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第6週「おらのじっちゃん、大暴れ」第31回〜第36回 演出:吉田照幸

あまちゃん(再放送)第31回 2015H27/5/11(月)

この回は吉田照幸カラー全開!「バカみたいな感じ」で超おもしろい!月曜からぶっ飛ばすぞ!暗い気分なんかぶっ飛ばせ!朝から抱腹絶倒!こりゃおもしろい!まさにニッポンの朝が変わったよね!

死んだと思っていた祖父の忠兵衛が目の前でウニ丼を食っている。ショックで「じぇ」しか言えなくなったアキ。「じぇ」だけでユイちゃんと会話…てか会話にはなってない笑。アキのセリフはテロップ表示。あははは。朝からバカみたいな感じ最高!
忠兵衛は駅で降りていく。それを見送るアキが、大股開きだ。ワラタ。

忠兵衛の後をつけるアキ。第一回でも示されたけど、天野家は沿岸だけど相当な高台にある。津波に対して無事だったことの暗示。

そして忠兵衛が天野家に戻ってキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!。もうここからは完全に“落語”だ。流れるように進む噺家の話運びやテンポと同 じだ。内容のバカバカしさも、よく出来た展開も落語だ。あまちゃんって落語なんだよ。だから細かいことには目くじら立てるな笑。

あ、あと、当たり前だけど“小劇場”の雰囲気もタップリ感じられるね。ほぼ1つのセットだけで話しが進んでしまうもんね。クドカンは小劇場の人でもあるからね。ドラマ制作の省力化にも向いているよね笑。

帰ってきた忠兵衛が、アキを春子と勘違いするテキトーさ笑。そして忠兵衛に顔を触れまくって引きつる春子。蟹江さん巧いよ!そしてキョンキョンさんもよくやった笑。

忠兵衛が帰ってきた事を聞きつけて、いつものメンツが天野家に集結。大吉の「(忠兵衛が)生きてるってのはおれの思い込みで、死んだのかなぁ…って」←これって完全に噺家の語り口調やん笑。

忠兵衛の慰労会として天野家に集まった大勢の人達は囲炉裏を囲む。北三陸編のほぼフルメンバー集結状態だ。来てないのは吉田くんや観光協会やユイ以外の足立家くらいか。忠兵衛の人望や人柄をこれで語らせる。

そして普通こーいう時は、どんな大人数でも囲炉裏のカメラから見て手前側には、わざとらしいくらいキャストは座らないものだ。カメラに後頭部が写って邪魔だからだ。こーいうテレビの「ちゃぶ台座り」のお約束って、素人の視聴者も普通に知ってて「またか」ってウンザリする。
しかし、あまちゃんは違うぞ。囲炉裏の手前にもキャストがドカドカ座る。うん、自然だ。絶対にこっちの方が自然。そして今という時代は、こーゆう細かい事 も視聴者はシッカリ感じ取っているのだよ。視聴者も「こなれている」からねぇ笑。だからそーいう細かい事の積み重ねがあまちゃんの質を高めているのだの よ。素晴らしい!

春子の離婚問題も「焼酎の薄め、濃いめの間で」サラリと流す爆。普通はこのネタだけで枝葉を広げる事が出来るし、長い連ドラの時間稼ぎも出来る。離婚という葛藤を掘り下げるのは常套だ。が、クドカンはそんな事はしない。クドカンは下らない葛藤はしないのだ。



アキとユイは春子によって二階の若春子部屋に待避されられる。松田聖子ちゃんのポスターが貼られたドアは“夏ばっぱの扉”…いや“夏の扉”だ笑。
ユイは若春子部屋の80年代グッズにたちまち夢中になる。東京志向、アイドル志向のユイにとっては当然の事だけど、これは若春子部屋に「意味を持たせる」行為でもある。東京編では鈴鹿ひろ美がこの若春子部屋に夢中になるからだ。この部屋は女子の交差点である。

