エッセー・ シネマな面々  1998年刊
映画盛衰にシネマニアの人生を重ねて
定価  1800円 (+税)
巻頭言
映 画 わ が 命
 すべてが生きている記録で嬉しかったですし、まことに(貴重)であります。
 こつこつとこまやかに記されているので、よくその時その場がわかり楽しく拝読、というよりも思わず夢中で読みました。
 私としては第一章の「幻灯」に感激したし、一八九七年(明治三十)の始まりから現代にいたるまでが目に迫り、その実景が頭にしみこむ、映画史のまさに(体験)の、生きた松山の映画史につくづく感心以上の(立派)さを拝受しました。
 このように(生き生き)と生きた映画史がまったく見当たらぬ今、この本は実に嬉しい限りです。すべてがご体験またはそれにちかい実録ゆえ…お開きしているような親しさでした。
 学者気取りの論文の映画史を嫌う私には、またとない立派な(参考書)として大切に保存したいです。
 活動写真の初期のタイトルのこと、大ダコの脚にからみつかれた人間たち、男の生首を捧げたサロメ、これら幼少のころの活動写真印象記は実に鮮やかで、これらはじっさいに見た人でないと書けぬもので、この文字を食い入るように見つめました。
 それにしても、一九九五年にいたるまで、この「シネマな面々」には筆者の(映画わが命)とさえ思える愛情がこもり、筆者ご自身が記されるうちに、あのこと、このことと、その記録の大切さに夢中なことが楽しく理解できました。
 生きた映画体験となるとどうしても(わがこと)となる、その楽しさと、その本物の(貴重さ)を感じ受けたのですが、後半にいますこし、外国映画と「松山」についても知りたかった。それは私が外国映画狂ゆえと悟りおります。
 このいちずに書いて、書いて、書き綴られた上田雅一氏と、その映画情熱に心から拍手と、このご本が貴重なる生きた映画史であることに対し、かさねて拍手を送るものであります。
(一九九六・秋)
伊丹万作(昭和12年)
富岡先生に扮した井上正夫
四国24時間スペシャル(NHK・TVより)
右 故 岡本太郎氏 左 筆者
児童画展・大街道でのNHK・TV撮影風景より
も く じ
第一章  観る
幻 灯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
活動写真初め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
妙なる残響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
未来ミラー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
活動小屋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
伊丹万 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
国士無双 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
静臥後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
ガ ー ボ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
シネ紳士録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
色気惚気 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
画人・映画人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56
松山ロケ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
撮影技師 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
映像回想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70
シネマ・パンフ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75
女優の父 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
流しこみ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
霧中無残 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
シネマ一族 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
銀幕再会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96
活動カメラマン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100
シネマ・ママ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 105
可燃性フィルム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110
シネ・コレクター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
相寄る魂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
シナリオ人生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125
一九五三年の松山映画街 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 130
第二章  創る
ナレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 138
大師はどこに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 143
怪奇映画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 148
協力者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 151
ブルーフィルム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 156
国際コン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160
トロフィー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165
第三章  文人三人(みたり)
玉貫  寛 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170
小田 武雄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 173
高橋 丈雄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 179
後章
あたたかい松山 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 190
あとがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 195
表紙 ・ 重松 鶴之助