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第1週「おら、この海が好きだ!」第1回〜第6回 演出:井上剛

あまちゃん(再放送)第1回 2015H27/4/6(月)

2013年の本放送の時は、東京編の直前から本格的に見始めてドはまり状態に。後にも先にも人生初の朝ドラ積極視聴体験だった。早起きして「本あま(8時15分〜NHK総合)」を“貪るような接吻(出典128話)”…いや“貪るように視聴”。
「はまったのはエヴァンゲリオン以来。魂を抜かれたのはビューティフル・ドリーマー以来」状態に(←ビューティフル・ライフじゃないよ)。ちなみに「半沢直樹」もあまちゃん同時期のドラマでしたが…アッと言う間に陳腐化したような…笑。

あまちゃん視聴期間中は「あまハイ」状態で脳内麻薬ドーパミンがドバドバ出て、多幸感で一杯の「あまハイ」状態www。そして朝からのコーフンが収まる前 に「昼あま」の時間が到来。仕事柄、昼あまもライブで見られる幸せ…。そして夜は夜で「あさイチ」の“受け”とセットで録画した本あまを何度も見直して、 連日・終日あま廃人状態になってますた。放送の無い日曜日が苦痛だった事…。そして「あまロス」の日々…。

DVDは通して3回、総集編(3時間版と2013年末10時間一挙放送の両方)も見まくった後の、本日からのBS再放送再見開始。

第1話放送時から、80年代アイドルの資料映像や、鉄拳のアニメや、北三陸のお馴染みメンバーたちがてんこもり。「第1話だから先ずはドラマ概要の説明」…なんてぬるい事はしない!「掴みはOKっ!」的なノリノリの展開が(・∀・)イイ!

大友さんの音楽はなんか泥臭くで最初は馴染めなかったけど、今はすごく良いと感じているし、いちいち細かく計算されてる事に気付いた。今手ではドラマと完全表裏一体状態に。
そしてクドカンの脚本ばかり注目されるけど演出も(・∀・)イイ!。第1話の演出は井上剛チーフディレクター。そしてこれから序々に演出の妙が発揮される。

北三陸駅前のビルに掲げてあった「SONY」の看板。Yが壊れて無くなってSONだけ残っていてたが、DVD・BR版では看板そのものが無くなっている。 CG処理されたのか?今回の再放送でも無くなっていた。まぁしゃーないか。と言う事は「聖子ちゃん」問題や、「ヴァン・ヘイレンのジャンプ」問題も修正さ たれもので、今回の再放送は本放送版ではない…と言う事かぁ。残念。にしても「SON」の看板は寂寥感かあったよなぁ〜。



■天野アキ論(天野アキとは何者か?笑)

にしても相変わらず初回から天野アキが薄気味悪い。ルックスの可愛らしさと透明感にみんな幻惑されているけど、非常に薄気味悪い女だ笑。どうしても実際に 存在してるニンゲンに見えない。ハッキリ言うと“座敷わらし”そのもの。山岸凉子の「日出処の天子」で僧侶・日羅が厩戸皇子を指さして「そこにいる童は人 にあらず!」と喝破したのと同じですよ笑。吉田副駅長は山岸版の日羅に容貌が似てるし爆。

第1話、春子とアキが到着した北三陸駅で既にアキは「キツネ様」と遭遇してる(脚本ではイタチだけど笑)。巷間、よく言われているのは、これから後の展開 となるけど「天野アキが何度か海に落ちた事が、天野アキの変化の契機だった」(町山さんのキルケゴール説など)と言われている。しかし、自分的には第1話 このおキツネ様との遭遇が契機で全てだと思う。

て言うかもっと言うと「キツネ様との遭遇、または夏ばっぱとの遭遇で天野アキが東北に見出された」…のではなくて、もともと天野アキ=キツネ…つまり天野アキは精霊的なもの「座敷わらし」だと暗喩されている気がする。
どうしてアキが選ばれたとか、なぜ霊的な物になったかは一切、説明しない笑。て言うか、押井守的に言えば、もかしたら最初から天野アキなんか居なかったのもしれない。ガタガタ(((;゜Д゜))ブルブル。なんと言うか…とても“落語的”なんですよ。

