エロです
女体化です
苦手な方はバックプリーズ

ちなみにタイトルは、訓読みでも音読みでもお好きに←




















































春色



彼から訪問を告げるメールが来た時、ぴんと来るものがあったのは、僕もそれを期待していたからだろうか。
季節はいつの間にかうつろい、もう気の早い春の訪れが告げられつつある。
そんな、どこか暖かで、体に纏わり付くような春の風を感じながら、僕がベランダで彼を待っていると、ひらりと目の前に何かが舞い降りた。
明るいピンク色、というよりはむしろ、春らしく、桜色とでも言った方がいいような、明るく上品な色の薄い衣。
髪の茶色もどこか春めいた輝きを持っている。
薄く刷いた眉も、そっと紅を注した唇も、明るくて軽やかだ。
まるで、一足先に春が来たかのような、甘い香りもした。
一瞬、それを彼だと認識出来なかったのは、そんな出で立ちのためじゃない。
彼がどう見ても、彼という言葉に相応しくなくなっていたせいだ。
「古泉」
嬉しそうに僕を呼ぶ声も、軽くて高い。
でも、耳障りなものではなく、こちらの気分を高揚させるような明るさを持っていて、しかも品よく響いた。
「…びっくりしました」
正直に僕が言うと、彼――ではなく彼女と言うべきだろう――は、にこっと上品に笑って、
「凄いだろ。お袋が、知り合いの春風の精に布とか化粧品を分けてもらったとかで、張り切り過ぎたんだ」
「よく似合ってますよ」
僕がそう言うと、彼女は素直に、
「ありがとう」
と答えてくれる。
ここが、妖精らしいところかもしれないな、なんて思いながら、
「せっかくですから、デートでもしますか?」
と聞くと、彼女は困ったように眉を寄せた。
「…デート、か?」
「ええと……お嫌ですか? せっかく可愛らしい格好をされてるので、そうした方がいいかと思ったんですが…」
「それは…そうかも知れんが、だが、……その、俺は、」
彼女はきゅっと小さく僕の指を握り締めたかと思うと、
「……お前、と、……エッチ、したい…」
と真っ赤な顔で言って僕を見つめた。
まさかそんな言葉が出てくるとは思わなかった僕は、ぽかんとして見つめ返すしかない。
その間にも、その前から真っ赤だったはずの彼女の顔は更に赤味を増し、いっそ美味しそうなほどになる。
「…っ、や、だ、もう……! この状態になると本当に理性が利かなくて…!」
いやいやをするように頭を振ると、長く伸びた髪がそれにつれて揺れ動く。
そんなところさえ可愛らしくて、僕はそっとその髪を手に取った。
「いいですよ、理性の利かないあなたも可愛らしくて、ドキドキします」
「……ほん、とに…?」
怯えるように、顔を上げた彼女の頬を撫でると、彼女は猫みたいに目を細めた。
「ええ、本当ですよ。…ドキドキさせられて、驚かされて、…あなたに翻弄されるばかりのようで、少しばかり悔しいくらいです」
そう言いながら、僕は仕返しのつもりで彼女の髪に口付けた。
少なからず気障だと自分でも思ったけれど、それくらいじゃなければ仕返しにならないでしょう?
