愛媛の活断層と防災を学ぶ会
1995年の阪神淡路大震災の後に結成された「愛媛の活断層と防災を学ぶ会」は、活断層をはじめとする地震とその防災についての学習をしながら、自治体への要望、提言をおこなっています。
  愛媛の活断層と防災を学ぶ会・講演会
題 名  活断層、地殻の異常構造と地震
講 師   趙 大鵬 氏 (愛媛大学 地球深部ダイナミックス研究センター教授)
と き  2004年1月12日(日) 午後1時半から4時まで
    13:30~15:00  講演会
    15:10~16:00  質疑応答
ところ  松山市総合福祉センター 5F 中会議室
 松山市若草町8-2  Tel 089-921-2111
参加費  1000円(資料代)
  2002年10月27日の講演会記録
  巨大災害に備える (次の南海地震と愛媛の災害)
  講師  岡村 眞 氏 (高知大学理学部教授/地震地質学)

総会の記事
  南海日日新聞10月2日掲載より

 今年度の活動方針として、防災・地震などを学に加え、原発防災を重要課題と位置づけて、防災力を高める町づくりを目指す-ことなどを決めた。
 同会は、阪神淡路地震を契機に、松山市内や県下の住民らが発足させたもので毎年、講演会を開いたり、自治体への防災体制強化の要請行動などに取り組んでいる。
 今回で第7回の総会を迎え、2001年度の活動報告では、昨年3月に発生した芸予地震の後、5月にアンケートを行い、回答者309人のうち、7割近くの人が地震対策をしていなかったことが分かった。
 これらの結果を受けて、同会では、県に対して「地震災害想定に伊方原発を含めること」耐震診断・補強に対して補助制度を設けること」などを要請。
 松山市に対しても、先の2項目に加え「町内会など行政区ごとの芸予地震の意識・被害調査を実施し、住民の防災力を高める啓発活動を積極的に行うこと」などの要請を行っている。
 また、9月県議会では、同会会員の阿部悦子県議が県地震被害想定調査報告を元に「連続した活断層の動きを想定していない」「伊方原発の被害を停電程度にとどめている。きちんと伊方沖海底活断層調査を行って被害を想定すべきではないか」と質問。
 県は「経済産業省の伊予灘蛙海底調査の結果を待っている」と答弁があった-など取り組み結果を報告している。  
 今年度活動方針では「全国の原発で事故、トラブル隠しの不正行為が明るみになった。伊方原発においてもタービン架台にコンクリート劣化による無数の亀裂が生じていることが発覚した。直下に活断層を抱える原発だけに、震災被害への不安がつのる」として「今後は、原発防災を重要な課題に位置づけ、総合的な防災力を高める町づくりを目指し、関係諸団体と連携を計りながら市民運動を進めたい」「市民向けの分かりやすい学習会を企画する」などに取り組むことを確認した。