小ネタとしてはユイが手に取った雑誌の表紙のアイドルを「誰?」と吐いた、架空の雑誌「POMB(ボム)」にワラタ。細かい凝った小道具に感動。POMBの表紙の写真は「つちやかおり」さんとのこと。POMBの元ネタは、もちろん「BOMB」という雑誌。



階下では春子だけが、忠兵衛が生きていた事に対していつまでも抵抗するが、それは物語の展開の抵抗役でもある。あまりツラツラと話しが流れてしまわないよう、このシークエンスでは、春子は最後まで抵抗してみせる。

そして春子の抵抗の、もう一つのとても大切な役割は、かつ枝に「生きてるだけで儲けだべぇ」と言わせるためである。(生きてるだけで丸儲け=IMALUかっ笑)

酔っ払って春子は忠兵衛が生きていた事に対してクドクドと未だ抵抗する。最後にかつ枝の元夫の
組合長が春子に「良かったべ、生きてて」
春子「んぁ?」
組合長「それともスンでた方が良かったか?」
春子「…生きていた方が良かったに決まってるじゃん…」
かつ枝「生きてる事にワケなんてねぇべぇ。生きてるだけで儲けだべぇ」

当時も、今もだが、東北の視聴者にはこの一言は違う意味を持つよね。ちょっとグッと来るよね。しかも、かつ枝は直接的な死人の出なかった、あまちゃんの世界で唯一、過去に海の事故の息子を亡くしているからねぇ。

とプチ感動させておきながら、肝心の忠兵衛は夏ばっぱと抜け出して外に行ってしまい居ない。しかもYK(死語)のアキが乱入して「今夜、ユイちゃんと寝てもいい?」と良い感じだった展開に水を差しグダグダにしてしまう。これぞクドカン節!最高!

忠兵衛と夏ばっぱは灯台まで散歩。やはりこの灯台は春子やユイを東京まで“導かなかった”ね。この灯台は自分の位置を示す“帰着点”なのである。だから忠兵衛はここに帰着したのだ。(↑第23回を参照汁っ!)

忠兵衛はまたここから出て行くが、春子やユイと違って、また北三陸に戻ってくる予定での出発である。

ああ!今日も月曜から超おもすろかった!明日も楽しみ!

てか主人公とされるアキが活躍しなかったね笑。やはりアキは座敷わらしだね笑。


あまちゃん(再放送)第32回 2015H27/5/12(火)

ユイちゃんもお泊まりしたし、大量のウニ丼も作らなくてはならない。皆が天野家に集まる。大人数の朝食シーン。普通なら演者を座ら せない、カメラから見て、ちゃぶ台の手前にも、ちゃんと花巻一家が座る。うん!自然で(・∀・)イイ!。「消え物」もちゃんと作ってて、美味しそうだぞ。 ユイちゃんは朝は低血圧(byヒロシ)という設定通り、最初はボーッとしていたぞ笑。

喫茶・リアス。忠兵衛と夏ばっぱのなれそめが披露される。そして忠兵衛は1年のうち10日間しか陸(おか)にいないので、いつまでも新婚気分だと明かされる。アキは春子が離婚したい理由もそれではないか?と感じる。

春子と正宗の携帯電話での会話。当時はガラケーが主流であった。アキの誕生日に向けて、北三陸に行きたい正宗と、それを冷たくあしらう春子。絶妙なカットバックが繰り返されるが、最後の最後「紙の上でしかもう夫婦じゃないのよ!」と正宗に言い放ち、それを聞いて泣く正宗。
春子は向かって左を向いているカット。正宗も向かって左を向いているカット。意図的にイマジナリーラインを壊して、この二人の関係も壊れかけている事を示している。うん。安定の演出。