けれど、どうやらこれくらいじゃだめだったようだ。
「…っ……」
声を上げて、ぽっと頬を染めた彼女は、嬉しそうに僕に抱きついてきた。
「え……ええと…」
「……なぁ、したい、から……」
甘えた声で囁いて、いつもよりも更に低い位置からじっと僕を見つめてくる彼女は、蠱惑的なまでに可愛らしい。
「…喜んで」
どうやら、普段なら恥かしいくらいのことさえ、今の状態なら喜んで受け入れてくれるらしい。
だから僕は、そっと彼女を横抱きに抱え上げた。
むしろ、お姫様抱っこと言うべきだろうか。
彼女の体はとても軽くて、少しも負担にならない。
嬉しそうな顔をしてしがみつく彼女が愛しくて、僕はその髪や頬に、つまりは触れられる場所に口づける。
軽すぎる体をふわりとベッドに下ろしたら、彼女の方からキスされた。
小さく愛らしい舌が僕の唇に触れて、くすぐっていく。
そんな風にされて、それでもなお大人しくしてなどいられるはずもなく、僕は彼女に伸し掛かった。
「本当にいいんですね?」
「ん…っ、デートがしたきゃ、後で…な……」
そう言ったいつも以上に細い腕が僕の首に絡み、キスを深めて行く。
彼女の口内を探って、その甘やかな声を聞きながらそれ以上に甘い唾液をすすって、真珠のような歯を撫でる。
「あ…ん……っ、ふぁ…、古泉……」
恥かしがりもせず上げられる声に、慎みがないなどと眉をひそめるような無粋さは欠片もなく、ひたすらそれに煽られる。
「可愛い声ですね…。もっと聞かせてください…」
そう囁くと、彼女は嫣然と微笑み、
「じゃあ、もっと気持ちよくしろよ。そうしたらいくらだって…っん、聞ける、だろ……」
「本当に、煽るのがお上手なんですから……」
苦笑しながらも嬉しさに唇を緩め、僕はその首筋に口づける。
「ひゃん…っ、ふ…ぁ……」
「もどかしそうですね」
「だ、って……、そんなとこじゃ、物足りん…」
そう言った彼女の目は、もしかすると男性の時よりもよっぽどぎらついていたかもしれない。
「そんなにほしい?」
「ん…っ、ほしい……」
と彼女は自らその桜色をしたワンピースのような薄衣の肩の部分を落とし、胸元を開く。
「…せめて…おっぱい、触って……?」
恥かしそうに少しばかり目をそらしながら、それでも上目遣いで囁く彼女は、蠱惑的などという言葉でもまだ足りないほどの色気を漂わせていた。
「どうしてほしいんです?」
言いながら唇を膨らみに近づけると、かかる吐息にすら感じるのか、彼女は上気した体を期待にわななかせ、
「あ…っ、ふぁ…」
と喉をも震わせる。
それに合わせて胸の膨らみも上下し、ふるりと柔らかく弾む。
「ねえ…」
「…さ、わって…、くれ…。好きに…して、いいから……」
興奮しきった声で途切れ途切れに言われ、僕は一層笑みを深めながらその膨らみに指先を滑らせる。
ほんの少し押すだけで潰れてしまうのに、弾力はあって、触れるだけでも楽しくなる。
けれど、それではもどかしいらしい。
「…んん…、焦らすなよ……」
と熱っぽく睨まれた。
「そんな風に睨まれると困りますよ」
「何が…?」
潤んだ瞳を向けてくる彼女に僕は笑みを返し、
「焦らすどころか、乱暴にしてしまいそうになるじゃないですか」
「…あほか」
そう彼女はくすぐったそうに笑った。
「お前は少しくらい乱暴な方が丁度いいんじゃないか?」
とまで言うので、
「そんなことを言いますか。じゃあ、これくらいでどうです?」
とその二つの膨らみを両手で鷲掴みにして揉みしだくと、
「ふあっ…っ! ア、ん…、気持ち、い…」
ぞくぞくと愉悦に体を震わせながらそんなことを言うものだから、
「本当に止まらなくなりますよ?」
と苦笑混じりに言って、僕はその膨らみの頂に口づける。
「ひゃっ…?」
急なことに驚いたように僕を見る彼女を、その丘の先に捉えながら、それを口の中に招き入れ、ぢゅっと音がするほどに吸い上げると、
「ぁんっ!」
といくらか鋭い声を上げた彼女の体が跳ねた。
その体を押さえつけるようにさらに吸い上げ、舌を絡め、軽く甘噛みなどして弄ぶと、その度ごとに甘い声が上がった。
「ひぅ…っ、んん、あっ、古泉ぃ…!」
半ば伏せた目にかかる長い睫毛を震わせて僕の名前を呼ぶその声に、やっとそれを解放して、
「なんでしょうか?」
と返すと、
「やだ…っ、やめんな…!」
