい」 「あたしだって、一応、あちこち見ていい人材がいないか探してるのよ? でもダメね。みくるちゃん以上の萌えキャラもいないし、有希以上に役に立ちそうなのもいないわ。あんたみたいにそこそこ洞察力のあるやつもね」 「それ、褒めてるつもりか? て言うかお前は一体何を求めてるんだ、何を」 「やっぱり、謎の転校生に賭けるしかないかしら」 「おい、質問に答えろよ。しかも謎の転校生って何だよ。謎の定義からして分からん」 「謎は謎よ。まだ入学して二ヶ月と経ってないのに、学期の切れ目も待たずに転校してくるような人間はすべからく謎の資格があると思わない?」 「親の都合とか、本人の意思とかあるかもしれないだろ。あるいは、入学早々にいじめにあったとか」 「いじめにあったとしてもわざわざこんな普通の公立高校に来るとは思えないわ。本人の意思って場合なら尚更ね」 「それはそうかもしれないが、」 「あーあ、来ないかなぁ。謎の転校生」 「人の話を聞け」 そして、来ちまったんだなぁ、その謎の転校生ってやつが。 本当に、何を好き好んでこんな高校に来るんだろうな。 あるいは、ハルヒの興味を引きたかったとでも言うんだろうか。 それか、どうやら金を持っており、かつ過保護であるらしいハルヒの親の差し金か? しかしそれならハルヒと同じクラスにしただろうに、転校生はうちのクラスでも隣りのクラスでもなく、一階下の九組にやってきた。 もっとも、九組は理系コースだから、それくらいじゃないと頭のレベルが合わないとかいういやぁなタイプという可能性もあるが。 どこでそのニュースを聞きつけてきたのか、ハルヒは朝一番に俺と顔をあわせるなり、きらきらと眩しく輝く顔で言った。 「来たわ!」 「何が」 「謎の転校生!」 何をもって謎と断言するのかハルヒに問うと、以前言っていた通りに、五月の中旬と言う中途半端な時期に転校して来たということだけを根拠にそう言っていることが分かった。 こいつがこんな顔をしている時に何を言ったって無駄だってことは悟っていた。 もう、好きにして来いよ。 極力、人に迷惑は掛けるなよ。 そんなことが可能であるならば、だが。 しかしハルヒは見事に転校生をとっつかまえ、あまつさえ部室にまで引き摺ってくることに成功したのだった。 「古泉一樹です」 と名乗ったそいつは何を思ったのか、このわけの分からない団に加入することをあっさりと了解した。 貼り付けたような笑みを浮かべ、同級生にも敬語を使う、どこかそつのない優男風のそいつを見て、俺も今回ばかりはハルヒが言う「謎」という主張を認めてやってもいいと思った。 どう考えても怪しすぎるだろ。 しかもそいつはこの女ばっかりの集団の中にいる唯一の男(世間的)である俺を、牽制するようにか値踏みするようにかは知らないが、やけにジロジロと見ていた。 見るんだったらハルヒのいい感じに輝く笑顔か朝比奈さんににしとけ。 お前は知らないだろうが、その笑顔は結構な貴重品だぞ。 ところでこれで同好会結成に必要な最低人数をクリアーしちまったため、その翌日にはハルヒが正式に生徒会に申請すると言い出した。 だがハルヒ、何か忘れちゃいないか? 同好会の結成に必要なものがまだひとつ足りないことを。 人数は満たしたし、名称も決定した。 責任者は当然ハルヒだろう。 活動内容も……まあ、納得出来るか否かはともかくとして決定しているらしい。 少なくともハルヒの中では。 足りないのは、顧問の教師である。 俺がそれを指摘するとハルヒは、 「そんなの、適当なの捕まえて書類に名前書かせればいいでしょ」 簡単に言うが、誰がわざわざこんな怪しげかつすでに生徒指導的ブラックリストの一番上に燦然と輝いていそうな活動に関わるというんだろうか。 誰だって、自分の身は可愛かろう。 「うるさいわね。大体、顧問って何よ。そんなもの、我がSOS団には必要ないの! そうよ、書類上だけでもそんなのがいたら鬱陶しいに違いないわ。いいからそこは空欄で出してきなさい」 そもそも、こいつがここまで正式な活動として認めさせようとする理由が分からないんだが。 ため息を吐いた俺は、へらへらと得体の知れない笑みを浮かべた古泉に言ってみた。 「お前も何か言ってみたらどうだ?」 「僕がですか?」 軽く眉を上げて一応の驚きを実にわざとらしく示した古泉は、面白がるように微笑んで、 「そうですね…」 と考え込むと、 「形式上だけでも形を整えておく、ということは必要かもしれませんが、我々の場合、書類を揃えたところで公式な活動として認められる可能性は低いでしょう。それならば、書類に不備があろうとなかろうと関係ないのではないでしょうか」 遠回しな表現だが、つまりはハルヒに賛同するらしい。 「涼宮さんがここまで書類にこだわるのは、」 古泉は声を潜め、俺の方へ少し顔を近づけながら言った。 「正式な活動として認められたいというよりもむしろ、学校側への宣戦布告のつもりなのではないでしょうか。書類を提出し、一応形だけでもその存在を学校側に認識させてしまえば、今後存在を黙殺される可能性も下がりますからね」 そこまであいつが考えているとは思えない。 というか古泉、昨日転入して来たばっかりのお前がハルヒの何を知っていると言うんだ? 俺が言うと古泉はふふっと鼻にかかる笑いを漏らし、 「涼宮さんのことは以前から耳にしていましたからね。いくらかは知っているつもりですよ」 噂を聞いてたと言う意味なら、当てにならないぞ。 ハルヒは噂で言われるほど無茶苦茶でも無愛想でもない。 むしろそこそこの常識をわきまえているくせに、時々タガが外れたように暴走しがちになるだけだ。 「…そのタガを外したのは、誰でしょうね?」 何が言いたい。 「いいえ、なんでも」 と古泉は笑って言った。 本当に胡散臭いやつだ。 なんとなくムカついて視線を外すと、古泉はずいっと顔を近づけてきた。 「なんのつもりだ」 驚いてドキドキするのを抑えながら、俺が機嫌の悪さも露わに言っても、古泉は気にせず、 「噂が当てにならなくなるほど、彼女を変えたのはあなたですよ」 と囁いた。 しかしその内容はほとんど俺の耳には入ってこなかった。 訳も分からなくなるほどどきまぎして、頭に血が上ってきていたからだ。 しかたないだろ。 生まれてこの方同年代の男とここまで近い位置で話したこともなければ、そもそも話すこと自体が珍しいんだからな。 トマトやゆでダコや不健康そうな赤いウィンナー以上に、俺の顔は赤くなっているに違いない。 今の俺は男なんだからその反応はまずいだろ、と慌てるほどに赤面は治まらない。 古泉は俺の真っ赤になった顔を見て、意外そうにちょっと目を丸くしていたが、またあの嫌味な笑みを浮かべると、 「可愛いですね」 それは男に向かって言う言葉じゃねえ! 今の状況だと、女としても嬉しくない。 それどころかむしろ屈辱だ。 そんなことがあったということもあり、俺が古泉に対して抱いた第一印象は最悪だった。 それなのに、なんであんなことになっちまったのか、俺は未だに理解出来ない。 |