安定の演出は次のシーンでも続く。天野家脇の作業小屋でのアキと忠兵衛の会話。
忠兵衛「なるほどなぁ。春子も気が強ぇからな」と前のシーンも同時に受けたセリフに笑う。
アキが「そんな絶好のタイミングで、大吉さんからメールが来たんです。夏ばっぱが倒れた…って」
驚いた忠兵衛「いつだ!?」
アキ「いや、ウソだったんですけど…」
その時、忠兵衛はズッと釣り竿を磨いている。そうまさにこれは大吉の“釣り”の話だもんね爆。

アキは画面の向かって右側の上手(かみて)で立ったまま説明している。忠兵衛は左側の下手(しもて)で座って話しを聞く。うん。安定の演出
続いて忠兵衛が語る番。演者の立ち位置が変わる。今度は忠兵衛が画面の上手(かみて)に立つ。そして今度はアキが下手(しもて)で座って話しを聞く。うん。安定の演出。

またこのシーンで大事な事を語るときの上手(かみて)の演者は、作業小屋の窓ガラス越しに映される。ユイとアキはインターネットのパソコンの画面で発見されて人気が出た。窓ガラスは「画面」の象徴やな笑。

あまちゃんは“潜る物語”である。そして“画面を通して発見する物語”だもんね。

また「画面を注視せよ」「朝ドラを見よ」「NHKを見よ」「受信料を払え」と言う事のメタファーである。←ウソwww。

忠兵衛の印象深いセリフ。「北三陸が一番だという事を夏さんに教えるために外洋に出てるだ」いいね!忠兵衛が飲んでいるビールはスーパードライ風の「旬生」である。いいね!



北三陸駅で大吉に放課後、観光協会に来てくれと言われるアキとユイ。
北三陸高校の潜水実習に乱入する忠兵衛。まさに「おらのじっちゃん、大暴れ」だ笑。

そして観光協会。薄いサングラスの「岩手こっちゃこいテレビ」のディレクター・池田キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!。ちなみに池田はこの後「ヌメッとしたディレクター」とも形容される笑。
夏ばっぱのナレで「イヤな予感がします」とあるが、その後、別にそんなにたいしてイヤな事は起きなかったよ笑。クドカンの世界では死人も悪人もイヤな事も起こらないのだ。そうこれは押井守の大傑作映画「ビューティフル・ドリーマー」の世界なのである。これは後述する。

にしてもNHKの朝の連ドラなのに「ネットから発信されて人気になったアキとユイをテレビが後追いする」という、テレビ関係者にとって屈辱が描かれる。
しかしクドカンは大したもんである。「ネットから発信されて人気になったアキとユイをテレビが“権威付け”する」ともとれる描き方もしている。現に、胡散 臭い薄いサングラスの池田を、北三陸の大人達は薄ら笑いで迎えている。少なくも大人達の世代にとってはテレビはまだ“権威”なのだ。テレビの影響力は絶大 で、町おこしに利用できると思っているのだ。
そして次の回ではユイもテレビを利用しようとする。まぁいわば今のテレビにとっては「自虐ネタ」なのだが、それをサラリとやってしまった、あまちゃんは、大したもんである。


あまちゃん(再放送)第33回 2015H27/5/13(水)

昨日に続いて薄いサングラスの「岩手こっちゃこいテレビ」のディレクター・池田。自局の番組「5時だべ!わんこチャンネル」への出演をユイとアキに依頼。当たり前の様に上から目線なのが笑う。

ユイは池田に「スタイリストは付くのか?メイクは?VTRの事前チェックはできるのか?」と矢継ぎ早に質問。ユイの方が上から目線になって、その場の空気感が変わる笑。
にしても、あまちゃんはテレビドラマなのに、地方テレビのディレクターをおちょくったような描写にワラタ。まぁこーいう絵に描いたようなディレクター像ってデフォルトになってからだいぶ時間が経つので、池田は単なる「記号」である…とも言えるな。

ユイはやる気があるのに、なんやかんや理由をつけてなかなか決断しない。面倒くさい女だ。まさに「めんどくさいユイちゃん」(byアキ)である笑。

梨明日の店内。大人達が並んで春子にアキの番組出演を許可してくれるよう説得。この辺りの一連の説明調の部分はまぁどーでもいい。今後のストーリー展開のための呼び水みたいなモン。

にしても、その時の春子のやりたい放題と、ドSぶりは最高に笑える。こんなスナックに行ってみたい!ドS春子に嬲られて一杯、飲みたい!と朝から思ったお父さん達も多かったと思われる爆。もちろんママがキョン2さんなら…の話しだけどね。
あ、“ずぶん”的にはチーママ春子ではなく、美寿々さんが入っている時に超絶行きたい!けどね!