天野アキは東京時代、母の春子によって言葉で「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないバッとしない娘」と散々説明されるものの実際、どんな風に地味 で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もなかったのはか?ほぼまったく映像や回顧シーンでは描かれない。世田谷の自宅マンションで春子と父の正宗と一 緒の時に、春子が下処理するモヤシが床に落ちた音が聞こえるくらい、アキは大人しかったというシーンとか、東京の学校の教室でクラスメイトからシカトされ ているようなイメージ的な映像とか、東京編に移った時、アキが、かつての同級生達に見つかって少々いぢられる程度。

アキが明るく変化したのを効果的に描くためには、かつての暗いアキを徹底的に描くのが定石中の定石。しかしクドカンはそんな事は一切しない笑。「アキは明 るく変わりました」の既定路線で押しまくる。ドラマの定石に慣れた人にはそれが理解できない。しかしこーいうのは…また言うけど、とても落語的なんです よ。

落語の世界ではなぜいちいちそうなったか?設定の理由について事細かく言わない噺がある。シュールな噺ってのがそう。落語ではそれはそれでいいというお約束になっている(落語「頭山」とか超絶シュールでっせ笑)。落語では世界観は自由なのだ。
また暗く陰惨ないじめについてもクドカンはほぼスルーしてる。挙げ句に春子に「いじめらるほど、地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないなかった」と言わせている笑。

落語的である事と含めて、また後述すると思うけど、ドラマの大切な要素と思われてきた「主人公の葛藤」をクドカンはもの見事にすっ飛ばしている。葛藤が無 きゃドラマは成り立たない…というのが定石のハズが、葛藤なんか無くても、あまちゃんはグイグイと強烈にドライブされる。葛藤なしでぶっ飛ばせるドラマっ て初めて見た!定石なんかどこへやら笑、ホントにすごい!

春子と母の葛藤とか、春子と鈴鹿ひろ美の葛藤なんか、冷静に考えると、こー言っちゃなんだけどギャグにしか見えない笑。演出の解釈で、なんとなく感動的な感じに仕上げられた感じ。

ちなみに「何度も海に落ちる」説については、キルケゴール解釈以外に、もっと別の意味があると思う。あまちゃんの世界は基本的に“潜る”世界なのだ。海に 落ちる事のも、東京編の“奈落”もそう。おまけにズブン先輩は“高所恐怖症”で会社を辞めたときたもんだ。その代わりズブン先輩は潜る事は大得意の“南部 ダイバー”だ。結局、無頼鮨にスパイとして潜り込んだ爆。

OP映像は海中撮影にはチカラが入っているものの、空撮は初期のラジコンヘリ撮影なので、なんかフラフラ揺れててイマイチだもん笑。これも後述する予定。



天野アキと言えば「天真爛漫、ガキ、成長しない、身勝手、子供っぼ過ぎる、身勝手、自由気まま」な、異色の朝ドラヒロイン。当初はアキのキャラについて、 いろいろ批判されたよねぇ。でも、天野アキの奇妙な言動、行動は天野アキ=座敷わらしだと説明がつく笑。ちょっと不気味で、でも本質的にヒトにひどい害を 成すものではない。ニンゲンが大好きな、いたずら好きな妖怪みたいな感じ。

アキは「トリックスター」とか「ティンカーベル」とか「パック」とか「狂言回し」とか「オッドマン」とか「チェシャ猫」にも見えるけど「座敷わらし」ですよ。

天野アキは、座敷わらしとしてニンゲン同士や北三陸社会の「触媒」役になっている。だから天野アキを通して、みんな変容し寛解してゆく。でもアキ自分自身は変わらない。天野アキは自分は変わらず周りを変える。なぜなら「触媒」だからだ。

「触媒」つまり「霊媒」。ほら、やはり天野アキは霊的な存在=座敷わらしだ笑。そもそもヒトじゃないから視聴者には天野アキの行動原理が理解できない。だ から「朝ドラ史上初のまったく成長しない主人公」などと揶揄される笑。成長などするわけがない。触媒・霊媒・座敷わらしだもんね。まぁ舞台が岩手だし、座 敷わらしが現れるのは当然とも言えるけどね。

また、あまちゃんには全編を通して天野アキのうっすらとした不気味さと共に、何かしら死のにおいを感じる。直接目的な死の描写は皆無なのにね。もしかすると天野アキは、震災で亡くなった子供の霊の象徴かもしれない。


あまちゃん(再放送)第2回 2015H27/4/7(火)