と頭を抱き寄せられ、膨らみに押し付けられる。
「そんなにいいですか?」
「ん…っ、いい、から……もっと…」
恥じらい以上に、欲情に顔を赤らめる彼女が愛おしくて、彼女の望むようにする。
ふたつの頂を舐め、かじり、吸い上げ、その膨らみを揺らし、押し潰し、寄せ、引き離す。
そうする内に、彼女の腰が揺れ始める。
最初はもどかしげにもじもじと揺れていたものが、次第に大きく大胆になり、僕の体に脚が絡んでくる。
それ以上に物欲しげな瞳に、僕は片方の手を胸に残し、もう片方の手を滑らせる。
彼女が身を捩ったせいで薄いワンピースはかなりめくれ上がり、僕の手は容易にその内側へと入り込む。
……って、え、
「…何もつけてなかったんですか?」
驚いて尋ねた僕に、彼女はもじもじと恥ずかしそうにしながら、
「う、だ、だって、この服に合うような可愛い下着なんて俺が持ってるわけもないだろ。それ、に……その、」
そのワンピースよりもよっぽど可愛らしいピンク色をした頬で、彼女ははっきりと、
「……したかったん、だから、しょうがないだろ…」
なんてことを言うので、
「…だから、辛抱出来なくなるって言ってるじゃないですか」
「え? …わひゃあ!?」
彼女が驚きのあまり奇声を上げたのは、僕がその脚を強引に割り開き、隠すべきところを露わにしたせいだ。
「ちょっ、こ、古泉…!?」
「僕だって、普通の男子高校生なんですから、煽りすぎないでください」
居直るようにそう言って、僕は開いた脚の間に顔を埋める。
「ひゃん…っ! や、そんな……っ…」
怯えるような声を上げるということは、
「感覚でも違うんですか?」
問いながら、既に硬く勃ち上がっていた小さな肉芽を舌先でつつくと、
「ふあぁ…!!」
と恍惚とした声が上がる。
どうも、こちらの方が感じやすいらしい。
僕はそんな反応に気をよくしながらそこを弄び、指先では緋色をした谷間を撫でる。
そこは既に潤い、少し触れるだけでも愛液を溢れさせた。
「ふ…っ、あ、っ、ん、……あぁ…!」
絶え間なく声を上げる彼女が、震えながらシーツを掴み、何かを堪えるような様子を見せるのも扇情的で、僕はいささか強引に指を押し入れると中で開いた。
「ひゃあ…っ……」
ごぽりと音がしそうなほど大量の愛液が溢れ出し、シーツを濡らして行く。
「凄いですね…。準備なんて必要なさそうなくらいですよ?」
「だ、ったら、…っはや、く、入れろよ……」
我慢出来ない、と掠れた声でねだられて負けた。
本当に、この人には勝てそうにない。

そんな調子で、濃密というか、濃くて蜜のように甘い時を過ごしたまではよかったのだけれど、ひとしきり行為を終えた後、彼女は何を思ったのかシーツに包まってだんまりを決め込んでいた。
「あの……?」
「………」
なんだかさなぎみたいだ、と思いながら首を捻り、
「…何か、嫌でしたか?」
「……そんなところだ」
思った以上に不機嫌な声で返されたので、僕はてっきり、自分がやりすぎてしまったのだろうと思い、
「すみません」
と謝ったのだが、
「…や、違う……から…」
と恥かしそうな声が返ってきて更に首を傾げる破目になった。
「違う…とは?」
「……お前が、悪いとかじゃなくて、だな……」
もごもごと口ごもりながら、
「……自分が、恥かしくて…」
「…何をまた可愛らしいことを仰るんです?」
我慢出来なくなって、思わず彼女の背中をつっと撫で上げると、
「やぁっ!」
と短い声を上げて彼女が顔を出した。
その顔は真っ赤で、本当に恥かしそうだ。
「ううう、わ、悪いか。とりあえず満足したら恥じらいが出てきたんだよ…!」
「そういうところも可愛らしいですよ」
笑ってその額にキスを落とすと、それだけでも恥かしそうに身を竦める。
全く、少し前までもっとゆっくりだの深くだのと注文をつけていた人と同一人物とは思いがたいほどだ。
でも僕は、どんな彼も好きなのだ。
むしろ、少しでも違った面を見せてくれるほどに嬉しく思える。
「好きですよ。大胆なあなたも、恥かしがるあなたも」
「……本当だろうな…?」
じっと見つめられるのへ、軽く睨み返し、
「疑われるだけ心外ですね」
と返したら、彼女はシーツの繭を解いてそこから手を伸ばすと、
「…だったらもう一回」
と僕を引き倒したのだった。