観光協会の菅原が、また片膝ついて恭順のポーズを春子に対してするが、前にこれは菅原(吹越満さん)が「サムライ・フィクション」で主役を張ったので、武 士風の頭の下げ方になったのだろうか笑?…と書いたけど、もしかすると、本放送の時、同時期に放送していたTBSのドラマ「半沢直樹」でプチブームとなっ た“土下座”風にしたのかもしれぬ笑。



れ はともかく、メディア露出に対して過剰な心配をする春子に対して、ヒロシが「自分がマネージャーになる」と言うが、春子に却下される。その理由がヒロシが ユイの兄だし、アキの事が好きだから…なんだけど、それは表向きの理由。春子は成り行きで、ヒロシに、そしてその場の皆に、なんと…

「るいがとひなきす」を発動!

…悪い女である。そしてヒロシは絶望の淵に落とされる。あまちゃんは“潜る物語”だからね笑。
そしてここからラストまでの数分間が演出の見せ場である。脚本ではどーいうニュアンスかわからないが(←脚本、出版されているから買えよ笑)、この数分は明らかに統一した演出意図で描かれる。

G線上のアリア風に聞こえた大友良英さんの「アキのテーマ」曲が静かに被さる。落ち込むヒロシ。
片や潜水実習授業で種市先輩と“初めての共同作業”(byいっそん)を行い、楽しそうなアキ。
なぜか学校に侵入(笑)して潜水プールで、アキを見つめるヒロシ笑。潜水プールの窓に「るいがとひなきす」と指で書く。

ラストまでのこの数分は“ヒロシタイム”だ。時折、発動する「クレヨンしんちゃん」のヒロシタイム並に感動するぞ笑。この演出は超良かった。最後まで「アキのテーマ」を流して、もう全体に切ない時間に仕上げた。

何より良かったのはヒロシの惨めさを描く事で、視聴者は絶対的にヒロシファンになったのだ。誰もが一発でヒロシが大好きなった。第25回で、安部ちゃんを一発で大好きになったように…。

クドカン、そしてあまちゃんの演出陣…巧すぎるやろ…。登場人物をいぢって、ひどく惨めさを見せる。そして同情のフレーバーで視聴者の共感を得る。ここまでは普通だ。
しかしクドカン、そしてあまちゃんの演出陣は違う!いぢり+惨めさよって、その登場人物を大好きにさせるのだ!もう視聴者は完全にヒロシに、安部ちゃんに感情移入している。ヒロシは、安部ちゃんは我々の仲間であり、友達であり、肉親であり、そして自分自身でもあるのだ。

これがあまちゃんの中毒性の一つなのだよ。肉親のドラマだから、見るのをやめられない。感情移入してしまう。たまらない!あまちゃん最高!(;´Д`)ハアハア(*´д`*)



あまちゃんは“潜る物語”である。そして“画面を通して発見する物語”である。

ヒロシは自分で撮影したアキのビデオのノンリニア編集中のPCの“画面”を通してアキへの気持ちを確認した。そしてアキのファン第一号になったのである。。
しかし、この時をもってヒロシは潜水プールの窓(画面)を通してアキを見る側の存在になった。その他のアキファンである大勢の内の一人に格下げになったのだ。

