※グロ注意
もう、俺は色々限界が近いという事は自分でもわかっていた。 だがいつか古泉が戻ってきてくれるんじゃないかと俺を堅苦しい、限りなく監禁に近い軟禁状態にする両親もいつか俺の事をわかってくれんじゃないか。そう、あり得ない事だとわかっていたのにどこかで信じ続けてきた。 そう信じておかなければ俺は悲しみに明け暮れてしまって自殺でもしてしまうんじゃないかと思ったから。 だけど、信じたって無駄だとわかっている事を信じ続けようとする度に、それに反して俺の心が病んでいくのがわかった。わかっていたのに、それでも、信じたいと願った。 だが、とうとう…俺の心が壊れた。今まで堪え続けてきた怒りや憎しみが、理性を飲み込んでしまったから。 古泉がいなくなってからも伸ばし続けてきた髪の毛を自分で切りたいから、と。 俺の部屋に出入りするメイドに、ナイフを持ってきてくれないか? そう言うとメイドは何も違和感を抱かずにわかりました、と言ってから5分。 今俺の手元にはナイフがある。 比較的小さい凶器ではあるが、確実急所を外さずに刺してしまえば、人を殺せる、今の俺の武器。 それを手に取った瞬間、目の前にいたメイドの首を勢いよく突き刺し、息の根を止める。 「馬鹿だな…」 小さく呟いた俺の口調は、自分でもわかるくらい楽しそうな口調で呟いたのがわかる。 人を一人殺しても何も感じない程、…いや、違う。人を殺す事に対して、楽しいと感じてしまった俺は 心が壊れたと同義語になるんだろう。 目の前の動かなくなったメイドの目の前で、俺は自分が着ている白いドレスのスカートを、ナイフで一か所、切り裂く。 強制的にスリットを入れるような形になって違和感は覚えたがこれで動きやすくなったな、と呟いてゆっくりと静かにドアに向かって、人がいそうな場所へ向かう。 厨房で料理を忙しなく作っている料理人達。 俺は歩きにくい靴を脱ぎ捨て、すぐに殺戮を開始する。 厨房は俺が人を殺した事に、いやむしろ、俺がここに来た事に対してなのか。 そこまでわからなかったが、混乱に陥っている人間を殺すのは本当に簡単だった。 しかもここにはナイフじゃないもっと綺麗な凶器がたくさん置いてある。 すぐに使い物にならなくなったナイフを捨て、即座に本当に綺麗に手入れされてある包丁を手に取り、一人一人の首を狙い、刺し殺す。 返り血を浴び、尚も無表情で人を殺していく様を、男も女も、皆悲鳴を上げながら逃げようとするが、逃がさない。 ここで一人でも逃がしてしまったら、メインディッシュが逃げてしまう。 だからここにある使えそうな凶器を全て使って。一人残さず、確実に死ぬように首元を狙う。 そうしていくと、ここにいる人間の声は、何も聞こえなくなった。 そして動ける人間は、俺以外に誰も、いなくなる。 …女の俺でも、精一杯の力と体重を込めさえすれば、喉なんてすぐに切り裂けるもんだな。 なんて考えながらまだ使えそうで凶器を数本手に取り、厨房を後にする。 全ての部屋に入り人間がいないか確認しながら進む。 人がいたら、不意打ちを狙って息の根を止めて行き、段々と自分の両親が今いるであろう部屋の前に到着する。 そして一つ、深呼吸をして。 一気に部屋に入り込みまずは憎い父親の太股を刺し、即座に醜い母親の腹を突き刺す。 一緒いた弟には、ほんの少し、罪悪感を抱いた俺は、痛い想いをさせないように包丁を横にして心臓を狙う。 弟は、絶望したような表情で俺を見た後、倒れ込む大事な弟は…もう、動かない。 それを確認した俺は、痛みにのたうち回っている両親をじっと見る。 「痛いか?痛いよな?刺されていたくない訳がないよな?」 叫びながら助けを呼ぼうとする醜い両親に俺は見下しながら話す。 「だけどな、俺の方がずっと痛い。ずっと苦しい。今までどれだけ耐えてきたと思う?」 母親の方を向き、歩きだす。 「俺は、古泉がいればそれでよかった。だから俺は、ずっと大人しくしてた。 だけど古泉はもういない。どこかに行ってしまったから。」 母親の傷口を力と憎しみを込めて何度も踏みながら「古泉の幸せな生活をぶち壊しておいて、いや違うな…周りの幸せをぶち壊し続けてお前達は何を悠長にしてきた? 