ペリリュー島の案内




 ペリリュー島は島内の大半数が亜熱帯樹林に覆われ、白浜のビーチが点在する人口約700名、南北9キロ・東西3キロの小さな島です。島の南西部にある米軍の上陸したビーチは、今でも「オレンジ・ビーチ」と呼ばれています。
 島の南端には世界平和を祈念して作られた公園があります。突端には西太平洋戦没者の碑が建立され、「さきの大戦において 西太平洋の諸島および地域で 戦没した人々をしのび 平和への思いをこめてこの碑を建立する」というメッセージが刻まれています。公園のある岬からはアンガウル島を望むことができます。 その他にも当時の激戦の様子を現在に伝える戦跡を多く見ることができます。発電所や日本軍司令部の跡、防空壕、戦車や大砲、あるいは米軍の水陸両用戦車等が至る所に見られ、その多くは朽ち果て、錆付いてはいますが、戦争の悲惨さを静かに物語っています。美しいペリリュー島には、未だに戦争の爪痕が残されています。

 
 
日本軍大砲
 日本海軍の20センチ砲。中山東側の丘に掘られた洞窟に設置されている。

 中山付近で戦闘をしていたペリリュー戦の生還者によれば、この大砲は砲口が、米軍上陸地点とは反対の東側を向いていたため、一発も撃つ機会が無かったという。



 
米軍LVT-A1
(Landing Vehicle Tracked-A1:水陸両用装軌車両、または水陸両用戦車)
 日本軍の大砲がある洞窟の手前にある。

 上陸作戦の第一波用近接支援型で、M5Aスチュワート軽戦車の砲塔(37mm戦車砲と7.62mm機銃が同軸装備)を搭載し、上陸作戦に威力を発揮した。




 
米軍LVT-A4
(Landing Vehicle Tracked-A4:水陸両用装軌車両、または水陸両用戦車)

飛行場北部に、LVT4と並んである。

 上陸作戦の第一波用近接支援型で、砲塔には、LVT-A1より火力を強化した75mm榴弾砲が搭載され、12.7mm機銃を砲塔後部に搭載した。
この車両は、近接打撃力に優れていたが、砲塔の上部装甲が無く、接近戦での乗員死傷率が高い欠点もあった。

 
ブラディ・ノーズリッジ・モニュメント
 ペリリュー島で一番高い地点の大山山頂に、米陸軍第81歩兵師団第323連隊の記念碑が、作られている。
モニュメントには、「LEST WE FORGET THOSE WHO DIED 323 INFANTRY US ARMY 1944」   ここに死せる人々の追憶のために・・・・米陸軍第323歩兵連隊1944年と記されている。






 
日本軍司令部跡

 飛行場の西側に位置する。鉄筋コンクリート製だが米軍の砲爆撃による破壊の跡が随所に見られる。

 昭和22年4月22日に投降した日本兵34名の降伏式典は、この日本軍司令部の2階へと続く階段の手前の部屋で実施された。





 
米軍M4A1 シャーマン中戦車
 75mm戦車砲と7.62mm機銃(同軸装備)を砲塔に搭載し、車体前面にも、7.62mm機銃を搭載している。
 この戦車は、10月18日に天山付近で日本軍の急造地雷によって破壊された。
 地雷は、航空機用爆弾を利用したもので、有線による電気発火式の地雷であった。




  日本軍95式軽戦車
 飛行場とホワイトビーチの間の道路上にある。
 94式37mm戦車砲と砲塔後部に7.7mm機銃を搭載し、車体前面にも7.7mm機銃を搭載している。
 装甲が6~12mmと薄く、防御的に問題があった。
 ペリリュー島には、第十四師団戦車隊の17台が配属されており、米軍上陸の9月15日夕刻時の日本軍反撃時に破壊された中の1台である。砲塔は失われている。


 
 
ホワイトビーチ
 このビーチのイシマツ、イワマツ陣地には、水戸歩兵第二聯隊第2大隊の第4中隊とその予備隊である第5中隊が後方で防御を固めていた。
 写真奥のとび出た岬が北側のイシマツ陣地であり、米軍は、「THE POINT」と呼んでいた。

 米軍は、このビーチの左翼(イシマツ陣地)をホワイト1、右翼(イワマツ陣地)をホワイト2と名付け、米海兵第1連隊が上陸作戦を敢行した。

 

オレンジビーチ

 このビーチの北側のクロマツ陣地までが、水戸歩兵第二聯隊第2大隊第4中隊の守備範囲であり、南側のアヤメ、レンゲ陣地は、高崎歩兵第十五聯隊第3大隊第8、第9中隊が防御を固めていた。
 米軍は、このビーチの左翼(クロマツ陣地)から右翼(レンゲ陣地)にかけて、オレンジ1、オレンジ2、オレンジ3と名付け、米海兵隊第5、第7連隊が上陸作戦を敢行した。


 
ゼロ戦
 ペリリュー島南端の港キャンプベックドックの近くの道路沿いにある。








 
 

ペリリューコーナー
 ペリリュー島付近には、パラオでも屈指のダイビングポイントがある。
 写真は、ペリリュー平和記念公園の南に位置するペリリューコーナーでのロウニンアジの群れ。
 このポイントは、潮流が速く、複雑に流れる場合があり、上級者ポイントとして知られている。
 日本からだけでなく、欧米からも多くのダイバーが訪れる。

(写真提供:ダイバー廣谷氏)

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