ではアキは“潜る”事でヒロシを寛解したか?今回はアキはヒロシを助けなかった。日本の神は災いも成す神だ。だから祈る。座敷わらしであるアキも同様だ。優しいだけの女神では決してない。いたずら好きな妖怪だ。
ただヒロシの背後に現れたユイは、少しは兄のヒロシに対して心を開くようになったけどね。

てか、あまちゃんを見ている我々の方がアキに寛解されるよね〜。

アキも潜水プールの窓(画面)を通してヒロシの格下げを確認してから、ゆっくりと人間界である水面に浮上してゆく。ここで大事なのは「種市先輩は一緒に浮上しない」事だ。種市もアキ様にとっては、実は重要な存在ではないのだ。


あまちゃん(再放送)第34回 2015H27/5/14(木)

昨日、アキの浮上についてナンヤカヤ偉そうに書いたけど、浮上したアキの叫びにはワラタ。
いっそん「何かっ!どうしたっ!」
アキ「ストーブ!」
いっそん「ストーブ?」
アキ「出ます(装備を脱ぎます)」
皆が急いでアキの潜水装備を脱がそうとする。
アキ「…もういいです」
いっそん「ストーブつけっぱなしはダメだ!」

そしてストーブさんのストーブのシーンに繋がる。ストーブさんはストーブでアキへのラブレターを焼いている。これがしたかったのか?にしてもヒロシは「間が悪い」笑!

しかしこのシーン。最初↓お漏らしプレイにも聞こえた。
いっそん「何かっ!どうしたっ!」
アキ「ションベン!」←と聞こえた。
いっそん「小便?」
アキ「出ます(装備を脱ぎます)」←洩れるって事www。
皆が急いでアキの潜水装備を脱がそうとする。
アキ「…もういいです」←漏らしてしまったって事www。
いっそん「スーツつけっぱなしはダメだ!」

↑がはは。

そして喫茶・リアスのシーン。アキは春子がヒロシに余計な事を言った事を咎める。
アキ「デリカシーがないンだからもう!」
春子「デリカすぃなんてスナックにはないの。あるのは“下世話”な会話と“下世話”な歌…あとタンバリン!」

リアスの隣の北三陸駅舎には種市が来ている。で一通り“下世話”なコントが展開。ワロタ。

種市先輩がコーヒーが苦手な事が判明。東京編では高い所が苦手だとも判明。完璧そうに見えるが、彼もまた普通なのだ。コーヒーすすめた春子に対して種市は「まめぶ」を要求する。これも伏線の一つ。東京編で、安部ちゃんのまめぶ屋台でアキと種市は再開するからね。

にしても斉藤由貴さんの「卒業」と言う曲は、聞いた事なかったけど、あまちゃんの中で何度も聞いて覚えたぞ笑。ちなみに斉藤由貴さんは、クドカンの書いたTBS系列の昼ドラ「吾輩は主婦である」(2006年)に主演してます。すげーおもしろいよ!オススメ。

駅舎の中の自習コーナーで、種市に勉強を教えてもらうアキ。しかし種市の視線はユイを追っている。わかりやすいレンアイ・フラグ立っタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

天野家では忠兵衛と夏ばっぱが早くも倦怠期。夏ばっぱは忠兵衛をダイコンで殴る。二人ともダイコン役者じゃないのにねぇ笑。何かのインタビューで夏ばっぱ役の宮本信子さんは「画面の丁度良い位置にダイコンを落とす事が出来て良かった」と語っていた。
小道具の大吟醸「海鳴」はいつも出て来るので要チェック!

