第33回 『THE活弁』
 以前、このコラムで紹介した活弁の名手澤登翠さんがこの度「芸術祭賞」を受賞されたが、たまたま某誌の依頼で書いた「映画界の巨匠伊藤大輔」のなかでも、澤登さんのことを併記したばかりであった。その記述にあたっては正確を期すため、澤登さんご本人に問い合わせ、あるいはホームページも拝見したが。
 私自身が書いたあのコラムがそのままリンクされていたのであった。
 幻のフィルムと惜しまれていた伊藤大輔不朽の名作『忠次旅日記』が発見され、平成7年、国立近代美術館フィルムセンターで澤登翠の活弁で上映された折りは大好評を博し、その後は世界各地への出張口演が続いていた。
 『伊藤先生が松山中学ご出身と知って以来、ずっと松山に憧れておりました』と語る澤登さんは、今年(平成15年)で3年目となる「子規さん映画祭」で松山へ。また、秋には伊藤大輔生誕の地宇和島へは、伊藤大輔監督、大河内伝次郎主演の『御誂次郎吉格子』を携え、お馴染み極め付きとなった澤登女史が至芸の名調子を心行くまで聴かせてくれる予定である。
 伝統の名人芸・活弁を現代に生き返らせた澤登翠さんは今や近代映画界にとっての大切な功労者である。
上田雅一のシネマなページ