  南海地震の津波   宇和海沿岸6~10㍍にも
    岡村高知大教授が対策強調 

 
自分の身は自分で守る考えでないと地震災害には対処できないー27日、松山市の総合福祉センターで南海地震に備えるための講演会が開かれ、これから発生が予想されている南海地震の発生メカニズムや被害予想などが話され、事前の予防対策の必要性が強調された。
 特に、地盤の弱い松山市の市街地の揺れが大きいことや、高知沖の断層が九州寄りまで動くと、豊後水道沿いの海岸地域の津波被害がきわめて大きくなる可能性があることも指摘された。
  伊方原発ひび割れなぜ追求しないの
 また、懇談会では、伊方原発のタービン架台のひび割れも話題となり、県のひび割れ図面資料を見た参加者らは「これが自分の家なら絶対に住む気にならない。なぜ県や、報道機関は大きな問題として追求しないのか」と驚いていた。
 講師は、国土交通省防災アドバイザーも務める、岡村眞高知大学理学部教授(防災科学講座・理学博士)岡村講師は、阪神地震の被害例や救援体制などについて紹介し「地震被害の大半の人は自宅で被害にあっており、それも寝室や居間が多かった。従って、家屋の補強と、家屋内の家具などを止めることなどの対策が一番身を守る上で重要。
  公的手段の救助あてにならない
 神戸市では2万人が家屋の下敷きになった。72時間以内に、誰に助けられたかで見ると、自衛隊165人、消防署員が733人消防団が819人だった。全部合わせても2000人に足りない。残り18,000人は、家族と近所の人が助けている。
 大災害の時は、署員や消防団員も被害者になっている。地域の住民ネットワークか家族しか役に立たない。公的手段はあてにならないと考えた方が良い」と地震災害には自衛手段が最大の安全確保と救援方法となることを指摘。
  阪神地震の50倍のエネルギーに
 地震規模では「次に予測される南海地震は、マグニチュード8.4から8.5と推定され、阪神地震のエネルギーの約50倍にもなる。30年以内に40%、10年以内でも10%の確率で発生が予測されている。
 トルコのイズイツト地震では、30年以内の確率が12%とされていたのが、予測後3年で発生した。確率予測だけでは判断できず決して軽視できない。
 また、震源域の断層活動が西に伸びると、豊後水道沿岸の津波は現在の平均4㍍、高い所で6㍍という予測より大きくなる。1707年の宝永地震規模だと10㍍になる。
 北海道の奥尻地震では、6㍍の波高で、高さ22㍍まで津波が駆け上がっている。さらに地盤沈下により水没地域も広がる」など津波の恐ろしさと、早い避難の必要性を強調した。 
  中央構造線系断層も動く可能性ある
 また、防災対策を行政の縦割り、縄張りの中でやると、不合理で無駄な投資が予測され、既に実例も出ていると指摘して、知事直属の組織による体制での取り組みが重要と述べ「高知県は近くそうした組織を編成するだろう」と説明。大地震に備えた体制がほとんど作られていない、本県の遅れが蛙浮き彫りともなった。
 参加者からは、昨年の芸予地震との関連、四国中央部にある、黒瀬川・仏像構造線の活動性、活断層の中央構造線と南海地震との連動の可能性などについて質問がだされた。
 岡村教授は、芸予地震はフィリピンプレートの先端部で起きたものだが、規模は小さい。仏像線などは中央構造線系に比べると活動性ははるかに低い。南海地震が起きたら中央構造線系断層も動く可能性はある。1605年の慶長地震では徳島と別府で動いたーなど答えた。
      南海日日新聞  2002年10月29日掲載より

 2004年1月17日は、阪神淡路大震災から9年目になります。震災の教訓を風化させてはならないと思います。東海地震・東南海地震に対して太平洋沿岸の自治体は真剣に対策を取り始めました。やがてくる南海地震や、いつ発生してもおかしくないといわれている中央構造線活断層による大地震に、私たちはどう対処すべきなのでしょうか。地域の防災力を高め、災害に強いまちづくりについて考えたいと思います。
  極寒の時期で恐縮ですが、どうぞご参加くださいますようご案内いたします。

 講師プロフィール
 趙 大鵬 (ちょう たいほう)
 1984.8 北京大学 理学部地質学科、学士学位取得
 1991.3 東北大学大学院地球物理学専攻博士課程後期終了、博士学位取得
 1991.4~1998.1までアラスカ大学を経てカルフォルニア工科大学
 1998.2 愛媛大学・理学部・生物地球圏科学科 助教授
 2001.4 愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センター 助教授
 2003.1 愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センター 教授
[所属学会]
 日本地震学会、アメリカ地震学会、アメリカ地球物理連合
[専門分野]
 地震学・地球内部構造学
[研究テーマ]
 地震はトモグラフィー,地球内部構造とダイナミクス,地殻応力場,
 地震の物理,沈み込み帯の構造とダイナミクス
 
講演 テーマ
  ・・・さしせまった巨大地震を乗り切るために、地震を化学的に知る・・・