第71回 「絵手紙」
井上正夫の舞台芸は演劇史にも残る秀でたものであったが、、その余技として残る「絵手紙」も又優れたものであった。
平成のはじめ、名優井上正夫の偉業を後世にまで伝え残そうと,砥部の地にその記念館設立への動きが高まり、その資料集めが始められた。
数年を経ずして多くの遺墨,資料が寄り集められた.。なかでも目だって多いのが「絵手紙」,その一つ一つが書き手の心情を吐露し,世相を映し描いた優れものばかなのであった。
そして数年後,〈記念館〉はまだないが,「砥部文化会館」のなかにその絵手紙と演劇資料が展示され,正面玄関横に伊藤五百亀作の井上正夫像が据わる。
資料収集に当たった不肖私としては、その展示から外された多くの演劇資料、「絵手紙」が収納倉庫に眠らされていることが残念である。
地下に眠る井上正夫は「無念」とも言わぬけれど。
松山市駅前のロータリーにある井上正夫の胸像 昭和13年、砥部を題材にした「焔の人」より 左 山口 俊男
上田雅一のシネマなページ