蝶が舞う
  執筆者:姫宮葵様



Side K
今はいつだ・・・?
あぁ・・そうだ、俺は古泉に犯されて・・
それで軟禁、いや監禁状態になったのか
なんか屋敷の部屋を転々としているからか、俺の感覚がおかしくなったのか
今がいつで此処がどこかなんて全然わからない
まぁはっきりしているのは、もうこのまま古泉に会うこともなく、廃人のように死んでいくしかないってことだ
あんなことを言って出て行ったんだ
迎えになんて着てくれないんだろうな


Side I
あれから何年たったでしょうか・・・・?
彼女にひどいことをしてあの屋敷から出て・・
何日も悩んで、悔やんで・・
彼女を迎えにいくと決めたあの日から何年たったのでしょうか・・・
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桜が散っていく
今迎えに行きます


何か起こらないものかとうんざりしていたある日
何年も顔あわせなかった父親によばれ、久しぶりに部屋を出た
父親に言われたのはつまりこういうことだ
求婚してきた男がいるからそいつの所に嫁げと
傷物といわれている俺を嫁に欲しいとは変わった奴もいるもんだ
まぁここから出られるなら悪い話ではない
拒否権が無いのはわかっているが一応「わかりました」と言っておいた
多分今が古泉を忘れるときなんだろうなと思った
嫁ぎに行くのは二週間後だ
準備しないとな

とうとう出て行く日が来た
小さいトランク一つ持って約二十年世話になった屋敷を出る
車に乗って屋敷が小さくなっていくのをボーっとみていた
「あの家が恋しいの?
 あまりいい思い出のないあの家が」
そう運転手が聞いてきた
いきなり何を聞いてくるのかと思った
でも、
「ハルヒ?!」
「あら今頃気付いたの?」
「何で・・・」
「それは家についてからね」
その言葉どおり車は涼宮邸に向かった
涼宮邸に着くと今までずっと会いたかった奴がそこにいた
「っ・・・こ・・いずみ・・」
「お久しぶりです。お嬢様」
あのころと変わらない笑み
うれしくて涙が出た
「とりあえず中に入りましょうか」
「うん」
屋敷の中に入りどういうことなのかをすべて聞いた
「つまりあの屋敷を出た後ハルヒに拾われて俺を救出する機会をうかがっていたのか」
「そんなところです」
「じゃあ・・あの結婚の話は・・・」
「あぁ・・・あれは僕たちじゃありません。
 別の人間です」
「ふ〜ん・・・」
ある意味かわいそうだな
本当に結婚申し出てきたやつ
「まぁこうしてあなたを助けることができたわけですから・・・
 喜ぶべきでしょう?」
「そうだな
 これからお前はずっと俺と一緒にいてくれるのか?」
「もちろんです
 もう絶対放してあげませんからね」

あぁそうだ
これは余談だが、俺たちはその後幸せな人生をすごしたぞ
子供もできたし・・・・
なにより一樹の傍にいられるしな
愛してるよ  一樹

END