スナック・梨明日ではいつものメンツが揃う。そこに足立功(ヒロシとユイの父)が登場。功はヒロシの無断欠勤について菅原に謝る。そして土下座をするよう なポーズをして、携帯のストラップを探す。これって前も書いたけど、あまちゃん本放送時にやっていたTBSのドラマ「半沢直樹」をパロったんやね。「半沢 直樹」ではよく土下座シーンが出ていたからねぇ。

春子が人払いをして元担任の足立功(ヒロシとユイの父)と対峙。静かなる目撃者の勉さんまで退去させられる。
春子は画面向かって右側の上手(かみて)に、功は下手(しもて)。しかも春子の目線の方が高い。この位置関係はこのシーンを通して変わらなかった。一昨日の32回では、アキと忠兵衛の位置は入れ替わったのに対して、このシーンでは入れ替わりはない。
つまり春子は功に、アキのテレビ出演について相談する…と言いながら、実はもう結論は出ているのである。春子はアキ達のテレビ出演を追認するつもりなのである。実際、功も昔話し程度しかしていない。

春子がユイの事を「自分は特別な存在だと思っている」というセリフは効いたねぇ。
ユイや春子は自分を特別な存在だと思っていた。ヒロシやアキはそう思っていない。
ユイや春子は東京にしか価値がないと思っている。ヒロシやアキはそう思っていない。
田舎が持つ値打ちという「青い鳥」に気付かない(気付かなかった)ユイや春子。「青い鳥」に気付いているヒロシやアキの対比である。

にしてもこの時のヤンキー若春子を演じた有村架純さんはすごくいいね。僅かなシーンだけど強く印象に残った。

海女小屋では、海女クラブのメンバー達と組合長と宴会をしている忠兵衛。白ババアこと花巻の視線だけで夏ばっぱが来た事を表現。夏の悪口を言うが、やはり夏が恋しい忠兵衛。

天野家の若春子の隠し部屋のアキとユイ。カメラは天井からの超俯瞰撮影。つまり若春子の隠し部屋に“潜っている”状態を表している。あまちゃんは“潜る物語”だからね。そして、この部屋では座敷わらしのアキが触媒となって何かが起こるのだ。
ユイはアキに対して、訛ってみせる。それに反応したアキはユイとテレビに出る事を快諾。いや、ホントは触媒のアキが、ユイに本音を言わせ、ユイを訛らせたのかもしれないね。

最後はブリ大根とブリの照り焼きが登場。つまり、ブリ1匹で二度、美味しいのだ。つまり、あまちゃん世界では「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく「一ブリを追う者は二ブリをも得る」のだ。つまり「海女もアイドルも、両方ゲッチュウ」するのが、あまちゃんなのだ。


あまちゃん(再放送)第35回 2015H27/5/15(金)

観光協会で薄いサングラスのディレクター池田から趣旨説明を受けるアキやユイ、そして両親など関係者。池田は上手(かみて)に居るものの、上手効果ゼロ笑。春子の抵抗はお約束のお笑いタイムを形成。

春子の「危ない輩(やから)の、黒塗りのワンボックスカー」民法で自動車会社がスポンサーについてれば言えないセリフですなぁ。

春子はユイを心配するが、ユイは「ご心配ねぐ。おらも田舎を利用してっから。こう見えておら、自分の事、わかってっから、暖かく見守ってけろじゃ」と一気 に流れを変えてしまう。にしてもユイの無表情演技が(・∀・)イイ!。ユイはこの無表情を何度が繰り出すけど、すごい効果的だ。まぁ心情的にはバカな大人 達に呆れているんだろうね笑。

訛ったユイを見て菅原は「なんだろう。なんかすごく新鮮」と言い、大吉は「ただ訛っているだなのに癒やされるなぁ」と言う。ワロタ。逆に言うとアキは“ただ訛っているだけ”だもんね。訛り以外に持ち味はない。この時点ではアキの劇中の扱いはこの程度なのだ。
またあまちゃんというドラマは、朝ドラの例に漏れず“訛り”を売りにしてる。訛りが売りである事を、自分自身で語ってしまうという、それを言っちゃうおしまいヨ的なノリもクドカンらしくて(・∀・)イイ!

