第78回 天守閣・幻影
撮影した場所での映画上映とは、40年前には思いもよらなかったことである。
昭和8年7月(1933)、放火(妖火)で小天守が焼失した、丁度その折、つまり小天守炎上の時刻には、私は標高1271mの愛媛県久万町皿ヶ嶺連峰県立自然公園、「皿が峰」のキャンプで眠っていた。
翌朝、松山市駅に帰って始めて小天守城郭焼失を知り驚いた。
放火犯が「皿が峰」方面に逃走したらしい、と警察は私たちに嫌疑をかけた。
そのような因縁こもる城郭復元工事を8ミリフイルムに記録したのが昭和42年(1967)であった。
愛媛新聞社勤務、それも夜勤あけの空き時間を利用しての片手間作業である。
今にして思えば、よくぞ撮り残したものである。
上田雅一のシネマなページ