襲い受けなエロです
そしてエロに力入れすぎてその後が適当です←




















































ハーフムーン
  第十一話



驚いたのか、抵抗でもするかのようにもがく古泉の唇を塞ぎ、舌を伸ばす。
戸惑う顔がすぐ近くに見えて、自然と口角が上がった。
「…可愛いな」
今度こそ声に出すと、古泉は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「んな…っ……!」
「可愛くて我慢出来ん」
興奮しきった声で囁いて、俺は古泉の喉に口づける。
それだけでそこが震えるのを舌で感じながら、綺麗に浮いた鎖骨を舌でなぞると、
「まだ…するんですか…?」
「したい、が……」
やっぱりただの人間にはきついだろうか。
俺は逆に気力体力ともに充実しちまってるんだが。
「…お前が疲れたなら諦める」
「……あなたって方は…」
呆れたにしては優しく、古泉は俺の髪を撫でた。
しかもそれがただ単純にくすぐったいだけならまだしも、そうじゃないから妖精の血ってのは手におえん。
ぞくりとした快感に煽られながら、俺は古泉を見つめる。
「嫌か?」
「嫌じゃありませんよ。……あなたになら、たとえ抱き殺されても本望です」
「それは俺が嫌だな」
笑いながら、古泉の肩にキスをして、
「お前に死なれるのも、腹上死なんてされるのも」
「そうですね…、でも、いずれあなたを残して死ぬなら、最後まであなたと一緒にいたいですから、」
「選択肢としては悪くないってか?」
苦笑した俺の肩から胸の方へと油断のならない手の平を移動させつつ、古泉は呟いた。
「だって、あなたと僕では寿命も違うのでしょう?」
「さあな。…半妖精にも色々なんだ。妖精と同じく恐ろしく長生きなのもいるし、人と変わらんのもいる。俺は、力はともかく身体の成長速度はここまで人間の平均値程度だから、このまま歳を取ってく可能性も十分ある。だが、寿命なんて些細な違いだと思うぞ?」
「そうでしょうか?」
「死んだら、幽霊になってでもこの世にしがみつきゃいい。実際、うちのお袋は親父にしょっちゅう言ってるぞ。愛してるなら、死んで幽霊になっても側にいろって。そうじゃなかったら、百年も待たずに新しい恋を探してやるとさ」
「それは……また…」
「凄いだろ」
にやりと笑った俺は、古泉の引き攣った口元にキスをして、止まっている指を動かせと促す。
「あなたもそう思うんですか?」
「そう……だなぁ…」
俺が考え込んでいるからか、古泉の指はもどかしい動きしかしない。
それに焦れて、腰を揺らしながら、
「……お前なら、わざわざそうやって脅したりしなくても、俺の側にいてくれる気がするんだよな」
照れ臭さに小さく笑って言うと、いきなり赤く染まった胸の突起を押されて、
「んん…っ!」
と勝手に声が上がり、体がのけ反った。
「こ、いずみ……?」
「あなたの方がよっぽど可愛いですよ。……ええ、何があっても離れませんし離しません」
「んっ、そ、う、してくれ……」
それでもう会話は十分だと、俺は古泉の脚の間に顔を埋める。
疲れてるだろうに反応を示してくれるものが愛しくて、深くくわえこみ、濁音にしか聞こえないような激しい音を立ててすすると、古泉が艶っぽく呻くのが聞こえ、余計にそそられた。
「っ、あなたの、準備は……?」
「要らん。……十分だ」
そう答えながら、片手を後ろに回し、探り当てたそこはとろとろにとろけきっていた。
普通じゃないと思うが、そもそも俺という存在自体、人間の言う普通からは著しく逸脱しているのだからしょうがないだろう。
古泉のものが立ち上がったのを見つめ、その表面を軽くもう一撫でして、俺は体を起こした。
そのまま膝立ちで移動して、それに狙いを定めると、
「いれ、るぞ……」
と熱でしかないような声が出た。
「なんて顔、してるんですか…」
そう言った古泉こそ、凄い顔だ。
赤くて、目なんか潤んでて、可愛い。