周りの事も考えず、実の娘の気持ちも察せず、本当に自分の事ばかり考えてきたお前達は!!!!」 憎悪を隠しもせず俺は母親の腹を何度も何度も何度も、体の中身が見えてしまうくらい何度も何度も。 次第に母親は動かなくなっても俺は母親を繰り返し突き刺し続ける。 少し息が上がりながらも、ぐちゃぐちゃになった母親から離れ、今度は父親の方に目を向ける。 父親はヒッ、と言って逃げようとするが、俺はこの部屋から逃がす気などさらさら無い。 「逃がすかよ…」 足を負傷してる人間を、息が上がっている状態でも追い詰めるのはとても簡単だ。 勢いをつけ父親を殺す為だけに大事取っておいた最後の一本を使って背中から父親を刺しそしてそれを引き抜く。 「俺は…あんたが一番憎いよ。アンタの大事なモンで俺が作られたなんて考えると虫酸が走るよ、オトウサマ?」 そう言いながら両足首を切りつけ、これ以上逃げられないようにした後、うつ伏せに倒れている状態から仰向けにさせ股間を踏みつける。何度も、全力で。 その度にぎゃああああああ!!と叫ぶ様を見て俺は嗤う。 「痛いよなぁ?いくら女だってこうされたら痛いだろうが、男だともっと痛いんだろうな」 でも、と俺は冷ややかな視線で見下し 「俺はアンタにずっと痛い想いを心に与えられてきた。生まれてきてからずっとずっと古泉とあった事があってからは、それ以上に痛い想いをしてきたんだ…これ位、我慢してもらわないと困るよねぇ?…オトーサマ?あぁ、安心して下さい?存分に痛みつけて殺してやるから」 親切にそう言ってやったのに俺の父親は未だに暴れる。 「煩い。煩い煩い煩いうるさいウルサイ!!!!」 勢いよく包丁で右肩と左肩を突き刺し顔を拳で殴る。 「あんたは俺にどれだけの苦痛を与えてきたと思ってる?俺だけじゃねぇ、あんたが仕事に手段を選ばなかったせいでどれだけお前が憎しみの矛先を向けられているかわかってる癖に。それをわかってる上でそれでもその方法を使い続けたアンタの報いなんだ。すぐに殺さない。散々甚振って甚振って、殺してやる…!!」 切りつけた傷口を開くように、ぐいぐいと刺した場所に手を入れ傷口を広げたり、母親にしたように傷口を踏みつけたりと思いつく限り死なない程度に甚振る。 やがて動かなくなりそうになる位にまで弱った父親に俺は、 「安心して下さいオトウサマ、貴方が死んだら必要な物を全部集めて、屋敷ごと燃やして皆と同じ場所に行けるようにしてあげますから」 そう言った俺はアハハハハ!と狂気じみた高笑いを出しながら。 「もう貴方を甚振るのも飽きた。…サヨウナラ、オトーサマ?」 今までで一番勢いをつけながら顔面をを突き刺して、父親の命の灯を、消した。 白いドレスは全てを終える時には真っ赤に染まって元々の色が全くわからない程に返り血を浴びていた事に気付いた俺は、 「…着替えるか。」 ふらふらと自分の部屋に戻り、血の匂いを落とす為軽く水を浴び、動きやすい服装に着替えてから、大きい袋を準備してから父親や母親が貯めに貯めていた金目の物を持てるだけ持つ。 服は俺の体つきの似たメイドの私服を数着取って、一度外に出てその荷物を置く。 「……………………」 もう一度屋敷に入り、屋敷にあった油を全部使って屋敷内のところどころに油をぶちまける。 「…じゃあな。」 小さく呟き、部屋に火を放つ。 そしてゆっくりと屋敷を出る。 「終わった……これで、古泉の恨みもきっと無くなったよな…きっと」 小さく呟いた言葉に、反応するものは誰もいないけれど、俺は満足だった。 燃え上がりだした屋敷を確認した後に俺は、少々重い荷物を持ち、屋敷を離れる。 どこにも行くあてはないけれど、俺が生きてる間に古泉に会えると信じて、歩きだす。 それがどんな形であっても、何年かかろうとも、どんな結果であろうとも俺は、古泉に会う。 そう、決めたから。 病んでしまった心だけれど、その気持ちは決して変わる事はなかった。 |
【病んだ蝶は全てを消して どこへ彷徨うのか】
(たった一つの想いがもし叶ったのなら きっと俺は――――――)