映画「タンポポ」は言うまでも無く伊丹十三監督の大傑作映画。そのワンシーンに海女さんが出てくる。海女さん役は洞口依子さん。映 画で彼女は今、獲ったばかりの牡蛎を自分の手を皿にして役所広司さんに直接、食べさせる。あまちゃんでは夏ぱっぱが手で掴んだウニを、アキに指で直接、食 べさせる。そして映画「タンポポ」の主演は夏ばっぱ役の宮本信子さん。こーいうのってホントいい。ゾクゾクする。フード理論とやらにも合致するしね笑。

\('jjj')/は第1話から登場していたけど、2話で「この絵文字って一体、どーいう意味なの?」と春子と大吉の会話によって解説された。そしてこの絵文字は東京編の「3Jプロダクション」に繋がっていくわけです。まぁ伏線の一つですね。

第2話は1話の続きという展開。


あまちゃん(再放送)第3回 2015H27/4/8(水)

前にも書いた通りクドカンは「葛藤」というドラマの定石をあっさりと捨てて、葛藤なしでも面白い話しは作れるし、ぐいぐいドライブできる し、成功できるという事を実践し、証明してみせた。この偉大な成功の、はかりしれない影響はこれから5年、10年のスパンで、特に同業者に強い影響を与え 続ける事になると思う。てか既に、あまちゃん再放送と同時期に放送中の朝ドラ「まれ」が、あまちゃんに似ているとの事。…それはそれで大丈夫か?笑。

朝から騙したり、騙されたり、妬んだり、不条理な運命に翻弄されたりとか、辛い葛藤や、非情なライバル、悪辣な悪人を見たくないもんなぁ。葛藤がない、ま たはアッサリした葛藤しかない、あまちゃんの世界では、震災だけが異彩だけど、それでも描写としてはアッサリだったよねぇ。

と脚本は常識外れだけど演出の方は普通に手堅い。このバランスがあまちゃんの成功の秘密だと言える。特にこの回はキッチリ「上手(かみて)・下手(しもて)」を守っている事を印象づけたし、最後までそれは守られた。

夏ばっぱの天野家で向かって右手の上手(かみて)には大物の夏ばっぱが居る。この回から登場し、後に重要な舞台の一つとなる「軽食&喫茶リアス(スナック梨明日)」も上手(かみて)には大物の夏ばっぱが居る。定石そのもの。

まぁ夏ばっぱの天野家もリアスもセットを組んでのスタジオ撮影なので、手前の方はセットを組んでないので、固定されがちなカメラ位置からすると、この上 手・下手方向は当然と言えば当然なんだけど、やる気になれば今の技術からすると、もっとカメラワークは自由だったハズ。特にあまちゃん撮影当時はENG以 外にも一眼レフ撮影という小回りの利く撮影方法はあった。しかしこの辺は普通にコンベンションナルにテレビドラマ撮影の定石通りだった。

クドカンのぶっ飛んだドライな脚本を、ある程度の常識の枠にはめて、ウェット(泣き)なテイストを加えたのはNHK演出陣の勝利。また「本を渡したら演出には口をはさまない」と言うクドカンの姿勢も良かった。



前に書いた「もやしの落ちる音」が出てきましたね。このシーンは後の東京編でも出て来る。またこの回で吉田副駅長、商工会長の今野あつし、そして我らが「勉さん」も初登場です!実はミズタクの登場はまだまだ後なんですよ。
また今回の春子のリアスでの叫び声や、夏ばっぱの1日のスケジュール説明は、鉄拳のアニメを投入して掘り下げた割りには、後の展開にあまり活かされませんでしたね笑。そしてストーブさんも初登場。

とろこで、あまちゃんは「韓国ステマ」であるというネタがネット上にありますが、そーいう人達にはこの回を刮目して欲しいです笑。

夏ばっぱは朝、海開きの前に自宅の神棚(これも上手方向ね笑)に二礼二拍一礼をする。そんな夏ばっぱを見て、目をキラキラさせて「かっけ〜っ」と唸るアキ。これって「神道ステマ」じゃね爆?でも「NHKが神道ステマ!」と騒ぐヤシなんていない。当たり前。

