うさぎ古泉×猫キョンなパラレルで
強姦系?エロです
そういうの好きだよって人だけどうぞー












































傲慢だとは知っている



僕は、彼のことが好きだ。
三角の耳に長い尻尾を持つ彼と、長い耳と小さな丸い尻尾しかないような僕とでは、あまりに違いすぎるということも分かっている。
あまりに違いすぎるというのに、性別と言うその一点においては、悲しいかな一致してしまうということも。
それでも僕は彼が好きだ。
いつだって眠たそうなこげ茶の瞳も、理屈っぽい言い回しも、女性相手に見せる少しばかり間の抜けた表情さえ好きなのに。
好きだから、どんなことだってしてしまえるのに、どうして分かってくれないんだろうか。
今日だって、僕の姿を見るなり逃げ出したりするから、僕は慌ててそれを追う破目になった。
「…っ、あの、一応僕は草食動物で、あなたの方がどちらかというと肉食に類される動物なんですから、これはおかしいとは思わないんですかね?」
「お前が追いかけてくるのが悪いんだろ…!」
「あなたが逃げるからですよ」
そう言って追い込みをかけ、彼を草むらに押し倒した。
走ることにかけては、僕の方が有利だとは思うけれど、それにしたってこんな全力疾走をさせるほど必死になって逃げなくったっていいじゃないか。
押し倒された彼はと言うと、三角形の可愛らしい耳を伏せ、びくびくと震えている。
どっちが捕食されるんだか分かったもんじゃない。
「だ、って、しょうがないだろうが! お前の方が体はでかいし、なんだか知らんが追いかけてくるし…!」
「なんだか知らんが?」
その言葉に眉が寄る。
苛立ちが募る。
それを感じてか、彼がまた一層怯えたように僕を見た。
その目に涙が滲んでないのが不思議なくらいの怖がり方だ。
まるで、今にも獲って食われそうな子供みたいですらある。
…そんな風に、怖がらなくったっていいのに。
「まだ、分からないんですか?」
「な…っ、なにが……!」
震えながらも僕を睨み上げてくる彼は気丈と言ってもいいのかも知れない。
でも、それだけだ。
彼の抵抗らしいものはいつだってそれくらいだから、僕の思いはとっくに通じてると思ったっていいだろうに。
「…本当に、分からないと?」
「わ、かるか…っ!」
……それなら、いつものように態度で示すだけですよ。
僕はそっと嘆息して、彼の唇を自分のそれで塞ぐ。
「ひ…っ」
と怯えたような吐息さえ飲み込んで、無防備に開かれたままの咥内を舌で探るように味わう。
探らなくたって、彼のことはよく分かっている。
鋭い牙にあまり強く触れすぎるとこちらの舌が切れてしまうことも、歯並びが綺麗なことも。
それから、上あごを舐められると感じることだって知っている。
それでもなおもっと知りたくなるほど、好きなのに。
「は……っ、ぅ…ふぁ…」
とろりと融けたような瞳で、くぐもった声を上げる。
苦しさがないわけでもないのだろうけれど、それ以上に気持ちよさそうな声に、僕の心中は掻き乱される。
彼を気持ちよくさせられて嬉しい。
でも、そんな風に簡単に感じる彼が心配にもなるし、謂れのない嫉妬に駆られそうにもなる。
考えたくなくて、更に深く口付けようとして、彼の牙で舌を少し切った。
苦い味が口の中に広がる不快感。
でも、彼はそれにさえ興奮を煽られるらしい。
肉食の生き物だから仕方がないのかも知れないけれど。
「あ…、ぁ…!」
恍惚とした声を上げながらも、彼は僕に縋ってもくれない。
引き抜かんばかりに草の束を掴みながら、ひとりで堪えるばかりだ。
まるでこれが、何かただの苦行か何かであるかのように。
それが、悲しい。
でも、彼の痴態を前にして大人しくなんてしてもいられなくて、僕は彼の身にまとっていたものを残らず剥ぎ取り、その素肌に口付ける。
白い肌に赤い印を散らして、僕のものだという主張の代わりにする。
それでも、彼の胸の突起の方がよほど赤くて、僕はそれに歯を立てんばかりにして口付けた。
「ひぃあ……っ!」
びくんと体を跳ねさせながら、彼は痛みよりも快感を得ているらしい。
本当に、憎たらしいほど感じやすい。
その小さな突起を吸い上げ、舌先で弄ぶだけでも、彼は震える。
そればかりか、ひとつきりでは足りないとばかりに体を揺らすのだ。
「…いやらしい」
苛立ちに任せて毒づけば、彼はまた怯えるような目をこちらに向ける。
その目から雫が零れていくのを見ても、泣くほど嫌なら本気で逃げればいいのにとしか思えない。
こんな、許されているのかそうでないのかさえ分からないような中途半端な状態は酷すぎる。
こっちの方がよっぽど泣きたい、と思いながら、僕は突起に歯を立てる。
「ひ…っ! や、ぃや……!」
「そんな声で啼いたって、誘ってるようにしか聞こえませんよ」
「ちが……っ! ふぁあ…!」
反対側の突起に口付けながら、嬲られたせいで余計に赤く染まった突起を抓り上げると、彼は仰け反らんばかりにして悦ぶ。
痛いだけならこんな反応にはならないだろう。
それが嬉しいのか悲しいのかさえ分からなくなる。
僕は彼の体のいたるところに口付ける。
そうして、僕の思いを伝えたくて。
彼の足だって舐められるのに、僕がどんなに丹念にそうしたところで、彼は怯えるように震えるだけなのだ。
「やめろって…! 汚いだろ…」
そう泣くほどに訴えるくせして、逃げ出さないなんて。
「汚いなんてことはありませんよ。第一、ここだって舐められるのに」
せせら笑うように囁きながら、僕は彼の脚を大きく割り開き、本来排泄にのみ用いられる器官へと口付ける。
そんなことだって楽しいほどなのに、どうして彼には通じないんだろうか。
「やあ…っ!! 嫌だ、やめろって……!」
脚をばたつかせて抵抗するけれど、この体勢では逃げられやしないでしょう?
