エロです
戦国時代パロです
女大名ハルヒに仕える名軍師キョンな話









































なんでもありの時代だから



戦乱の世の中ってのは、簡単に言っちまえばなんだってありな時代だ。
不犯であるはずの坊主に何人も子供がいたり、何代もに渡って仕えて来た忠臣が主君を殺して国を乗っ取ることもある。
強ければ生き残れるというものでもなければ、運や知恵だけで生き残れるというものでもない。
そのどれもが必要なのだ。
だが、それがあるならば、その他のことはあまり関係がなくなる。
それこそ、坊主だろうが百姓だろうが商人だろうが、運と才覚があればのし上がれる世の中だ。
性別だって関係ないから、女大名だって珍しいものの何人もいる。
俺の主人もそうだ。
涼宮ハルヒと名乗るあいつは、元々この辺りの豪族の娘だったのだが、強引に押し切って戦に出ていたばかりか、父親が戦で倒れるなりその胸に突き立っていた槍を引き抜いて、それで逆に相手を倒したという猛者でもある。
元々、武芸に秀で、漢籍もすらすら読み、愛読書は孫子兵法などと宣うような奴ではったが、流石にこれには度肝を抜かれた。
それでも、ぽかんとした連中をまとめ上げ、あやうく敗走寸前の戦を勝ち戦にまで持っていったんだから、運も才覚も十分あったわけだ。
あれよあれよという間にのし上がり、辺りの国を併呑していったハルヒは、女大名というよりは女大将と呼ばれて恐れられ、面白がられている。
いまやこの近隣でハルヒの名前を知らない奴はいないだろうという有様だ。
それだけに敵も多く、またハルヒがそれすら野心的に飲み込もうとしてくれるおかげで、名参謀なんて持ち上げられてるこっちに皺寄せが来る。
誰が名参謀だ。
俺はただ、臆病なだけだ。
臆病だからこそ、勝てるかどうか分からん戦なんぞしたくないし、血を見るのも好きじゃないから極力犠牲をおさえようとするだけだ。
それを勘違いされても困る。
それから、俺はそのためにの情報収集に随分な支出をさせてるんだ。
これで負けるなんてことは許されないだろう。
そんな訳で、近いうちにまた戦になりそうだというので、俺はまた一人、屋敷の自室に籠もり、うんうん唸っていたわけだ。
元々、ハルヒの乳兄弟として一緒に育った俺が巻き込まれたのは完全にハルヒのせいなのだが、それでそこそこ年寄り連中に叩かれながらもやっていけるのは、あいつにあれこれ叩き込まれたからであり、それこそあいつは小さい頃からそれを狙って計画してたんじゃないかと疑いたくなるくらいだ。
その正否はともかく、おかげで俺はハルヒのお気に入りとして、嫁を世話してもらえるあてすらないので、寂しい独り寝を続ける他ない。
…誰だ、あいつが俺を好きだなんてでたらめな噂をまことしやかに流しやがったのは。
いい作戦が思いつかないまま、逃避ばかりしちまう思考をなんとか集中させようと考えていたのだが、ふと気がつくと日が暮れていた。
そこまで集中していたつもりはなかったのだが、現実逃避に集中していたということだろうか。
参ったな、と思いながら、灯りを持ってこさせるのも忍びなく、庭に面した襖を開き、外の明かりを取り込む。
今夜は幸い望月が近く、月も煌々としている。
こんな夜には間諜も動けないだろうと、使っている者だからこその同情めいたものを感じていると、不意に何者かが庭に降り立った。
それまで、気配などなかったのにと驚きながらも騒ぎ立てなかったのは、そいつがあえて気配を消さないまま、じっとしていたからだ。
殺す気があるならもうとっくにやられてるだろうし、それに、そいつには殺気がまるでなかった。
「…何者だ?」
そう問いかけると、そいつは顔を伏せたまま、
「ただの影です」
と答えた。
「影…ね。影が口を聞くとは知らなかったが……何の用だ?」
「あなたにお願いがあって、参りました」
「……なら、こっちに上がれ。そこじゃ話し辛いだろ」
「…ありがとうございます」
深々と頭を下げておいて、そいつはようやく立ち上がった。
整った顔立ちは月影の中においてもくっきりと見え、思わずそれに見惚れた後、ふと思ったことをそのまま口にする。
「俺を誑し込みにでも来たか?」
そいつは少しも驚かず――あるいは驚きを表に出さず――、嫣然と笑って俺を見つめて、
「ある意味ではその通りかも知れませんね」
と曖昧なことを告げた。
何がしたいんだか分からんが、やはり害意はないようだ。
あるいはそれさえ巧妙に隠しているのかも知れないが。
とりあえずは信じよう、と思うのはちょっとした癖だ。