そして次のシーンでパチンコ。まぁ後のシーンにもパチンコは出て来るけどぶっちゃけ、あまちゃんでは明らかに悪いイメージとして扱われている。そしてパチ ンコって韓国朝鮮系在日の方々のイメージでしょ。てかパチンコ業界がスポンサーにいらっしゃる民法のドラマではパチンコってあまり出て来ないよねぇ。てか 民法ドラマではスポンサーの関係か、酒乱も交通事故も最近はあまり出て来ないよねぇ。

あとクドカンの書いた昼ドラ「我が輩は主婦である」に出て来る謎の韓国人スーパースター「ペ・ヤングン」の存在も忘れてはいけないぞ!がはは。

今日の名言→「なにすんだ!このババア…アキは空中でそう思いました」www。

海に落とされるシーンでテーマ曲がかかったのは秀逸な演出。後に夏ばっぱがアキを東京に送り出す時、海岸で夏ばっぱが大漁旗を振るけど、この時にもこの明 るいテーマ曲かかかった。湿っぽいシーンを湿っぽくしない…クドカンの流儀を守ったという点では、NHK演出陣は、保守的一辺倒ではない…とも言える。そ んな脚本と演出の奇跡のマリアージュが「あまちゃん」なんだ。

海に落ちたアキは、今時の十代にとって命より大切な(当時はスマホの普及前夜だったので)携帯電話やサイフを持ってなかったのか?または海に落ちて携帯やサイフは大丈夫だったのか?…は言わない約束です笑。

て言うかこのナレーションの異様さに当時の視聴者は騒然として「?」状態となった。ナレーションの声は夏ばっぱが担当している。なのにアキの心情を「なにすんだ!このババア…アキは空中でそう思いました」と夏ばっぱ自身が語るからだ。まったくもって理屈が通らない笑。

普通のドラマのナレーションのあり方では説明できない。従って夏ばっぱは既に神の視点になったものとして語っているのでは?…つまり死んでいる人の声とし て過去を語っているのでは?だから、夏ばっぱはいずれ死ぬ。同時に震災等で登場人物が何人かいずれ死ぬのでは?と憶測を呼んだ。

しかし、テレビの前のみんなは「落語」の素養がないのかなぁ?これって落語なんだよ〜。一発でわかった。クドカンが落語好きなのは有名だし、落語を題材に したドラマ「タイガー&ドラゴン」も書いている。落語の語りは自由自在。どんな風であっても構わない。あのナレーションは夏ばっぱがしゃべってはいるが、 実は噺家のそれなのだ。実際、後でナレーションが夏ばっぱ→春子→アキと変化するという離れ業をやってのけることができたのも落語の手法だからだ。

語りが落語であるなら当然、世界観も「落語」そのもの。後に震災で何人か亡くなるのでは?と皆が心配したけど、あまちゃんは落語の世界で、クドカンがそう決めた以上「悪人が出ない=死人が出ない」世界だと言う事はすぐにわかった。

クドカンは日大で「朝ドラのナレーションはテレビ画面を見てない人にもストーリー伝わるように書くべし」と習ったらしい。これも破壊しましたね笑。

最後に「悪人が出ない=嫌いな人が出ない」という「都合の良い世界」とは…そう押井守の「ビューティフル・ドリーマー」なのだ。これは後述する。

あまちゃん(再放送)第4回 2015H27/4/9(木)

3話に続いて「キルケゴール・ジャンプ」から始まる。夏ばっぱが「な〜んも考えず飛び込め。なんとかなるもんだ」と教訓めいた事を言ってい るけど、本質的にそんな事はどーでもいい笑。物語の最後の方で夏ばっぱが津波を受けて「自然の良い所ばかりを利用して自然の怖い所はそのうち忘れてしま う」の教訓と同じで、どーでもいい笑。

その証拠に「自然の良い所ばかり…」のセリフを受けてアキは「要するに気にすんなって意味だベ」と簡単に簡略化し喝破した。教訓めいたセリフはドラっぽさを出すためのサービスみたいなもん笑。クドカンってそもそも教訓めいてないだろう笑。

アキがやたら海に落ちるが、腕の立つ水中撮影班を用意しているし、せっかくの海中ロケだし、画になるので多用したんやな笑。前述したように、あまちゃんは“潜る”世界だからね。うんうん笑。

そしてこの回で有名な「観光協会のジオラマ」が登場。ズーッと無用の長物と思われていたけど、このジオラマが最後の最後に素晴らしい役割を果たす事に。予算があるから作れたジオラマであり、伏線だったのかも。にしても超絶長い伏線に感動。

