エロ文です
ひたすらいちゃいちゃです
甘いです
それでよければどうぞー















































お狐様の幸せな日常



前からも割とそうだったのだけれど、思いがちゃんと通じ合って以来、お兄さんは本当に僕の部屋に入り浸っている。
それこそ、住んでると言った方がいいくらいである。
前なら、ちょっと一瞬消えていたりもしたし、夕食の時などは人間としての家に帰っていたはずだったのに、今ではそんなこともない。
「すっかりうちに入り浸ってますけど……大丈夫なんですか?」
心配になってきて僕が聞くと、お兄さんは狐の姿で僕の膝に寝転がったまま、
「平気だ。身代わりに人形を使ってるからな」
「人形……ですか?」
「ああ。……ほら、よくテレビだのラノベだのでもあるだろ? 形代ってやつだ。それを使ってるから、傍目には俺はこれまでと変わらず怠惰に日常を過ごしてるように見えてるってことだな。で、高校に行く時なんかは適度に入れ替わってると」
「そうだったんですか…」
呆れたらいいのか感心するべきなのかよく分からなくなって来る僕に、お兄さんはにやっと笑って、
「だから、力を消費しっ放しなんだ」
と舌なめずりして、一瞬で人の姿になった。
裸なのは、これから行う行為にはそれが邪魔でしかないということなんだろう。
お兄さんから僕の首に抱きついて、僕にキスを寄越すと、はじめは触れるだけのそれが徐々に深くなる。
そうして、キスされると僕の体から力が抜けて行くことに変わりはない。
でも、思いが通じ合ったことで気の交感が行えるようになった分、体を重ねるたび力が強まるので、少しくらい一方的に精を吸われてもどうということもなくなっている。
だから僕は思う様その唇を味わい、その口内を味わう。
「ん……っ、ふ…」
気持ちよさそうな声を上げて唇を離したお兄さんは、楽しげに笑って、
「生まれついての燃費の悪さがずっと嫌だったんだが、今はこの方がいいって思えるな」
「どうしてです?」
と聞いた僕に、お兄さんは珍しくもへにゃりと柔らかく、幸せにとろけたような笑みを見せ、
「そのおかげで、お前といくらだって出来るから」
なんてことを言うので、僕はもうそんなお兄さんが可愛くて愛しくて堪らなくて、思う様抱き締める。
でも、ほんの少し引っかかるものもあるから、少しだけ意地悪く、
「そんなに、シたいんですか?」
「ん……」
もぞ、と少しばかり居心地悪そうに体をよじりながら、お兄さんは頬を赤く染め、
「気持ちいいし、お前を独占出来るだろ。何より、…愛されてるなって思えるから、好きだ」
だから、と求められるのは嬉しい。
以前の、栄養補給のためなんて理由とは比べ物にならないほどであることは言うまでもない。
というか、あれと比べたら物凄い進歩だ。
あの頃は本当に、思いが通じ合うなんて思いもしなくて、だから僕はかえって、お兄さんが少しずつ送ってくれていた好だというサインに気付けなかったりもしたのだけれど。
「…シますか?」
「シたいって、言ってんだろ」
くすりと笑ったお兄さんは、だが、そのままの姿だ。
「今日は女性にならなくていいんですか?」
このところ、週に一度はなっていたと思うんですが。
僕が聞くと、お兄さんは頷いた。
「孕もうとするのは栄養補給とは真逆の、力を消費しまくることだから、週に一度って決めてたんだが、もう冬も終りだろ? 一応狐の発情期は冬で、仙弧だか野狐だか分からん俺みたいなのでも、そういうシーズンの方が孕みやすいのは孕みやすいからな。だからそうしてたんだが……もう、冬も終りだろ? だから、」
とお兄さんは僕を抱き締めなおして、
「今はこのままな」
と耳元で囁いた。
「僕としては、どちらでも嬉しいですよ」
そう告げて、その唇を求めれば、躊躇いもなく与えられる。
その熱さに、僕の熱も煽られる。
「ねえ、好きですよ」
「ん……知ってる」
どこかぶっきらぼうに返すのは、以前とそう変わっていない。
でも、僕の受け止め方が百八十度違う。
前は、お兄さんがそれを受け入れてくれないから、そんな返事しかしてくれないのだと思っていた。
けれど今は知っている。
そんな風に答えるのが、お兄さんなりの照れ隠しなんだと。
だから僕は薄く笑って、
「愛してます。…お兄さんだけ、です。お兄さん以外の誰も好きになりませんでしたし、なれないと思います。……だから、見捨てていなくなったりしないでくださいよ…?」
「わ、かってる、と、言ってるだろうが…」
恥かしそうに身を捩り、顔を赤らめるお兄さんは、なんだかとても可愛くて、でも、普段僕の方が劣勢に置かれるばかりだからか、こういう時くらいいじめてみたくなってしまう。
僕はソファにお兄さんの体を横たえ、期待に打ち震えるその首筋に口づける。
「…ん……一樹…、早く…」
本質が動物であるからか、お兄さんは結構堪え性がない。
遠回しな愛撫でさえ四肢を震わせるほどに感じるくせに、焦らされるのは嫌だとごねるのだ。
いつもならそれに応えて、お兄さんの望むようにしてあげるところなんだけれど、今日は少しばかり意地悪してあげたい。
何しろ、お兄さんと来たら告白してくれたあの日は大盤振る舞いしてくれたはずの言葉を、最近では滅多に口にしてくれないのだ。
勿論、それ以外の言葉や、態度ではいくらでも思いを伝えてくれているし、伝わっているとも思う。
でも、どうせなら言って欲しいと思うものでしょう?
