鎧(よろい)かけ松の話(中島)

 中島・長師の姫が浜には【鎧かけ松】といわれる黒松があった。高さ4m、枝は10m四方に張出し、全体に傘を広げたような美しい松だったという。残念ながら昭和48年(1973年)に枯れてしまい今は無い。この松にまつわる話。

 源平合戦の昔、源氏の大将・源義経は屋島の戦いで平家をやぶり、瀬戸内海を下って落ち延びようとしている平家を追尾していた。追尾の途中、水師(水兵)を集めるため中島・長師に寄り姫が浜に上陸して陣をはった。かたわらの黒松に脱いだ鎧をかけて休んでいた。この松も義経の威光を感じ取ったのか、その時以降上を向いて伸びず横へ横へと枝を張出し傘のような美しい形になったという。そこでこの黒松を【鎧かけ松】と呼ぶようになったという。


 

        (地図)松山市長師 姫が浜