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さいとうよし子ちゃんのボール 第二球「ごまめちゃんの涙NO.7」 「僕のこと忘れたのかい。さいとうよしこちゃんのボール君?君を助けたフラットだよ」 四年前にボール君を助けたロボット犬のフラットです。 覚えていますか。 ボール君をヘドロ地獄から助けてくれたことを? 「フラットさん、どうして、ここにいるの?」 「ヘドロの塊からできた怪物を探しているんだよ」 「それって、とてつもなく大きくて、生臭いにおいのするの怪物?」 「そうだよ。ボール君、どこで見たの?」 「ちょっと前に洞窟の中に入っていったよ」 「それほんとうだね。洞窟に入っていたんだね」 「うん」 「ボール君はここにいなさい。どうくつに入ってはいけないよ。動いちゃだめだよ」 「そんな!ごまめちゃんが危ないよ」 「ごまめちゃんって?ボール君の友達かい」 「そうだよ。ごまめちゃんはゴマフアザラシの赤ちゃんなんだ。僕が助けに行かなければ、 ごまめちゃんが危ないよ」 「ボール君、心配しなくても大丈夫だよ。僕がごまめちゃんを助けるから」 「フラットさん、僕も行きたいよ」 「ボール君はここにいるんだ。約束だよ」 ヘドロ地獄からボール君を助けてくれたフラットはそう言うとあっという間に洞窟の中へ と入っていった。 ボール君は何度も洞窟の中を覗いてみたが、洞窟は静まり返っていた。 夕陽は水平線に沈みオレンジ色の海だけが広がって、一日の終わりを告げていた。 「大丈夫かな、ごまめちゃん」 そうつぶやくとボール君の近くにいたカモメや海鳥たちがばバタバタといっせいに飛び立 った。 オレンジ色に染められた山のような大きな波がゴーゴーいいながら近づいてきていた。 「ドドッドー」と大波は数秒もたたずにボール君を飲み込んだ。 息つく暇もなくボール君は激流に流されている木の葉のように洞窟の奥へとなげだされた。 「うわー。誰か助けて」 ボール君はぐるぐると回りながら押し流されていった。 そして吸い込まれるように大きな壁にぶち当たった。 「いたいよ!なんだこのぬるぬるした物は?」 「坊や、久しぶりだな」 「君はだれだ」 「俺だよ。あのころは俺はチビだったからな」 「君は僕をだまして捕まえようとしたヘドロさんだね」 「今度は俺から逃げられないぞ」 「どうしてこんな大きくなったの?」 「俺はヘドロだぜ。人間様が俺を大きくしてくれるのさ」 「そんなことないよ。僕の大好きなよし子ちゃんは君なんか嫌いだよ」 「よし子ちゃんは嫌いでも、俺は人間様が捨てるゴミや工場の汚水でどんどん大きくなる んだよ」 「それなら、ヘドロの城に帰れ」 「いやだよ。おまえやアザラシの親子を食べるまで帰らないさ」 「なんてことを言っているんだ。ごまめちゃんやごまめちゃんのおかあさんを食べたら僕 が許さない」 「お前に何ができるんだ。そんな生意気なことを言うなら、お前を先に飲み込んでやる ぞ!」 ヘドロおばけは大きな口をグオーと開けて、ボール君を飲み込もうとした。 |