疑わしいと思っても、まず信じてみる。
それは滅多矢鱈に盲信するということではなく、十分な検証をした後、大丈夫だと思ったなら、ということだ。
今、俺は大丈夫だろうと考えている。
それなら、信じておいた方がいい。
人ってのは不思議と、思われている通りに動いちまうもんだしな。
俺は自分の使っていた座布団を示して、
「それでも使え」
と言っておいて、そっと襖を閉めた。
部屋の中は再び暗くなるが、一応欄間から光も差し込んでくるし、見えなくて困るというほどじゃない。
さりげなく上座をあけられていたので、二歩ばかりの距離を置いて、どっかと腰を下ろす。
また丁寧に頭を下げて身を伏せるそいつに、
「堅苦しいのはいらん。用件を言ってくれ」
とだけ言う。
そいつはそろりと顔を上げ、またあの何かしら色気を感じる瞳で俺を見つめながら、
「お願いがあります」
「なんだ?」
「…あなたをください」
「……俺の命をくれってことか?」
様々な可能性を検証した後、一番ありそうなものを口にしたのだが、そいつは笑って首を振った。
「そうではありません」
「じゃあなんだ? まさか、俺を嫁だかなんだかにくれってんじゃないだろうに」
「そちらの方が近いですね」
なんでもないことのように、真っ先にありえないと否定して削除した項目を肯定され、開いた口がふさがらん。
「……なんだって?」
「あなたが好きなんです」
とそいつは微笑した。
それはもう、それだけで若い娘なんかを簡単に誑し込めそうな笑顔だった。
「…本気か?」
「ええ。冗談やシャレでこんなことは出来ませんよ。…これでも、命懸けで来てるんですから」
「だろうな」
しかし、俺の何処が気に入ったってんだ?
それに、
「俺はお前とは初対面だと思うんだが、お前は俺について知ってるとでもいうのか?」
「よく存じ上げてますよ」
そう言ったそいつの目にはどこか悪戯な色が浮かぶ。
「正直に申し上げますと、僕は本来、あなたとは敵方になるんです」
「…まあ、そういう気はしてたが……」
「ですから、名参謀、名軍師と知られたあなたについて調べるのが僕の任務だったんです」
「…は?」
「ここ数月、ずっとあなたについてたんですよ? 気付きませんでしたか?」
悪びれもせずそう言ってのけたそいつに、俺は今度こそ言葉を失った。
「……全く気付かなかった。…お前、本当に優秀らしいな」
「ありがとうございます」
さらりとそう受け流しておいて、そいつは熱っぽく俺を見つめた。
「ずっとあなたを見つめてきました。あなたのちょっとした仕草も、言葉も、どうしようもなく僕を惹きつけて、放してくださらないんです。僕はただ見つめているだけなのに、それでは嫌だとさえ、思い始めたんです。危険だと思いながら、それでも僕はあなたから離れられなくて、それどころか、あなたの前に姿を現したいと思ってしまったんです」
そう言っておいて、そいつは嬉しそうに笑った。
「今、とても緊張しているんです。でも、それ以上に、あなたに見つめてもらえること、言葉を掛けていただけることが嬉しくて堪りません。……あなたが好きです」
だから、とそいつは頼みだか交渉だか分からないことを口にする。
「あなたを僕にください。そうしたら僕は、国も親兄弟も師も機関も裏切って、どんな情報もあなたに渡しますし、あなたが望むなら彼らを罠にかけることだって厭いません。あなたのしもべとして、働かせてください」
「…報酬は俺の体で、ってことか」
「今はそれで十分ですよ」
将来的には違うらしいことを匂わせながら、そいつは薄く笑った。
「……お前が確かに、俺にとって有益な情報を持っているという証明は?」
「そうですね……。少し、耳を貸していただけますか?」
「……ああ」
頷いて身を乗り出すと、少しだけ膝を進めてきたそいつが俺の耳に唇を寄せ、低く、心地好く響く声で、二、三の呟きを寄越した。
なるほどそれはうちの連中が調べ、裏づけを取ろうと躍起になっているあれこれに関するものであり、整合性も取れていた。
試しに、と問いかければ、すらすらと答えるし、かと言って何もかもそうするのではなく、少し考えてぼかしたりするということは、まるきりの嘘ではないのだろう。
何より、嘘を吐いてるようには見えない。
「信じていただけて嬉しいですよ」
そう言ったそいつは、俺の返事を求めているようだった。
さて、どう答えたものだろうか、と考えようとしたものの、考える余地なんかないなこりゃ。
俺の体程度の対価で情報が買えるなら安いもんだし、更に情報を持っているというのが嘘でないなら、なんとしてでも繋ぎ止めたいところだ。
しかし、なあ?