僕はしっかりと彼の腰を支えたまま、その小さな窄まりに口付ける。
抗議するように震える尻尾を戯れに手に取ると、
「やっ…!」
と彼がまた体を震わせた。
猫の尻尾というものは、とても敏感に出来ているようで、ちょっと手に取るだけでも彼は震える。
それが痛みによるものなのかそうでないのかは、彼を見ていれば分かることだ。
「尻尾でも感じちゃうんですよね、あなたは……」
窄まりに口付けながら、そう吹き込むように囁けば、動揺に尻尾が震えた。
「違う…っ、ちが…」
「何が違うって言うんですか?」
そう問えば、口ごもるくせに。
僕は少しばかり緩んできた場所に彼自身の尻尾を突きたてた。
「ひい――…っ!」
悲鳴染みた嬌声を上げて、彼は悦ぶ。
熱くて狭隘場所を自ら激しく責め立てるようにしながら。
「嫌…っ、ぬ、抜いて…っ! 抜いてくれ…っ、古泉…!」
「どうしてです? こんなに気持ちよさそうじゃないですか。ほら、ここだって、」
と僕は彼の雄の証に触れる。
そこはだらだらと先走りを滴らせ、今にも弾けそうなほどだ。
「ふ…っ、あ、んん、だって……!」
「自分で気持ちよくなれるなら、僕なんて要りませんよね」
そう呟いておいて、自分の胸が苦しくなった。
…僕だって、馬鹿じゃないから本当は分かってる。
強姦なんかしたって、彼は僕のものになりはしない。
そんなことでは変わらないからこそ、僕は彼が好きなんだから。
今までだって、そうだ。
他に誰かいたら、それまでとなんら変わらない調子で、僕にも優しくしてくれるから、僕は嬉しくて、でも、そうして何もなかったようにされるのが苦しくて嫌だった。
苛立って、強引に行為に及んで、怯えられて、そしてまた苛立つなんて、悪循環にしても酷すぎる。
こんなに、好きなのに。
「…どうして、分かってくれないんですか……」
「はっ……ひ、…なに、を…?」
そう問われて、吐きそうになった。
悲しい。
苦しい。
そればかりに囚われる。
「――もう、いいです」
自分の口から飛び出した言葉は、自分でも驚くほどの冷たさを帯びていた。
「は……?」
信じられないとばかりに彼は僕を見つめる。
それに構わず、僕は彼の尻尾を引き抜いて、
「…あなたなんて、知りません」
心にもないことを、と思いながら、彼に服を着せ掛ける。
そうして、
「さあ、どうぞ好きに逃げてください。僕はもう、あなたを追い掛け回したりなんてしませんから」
そう言ったのに、彼は呆然とした様子で動かない。
ただ僕を見つめてくるばかりだ。
…やめてほしい。
そんな風に見つめないで欲しい。
なけなしの良心が痛んで苦しさが増す。
僕はそれから逃れたくて、
「あなたが動けないなら、僕がいなくなりますよ。…さようなら」
そう言って立ち去ろうとしたのに、
「や…っ! 行くな……!」
という声と共に背後から抱きつかれた。
うまく立ち上がれなかったのか、腰の辺りの低い位置に彼の腕が回され、僕をきつく抱き締める。
それなのに、僕は苛立ちしか感じられなかった。
「そんなに快楽に弱い人だったんですか?」
そう嘲笑えば、彼は傷ついたような顔をして首を振る。
「そうなんでしょう? 好きでもない僕にすがるほど、シたくて堪らないなんて」
「違…っ」
泣きそうな声で言いながら、彼は必死に僕を抱き締める。
そうしなければ僕が逃げ出すと分かっているんだろう。
そうしておいて、
「…だ、って、」
と言い訳をする。
「お前…今、本気だっただろ…? 本気で、いなくなる、と…思ったら……」
ひっくと泣きじゃくる声がしたと思ったら、更に力を込められる。
折れんばかりに抱き締められる。
「っ……行く、な…」
そう必死に訴えられてうろたえた。
「…どうして、そんなことを仰るんです……」
「…き、だから…! 好きだから…」
そう涙ながらに告げられて、僕はそっと呟いた。
「…やっと分かったんですか?」
「は……?」
戸惑うような声を上げた彼の腕をやんわりと解いて、僕は彼を抱き締め返す。
そうして、その唇に口付けると、彼が微笑した。
可愛い、愛しい笑み。