1話でもモータリゼーションを憎むハズの北三陸駅長の大吉が、軽バンで春子たちを夏ばっぱの実家まで送るが、今回も同様。まぁ地方は車社会である…というのが現実だかんねぇ。そーいう言ってる事との矛盾はあるもののサラリとした描写は好き。

そ して春子は夏ばっぱに向かって「あんただって、父ちゃん死んだ事、知らせなかったでしょ」と言う。1話でも父親が亡くなった件は大吉と安部ちゃんによって 微妙にないがしろにされた。しかし本当なら父親が亡くなったなんて事は人生の一大事。最初に登場人物に明かされるべき内容だけど、そこはそれ「落語」の世 界www。これは視聴者に何かあるな?とわかるように仕掛けられた伏線。

春子の秘密の隠れ家・灯台も登場。やけになった春子が飲み終わった缶ビールの空き缶を海に投げ捨てそうで、捨てないのはNHKらしくて○笑。若春子役の有村架純さんを見て「誰?この古くさい聖子ちゃんカットの美少女」という事に気付く回でもある。

そして灯台のシーンで流れる大友良英さんの曲、その名もズバリ「灯台」が切ない。最初は泥臭い曲ばかりだなぁ…と思っていたけど、今ではこの曲達がないと、あまちゃんは成り立たない。

ストーブさんも登場「だけ」してます笑。そして大トリは、足立ユイちゃんキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!…で本日はオシマイ。ジェットコースター展開に脳みそが痺れます。

本日の忘れられない文字→埠頭に書かれた「東京 原宿 表参道 海死ね ウニ死ね」NHK的に「死ね」は大丈夫かよ!って当時は思った笑。ぶっ飛んでんなぁ。
本日の死語→「積み木崩し」www
本日の謎→春子の「大吉っつぁん!電車来るぅ!電車来るぅ!」のシーン。
夏ばっぱが片手で掴んだ一升瓶の日本酒。あの一升瓶の掴み方は男前だ!当然、銘柄は銘酒「海鳴」に違いない。
ここテストに出るぞ→ゆべしを掴んでアベシ。


あまちゃん(再放送)第5回 2015H27/4/10(金)

北鉄の車内でアキは足立ユイちゃんと遭遇。東京に激しい憧れを持つユイちゃんと、東京から脱出してきたアキ。まさに、このドラマの核である“対比構造”をドライブさせるために投入されたキャラそのものである。
しかも今時、ユイちゃんは電車の中でケータイではなくて文庫本を開いているのだよ。自分がどう見られているか?わかっている計算高い女である事を表している笑。ちなみに男はこーいうの女子にコロリといくものである笑。なぜかアキもコロリといったけど…笑。

「怖ぇえ〜!アキは軽い戦慄を覚えました。自分が可愛い事を知ってて、実際、可愛い女子には、そんな恐ろしいスイッチが内臓されているのか」(出典:第143話)←これですよ!これ!クドカン、少女マンガ読んでるな笑。

にしても、この時点の画では橋下愛さんより能年玲奈さんの方が美少女に見たのは言わない約束www。ちなみに能年玲奈さんは前髪で眉毛を隠すと異様に幼く見える。しかし眉毛を出すと爆笑問題の太田さんみたいになる爆。印象が変わるね。

そしていきなしアキが訛り始める笑。引き続きパチンコをディスる笑。「リアス」ではアキという「子供」がいるのに“どす黒い”下品な話題にwww。しかしこれは会話のダブルミーニングだったという落ち。クドカンのこーいうジャブが心地よい。

海女姿の熊谷美寿々さん(美保純さん)に萌え〜。こーいう全方向・全世代的にアピールできる女性陣が揃っている贅沢感も(・∀・)イイ!。

ショートパンツ(ホットパンツ)姿で生足を出したアキが見られる数少ないシーンかも。脚がなんだかゴツいのは言わない約束www。あまちゃん出演の1年ほど前に出演していた「カラスの親指」の時の脚とだいぶ違う。若い女性のこの年代の1年の差は大きいんだね。

