第39回 『一遍さん釈尊の地をゆく』
 伊予の生んだ一遍上人は700有余年の昔、世の平和を願って日本全土をひたすら念仏を唱えながら「遊行」して回った。
 現代なれば一遍さんは、遠く釈尊の地インドを巡拝なされたのでは。
 印度各地の映像は1974年三度行って収録しているし、幸い現存する「一遍聖絵」から釈尊ゆかりの聖地をえらんで合成の作業を重ねるのである。
 その選択、配置のレイアウトは自由であるが、奔放は許されない。
 印度の自然風物はこのこと。あるを承知して取材したのではないし、一方聖絵のほうは剥落や折れ皺の傷みもあるが、引き写しでは詮方無し。
 この作業で意外な発見があった。拡大画面で絵師の筆くせが、近世の画家某と似通うこと、即ち親近感を感じた。人物の横顔、その口辺などの筆法には何百年の隔たりも違いも全くないのである。
 ともあれコラージュで紡ぎ出した今昔物語には「時間」の経過はないと思えた。
タージマハールをゆく一遍ら
参考:我阿忘『一遍さん釈尊の地をゆく』
 http://home.e-catv.ne.jp/abc123/india/india.htm
上田雅一のシネマなページ