愛しい。
食べてしまいたいほどに。
「どんな顔だよ」
「発情しきった動物みたいな…、やらしくて、可愛くて、綺麗です……」
うっとりと囁かれる睦言にさえぞくぞくと体を震わせながら、
「動物みたいなもんだ。……だから、我慢なんて出来ん」
もう入れるからな、と一方的に宣言して、俺は腰を落とした。
体の中に古泉の熱を、硬さを感じる。
「…ふっ……ぁ、あぁ…ん…! ひ、いい…! 気持ち、いぃ……」
「僕も、堪りませんよ。……ねえ、動いていいでしょう?」
「ま、だ…っ、や……!」
「ゆっくり味わいたい?」
「ん……」
「でも、この状態で動かれるのも、好きですよね? 一番奥の深いところまで、いいえ、全身に響くほどに貫いて、突き上げられるのも」
「あ……好き、だ…けど……」
「けど?」
「……疲れてるんだろ? 無理せずマグロになってろよ」
そう言って、自ら腰を上下させようと脚に力を入れた瞬間、
「その方がよっぽど無理ですよ」
と笑った声がして、逃すまいとばかりに腰を掴まれた。
「んんっ……!?」
「あなたと繋がっていて、じっとしてなんていられません」
そう、どこか偽悪的に笑った古泉は、俺の腰を押さえたまま、俺をぐっと突き上げた。
「ひあぁっ…!」
一番奥の、俺自身すら知らない、古泉しか知らない場所を突かれ、視界が白く明滅し、体が跳ねる。
「ひ、っ、あん…! あっ、あ…、こい、ずみぃ……」
「愛してます」
囁かれる言葉に熱は高ぶり、絶頂が近づく。
そして古泉との交合によって与えられるそれは、正しく「絶頂」という言葉に相応しいものなのだ。
深く、激しく、何より愛おしい衝撃。
それを味わいながら、俺は今度こそ昏倒したのだと思う。

夕方になって、俺はベッドから這い出した。
……古泉がぐったりして眠っていることについては色々と申し訳なさも感じるのだが、責任の所在については連帯責任ということで半々にしておきたい。
大体、なんのかの言ってこいつもノリノリだったしな。
しかしながら、こんな状態の古泉を叩き起こすのも可哀相なので、俺は億劫ながらもきちんと着替えてひとりで寝室を出ると、キッチンに入った。
俺がひとりがどうしてこんなにも元気かと言えば、古泉に力をもらったからで間違いはない。
せめて飯くらい作ろう、と思いながら開けた冷蔵庫は見事に空だった。
古泉の名誉のために言わせてもらうが、空とは言っても自炊しない人間のそれの状態じゃない。
野菜室にはちゃんと味噌もしまってあったし、バターや小麦粉もあった。
が、その他の野菜や肉類なんかがまるでなかった。
どうやら、買い置きしないタイプらしい。
しかし、そうなるとどうしたもんかな。
米があるから飯は炊くにしても、まさか味噌やマヨネーズをかけて食べさせる訳にも行くまい。
炊飯器に洗った米をセットして、スイッチだけは入れたものの、しばし思案に暮れた。
古泉と離れたくないとは思う。
だが、だからといってみっともない飯を食わせる訳にはいかんだろう。
「……仕方ない、買い物に行くか」
ため息をひとつ吐き出して、財布だけを掴んで部屋を出る。
近くにスーパーくらいあったはずだが、と思いながら歩いて行くと、夕闇の空に溶けるような薄羽を伸ばした小妖精たちがまとわりついてきた。
なんだよ。
「いいことした?」
「力のおすそ分けしてよ」
「おめでとー」
「ご愁傷様じゃないの?」
くすくす笑いが耳障りだ。
「分けてほしいなら、黙ってろ」
短くそう言うと、ぴたりと止んだ。
流石、正直だな。
半ば呆れつつ、指先に小さな光を燈す。
厳密に言うなら、それはただの光ではなく、力の結晶のようなものだ。
それをふたつみっつ中空に飛ばすと、小妖精たちはそれに群がっていった。
清々した、と思いながらスーパーに入り、夕食の材料を見繕う。
思えば俺はあいつの好みすら知らないのだが、それでうまいことあいつの苦手な食材なんかを避けられるものだろうか。
考えつつもひょいひょいと選べるのは、何なんだろうな?