さて春子のこの場での役割はお笑いや反対のための反対ではなく、アキとユイ活動の期限を決める事だった。アキとユイ活動は高二の間だけ、来年の3月まで、と言う事になった。



ディレクターの池田自身がカメラを回す。放送局用とはいえ、今時の小型ハイビジョンカメラ。化粧をしてアピールする美寿々さんが可愛い。
そして番組「5時だべ!わんこチャンネル」キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!。福田萌さんが自分自身役で出ている。架空の世界に実在の人物が実在する役として出ている。クドカンと演出による意図的な現実と虚構の混濁が始まったのだ。

にしても「5時だべ!わんこチャンネル」のOP画面一発で「また何か面白い事が始まったぞ!さすがあまちゃん。ワクワクするぅ!」と期待感と多幸感で一杯になる。

ここから架空のテレビ番組とそれを見ている架空の北三陸の人達、架空のテレビディレクターが取材する架空の北三陸、架空のテレビ番組に生出演する架空のア キとユイと、それが架空の臨時ニュースで中断されるというシーンが続く。当然、これらはあまちゃんという架空のドラマの中の架空のテレビ番組だ。

虚構と虚構が入り交じる展開。“テレビリテラシー”のある世代にとってはナンの抵抗もなく受け入れられるし、超おもしろがる事が出来る。しかし、この展開 が理解できない世代もいるのは確実だろう。あまちゃんはそれらを切り捨てた。あははは。「何かを得ようとするなら、何かを失うそれなりの代価を払わなけれ ばならない」ハガレンなんだね。

さて劇中の臨時ニュースと言うのが、どうやら「リーマン・ショック」関係のニュースらしい。リーマン・ショック自体は現実だ。東日本大震災も現実だ。こー いう架空と現実をシャッフルしてみせたり、虚構と虚構が、虚構と現実が入り交じる世界は押井守が描いてきた世界である事をここに記しておこう。

またテレビ出演に際して、吉田副駅長の異様な緊張ぶりは、紅白の時にも再現されていたね。にしても一流の役者さん達が、テレビに出る緊張を演じる姿が面白 い!てかテレビに出るってそんなに緊張する事か?笑。こーいうステレオタイプな描き方を、ステレオタイプな物として逆に楽しむ演出がまた面白い。そしてそ れを面白がれるスタッフと、面白がれる視聴者のコラボが、あまちゃんなのだ。

テレビがネットを後追いしている事、入れ子構造、あまちゃん内部の架空の番組当については前出の記事を参照してください。



さて、テレビの宣伝効果でお客が殺到するか?と思ったけど、当面はしなかった。ヒビキがそれを分析。食いつくのも離れるのも早いネット民と、ロングテールなテレビの対比である。

そう、テレビはもうビビッドなメディアではないのだ。ロングテール化しているのである。こんな事、テレビで言っていいのか?…って事が毎回毎回、起こるのが、あまちゃんのすごさでもある笑。

クドカンはテレビの人であるし、テレビに華を持たせた。劇中ではテレビの影響力は低下しているのか?と思わせたけど、最後にはテレビの影響でお客が殺到した…という展開となった。

最後に、アキの誕生日を祝うために父親の正宗登場。何か起こりそう!そして竹筒で飲む日本酒、美味そう!


あまちゃん(再放送)第36回 2015H27/5/16(土)

さぁ!怒濤の週末です。今日も盛り沢山。昨日に続いて天野家にシレッといる正宗。

続いて種市からアキに渡される紙袋の小さなプレゼント。白い紙袋に青い水玉模様。明らかにカルピスを連想させる笑。能年さんはカルピスのCMに出てました なぁ。カルピスのキャッチフレーズは“初恋の味”。まーそーいう事ですな。と言う事はこれは「カルピス・ステマか?」笑。
あまちゃんって東南アジア方面にも輸出したらしいけど、あまちゃんは、こーいう背景がわかっているとなお面白い、典型的な“ガラパゴス・コンテンツ”だ。東南アジアの方々に受けるのかなぁ?余計なお世話だが…笑。