だから、僕はお兄さんをあえて焦らしてあげようと、その首筋から肩へ、鎖骨のラインへと口づける。
時折、少し強めに吸い上げると、お兄さんの白い肌には赤い痕が残り、お兄さんの体は歓喜に震える。
そのくせ、
「や…っ、じれったい、から、…早く寄越せ…!」
と訴える瞳には、生理的なものだろうけれど涙が滲んでいて、とてつもなく色っぽい。
「そんなに早くしてほしいんですか?」
「ほしい、から……ぁ…!」
「じゃあ、言ってくれませんか?」
「…な、に……?」
眉を寄せて怪訝な顔をするということは、僕がそれを欲していることなんて気付いてないんだろうか。
「…好き、って、言って欲しいです」
「んな……」
呆れたように黙り込んだ彼は、余計にその頬を赤くして、
「…あほ、か」
「はい、自分でも思いますけど、でも、…言って欲しいです」
そう要求する僕に、彼はもう一つ小さく毒づいてから、僕の耳を引っ張った。
「痛いですよ」
「うるさい。お前の耳はどうにも悪いらしいからな。引っ張ってやるくらいで丁度いいだろ」
そうやって乱暴に引き寄せた僕の耳に、お兄さんはため息をひとつ吹き込んで、
「…分かってるんだろ?」
「お兄さんが恥かしがってるってことですか?」
「……おう」
不承不承頷くお兄さんに、僕はもうひとつ笑みをこぼして、
「でも、言って欲しいんです。…聞かせてくれませんか?」
「…うー……」
お兄さんは視線をふらふらとさ迷わせてはちらりと僕を見る、というのをしばらく繰り返した。
そうして、やがて耐えかねたようにため息を吐いたかと思うと、
「……頼むから、そんな目で見るなよ…」
なんて言う。
「…どういう意味ですか?」
首を傾げる僕に、
「お前のその上目遣いには昔から弱いんだよ。あと、もう十分育ってるから構わないだろうと、勝手ながら自分の中で折り合いをつけたってのに、そんな目で見られたら小さい子供に悪戯してるような気持ちになるだろうが…!」
と呻くように言うので、僕は思わず声を出して笑った。
「そんなこと考えてたんですか?」
「…悪いか」
「…ええ、嬉しくはありませんね」
報復のように、赤くなり、つんと尖った胸の突起を抓み、きつめに引っ張ると、
「ひぅ…っ!?」
とお兄さんが声を上げる。
「や、ちょ…っ、一樹!」
「誰が小さな子供ですか。それに、悪戯されてるのはむしろお兄さんの方でしょう?」
「しかしだなっ、……っひ、やぁ…!」
両方の尖りを強く引っ張り、押し潰すと、お兄さんの目から涙がこぼれ落ちる。
「痛いですか?」
「あ、ったり、まえ、だろ……!」
そう僕を睨み返すのはいいけど、でも、
「勃ってますよ?」
とお兄さんの脚の間に視線を落とすと、余計にその顔が赤くなる。
「い、うな…、ばか…っ!」
「痛いのもお好きでした?」
「ちが、…っひ、あぁ…っ」
びくんと体が跳ねるほどに、胸で感じられるなんて、
「…なんて、やらしいんだろ」
思わず呟いたら、
「ふぃ、い、言うなあほぉ…!」
と泣かれた。
それこそ、お兄さんの方がよっぽど子供みたいに泣いた。
手足をばたつかせて、頭を振って、涙をぼろぼろ零して。
「あああ、そんな、泣かないでくださいよ。あれは失言でした。謝ります。ごめんなさい」
「許さん…っ」
わんわん泣きじゃくって、そう喚くお兄さんを無理矢理に抱き締める。
「許してくれるでしょう?」
「断じて断る!」
「でも、……だったらどうして狐に戻らないんです?」
耳すら出てないじゃないですか。