「俺がほしい、ってのは、俺の体がってことなのか? それくらいならやっても構わんが、心までは保証せんぞ」
「十分です」
とそいつは言ったが、それは別に体が目当てだとか体だけでいいというわけではないらしい。
そもそも、俺みたいな貧相な体が目的だとしたら変わった趣味だとしか言いようがないしな。
「そこまでの高望みはしません」
そうどこか悲しげに言うのにほだされたわけじゃないんだが、
「……まあ、どうなるかはお前の頑張り次第だろ」
と言っちまうと、そいつは小さく声を立てて笑った。
「…あなたのそういうところが好きですよ」
「…そうかい」
しかし、好き、ねえ?
それはどういうもんなんだろうな、と思う俺は好きだなんてろくに思ったことがない。
勿論、家族や国や友人や仲間なんかに対するものは持ち合わせているが、こいつの言うような恋慕の情なんてものとはまるで縁がないのだ。
そんな俺だから、別によく分からん奴に何をされようとも構わんと思ったし、よく分からんにしても顔はいいのだから、その分だけマシだろう、せめて下手でないといいんだが、なんてことまで思っていたのだが、
「…いいですか?」
と問いかけられ、
「別にいいが……お前はいいのか?」
「…正直、我慢出来ません」
と悪戯っぽく笑ったそいつに押し倒された。
それはもう見事なもので、俺には痛みの衝撃もなく、それどころか自分が押し倒され、畳の上に転がされたということに気付くまでに数拍遅れたくらいだ。
「……手慣れてるな」
「それはまあ…こういうことも仕事のうちに入ることもありますからね」
苦笑しながらそいつは俺に顔を近づけ、
「でも、自分からしたいと思ったのは、あなたが初めてです。こんなに抑えられないのも…」
と告げながら、俺に口付けてきた。
試すように触れるだけのそれを、唇を開いて誘えば、目を細めたそいつの舌が入り込んできた。
はじめ、慎重に唇を舐めたり舌先をくすぐったりしていたはずのそれは、俺が抵抗しないと分かると少しずつ大胆さを増し、おまけに俺の反応を見て少しずつ動きを変えるものだから、気がついた時には息があがるほど夢中にさせられていた。
巧いとはこういうことを言うのかと感心すらしながら相手の首に腕を絡め、もっとと求める。
「ん……っ、ぅ……はぁ……」
荒い呼吸を漏らしながら、俺はそいつの深くて気持ちのいい口付けに縋るようにのめり込んで行く。
「あ……っ、ふぁっ…やぁ……」
抱きついて、体をくっつけて、唇はそれこそ溶け合ってるんじゃないかと思うほどに深く重なり合う。
「…あなたが誰かとこういうことをしているのを見たことがなかったんですが……それでよかったです」
そんなことをそいつが言ったと思ったら、いつの間に脱がされたのか、俺は既に着物を脱がされ、無防備な姿をさらしていた。
「ぁ……いつの間に……」
って、いや、さっきのあの口付けに夢中になっている間だってことは分かるんだがな。
そこまで夢中になっていたかと思うと恥かしいやら情けないやらで顔が赤くなる。
「可愛いです」
恥ずかしげもなくそう言い、
「赤くなってるあなたも、口付けであんなに反応する感じやすさも、色っぽい声も姿も…好きです。見れて嬉しいですし、そうしたのが僕であることが嬉しいです」
と言ってもう一度軽く触れるだけの口付けをし、そろりとそのまま顎へ、首筋へと滑り降りる。
「あ…っ、ん、くすぐってえ……」
「くすぐったいだけですか?」
「…ぐ、う……、聞くな……」
それは確かにくすぐったいのだが、それ以上に快感と言ってよさそうなものがあった。
むず痒い痛みにも似たそれは、女性とした経験などまるで役に立たないほど、何かが違っていた。
与えられる、強過ぎる快楽は、気が狂いそうなほど強いのに、不思議と頭の中は冴えてくる気がした。
冴えた頭で何をしているかと言えば、もっと強い快楽をと求めているばかりなのだが。
もしかすると、このところ少々体を動かし足りなかったから、こういうことで頭がすっきりしてきているのかも知れん。
もう少し動こうと思いながら、今は目の前の男に縋りついて善がり狂うばかりだ。
男の巧みな愛撫は口に限ったものではなく、その手が器用に動いて俺の肌に触れるとそれだけで粟立つような快感がある。
それに、もはや悲鳴のような、
「ひっ…、ぃ、あぁ…!」
というかすれた声を上げる俺を、そいつは酷く幸せそうな顔をして見つめてくるので、その瞳にすら煽られた。
「あん、ま、見るな…っ」
なけなしの矜持でもってそう呟けば、
「きれいですよ」
となだめているのかなんなのか分からんことを言われた。
