2004年「からくり人形」









 


華やかな妻の声して初湯かな


   寒気団居座る地図の余白かな

 画用紙の精一杯に花ミモザ

新妻の指やはらかき寒椿

   初春の手話やはらかき二人かな

ペン先の筆圧固し雪激し



   ほつこりと湯呑つつみて寒の雨

   寒雀すべり台して遊ぼうか

   寒満月からくり人形動き出す


   身に添ひし四温宿りの遍路杖

 褓干す新妻のゐて草城忌

   二ン月や白きワイシャツ裏かへす

  白梅のほころびて耳鼻咽喉科

   トライ決め孤高のラガー土に伏す

 点滴の数だけ春の雪降りぬ


  貝寄風や恋人岬の鐘が鳴る

畦青む風をゆるりと一輌車

   重たげな河馬の欠伸や春の泥

 伝説の底なし沼や山笑ふ