ドラマでの普段着のアキはほぼサルエルパンツだかんね。サルエルパンツは“盛りのついた猫背のメスの猿”によく似合う爆。てか座敷わらし役としてはフェミ ニンな服装は御法度だかんね笑。そしてアイドルはレンアイも御法度だかんね笑。ミズタクのデビュー映画は「御法度」だかんね笑。アキの衣装はボーイッシュ でほぼ徹頭徹尾していた(JKの制服姿は除く)。使用されたブランドは「Ne-net」とのこと。

北鉄のホームでショートパンツ姿+赤い巾着リュックでケンケンパをするアキのイメージ映像。まるで赤いランドセルに見える。お前はJSか?てか今時、ケン ケンパなんかするガキっぽいJKはいないさ笑。座敷わらしなので意図的にアキを異様に幼く見える・見せている。でもイメージ映像はキレイ。総集編で改めて 「アキのテーマ」に載せてこれらの映像が流れた時は感動した。

しみったれた春子と夏ばっぱの長い会話はともかく、本日の夏ばっぱの名言→「来るものは拒まず。去るものは追わず…だ」。もちろん「去る」というのは“盛りのついた猫背のメスの「猿」”の事ではない笑。

脚本上、アキという「触媒」に人々を触れさ「変容」させるためには、夏ばっぱのこのセリフは当然ちゃ当然。人々はアキという座敷わらしの元にやってきて癒やされ昇華するのだ。アキ温泉かっ!

そして最後はいつもの「キルケゴール・ジャンプ」で〆www。海に落ちたアキは、今時の十代にとって命より大切な(当時はスマホの普及前夜だったので)携帯電話やサイフを持ってなかったのか?または海に落ちて携帯やサイフは大丈夫だったのか?…は言わない約束です笑。


あまちゃん(再放送)第6回 2015H27/4/11(土)

この回は水中撮影班、実力発揮のキルケゴール・ジャンプと、夏ばっぱのド真ん中なナレから始まる→「アキは自分で自分の殻を壊そうとしていました。誰かに背中を押されるのではなく、自分で…」。

まぁなんとも罪なナレである笑。同時に高度なナレでもある。前にクドカンは日大で「朝ドラのナレーションはテレビ画面を見てない人にもストーリー伝わるよ うに書くべし」と習ったらしいと書いた。このナレはまさにその通りにしている。実にわかりやすい(by福山雅治)。て言うか心情も何もかも全てしゃべって しまっているじゃん笑。映画なら絶対にやってはいけないと言われる手法じゃん笑。でもこれが朝ドラなのだ。

あまちゃんの凄い所は、視聴者がアキの何度かの海へのダイブ(キルケゴール・ジャンプ)で「ああ、アキはあん時に変わったんだなぁ…」と思わせてしまう事。いや、それはそれでいいンですよ。その解釈でストーリーの流れにも影響しない。

またこの回では、そのものズバリのナレで「(海へのダイブ後に)この日を境にアキはすっかり生まれ変わりました。地味で暗くてバッとしない自分を海の底に 置いてきたのです」とこれまた何もかもナレに語らせてしまっている笑。全部、ナレがしゃべり倒す。クドカンはそういった朝ドラの方程式はちゃんと守ってい る。まさに「連続テレビ小説」だなぁ。連続ラジオ小説でもいいくらいだ笑。

し かし、あまちゃんをズーッと見ていると、なんとも言えない齟齬感を感じてくる事に気付く。「海に落ちて東北の神さんと契約してアキは変わった…?いやい や、おかしい。なんか変。それじゃ“貴種流離譚”だ。だったらアキはもっと激変してヒロインになってるべきじゃん。グイグイ動いて、周りを巻き込んで、結 果を出す、連ドラによくある宮崎駿的なヒロインに。」と。

でも実際のアキはもっとノホホンとして単純で進歩しない。でもアキの触媒力によってドラマはグイグイ展開し、登場人物は寛解されていく。つまり1話で喝破 したようにキルケゴール・ジャンプに本質的にあまり意味はないのですよ。でも朝の忙しい時にツラーと見ている人にとってはこのキルケゴール・ジャンプが しっかりとした意味を持つ。