これだけ巧いのはこいつが間諜だからだろう。
そう思うと何か悔しさに似たものが湧き出てくる。
だから、と俺は手を伸ばし、男の硬くなった熱に触れた。
「っ…あの……!?」
驚いた声を上げるそいつににやりと笑い、
「俺ばっかりってのも悪いだろ?」
と言ってやれば、そいつは本当に俺のことを熟知しているらしい。
額面通りに受け取らず、
「あなたのその案外負けず嫌いなところも好きです」
と囁いて、俺を抱き締めてきた。
重なり合った熱が擦れ合って気持ちいい。
「ふあ…っ、あっ……んん!」
ぞくぞくと身を震わせ、腰を揺らす俺を、そいつは本当に愛しげに見つめてくる。
こんなに気持ちいいのはそのせいもあるんだろうか、なんて思いながら夢中になる俺の背中をそいつが酷くいやらしく撫で下ろし、そのまま下りるのかと思いきや、腰をくるりとひと撫でして、
「ひっ…あ…!」
という甘ったれた声を俺の喉から引き出してから、更に下りる。
感触を味わうように少々荒っぽく尻たぶを揉み、俺の足を大きく開かせる。
その手にはいつの間に取り出したのか、はまぐりの殻があった。
おそらく薬をいれてあるのだろうが、
「なんだ…?」
「ちょっとした軟膏ですよ。薬効成分はろくにないものですが、こういう時には役に立つんです」
にっこり笑ってそんなことを言いながら、そいつは白い軟膏を指先ですくい、そのまま俺の足の狭間に手を潜らせた。
ひやりとしたものが触れたのを感じても、嫌悪感はなく、逃げたいというよりもむしろこいつがどこまで気持ちよくしてくれるんだろうかということを考えていた。
こいつが俺から情報を聞き出したり俺を骨抜きにするため、俺を誑かしに来たんじゃなくてよかったと思うほど、夢中にさせられた。
「信じてくださるんですね」
そんな嬉しそうな顔で言う台詞じゃないだろ。
というか、その顔を見ればすぐ分かる。
「ありがとうございます」
にこにこしながらも、その指は間断なく動いていて、俺はというとまともに言葉を紡げたのかさえ怪しいのだが、こいつは器用にも聞き取ったらしい。
俺の肌に柔らかく口付けながら、
「あなたが好きです」
と囁く。
甘い囁きにどうにかしちまったのかもしれない、と新説を唱えながら、体の中を人にいじられて得られる快感に震える。
それは本当に強くて、気持ちよくて、俺はもう言葉も出てこない。
「…っあ、ん、うぅ……っ…」
と間の抜けた声を上げながら、縋りつくばかりだ。
「もう…よさそうですね」
そう呟かれて、何が起こるのかということが一瞬理解出来ず、
「んぁ…っ、もっと……」
なんて言っていた。
そいつはくすりと笑って、
「心配しなくても、まだ終われませんよ」
「ぅ……ああ…」
何言ってんだ、と自分でも呆れている間に、そいつは昂ぶりきった熱を押し当ててきた。
その熱さにぞくりと体が震える。
「ひゃ…っ、ぁ…」
「息を吐いて、力を抜いてくださいね」
「んん……」
言われるままにする俺に、そいつは柔らかく微笑んで、
「好きです」
とまた呟いた。
そうして、ぐいと押し入ってきた熱に体を焼かれた。
裂かれる、というより焼かれると言った方がいいような感覚だった。
「いっ…あっ、あぁ…!」
体中の筋肉が痙攣し、どうしようもなく体が跳ねる。
「ひぃっ、あ、ふあぁ…っ、やぁ…! き、もちい……っ…! だめだ…、とまんなっ…ひんっ……」
「んっ……僕も…気持ちいいです……」
そう言って口付けられる。
弱い場所を擦りあげられて、暴れそうになる体を抱き締められた。
「ん、い、いい…っ……」
「好きです…」
まだそんなことを繰り返すのを聞きながら、ほとんど意識すら飛ばして達した。
体の中に熱が広がり、ああ、こいつも、と思うと、何かがぞくりと来た。
ぼんやりと天井を仰ぐ俺の体を手早く薄紙で拭って、そいつは俺を抱き締めてくる。
「…約束を果たさなければいけませんね。何をお聞きになりたいですか?」
そう耳元で囁かれ、俺は少し眉を寄せた。
そうしておいてそいつを抱き締め返し、
「……睦言には苦くねえか?」
と呟けば、そいつは意外そうに目を見開き、それから楽しげに笑った。
「そうですね」
そう告げた唇がまた俺のそれに重なる。
「これからはあなたのためだけに働きます。あなたの役に立ちたいんです。あなたの影として働かせてください…」
そう熱っぽく口付けるのを受け止めながら、
「ん……、とりあえずはお前の名前を教えろよ」
と返してやった。
「抱かれてる時に呼びようがなくて困っただろ」
なんてのは、流石に煽りすぎだろうかね?