いい雰囲気になっていたものの、いっそんが乱入して「をい!昨日の“5時わん”録画した?録画した?おれ、チャンネル間違って相撲、録っちゃったぁ」「5 時だべ!わんこチャンネル」を「ごじわん」というセンスにワラタ。そしてチャンネル間違って相撲録画って、5時台の相撲中継と言えばNHKじゃん笑。

アキは種市からもらったプレゼントを確認するとミサンガだと知る。漁協で死んだ目をしたおばちゃん達が作っているミサンガである笑。
アキは種市にお礼を電話をしたいが、番号を知らない。ユイに相談の電話するアキ。ガキか。女子力の高いユイに、シレッとコイバナについて電話してまうアキの無垢…いやアホさ加減にワラタ。

その夜、アキの見た悪夢も最高。実習ブールサイドでアキと種市はミサンガを互いの腕に結ぶ。BGMは当然、YMOの「君に、胸キュン。」だ。この夢は第 27回の悪夢と対を成する仕組みだ。今回はアキが種市だと思って結んだミサンガの腕が、いっそんになっているというバカバカしさ。最高!にしてもいっそん の腕、太っ!あと、いっそんは痩せれば宅麻伸さんにクリソツだと思った笑。

にしてもいっそん。どー見ても「温泉マーク」である。そう「うる星やつら」に出て来る教師である。そして「うる星やつら」と言えば、押井守の「ビューティフル・ドリーマー」である。あまちゃんはビューティフル・ドリーマーなのだ。これについては後述する。←引っ張るなぁ!

種市がいっそんに替わっていた悪夢に飛び起きるとアキの横には正宗が一緒に寝ている。何もかもが脱力領域。笑うしかない面白さである。アキもアキで正宗と中学まで一緒に寝ていたと告白する。ガキか笑。
忠兵衛は「正宗くん!見苦しいべ!」と叱責するが、後に忠兵衛が娘(春子)に対して見苦しい事態を引き起こす笑。

作業小屋では漁協のおばちゃん達が違ったミサンガの使い方をしていた。ワロタ。その時、ユイはアキに種市と連絡がつかないと知らせる。もちろんウソである。ユイとはそーいう女なのだ。



夜、スナック・梨明日では、ドッキリでアキの誕生会が盛大に開かれる。ユイはアキに黙って種市を連れてきていた。それに対して嫉妬全開のストーブ。ユイは 悪い妹であるwww。ストーブはビールをあおって飲む。ビール会社がスポンサーについた時の民法では描けない酒の飲み方であるな笑。

アキと種市はスナックの外で二人で話す。この辺りからアキのサルエル風パンツ姿が定番になってくる。能年さんがまたそれが似合うのだ。さて、アキは大吉のうるさいカラオケ「ゴースト・パスターズ」が炸裂する中、種市とのデートの約束をどうにか取り付ける。

梨明日の店内では忠兵衛が春子にカラオケを歌うよう迫る。春子は固辞するが、正宗がカラオケに「潮騒のメモリー」を入れる。春子の表情が変わる。何かあるな…とすぐにわかる。
そして忠兵衛が遂に爆弾を落とす。春子がアイドルになると言って家出した事をしゃべってしまうのだ。アキやユイらにとっては意外な初耳。しかし古参の連中にとっては、触れてはいけない、春子の“腫れ物”だったのだ。

まぁ逆に言うと、今までアキ達の耳に入ってなかったのが不自然ちゃ不自然なんだけどね笑。それは忠兵衛の生存隠蔽と同じで、下世話な連中の割りには、細やか配慮なのだろう。そして、その細やかさこそが、田舎の暑苦しさなのだ。

今日はとても15分とは思えない圧縮ぶりだった。普通のドラマなら3,4話引っ張れそう笑。そり代わり含蓄的な感じは薄かった。そして来週に繋げる忠兵衛の爆弾が炸裂した。

土曜日は来週の予告が流れるが、いよいよ「ミズタク」登場キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!だ!楽しみ!来週もサービスぅ!サービスぅ!