恐るべしこの脚本の「レイヤー構造(二重性または通奏低音)」。この後、あまちゃんの核である「対立構造」と共に、この「レイヤー構造」が、それこそ「♪寄せては返す波のように〜」何度も何度も登場するのだ。
あまちゃんの恐ろしさは、スリーリーのおもしろさではない。泣き笑いでもない。小ネタではもない。人間関係の再構築でもない。東京と地方の折り合いでもな い。この脚本のプロットの凄さにある。ブロットの構造の凄まじさが、空前絶後に凄い。て言うかプロの脚本家でもナンでもない普通の視聴者である自分が「プ ロットの構造」で感動できるとは思ってもなかった爆。
て言うか「プロットの構造に感動」ってナンだよ笑!。実に不思議な初体験だ。そしてこんな凄いプロットを同じ人類が書けるとは思ってなかった…。クドカンの脳の「構造」こそ一体、どうなっているのだろか?笑。

繰り返すけど、あまちゃんは朝の忙しい時にツラーと見ると、先に書いた…スリーリーのおもしろさや、小ネタや、泣き笑いや、人間関係の再構築や、東京と地 方の折り合いという面白さ満載で、笑って(笑いは脚本が担当)、ちょっと泣いて(泣きは演出が担当)満足する。これがレイヤー1の表層部。
しかしちょっと俯瞰して見た時や、後になればなるほど、それらの枝葉が消えてきて、もっともっと大きな大きな森が見えてくる。これがレイヤー2。いわば正解が二種類用意さてるクイズみたいだ。レベルに応じて楽しめる。

つまり朝の忙しいと時とか、しっかり見ようと思わなくても充分にあまちゃんは面白い。しかしあまちゃんに仕掛けられた罠に掛かってしまい、よくよく見よう とすると、もっともっと面白い事に気付く。先ずそれに気付いたみんなは最初は小ネタ探しから始まり、その出典探しに夢中になる。ネットでも盛り上がる。テ レビのくせにネットとの親和性が異常に高いのも、あまちゃんの特徴だ。

そして次は深読みをしてしまう。ここまでくると小ネタや深読みではない「何か」がチラチラと見え隠れしてくる。そうなったらもうオシマイです笑。もうどっぷりあまちゃんの虜で、中毒患者の誕生ですよ笑。同時に自分の中毒性に改めて気付くという異常な快感www。
そう、あまちゃんはその「構造」に感動して楽しむドラマなのだ。がはは。深く考えないまま見ても、気付かないまでも、妙な齟齬感から「ん?このドラマ、何 かあるぞ」感じてしまう空恐ろしさこそが、あまちゃんのあり得ない程の大成功の秘密だと思うし、金字塔であり、革命なのだ。

もうちょっと言うならこの脚本のレイヤー構造は、あまちゃんの中で何度も登場する「劇中劇」をも内包している。“入れ子構造(劇中劇や劇中歌)”ってヤツの楽しさだ。

例→アキとユイが初めてテレビに出た架空の「岩手こっちゃこいテレビ」局の番組「5時だべ! わんこチャンネル」。
若春子が優勝した架空のオーディション番組「君でもスターだよ!」。
アキが主演した架空の子供番組「見つけてこわそう」。
アキが40回もNGを出した架空のテレビドラマ「おめでた弁護士」。
アキが主演した架空の映画「潮騒のメモリー〜母娘の島〜」や「静御前」などなど…。
まだまだたくさんある。タイトルを書いているだけでも楽しくなってくる笑。

そして忘れてはならない2013年大晦日の紅白で大感動を呼んだ「第157回 おら、紅白に出るど」も、あまちゃん中では架空の番組扱いで、これもレイヤー構造の一つなのだ。ああ壮大すぐるぜ笑。



この回にも若春子役として有村架純さんが登場。この時の髪型が典型的な“聖子ちゃんカット”。しかしまぁどう見ても撮影用のヅラである。ちなみに 同シーンに登場する弥生、かつ枝(可愛くない方=人間の方w)、そして漁協の組合長、みんな撮影用ヅラだった。市長は撮影用ヅラではないかも笑。意外にも 組合長(でんでんさん)の若作りヅラが似合ってのは収穫の一つである笑。

あと夏ばっぱや海女クラブのテーマ曲?「いつでも夢を」の楽曲がこの回に初登場かな?この古い曲が再発掘されて、あまちゃんで効果的にフィーチャーされた のも収穫の一つである笑。春子は「フィーチャリングは嫌い」みたいだが笑。そしてこの曲は言うまでもなくスガ・シカオ…じゃなくてユキ・ハシオ(橋幸夫) に繋がる壮大な伏線でもある。