| 小説・ 見たか町衆 1989年刊 |
| 町家300年をめぐる時代物語 |
| 定価 1500円 |
| 見えないモノを書 いつの時代、誰が書いたかは不詳ながら、一通の書きつけがある。 「−風早二神牛之助先祖新八長男若年の砌二階より落ち、ちんばとなり、事急(こときゅう)の余り松前に白銀細工思付候是か家業とは致鍔打を業と致に付鍔屋小右衛門と名乗−」 紙魚(しみ)の食害(写真)に侵され、頭書部分は欠如のため判読困難である。 先祖のことどもを今に伝える「過去帳」も、また「虫食い」のため、わが先祖調査は阻害される。 ものの本によれば、この紙魚(しみ)のほかに別の加害者、その名も「死番虫」−なんと世界中に生息する甲虫目シバンムシAnobidaeに属す小甲虫。歴(れつき)とした国際虫、death watch beet。
過去を消された過去帖を、唯一のヨルベとして、見えない過去を手さぐりで書いたのが、 「見たか町衆」 である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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