3月度例会  小沼 大八氏 「こころの文化」講演レジュメ
 自分をみつめ自分を知る工夫を、いま仮に「こころの文化」と呼んでみよう。近代における科学・技術の発達は、われわれに未曾有の物質的豊かさをもたらした。けれども、われわれはいま、そんな物質文化の繁栄に身を委ねるあまり、こころの文化を見失ってはいないだろうか。
 けれども、こころの文化を置き忘れてはなるまい。それというのも、自分を忘却し、自分を見失ったままこの人生を送ったのでは、どんなに長生きをしても、どんなに贅沢な生活を送っても、それは自分の人生を生きたことにはならないのだ。せっかくいただいた、たった一回かぎりの人生である。自分の人生を生きようではないか。
 とはいうものの、自分を知ることは難しい。ひょっとすると、それは他人を知る以上に難しい作業かもしれないのだ。けれども、それは何故なのだろう。そして自分がそれほど知りがたい存在ならば、自分を知るにはどんな工夫が必要か。以下、本日の話の順序と要点を箇条書きにして示しておくことにしよう。
1.自分を知ることの意義
 「汝みずからを知れ」という、ソクラテスの一軒から哲学は始まった.
2.自分を知ることはなぜそんなに難しいのか。
われわれの五官は自分を知ることに対して無力である。
・前五藷〈眼・耳・鼻・舌・身)・・・外界を知る.
・第六識〈意識=こころ)・・・・・・自分を知る.
3.こころの不思議さ
こころは自分のものでありながら、けっして自分の思いどおりにはならない。
「凡夫ノ心ハ物ニシタガヒテ移リヤスシ。タトヘバ猿猴ノ枝二伝フガゴトシ。マコトニ散乱シテ動ジヤスク、一心シズマリガタシ」〈法然「法語集」〉。
4.こころの文化とは、こころの散乱を鎮め、こころを内側に向けさせる工夫をいう。
A.環境を生える
        イ.静けさがもつ意義
ロ.薄暗さがもつ意義
ハ.夜がもつ意義
二.日曜日がもつ意義
ホ.祭りがもつ意義
へ.巡礼がもつ意義
B.からだを整える
      イ.こころとからだの閑係
ロ.行儀がもつ意義
ハ.座法がもつ意義
ニ.正座と結執扶座