私たちは言葉を交わす際、その伝達過程を意識することは日常生活上ほとんどあり ません。 みなさんは、相手が自分の言葉をどのようにして理解するのかを疑問に思っ たことはありませ んか。たとえば、"Do you know where the steak is?"というYes/N oを求める疑問文に対して、一 見すると意味的に全く関連性の無いように思われる"Your dog looked happy"という返事が自然 に感じられるのはなぜでしょう。また、"Could you open the door?"よりも"I wonder if you could open the door"の方が丁寧 だとされるのはどうしてなのか。英語コミュニケーション論の仕事の 一つは、伝達行為の中で 見られる英語の様々な用法に規則立った説明を与えることです。他にも、場面 の性格 や話題・目的などによって英語の表現形態は影響されます。このような伝達行 為のス トラテジーに光を当ててみると意外な発見があるものです。  
 
一方、英語の姿から伝達行為の背景にある社会的要因に目を向けることも可能です 。英語に も男言葉や女言葉がありますし、社会階層や民族などの要素が言葉使いの中 に反映される例も 数多くあります。  
 
このように生きた言語としての英語は実に様々な表情を見せてくれます。そこには まさに現 実社会が反映されているのです。私の授業では、以上のような点についてみ なさんと一緒に考 えてみようと思っています。