泣き顔も嫌いではないけれど、笑顔の方が嬉しいと思った。
「…続きをしてもいいですか?」
「……ん…して、くれ…」
羞恥に震えながらもそう言ってくれることが嬉しい。
いつになく優しく彼を押し倒すと、抱き締められた。
「好き…だ……」
囁きながら、彼は切なげな顔をする。
そんな顔をしなくてもいいでしょうに。
「…すぐ、しても……? あなたの中に…早く、入れたいです…」
そう問えば、不安そうに少しびくつく様子を見せたけれど、震えながら頷いた。
「……俺も…早く、欲しい…」
「…ありがとうございます」
いつものように閉じられようとはしない脚を大きく開かせて、自分の熱を押し当てると、
「ふ……っ、んん…ん」
と彼が喉を震わせる。
蕩けそうに熱い場所が僕を待ち構えて口を開いているのさえ、いやらしくて、ぞくりとする。
「入れますよ…」
「あ…っ、ぁ、ふ…!」
ぐちゅりと音を立てて、肉と肉が絡み合う。
ぴったりと収まるような感覚が、物理的な意味だけでなく気持ちいい。
「ふ…っ、くぁ…あっ…あぁ……!」
びくびくと体を震わせながら、彼は僕に縋りつく。
うわ言のように、
「…っ、き、……! 好き、だから……」
と呟かれるたびに、僕の胸が震える。
嬉しい。
愛しい。
そればかりで満たされて、幸せだなんて思った。
彼の唇も、舌も、何もかもを思う様貪って、僕はようやく彼を解放した。
ぐったりと疲れ果てた様子の彼は、冷たい草の感触に、
「あー……気持ちいい…」
なんて言って伸びている。
それを見つめるだけでも、温かい気持ちになれた。
僕はそろりとその頭を撫でて、
「お疲れ様です」
「んー……」
彼は撫でられるのを楽しむように、機嫌よく尻尾を揺らしていたけれど、不意に起き上がると、僕を睨み据えた。
「そうだ、忘れるところだった」
「なんでしょうか」
「…やっとってのは、なんだよ」
不貞腐れた顔で彼は言ったけれど、
「…ええと、なんのことです?」
「言っただろ。俺が好きだって言ったら、やっと分かったとかなんとか。言っとくがな、俺はもうずっと分かってたぞ? お前のことが好きってこと…くらい……。好きだから、たとえお前が、ただの欲求不満の解消のためにでも、俺を押し倒したりしてくるのが、嬉しくて、だが、お前は俺のことを好きじゃないんだろうと思ったら、苦しく、て……それで、逃げて……。いや…、違うな…。逃げても、お前が追いかけてくれるって分かってたから、追いかけて欲しくて、逃げたんだ…。……お前と、するのだって、き、嫌いじゃ、ない…。ただ、苦しくて……嫌われるのが怖くて、俺から好きだなんて、言えやしなくて……」
言いながら、段々と言葉をしぼませた彼は、泣きそうな顔になって僕の手をちんまりと握り締め、
「お…お前は、気持ち悪いと思うん、だろうが……俺は、お前が好きだから……嫌いに、なら、ないで…ほしい……」
と泣きそうな声で言うから、僕は心底呆れた。
「まだ分かってなかったんですか?」
「…は……?」
「といいますか、あなたの思う通りだとして、僕は一体どれだけ酷いんですか。好意を向けられて気持ち悪いなんて思うような相手に、欲情したりするわけないでしょう?」
「……じゃ、あ……」
期待するように、そのくせまだ疑うように彼は僕を見つめるから、
「僕は……っ……」
と今度こそちゃんと言おうとするのに、言葉が出ない。
彼だって言ってくれたんだから、と思ってもどういえばいいのかわからない。
いや、言うべき言葉はほんの一言だけだ。
それを言おうとするだけで臆病な僕は身を竦ませる。
唇を引き結んで、迷っていると、彼はじっと僕を見つめ、
「…言えよ。言ってくれなきゃ、分からん……」
と不安げに僕の手を握り締める。
だから僕は、自分の顔が見っとも無く赤く染まるのを感じながら、
「…――っ、す、すす……す…好き、……です…っ……」
くそ、かっこ悪い。
彼にもがっかりされただろう。
そう凹みそうになった僕を、彼は優しく抱き締めて、
「…嬉しい」
とこれまでで一番の可愛らしい笑顔を見せてくれた。