勘が鋭くなってるせいか、躊躇いもない。
多分、あいつが好きだろうと思うものを選んでカゴに入れてやる。
それでも、量を控えめにしておくのは、とりあえずあいつが動けるだけのエネルギーを摂取させたら十分だと分かっているせいだ。
おそらくお袋が宴会の用意を整えているだろうからな。
下手に満腹にさせない方がいい。
なお、なんで宴会かと言えば、妖精の享楽的なところがそういうところにも現れるからであり、何かと理由をつけてはドンチャン騒ぎをやりたがるお袋とおっさんが、今日のことを祝わないはずがないからそれと分かる訳である。
ともあれ、適当に精の付きそうなものを買って、古泉の部屋を戻ると、いきなり抱き着かれた。
誰にって、そりゃ、古泉に。
流石のおっさんものこのこ邪魔をしに来てはないからな。
「古泉……?」
「どこに……、っ、どこに、行ってたんですか…!」
泣いてるんだろうかと思うほどに震える声で言われ、罪悪感に胸が痛んだ。
「スーパーにちょっと買い物に行っただけだったんだが…、悪い、書き置きくらいするべきだったな。目が覚める前に帰るつもりだったから……」
「あなたがいなくて、どれだけぞっとしたと思うんです…! やはりまた夢だったのかと、思うと、怖くて……」
「すまん」
「携帯は繋がらないし…」
「そもそもここに置いたままだったんだ。…最中に邪魔されたくなかったから、電源も切ってたし……」
「出かけるならせめて、ちゃんと持っていってくださいよ…!」
「分かった、肝に銘じておく。だから、その、そんなに泣くなよ…」
「……情けなくて、悪かったですね」
拗ねるように古泉は言ったが、俺からすれば情けないとかそういうことでなく、ひたすらに、自制出来ないまま、また押し倒して今度こそ絞り尽くして殺しかねないのが困るだけである。
「腹が減ったろ。今、飯を作ってやるから、顔でも洗って来い」
「はい」
と古泉は嬉しそうに笑った。
「……なんだか、新婚家庭みたいですね」
などと恥ずかしいことまで言いやがったので、
「あほか」
とその頭を軽く叩いてやった。
簡単に作れるもの、ということで俺がこしらえたのは安い豚コマで作った形も見栄えも悪い生姜焼きと、生野菜をちぎって市販のドレッシングをかけただけのサラダ。
それから、インスタントのスープくらいだったのだが、それでも古泉は感激したように美味しいを連呼していた。
そうして、幸せな食事を終えたと思った瞬間、電源を切ったままのはずだった携帯が鳴った。
こういう非常識なことをするやつに、心当たりは二人しかいない。
俺は眉間にシワを寄せつつ通話ボタンを押し、
「お袋、」
と文句を言おうとしてやったのだが、
『おめでとう、よかったじゃない』
と言われ、思い切り出鼻をくじかれた。
「お……おう、ありがとう…?」
『あんたも分かってるだろうけど、お祝いの用意してあるんだから、いい加減帰ってらっしゃい。いいわね?』
「へいへい…」
『じゃ』
きっちり用件だけの電話が終了し、俺は脱力するしかない。
妖精だからか母親だからかは分からないが、一生あのお袋には勝てない気がする。
「どうしたんです?」
怪訝な顔をしている古泉に、俺は短いため息を吐き、
「うちでお前の歓迎会みたいなもんをするから早く帰れとさ」
と言ってやったら、古泉が思い切りむせた。
「なっ……!?」
「嫌か?」
「え」
「お前が嫌なら仕方ないが……俺としてはやっぱり来てほしいと思う。お前のこと、ちゃんと紹介したいし…」
羞恥に顔を染めながらももごもごとそう言うと、
「それなら、是非ともお邪魔させてください」
と古泉は微笑と共に言ってくれた。
「構わんか?」
「ええ、むしろ僕の方こそお願いしたいです。……あなたのご家族に会わせてください。重いと言われるかも知れませんが、…その、生涯を共にするものとして」
「…あほか」
俺は笑って古泉の肩を軽く叩き、
「んなもん、今更言うまでもないだろ。……離さないからな」
脅すように低く言っても、古泉は怯まなかったばかりか、
「それに、」
と付け加えた。
「本当にあなたが留学しなければならないのか、他に方法はないのかということも、聞いてみたいんです。あなたと離れ離れになるなんて、堪えられませんから」
「好きにしろよ」
苦笑しながらそう言って、俺は古泉の頬に口づけ、
「ありがとな」
「いいえ、これは僕のわがままですから」
と、古泉は古泉なりに覚悟を決めてくれていたんだろうに、それをふいにするような真似をするのが妖精、というか、うちのお袋なのだろう。
悪くはないし、他意だってないのだろうが、それにしたって、と呆れるものがある。
何しろ、挨拶もそこそこに、
「そういうことなら、留学はしなくていいわ」
と言ったんだからな。
そういうことも何も、なんら説明も嘆願もしてない。
俺まで一緒になって唖然としていると、エルフのおっさんがひょこっと顔を出して、
「わざわざ留学なんてしなくても、ここから通えるようにしたよ」
「どういうことだ?」
「妖精の通り道、ってキョンは使ったことがないんだっけ? まあ、我々専用の近道みたいなもんだね。あれを繋げたんだ。だから十分ここから通えるよ。その方がいいだろう?」
「そりゃ、そうだが……」
肩透かしを喰らった気分だ。
お袋は悪戯っぽくウィンクなど寄越して、
「しっかり頑張りなさいよ。その気になれば、あんたくらい力があって、将来有望の成長株なら、女の子にだってなれるんだし。そしたらあんたも古泉くんも嬉しいんじゃないの?」
「そんなことも出来るのか?」
「勿論。…それなりに努力は必要だろうけどね」
「……やってやるさ」
そうやって、堂々と幸せになれるなら特に、な。

そんな風に乗せられて、俺の忙しい日々は始まった。
何しろ、夜や週末など、時間があれば勉強に行かなきゃならん。
おかげでデートもままならないくらいだ。
いや、そもそも古泉とのんきにデートなんて出来ないくらいの複雑な事情がある。
だから、今の俺の目標は、自前の羽根で空を飛べるようになることなのだ。