「……忘れてただけだ」
むくれて言っても可愛いだけですよ。
「本当は怒ったりしてないから、ですよね? …ただちょっと、恥かしかっただけで」
「……誰がそうしたんだよ…」
「すみません。…だって、言って欲しかったんですよ」
「…恥かしいから嫌だ……」
「…もっと恥かしいことを言ってるじゃないですか。シたいとか色々……」
「あれは、別にいいんだ。しょせん、俺なんか獣だからな。やりたいという欲求は当然だろ。だが、その、」
かぁっとこれまでで一番顔を赤くしたお兄さんは、その顔を僕の肩に埋めて、
「……好き、とか、そんなのは、人間の思うことであり、言うことだろ…。だから、……恥かしい…」
「僕は嬉しいですよ。…そんな風に、お兄さんが僕のことを思ってくれていることが。…恥かしがらないでくださいよ。……ね?」
「…呆れ、ない、か?」
「どうして呆れたりするんです?」
「さっきは、やらしいって、呆れただろ…」
「呆れてませんよ。…嬉しかっただけです」
正直に答えた僕に、お兄さんは怪訝な顔をして、
「……変な奴」
「そうですか?」
「変だろ」
「変でもいいですよ。…それくらい、お兄さんが好きです」
お兄さんは困ったように僕を見つめた後、少し目を逸らしながらだったけれど、
「……俺も、……好き、だ、から……」
「ありがとうございます」
少しばかり拗ねたようにとがらせた唇にキスをして、僕はお兄さんの体をもう一度寝かせると、その脚を大きく割り開いた。
「ちょっ、い、一樹…!?」
「何を驚く必要があるんです?」
早くと言ったのはお兄さんでしょう?
「や、そ、それはそう、だけど…っ、ひぁん…! んな、…い、きなり……っ…」
お兄さんが抗議しようとするのを軽く流して、その脚の間に顔を埋め、小さな窄まりに口づける。
そこは既にひくついていて、少し触れるだけでもお兄さんの口からは艶かしい声が溢れ出てくる。
「あぅ…っん、ひ、…も……っ、早く…!」
求められるまま指を潜らせると、きゅうと締め付けてくるのに、それだけじゃ足りないと喘ぎ喘ぎ訴えるお兄さんは蠱惑的ですらある。
「は、やく…っ…ぅ……」
他の言葉を忘れたように求められて、頭の中が焼ききれそうになる。
「大丈夫ですか?」
「ん……っ、へい、き…だ……」
「…痛むかもしれませんよ」
「平気だって言ってんだろうが!」
そう怒鳴られて、ついでに軽く蹴り飛ばされた。
「…っ、焦らされるのは嫌いなんだよ…! な、のに、今日は……っ…」
唸るお兄さんは泣きだしそうにも見えて、
「す、すみません。…だって、あまりに可愛かったんですよ」
「も、いいから…!」
照れ隠しだか本当に焦れているんだかよく分からない反応に、僕はお兄さんの膝に口付けて、昂ぶった自分を押し当てる。
それだけでも、「気の交感」を行える時独特の、暖かな幸福感に体が包まれる。
「力、抜いてくださいね…」
「わ、ぁってる、から…!」
力を込めて狭隘な場所を裂くようにすると、お兄さんの体が強張り、その喉が悲鳴染みた嬌声を絞り出す。
「ひ、あ、…っぁ、ああぁぁぁ……っ!」
「く…っ、ぅ……」
僕の方だって苦しいくらいだ。
痛みがないはずなどないのに、お兄さんは愉悦に体を震わせ、声を上げる。
「ひぅっ、は…っ、あぁ…」
その腕で僕を抱き締めて、そうして、幸せそうに呟いた。
「一樹……っ、…愛してる……」

……それで、「早過ぎるだろ!」なんて罵られても、不可抗力ですとしか言い返しようがないと思う。