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山頭火をもてあそばないで  河野 啓一 H16・04・20 15号
 「酒につまづき女によろめき淋しい嘆きの句が多い」などと山頭火を誰よりも愛Lていたような人たちが書いている。さらに「家庭を捨てて」などと付け加えられる。拙著「周到なる放浪 山頭火」でそれらの見方を批判した。
 さらに問題なのは、勝手に句を並べて山頭火を註解することだ。例えば


   ・どうしようもない私が歩いている

   ・風の中おのれを責めつつあるく

   ・捨て切れない荷物の重さ前うしろ


という句がある。これらの句を「女と酒と嘆きの句だ」という人がいる。ー句と三句目は昭和5年の作。二句目は昭和14年の作。どれが泥酔でどれが女たらしで嘆きなのか、と言いたい。長門市は仙崎・円究寺に一句目の「どうしよもない・・・の句碑がある。建立された上野隆雄住職は「念仏の道にも通じる」とこの句を選んだという。


山頭火没後六十年、放浪・漂泊の真相に迫る!生かされた人生と句作 『周到なる放浪 山頭火』 河野啓一(松山山頭火の会会員)  \1050(\1000) B6版/176ページ